SEOは終わらずともSEO業者は終わる

公開日:2011/10/11

最終更新日:2024/02/17

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数年毎に話題になる「SEOが終わった」議論。大体のパターンでは言いだした人の議論が「あえて」極端だったりポジショントークだった、SEOのとらえ方で意見は変わるし、本質的な検索エンジン対策は残るよね、的な一種予定調和な終焉を迎えます。さて今回はSEOが終わるかどうかの議論ではなく、現在SEOを仕事にしている人間が今後もSEOで食べていけるのか、というある意味SEOが終わったか議論より業界関係者には深刻な話をSEO Bookから。長文かつ考えさせられる記事なのでお時間ある時に覚悟してどうぞ。 — SEO Japan

私達はまだ生きている。2011年、SEOはまだ終焉のときを迎えていない(ずっと前から宣告されているにも関わらず)。しかし、SEOを巡る状況は、パンダアップデートが行われてからと言うもの大きく変わっている。パンダによってダメージを受けたサイトの大半は(パンダは反復して行われている)、パンダが初めて実施されてから7ヵ月が経過すると言うもの、いまだに苦戦している。

ビジネスは破壊され、生計は狂わされ、そして、かつて繁栄したビジネスは、新参者もベテランも、絶体絶命のピンチを迎えている。

この動画を見るには絶好のタイミングだ:

グーグルにはまったく問題ないようだ。エリック・シュミット氏はかつて、「ブランド肥溜めを浄化する」と発言した。徹底したエリート主義である。

ブランドとは皆さんにとって何を意味するのだろうか?「心臓発作を切り抜ける方法」等の医学的なクエリやその他の様々な医学用語のクエリで上位にランクインしているコンテンツファクトリーのことだろうか?

あるいは、心臓発作を避ける方法に関するクエリを巡る競争に参加する、英語の学位を持つ人物が綴った記事を思い浮かべるだろうか?これは肥溜めには当たらないのだろうか?

マット・カッツ氏は、リンクを売る行為が“悪い”理由を説明するために健康問題を挙げていた。しかし、当時のカッツ氏の投稿では、グーグルが違法の薬品の広告を販売する5億ドルを稼いだ会社を設立していた点は触れられていなかった。

私は英語の学位を持つだけの人物が綴った、命を失う可能性がある、または死に結びつく可能性がある医療的なトピックの記事を読みたいとは思わない。境界線が極端にさらにぼやけており、アルゴリズムによる“調整”がさらに難しくなっているのだ。

SEOは、ビジネスモデルにおける短期、中期、長期の戦略を考慮する際は、この2つの原因を絶対に無視するべきではない。1回のミス、または1回のアルゴリズムのアップデート(コントロールすることは不可能)によって、ビジネスに大きなダメージを与える可能性があるからだ。

言うだけなら簡単

とりあえず今は、“ブランド”を適切に構築する方法(それが何を意味するにせよ)についてきれいごとを並べ、生き残ることに必死になっているにも関わらず「だから言っただろ」と蔑んだ目で見るホワイトハット(それが何を意味するにせよ)気取りをやめてもらおう。セールスマンは不安を逆手にとって、「正しい方法で取り組めば何も問題はありません」と言って恐怖心を鎮めようとすることを肝に銘じておいてもらいたい。

問題は、何が“正しい”方法なのか、そして、“なぜ”その正しい方法を実施していないのかと言うことだ。“正しい”方法などない。全て黒と白が入り混じっている状態なのだ。

過大な宣伝には騙されず、少し落ち着きを取り戻そう。アルゴリズムの変更が行われるとすぐにホワイトハットをかぶる人物こそが、ツールであれ製品であれ、(どんな言葉を使おうが)検索結果を操作する方法に関する情報を与えるアイテムを売ろうとする張本人なのだ。

基本的に、この業界は混乱し、恐怖心を抱き、そして、ナーバスになっている。セールスマンにとっては、不安になり、情報に乏しい人達は利益を得る上で格好の獲物である。

このような不安な時期における答えやガイダンスを求めているなら、次のヴォルテールの言葉を心の片隅に置いておいてもらいたい:

富裕層は貧困層が多ければ快適に過ごせる。

教育、経験、そして、情報が最善の対抗策である。

縮むグーグルのSERP

SERPでは息をするのも難しくなりつつある。SEOBookは定期的にこの点をブログで指摘しているが、現在、この問題を見直すには最高のタイミングだと思える。パンダではコンテンツファームやさらに腹黒策略が狙われていると思われているが、オーガニックなSERPの縮小問題も見逃すわけにはいかない:

以下にアドワーズとオーガニックなサイトリンクを持つサイトのリスティングの画像を掲載する:

トップ3に入っていないなら、競争に参加しているとは言えない:

SERPの多様性などお構いなしだ:

このような結果から幾つか教訓を得ることが出来る:

  • 検索トラフィックを巡る競争および収益化は、恐らく長期的な戦略には向いていない(しかし、短中期には向いている)
  • グーグルは継続的にグーグル“製品”を重ねており、無敵と言っても過言ではない競合者に姿を変えつつある
  • 利鞘が期待できるなら、ビジビリティに対して今までよりもPPCに積極的に手を出した方が良いかもしれない

SEOの取り組むのコストを評価し、ターゲットを絞った広告、メディアの購入、当該のマーケット、キーワード、または製品に関する会話を求めてブログやフォーラムのモニタリングを介して、別の分野のオンラインのトラフィックの獲得にどれだけ貢献するか算定してみる価値はある。複数の分野で最大の露出を達成するため、資金を分散させる必要がありそうだ(短期的および長期的なポジショニングを行うため)。

このイメージを見れば分かるように、検索トラフィックに依存する戦略の長期的な活力は現実的ではなくなってきている可能性がある。

SEOスキルを活用する

SEOは、タイトルタグが完璧かどうかを確認するスキルよりも、マーケティングを重要視してきた。優れたSEOは優れたマーケッターであり、このブログで何年も前から指摘してきたように、SEOは総合的なマーケティング戦略に対するより全体的なアプローチであるべきだ。しかし、SEOBookの読者の多くは、フルサービスのSEO業者よりも、アフィリエイト、またはアドセンスの陣営に近いような気もする。

SEO業者にとって幸いなのは、SEOのスキルを活用する方法が数多くあることだ。次のようなスキルを身に付けることが可能だ:

  • コンバージョンの最適化
  • eメールマーケティング
  • オンラインメディアの購入および広告
  • 分析サービス
  • ソーシャルメディアサービス
  • 尊敬に値する「デザインおよび開発」の売り込み
  • オフラインの広告およぶ追跡
  • ローカルSEOおよびグーグルプレイスのSEO、ヤフー!&ビングローカル

上述したアイテムはSEOの提案の背景または議論において割と容易に出てくるスキルであり、組み合わせて売ることも、またはより高いスキルを売ることも出来るはずである。

ランキングやトラフィックを売るだけの戦略は、ランキングを達成した後に容易にクライアントに解任されてしまうリスクがある。さらに上位にランクインさせたとしても、成果の保証がなく、4ヵ月後にコンバージョンの最適化にグレードアップしてもらおうとしても、提供したサービスのROIがいまいちなら、通常は相手にしてもらえないはずだ。

どれだけ他人のエコスシテムでSEOとして優れたパフォーマンスを残したとしてもだ。グーグルはアドワーズの広告を拡大、または同社の製品検索の結果、ローカル検索の結果、動画検索の結果を上部に掲載し、努力の結晶であるリスティングを下に押し下げる可能性がある。

SEOとしてのキャリアを本気で考えているなら、キャリアプランの一つとして、クライアントの仕事を真面目に振り返り、一つの領域に焦点を絞るのではなく、より総合的なアプローチになるようにサービスを改善する取り組みを始めることを勧める。

プレッシャーを感じるアフィリエイト

グーグルは、アドワーズにおけるアフィリエイトに対する考え方に関して本性を見せており、オーガニックのアフィリエイトに対してどのように考えているのかは火を見るよりも明らかである。事実、SEOBookのメンバーの一人がアドワーズのクレジットに応募した際の体験談を語ってくれた:

拝啓 アーロン・ウォール様
私はグーグルアドワーズで「75ドル分のアドワーズを無料でゲット」キャンペーンに登録しました。メールでグーグルアドワーズの番号に電話をかけるよう指示されたため、電話をしたところアフィリエイトマーケティングのアカウントは受け入れられないと言われました。この発言の真意がよく分かりません。これは誤りなのでしょうか?それとも、グーグルアドワーズでウェブサイトのプロモーションを行うためにアカウントを設定するティップ #3を私は誤って解釈しているのでしょうか?
最後まで読んで頂き、有難うございます。
敬具
キャロル

身ぶりで、アドセンスは良いが、アフィリエイトは絶対ダメだと示唆しているこの動画を覚えているのだろうか(0:38秒あたり)?

とりあえず多様性

「薄っぺらいアフィリエイト」と見られないようにするため、私はシュガーレイのブログ、特にアフィリエイトマーケティングのセクションに目を通すことを勧める。

収益を上げることが可能な質の高いアフィリエイトサイトを構築することは可能だが、マージンが問題になるほどのレベルまで内部コストが高まる事態を避けて、またはグーグルがそのSERPを独占するまでに、濃い、マーケットをリードするサイトをいくつ増やせるだろうか?

収益の流れに関して多様性は今でも重要だが、収益に多様性をもたらせるのではなく(同じ収益化メソッドの規模を変えるだけ)、異なる収益のタイプ(アフィリエイト、アドセンス、クライアント、製品)に多様性をもたせることが重要である。

今後の方向性

負債を抱えないようにすることが精いっぱいだ。口で言うのは簡単だが、実行するのは難しい。特に借金による束縛が一般化し、実際にお金を稼ぐ機会を得る前に事態が悪化する米国に住んでいる場合は尚更である。

負債を抱えずに、蓄えを多少なりとも維持すれば、大半の消費者よりも良い状況に身を置くことが出来るだけでなく、グーグルの気まぐれの対象にならずに済む可能性が高まる。また、さらに忍耐する余裕が生まれ、新しい機会に資金を投じ、多少リスティングのランクが下がった際のストレスも軽減される。

負債はパンダのアップデートが行われた後、一部の事業が撤退した大きな理由だと私は思う。また、負債ゼロで多少の蓄えを持ち、収益が多様化していたために、パンダによるピンチから生還した事業もあったはずだ。

はじめの一歩

個人の財務状況、現在の収益の流れ、スキルセット、そして、業界全体の状況に対する感触を確かめてから、キャリアの今後の決定を下すことを私は勧める。アップデートまたは変更が行われる度に通常は新たな機会がグーグルの焦土作戦によって生まれる。

現在、グーグルはあからさまにグーグル自身の“オーガニック”な検索結果をスパムし、2度目のクリックを獲得しようと試みているため、グーグル自身の寄生的なプラットフォーム上で寄生者としてコンテンツを投稿する戦略は、今後数年間は大きな収益を期待出来る。

ユーチューブでコンテンツを投稿しても、自分のサイトでコンテンツを投稿するほどの収益は期待できないが、ユーチューブが検索結果から消えてしまうのではないかと言う心配はしなくても済む。

参入する際の障害は、ますます高くなっており、休む間もなく上がり続けている。前に進むためには、忍耐力、資金、信頼されている/頼りになる情報源、そして、ちょっとの運が必要だ。この業界は、数年間のスパンで無法地帯から適者生存に移り変わる。皆さんならどのように生き延びるだろうか?


この記事は、SEO Bookに掲載された「The Future of Your SEO Career」を翻訳した内容です。

SEO業界のセルジオ越後ともいわれるSEO Bookのアーロン・ウォール大先生による久々の書きおろし記事でした。相変わらずのGoogleに批判的なスタンスは変わりませんが(Googleがネットを制する超大企業にも関わらず未だどこか救世主的なイメージを読み手が持っているせいで、批判的と取ってしまうだけかもしれませんが)、その奥にある視点も同じく相変わらず鋭いですね。

まぁ、ざっくりいうとSEOに依存しすぎたりSEOを職にして生きることは、検索結果を純粋なアルゴリズムによる公平な視点からGoogleが自身の利益を最優先するために手を加えている現在&今後の検索結果を考えるにリスクがあるし、Googleもやりすぎだよね、という皮肉めいた話なのですが。ってざっくりにしては長いですか。

最も検索結果がGoogleの利益追求路線に毒されているにしてもしないにしても、有料リンク問題、パンダアップデートしかりそもそもSEOに依存したビジネスや既存のSEO業者がこのまま生き残れるかどうかは全く未知の世界なんですけどね。だからこそソーシャルも勉強しなければいけなかったりするわけですし私もこうしてSEO Japanで情報発信したりしているわけですなのですが。

SEOにかなり関わっている人であれば、この記事を読んで3年後のGoogleと自分を考えてみるのも良いかもしれません。それが悲劇か喜劇かサクセスストーリーか、、、Googleはともかく結局あなた次第なのですけど。 — SEO Japan

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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