この記事を読めば、懐は温かくなる。コンバージョンの最適化 — 最高のリサーチと実験に基づくメソッド — を学ぶことが出来るためだ。
なぜ、コンバージョンを最適化するべきなのだろうか?オンラインビジネスの売り上げを増やす、最も安価で、最もスピーディーな取り組みだからだ。現在のコンバージョン率が1%(つまり、製品を購入するのはビジターの1%)だと仮定する。この場合、たった2%にアップしただけで、売り上げは倍増する。
コンバージョンの最適化においては、テストが生命線となる。大半の企業は、オンラインのコンバージョン率に不満を抱えている、とEconsultancyは指摘している。コンバージョン率に満足している企業は、不満を持つ企業よりも、平均で約40%多くのテストを実施している。
テストをしない理由
考えられる3つの理由:
実際には、それほど難しいわけでも、時間がかかるわけでもない。利益を得るためにビジネスは存在するのであり、コンバージョンの最適化は、そのビジネスがより多くの利益を得る上で貢献する。この取り組みに時間をかける価値がないなら、優先順位をはき違えていると言わざるを得ない。
十分なコンバージョン率とは?
ケースバイケースである。つまり、ビジターに取ってもらいたい行動、製品の価格、ビジターがアクセスしてきた場所等に左右される。
10万名をスパムしても、コンバージョン率は0%になる。一方、数年をかけて関係を構築してきた独自のEメールリストにEメールを送ると、10%以上が顧客になってくれるかもしれない。
購入に対するコンバージョン率は、平均で2%だと考えられているが、この考えにこだわる必要はない。2%以上に達したら、頂上に辿り着いたのであり、これ以上最適化を行わなくても良い、と言うわけではない。現在のコンバージョン率よりも良いコンバージョン率を常に目指すべきである。
注記: サイトに初めてアクセスしたビジターのほとんどは、何も購入しない点を肝に銘じておこう。そのため、すぐに売ろうとする姿勢は望ましくない。その代わりに、戻って来てもらうと言うアイデアを「売る」べきだ。つまり、Eメールリストに登録してもらう、RSSフィードを購読してもらう、Twitterでフォローしてもらう等を要請すると良いだろう。
目次
ウェブページ(ホームページ、製品ページ、ランディングページ等)の複数のバージョン、あるいは、ページの一部(ヘッドライン、表現、コールトゥアクションボタンの大きさ、Eメールアドレスを入力する欄の場所等)の複数のバージョンを作成し、コンバージョン率が高いバージョン — 取ってもらいたい行動をより多くのビジターが取ってくれるバージョンを特定しよう。
ビジターは予想外の行動を取ることがある。だからこそ、テストを実施する必要があるのだ。また、自分自身は顧客ではなく、顧客が自分と同じようにサイトを利用すると考えると、恐らく、迷走することになるだろう。
テストしなければ、何がうまくいくのか分からない。
テストの方法は2つある。A/Bテスト(スプリットテスト)では、ページのバージョンを2つ作る(ページ Aとページ B)。トラフィックの50%にはページ Aを、そして、残りの50%にはページ Bを提供する。この振り分けは、ソフトウェアが自動的に行う(この記事の最後でソフトウェアを紹介する)。
ユーザーがページ Aにアクセスすると、コンピュータにクッキーが保存され、再びページにアクセスすると、バージョン Aが必ず表示される。この仕組みにより、ビジターは、サイトのオーナーがテストを実施していることには気づかない。
技術的には、A/B/C/Dテストを実施することも可能だが、同時にテストするバージョンが増えると、ベストなバージョンを特定する時間が長くかかってしまう。統計的な有意性が必要とされるためだ。Excelの有意性計算機のスプレッドシ-トを使うと良いだろう。
Googleは、少なくとも100回コンバートしてから、ベストなバージョンを決める方針を薦めている。この目安に関しては賛否両論があり、個人的には25回のコンバートで勝者を見極めることが出来ると考えている(コンバージョン率を正確に割り出すには、もう少し時間が必要)。
各ページに対して2ページ以上をテストするなら、勝者を特定するまでにかかる時間は、遥かに長くなる。テストのスピードは重要であり、CとDは避けた方が無難だ。
多変量テストは、同時に2つ以上の組み合わせ、そして、異なる組み合わせの組み合わせをテストすることが出来る。少しややこしいので、詳しく説明させてもらいたい。
ヘッドラインの2つのバージョン、コールトゥアクションボタンのテキストの2つのバージョン、そして、3つの異なる画像を同時にテストする状況をイメージしてもらいたい(上の画像を参照)。
この状況では、勝者の組み合わせは:
等々、様々な可能性が考えられ、勝者の組み合わせを特定するには、大量のトラフィックが必要になる。
そのため、大量のトラフィックが寄せられている場合のみ、多変量テストを行うべきである。トラフィックの少ないあまり多くないウェブサイトは、A/Bテストに固執するべきだ。
このコンバージョン最適化のレポートによると、コンバージョンに対して体系的なアプローチを持つ企業は、持たない企業と比べて、セールスが大幅に増える確率が2倍高いと見られている。そのため、闇雲にテストを行うのではなく、「体系的なアプローチ」を策定してもらいたい。
それでは、コンバージョンの最適化に利用可することが能なフレームワークを幾つか見ていこう。
(上述したコンバージョンに関する調査を行った)RedEyeとEconsultancyが提唱する体系的なアプローチに関するレポートによると、RedEyeとEconsultancyが推奨するアプローチは、4ステップのループを採用する(計測-分析-テスト-最適化):
画像: RedEye
Invespは、コンバージョンのフレームワークの中で、8つの原則を提唱している。
これは物理学の講義ではなく、Marketing Experimentsが作ったコンバージョンの公式である。
幸いにも、上の公式を解く必要はなく、紙に書いて見えるところに貼っておけば良い(印刷して、パーティションオフィスの壁に貼り付けておこう)。それぞれのアルファベットの意味を説明していく:
C = コンバートする確率
m = ユーザーのモチベーション(When)
v = 価値提案の分かりやすさ(Why)
i = 行動を起こすインセンティブ
f = プロセスの抵抗を構成する要素
a = 情報を入力する行為に対する不安
つまり、コンバートする確率は、オファーとビジターの動機 + 価値提案の分かりやすさ + (今すぐに行動を起こすインセンティブ – 抵抗) – 不安によって決まる。アルファベットの隣の数字は、重要度を表す。
抵抗は、セールスや登録プロセスの所定の要素に対する心理的な抵抗を指す。不安は、セールスや登録プロセスの所定の要素によって促される心理的な懸念を意味する。この懸念を出来るだけ減らし、ユーザーの動機とインセンティブを高め、そして、価値提案を明確化しよう。
LIFT
WiderFunnelが考案したLIFTは、ランディングページを分析するフレームワークとして注目する価値がある:
このフレームワークは、バリュープロポジション(価値、メリットの提案)を、コンバージョン率のポテンシャルを与える輸送手段としてイメージする。LIFTでは、価値の提案が全ての土台となる。関連性と分かりやすさが、コンバージョンをアップさせ、不安と障害物はコンバージョンをリセットする。すぐに行動を取ってもらう上でキーとされているのが、緊急性である。
テストによって効果は異なる。コンバージョンテストを成功させる上で重要なポイントを挙げていく:
全ての変更をテストすることも可能だが、80%の違いをもたらす20%をテストするべきである。
それでは、それぞれの領域を別々に検証していく。併せて、参考になる、最近行われた実験を幾つか紹介する。
価値提案(バリュープロポジション)は、顧客候補が製品を購入する主な理由である。
(価値提案の策定に苦労しているなら、このワークシート(pdf)を参考にして、効果的に価値/メリットを伝える努力をしてもらいたい)。
次の画像で、価値提案を探してみよう。
見つからなかったのではないだろうか?このページのように、最初に会社名を記し、次に「最高品質」等の誇張した表現を並べたところで、説得力はない。
次のページで価値提案を確認してみよう。
このイメチェンを行ったバージョンは、コンバージョン率を145%アップさせた。
Marketing Experimentsは、まずはPPC広告を介して価値提案を試し、その後、ランディングページで効果の高かったバージョンをテストするアプローチを推奨している:
「平均で、本文よりも、ヘッドラインを読む人は5倍多い。ヘッドラインで製品のアピールに失敗すると、投じた資金の90%をどぶに捨てることになる。読者にメリットを約束するヘッドラインは、成功する確率が一番高い。」
— デビッド・オグルビ 広告王
良質なヘッドラインは、大きな効果をもたらす。ヘッドラインの表現を変えるだけで、コンバージョン率が127%も上がれば笑いが止まらなくなる。
ヘッドラインは、ウェブサイトやランディングページで、最初にビジターが見て、読む部分である。自己紹介の滑り出しであり、「ようこそ!」と言った時点で、そっぽを向かれてしまう。
ビジターが、有料広告を通じてランディングページにアクセスしているなら、ヘッドラインは広告のメッセージをより磐石なものとする必要がある — この説得の契機を活かそう。
記事のヘッドラインやEメールの件名をスプリットテストにかける際は、65文字の原則を忘れないでもらいたい。Googleは、検索結果に最大で65文字までしか表示せず、Gmail等のメールクライアントは、長い件名を省略する。また、Twitterでは、ヘッドラインが長過ぎると、他に何も書けなくなってしまう。
CityCliq: コンバージョン率を88.9%改善することに成功
右のヘッドラインの方が効果が高いことが判明した。
古いマーケティングの格言にあるように、混乱すると、必ず「No」と言う答えが返ってくる。
オファーとは、ビジターに提示する取引(売買等)を指す。明確且つ簡潔にまとめれば、ビジターは、何を提案しているのか悩む必要はなくなる。
ただし、オファーは「コールトゥアクション」ではないので注意しよう。コールトゥアクションに関しては、後程説明する。
コールトゥアクションボタンにおいて、特に重要なのは、見やすく、上半分に配置され、そして、理想としては1つのページに1つのみを与えることだ。選択肢の数が多いと、決断が難しくなる。
人間の注目する時間は限られている。「投稿する」と記されたボタンが、実際にどんな結果をもたらすのか、考えなければ分からない状態は好ましくない。テストの結果を見る限り、「投稿」と言う言葉を使わないボタンの方がコンバートしやすい。「考えさせるな」と言った、ユーザビリティのエキスパート、スティーブ・クラグは正しかった。
反対に、「無料」は魔法のような言葉である。例えば、Firefoxは、「Try Firefox 3」(Firefox 3を試す)から「Download Now – Free」(今すぐ無料でダウンロード)にボタンのテキストを変えたところ、コンバージョン率が3.6%改善された(500回以上ダウンロードの回数に差が出た)。
ボタンの色は影響を及ぼすのだろうか?最近、大きなオレンジ色のボタンを利用するサイトが多い(Amazonを筆頭に)。しかし、その他にも効果的な色はある。このテストでは、赤が緑に勝ち、コンバージョン率は21%高かった(オレンジ色のテストは行われなかった):
画像: Hubspot
通常、大きなボタンは、小さなボタンよりもコンバートしやすい。Hubspotは、幅225ピクセル、高さ45ピクセルが理想的なサイズであったと指摘している。
また、「リセット」欄を用意する必要はない。フォームを埋めていき、最後にリセットするような人はない。万が一いても、再び入力をやり直す気にはならないはずだ。
購入を要請する度に、抵抗が生じる。抵抗を軽減すると、反対に、投じた労力に対する見返りは増える。
抵抗は、次の2つの要素によって生じる:
長さ: 妥当と思われる以上の時間や情報を求めるフォームやプロセスによって生じる疲れ、苛立ち、または、ストレス。
&
難しさ: ユーザビリティの質が低い(答えが分からない問いを投げかける、製品の情報が不十分等)。
信頼の欠如も抵抗を生む — 信用、または、信頼することが出来ない状態では、ビジターはコンバートしない。
MarketingExperimentsは、次のケーススタディを紹介している。このオリジナルのページには、3つのコールトゥアクションが掲載されていた:
これが解決策だ:
最適化したフォームは、選択を1つに限定し、そして、コールトゥアクションには「Confirmation」(確定する)と言うシンプルな表現を用いて、難しさから生じる抵抗を軽減している。
オファーの価格をランディングページに掲載(さらに、注文プロセスのページを1つ削除)し、注文フォームでの決断の難しさによって生じる抵抗を軽減することで、無料のトライアル-登録のコンバージョンは65%アップした。
レイアウトを介して、単純に入力欄の数を減らし、さらに、ページの長さを大幅に短くすることで、全体的なコンバージョン率は77%増加した。
抵抗を減らす効果のあるアイデアを幾つか挙げていく:
Stanford Persuasive Technology Labのウェブ信頼性ガイドラインには、絶対に目を通しておこう。
適切な価格は、コンバージョンの改善に大きく貢献する。価格の実験に関する記事を参考にしてもらいたい。
1つの要素をテストするアプローチを超え、完全に新しく、異なるバージョンをテストすることも可能だ。
参考例(詳しい情報を知りたくなったら、それぞれのリンクをクリックしよう):
SEOMoz: 52% improvement in sales and $1 million dollars increase in revenue
SEOMozの取り組み:
Highrise: 2点の大幅な変更が、それぞれ、37.5% & 102.5%コンバージョン率を改善した。
Highriseが得た教訓:
Performance Based Designの本: ランディングページのコンバージョン率を131.2%改善
Performance Based Designが得た教訓:
とても多くのツールが提供されており、WhichTestWon.comは39点のツールをリストアップしている。今回は、大企業向けの高額なツールは弾き、使いやすく、財布にやさしい個人的に好きなツールを幾つか紹介していく。
別のサイトでうまくいったことが、自分のサイトでも同じようにうまくいくとは限らない。例えば、コールトゥアクションのサイズを小さくして、切迫感を醸し出すアイテムを削除したものの、コンバージョン率がアップしたケースもある。
ウェブサイト、そして、ユーザーは千差万別であり、ユーザーを理解し、最も適切な方法で狙いを絞ることが肝要だ。ビジターは、コンバートする前に、様々なアクティビティの影響を受ける — ウェブサイトのコンテンツ、ウェブサイトのユーザビリティ、そして、オフライン/オンラインの広告は、消費者が購入するかどうかの決定を行う上でインパクトをもたらす。
コンバージョンの最適化に関するケーススタディの良質なリソースを幾つか紹介しておこう。
コンバージョンのテストを経験したことがあるなら、コメント欄で発表してもらいたい。
この記事は、ConversionXLに掲載された「What you have to know about conversion optimization」を翻訳した内容です。
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