昨年、ディスプレイが検索に似ていると言う誤解を何度も耳にした。SEO業界の関係者なら、誰でも一度や二度は聞いたことがあるはずだ。この(一部においては的を射ている)誤解は1つのファクターが原因となり、発生している。それは、ディスプレイにおいて台頭した、オークションベースのマーケットである。
これから説明していくが、この理由が誤解を招くには幾つか訳があると私は考えている。
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広告ターゲティングの増加によって、ディスプレイにおいて、今まで以上にオーディエンスが重要視されるようになった。行動広告および検索リターゲティングは、ブランドがディスプレイ広告を使って、消費者を購入ファネルに動かそうとする、または、動かす取り組みを支援する、ファネルの中間または上部のアクティビティに焦点を絞っている。
一方検索に関しては、広告の精度は高いものの、接触範囲は限られている。キーワードベースの入札 vs 検索アクティビティ、オンラインの行動、心理学等から引き出すオーディエンスをベースとした入札も重要な違いの一つである。
適切な広告を、適切なタイミングで、適切なオーディエンスに提供すると言うコンセプトは、検索およびディスプレイにおいて存在する。しかし、リアルタイム広告のレスポンスは異なる。
検索は、明確に決められたダイレクトレスポンスチャンネルそのものである。ユーザーが検索を行うと、直後に検索クエリに関連する広告が返され、その時点でアクションを起こしてもらうことを期待する。
ディスプレイ、具体的に言うならデータベースのディスプレイ広告においては、オーディエンスの情報に応じて、ディスプレイ広告のターゲティングが行われる。ウェブサイトを訪問したり、詳しい情報を求めたりして、すぐにアクションを起こさなくても、数日後、または数週間後にアクションを起こす可能性がある。
その間、他のディスプレイ広告が表示される。このタイプのリアルタイムのメディアでは、優先順位付け、頻度の制限、そして、検討期間中に消費者に影響を与えることが重要な鍵を握る。
ディスプレイにおいては、最高のタイミングで消費者に接触することが出来るかどうかは、クリエイティブ、メディア、そして、データの最適化の組み合わせに大きく左右される。
簡潔に言うと、ディスプレイは検索とは異なるため、検索と同じクリックベースのメトリクスで測定するべきではない。検索マーケティングは複雑なトピックであり、厳格な規律が生まれている。キーワードの検索マーケティングは、電話帳の広告にとてもよく似ている。70年代では、会社を探す際は誰もが電話帳を使っていた。
ディスプレイは、クリックほど単純に、そして、容易にメトリクスに頼るタイプの広告ではない。ディスプレイは、マーケッターが利用可能な様々な接点を考慮する場合、最も計測しやすいチャンネルと言っても過言ではない。まず、接触範囲が広い。ディスプレイキャンペーンは、インプレッションをベースに購入が行われ、そして、露出を最大限に拡大することに焦点を絞っている(ターゲットが絞られているかどうかは別として)。
次にエンゲージメントだ。ディスプレイにおいては、クリエイティブにおける機会があり、この点においても、メトリクスを加えることが出来る。一部のディスプレイキャンペーンはサイトのビジター数に注目している – どの広告がサイトのコンバージョン、そして、コンバージョンとROIに貢献しているのかを把握するため。
要するに、ディスプレイに対するメトリクスは広告主によって、そして、キャンペーンによって異なるのだ。そのため、キャンペーンの目標と実際に利用するメトリクスを合わせることが肝要である。
例えば、ある小売業者がある製品の販売を望んでいる場合、1つの広告のみが売り上げに貢献していると言う状況は考えにくい。
検索リターゲティングは検索ではない。検索リターゲティングのコンセプトは、ディスプレイの戦略である。キーワードの利用においても、違いが見られる。
ディスプレイにおいては、検索履歴を基にターゲットに選んだオーディエンスに応じて、インベントリを購入する。一方の検索では、キーワードに入札する。
基本的な違いを説明しよう。まず、検索広告では、キーワードリストを使って、選択したワードに入札する。ディスプレイの場合、CPMで支払う金額が決まり、当該のワードだけでなく、関連するワードやカテゴリで検索を行ったオーディエンスをターゲットにすることで範囲を拡大する。
次にディスプレイにおいてだが、ディスプレイはファネルの早い時期に消費者に接触することが出来る。なぜなら、検索エンジンだけでなく – 複数の検索の要素全体で検索用語を活用するためだ。ほとんどの場合、検索リターゲティングは、純粋にディスプレイ戦略として利用されるが、検索を拡大するために、検索チームによって活用されることもある。
ディスプレイは、確かに今まで以上に検索のような特徴を持つようになったかもしれないが、基本的に品種が異なる。オーディエンスのリーチ、認識、そして、メトリクスの違いを見れば、この2つのチャンネルに異なる戦略が採用される点は一目瞭然である。
ディスプレイが検索に似ていると言う考えは2012年限りで引退させ、2013年からは様々なチャンネルを連動させる取り組みを取り入れてもらいたい。
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「The Most Common Misconception Of 2012: Display Looks Like Search」を翻訳した内容です。
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