ついに「判決」が下った。これ以上EMD(完全一致ドメイン)が得をすることはない。グーグルがEMDアップデートをローンチしたためだ。EMDは長い間絶大な効果を上げてきた。完全一致ドメインのツールおよびブローカーが現れるほどだ。それが「利益をもたらすキーワード」の場合、良質なドメイン名に対するプレミアム価格は右肩上がりであった。
以前、EMDではないドメインと比べると、EMDのドメインは、被リンクを1本も持っていなくても、あらゆる理想的な分野において、たった数日間で、トップ 3に入ることが可能であった。
完全一致ドメイン(キーワードドメイン)とは、通常、ウェブサイトが上位にランクインすることを望むキーワードに完全に一致するドメイン名を指す。例えば、[minor weather report]と言う用語で上位にランクインしたい場合、EMDは[MinorWeatherReport.com]になる。
長年に渡って、実情に通じた人達は努力せずに利益を得ていたが、EMDの前に存在したその他の抜け道のように、EMDの抜け穴もまた埋められたのだ。しかし、ただ飯を取り上げられたことに不満を持つのではなく、今までただ飯にありつけたことに感謝するべきである。グーグルが抜け穴を埋める取り組みに時間をかけてくれたおかげで、トラフィックを安価に手に入れることが出来た時代は過ぎ去ったのだ。
目次
オンページのキーワードの最適化とリンク構築は、新人のSEOが最初に学習する分野である。興味深いことに、この2つの手法は、典型的なウェブスパムの手法のタイプに深く関連している。 ルールに従ってSEOの取り組みを行い、検索エンジンのためではなく、人間のためのウェブサイトを作る時代がやって来たのではないだろうか。
EMDは、キーワードスタッフィングやその他の単純なウェブスパムを行っていることを理由に、そして、質の高いサイトを構築していないことを理由に、グーグルに狙われる可能性が非常に高い。キーワードフレーズが完全一致ドメインの中に存在する場合、EMDのキーワードから着手し、ページ全体で繰り返すことになる。
同じことがリンクにも言える。ウェブサイトの名前が誰もが羨む儲かるキーワードそのものである場合、長期間に渡ってそのサイトのオーナーは得をしてきた。私達はグーグルが当該のキーワードがブランド名かどうかを区別することが出来ないと考えていたため、儲かるキーワードに徹底的にリンクを張っても問題ないと思われていた。 そのため、ブランド名(例えばCEMPER)に対して、本文で何度もリンクを張ったり、言及したりする行為は、道理にかなっていた。
事実、例えば、www.BuyCheapSomething.comと言うドメイン名のウェブサイトを運営している場合、グーグルはBuy Cheap Somethingをブランド名と理解し、このキーワードで上位にランク付けしていたようだ。
このEMDアルゴリズムは突然現れたわけではない。EMDアルゴリズムの特許「営利目的のクエリを検知するシステムおよびメソッド」は2003年9月に申請されており、1年前の2011年10月25日に認可されていた。また、グーグルのウェブスパム対策を統括するマット・カッツ氏は、2011年3月7日に投稿した動画の中で、EMD対策の変更を宣言していた。EMDに焦点を絞り過ぎることを警告するグーグルは、情報を公開する方針を推し進めているのだろうか?
私達はSEOLyticsの週刊勝ち組負け組リストを見て、アップデートが行われた週の前の週からランキングを大幅に落としたEMDを探してみた。
それでは、大幅にランクを落とした負け組のEMDの取り組みに注目し、サイトがガイドラインを違反していたかどうかを確認していく。
私達はランダムに分析したウェブサイトの中から1つ選んだ。それが以下のウェブサイトだ:
www.businessliabilityinsurance.org
一見したところ、このサイトは質の高いウェブサイトのように見え、また、幾つか有名な保険会社のロゴを掲載している。当然ながら、キーワードフレーズ[business liability insurance]と[liability insurance]がホームページに再三登場している。過剰に用いられているかどうかは判断が難しい。
しかし、FAQページは、[business liability insurance]が38回、そして、[liability insurance]が47回もマッチしていた。さらに、ガイドページでは[business liability insurance]のマッチの合計は100回に到達していた。
このようなテキストを作るSEOは、ユーザーを考慮しているのだろうか、それとも検索エンジンのために作っているのだろうか?
このような記事でクリックを行うと、これがサイト全体で使いまわしされているコンテンツであり、キーワード[Business Liability Insurance]を考えられる全ての場所でターゲットにしていることが分かる。このサイトのランクが暴落したのは当然である – オンページでの営利的なキーワードの過剰な利用だけをとっても、違反は明らかである。
ドメインのPower*Trustの数値は、たった6であった。この点に関しては、後ほど説明する。
このサイトが利用していたアンカーテキストは衝撃的であった。URLを十分に言及するアプローチすら存在しなかった(3%のみ)。その他のキーワードは、すべて営利目的のキーワードが組み合わされたものであった。
このリンクのTrust(信頼度)は二流以下である。5に達しているbusiness.comのリンクはたった1本であり、残りはほとんど3以下であった。
不思議なことに、エラーメッセージ接続することができませんが、Get Quotesページにアクセスしようとした際に表示された。netquotes.comサイトに対するこのエラーメッセージもまた要因の一つに数えられる可能性がある。私ならこの方法を「卑劣なリダイレクトとクローキングの組み合わせ」に分類する。netquotes.comのサイトは信頼することが出来るサイトではないのだろう。リサーチを行ってみたが、読み込まれることはなかった。
最後に、下に掲載した詐欺的な策略には思わず笑ってしまった。ユーザーとして、私達はウェブサイトでの証言広告を重要視する傾向がある。
証言広告の隣に映っている人物の写真を見ると、この企業の価値は上がり、そして、信頼に値すると言う感覚が湧いてくる。
しかし、この人達を私は知っている。名前も肩書もすべてデタラメである。ストック写真なのだ。個人的には反則に値すると思う。
そして、証言広告でもキーワードの最適化が行われている。
ペンギンアップデート 3が行われた後、私は2012年4月24日の火曜日に投稿された品質の高いサイトに見返りを与える新たなステップに再び目を通した。大量の陰謀説を唱えるコメントや非難するコメントを読むよりも、グーグルの取り組みを把握する方が重要だと私は考えているため、再び強調させてもらう。
グーグルは、大いに信頼することが出来るサイトをランキングにリストアップすることを望んでいる。そのため、グーグルはランキングを操作する試みには必ず対処する。グーグルがウェブスパムを軽視していると考えているなら、2005年に綴られた論文の貴重な一節を読んでもらいたい。
「グーグルの定義では、ページの本当の価値を改善することなく、ランキングを上げようするあらゆる類の試み(関連性であれ、重要性であれ、あるいはその双方であれ)は、スパムに値する。」(ウェブスパムタクソノミー – Zoltan Gyongyi & Hector Garcia-Molina)
Zoltan Gyongyi氏はグーグルの研究者であり、スタンフォード・デジタル・ライブラリ・プロジェクトで研究責任者を務めたHector Garcia-Molina教授とスタンフォード大学に通っていた点は、恐らく指摘しておく価値があるだろう。このプロジェクトで、検索エンジンのグーグルが生まれたのだ。
今回のリサーチの結果を見る限り、グーグルがアルゴリズムでウェブスパムと質の低いサイトを狙っているのは明白である。それでは、質の高いサイトを作るにはどうすればいいのだろうか?
最新版のEMDケーススタディの一部を以下に抜粋する。レポートの全文はこのページに用意されている。
グーグルはサイト全体の品質を再三指摘しているため、CEMPERのPower*Trustメトリクスこそが最適の基準になると私は考えた(自分の会社を贔屓している点は認める)。
Powerはリンクの本数と力に応じた強さを表す(PageRank?よりも優れている)。Trustは、信頼性のランクの特許と同様のシステムを基に判定したページの信頼度を示す。この2つのメトリクスを組み合わせることで、ドメインの全体的な質を容易に評価することが可能になる。
上のチャートはとても分かりやすい。平均的な勝ち組のドメインは、負け組のドメインと比べると、Power*Trustが2倍高い。これは、信頼度の高いリンクの本数が多く、そして、強固な被リンクを持っている結果である。 負け組サイトの被リンクの多くは、質が低い可能性が高いが、勝ち組サイトがPower*Trustの高いリンクを遥かに多く持っている点は明白である。
例のbusinessliabilityinsurance.orgのPower*Trustは6であり、平均的な負け組のサイトの8よりも更に低かった。
ソーシャルメディアのアクティビティは、ウェブサイトの質を高める上で重要度が上がっている(そうあるべきである)。オーディエンスがコンテンツを好み、他の人達と共有を望んでいるかどうかを把握するのは簡単である。
一般的に、人気がとても高いウェブサイトやブランドは、グーグルで上位にランクインした途端、ソーシャルネットワークで自動的に共有されるようになる。
このチャートでは、平均的な勝ち組のサイトは最高で180回共有される一方、負け組のサイトは17回しか共有されていないことを表している。この大きな差は、ソーシャルネットワークの優先順位が上がっている点、そして、質の高いウェブサイトは単純に質の低いウェブサイトよりもコンテンツが共有される傾向が高い点が原因と思われる。
ドメインの人気の増加(1ヶ月間で新たにリンクを張るルートドメインの数)は、一般的な自然のリンクプロフィールにとって、とても重要な要素の一つである。健康なウェブサイトのドメインの人気は、時間の経過とともに高まっていく。質の高いサイトにリンクを張るウェブマスターが増えていくためだ。
ここでは、勝ち組のサイトは、1ヵ月当たりのリンクを張るドメインの増加が負け組のサイトの2倍に達していることが分かる。負け組は過去2年間で平均1239本のリンクを新たに張るドメインを獲得しているが(1ヶ月に換算すると51本)、勝ち組は過去2年で3139本の新たにリンクを張るドメインを獲得している(1ヶ月で133本)。
大勢のSEOのプロやウェブマスターは、グーグルに対して、巨大で冷酷な企業と言うイメージを持っている。その多くが、SEOに関しては、「悪には染まらない」と言うモットーを忘れているやら、グーグルはインターネットの警察気取りやらと非難している。大半の企業と同じように、グーグルは公正を期するために全力を尽くしていると常にアピールしている。これはユーザーが聞きたがっているセリフである。グーグルは隠しだてしない企業であり、ユーザーにサービスを提供することを意図している。
意外なことに、大半の政府や企業は情報を公開している。受け手側が正しい情報を手に入れたり、異なる方法で耳を傾ける必要があるのだ。大きな、隠された秘密は、実行される前に必ず文書化されている。
そのため、グーグルが開発するランキングを落とすアルゴリズムに対しては、詳しく説明が行われている。基本的に品質ガイドラインを違反することなく、質の高いウェブサイトを構築することが求められているだけである。
世界中の情報を整理し、その情報を世界全体で入手可能な状態を作り、ユーザーに役立ててもらう。これがグーグルの使命である。
時間を割いて、1ページ目のすべての結果が、すべてクエリに関連している光景を想像してもらいたい。一部の規則を読み、従ってもらうことは無理な注文なのだろうか?
グーグルが最近導入した完全一致ドメインのアルゴリズムに関して、怒りの声やうろたえる声が聞こえてきたことが、私にとってはショックであった。SEOはこのアップデートがサイトにダメージをもたらすことに怒り、恐れ、そして、混乱している。9月29日にEMDアップデートが行われた直後に、ブログでグーグルに向けられた憎悪のコメントは読んでいて面白かった。
何を期待していたのだろうか?基本的なSEOの手法を幾つか習い、その後、ガイドラインを違反したにも関わらず、お咎めなしで済むともでも思っていたのだろうか?
最後になるが、マット・カッツ氏は、今年、ウェブスパムの追放に本気で取り掛かっている。既に多くの抜け穴を埋めることに成功している。2012年の年明けには効果があった抜け穴が、今は全く役に立たなくなっているのだ。これは、もしかしたらカッツ氏の秘密の30日間のチャレンジであり、1ヵ月に1つ古い策略を取り締まる試みが行われているのかもしれない。
私個人としては、まだまだ修正するべき抜け穴は残っていると思う。私達の会社が提供するリンクリサーチツールスイート(SELでレビュー済み)の一部であるLink Detoxテクノロジーで得たデータによると、劣悪なリンクプロフィールを持ち、簡単に検知することが可能な時代遅れのSEOの手法を用いているサイトは、まだまだ多く残っている。そのため、EMDのようなタイプのアップデートが定期的に今後も行われることを私達は予測するべきである。
繰り返すが、EMDのメリットを受けてきた皆さん、マット・カッツ氏とグーグルに今まで長い間EMDで得をさせてもらったことを感謝しよう。
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「Deconstructing The Google EMD Update」を翻訳した内容です。
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