検索は、世界中のインターネットユーザーを結びつける。このつながりを作るきっかけを与えるのが、検索エンジンである。世界的なブランドにとっては、各種の検索エンジンおよび文化に対して、最適化を行うことで、認知度、ビジビリティ、トラフィック、そして、コンバージョンを高める効果が見込める。グローバルなSEO、そして、コンテンツマーケティングは、今まで以上に重要な存在となりつつある。
2013年、検索エンジン業界の強者と弱者が、世界のマーケットシェアを巡って、戦闘を繰り広げた。米国では、今年もグーグルが国内の検索マーケットの大半を獲得していた。その一方で、ヤフー!がシェアを失い、ビングが着実に勢力を伸ばした。
世界全体を見ると、グーグルが覇権を掌握したものの、ロシア、中国、そして、韓国等の国産の検索エンジンは、ホームでは王座の地位を譲らなかった。
世界の検索およびインターネットの利用は、右肩上がりに増加している。毎年、インターネットを利用する地域は増え続けており、デスクトップおよびモバイルでの、売買、そして、ソーシャルメディアでの交流が盛んに行われている。そのため、グローバルなSEOおよびデジタルマーケティングを担当するマーケッターは、日に日に拡大し、ビジネスを行う場所と言う意味において、世界の縮図ともいえるグローバルな市場で、事業を展開するには、迅速に動く必要がある。
目次
グーグルは、米国のマーケットの67%を獲得した状態で、2013年に突入した — このレベルのシェアを初めて獲得したのは、2012年11月であった。comScoreが発表した最新のデータ(2013年11月)によると、グーグルは1月から若干シェアを落とした状態、66.7%で2013年を締めくくろうとしている。
comScoreの明確なコア検索シェアレポート
2013年10月と11月の比較
米国全土 — 家および職場
ソース: comScore qSearch
コア検索エンティティ 明確なコア検索シェア(%) 2013年10月 2013年11月 ポイントの変化
明確なコア検索の合計 グーグルのサイト マイクロソフトのサイト ヤフー!のサイト Askのネットワーク AOL,Inc.
**明確なコア検索では、検索結果を利用するユーザーの具体的な意図を反映しないコンテキスト主導の検索は除いている**
ビングは、16.5%のシェアを確立した状態で2013年に臨み、ゆっくりとしたペースではあるものの、毎月着実にシェアを増やし、2013年11月には18.1%までシェアを伸ばした。
一方、ヤフー!にとっての2013年は、シェアを維持することもままならない1年間であり、12.1%が最も高い状態であった。10月になると、シェアは11.1%に落ち、11月のcomScoreの最新のデータでは、11.2%に留まっていることが判明している。
今年のcomScoreのデータから、ビングとヤフー!による、検索のマーケットシェアを巡る戦いが浮き彫りになっている。このレポートを参考にする限り、6月にビングが獲得したシェアと同じ%のシェアをヤフーが失っていた。
ヤフー!のマリッサ・メイヤーCEOは、この問題に関して、マイクロソフトとヤフー!の検索における提携が、期待された効果を上げなかったと指摘している: 「提携を行う目的の一つは、お互いからシェアを奪うのではなく、共にシェアを増やすことであった。」
2013年の始め、comScoreが非公式にリリースした(結局、注目を浴びることになった)調査は、グーグルの世界での人気を取り上げていた。この調査結果を参考にする限り、2012年の12月までに、グーグルの検索回数は1147億回に達し、同社のシェアは約65%に届いていたことから、世界の検索マーケットを牛耳っていたと言える。
しかし、この調査があぶり出したのは、現在のグローバルマーケットにおけるグーグルの地位だけではなかった。
アジア太平洋圏のインターネットマーケットは、急速な成長を遂げている。事実、10月にはcomScoreが、アジア太平洋地域は、北米に続き、世界2位の広告市場の地位を獲得しており、2014年の年末までに、インターネット広告への出費が、新聞広告への出費を抜くと指摘している。 comScore曰く、2015年には、インターネット広告は、すべての広告の支出の21.9%を占めるようになるようだ。
また、中国等の台頭する国々では、検索に関して、興味深い展開が起きている。
中国は、世界で最も人口が多く、インターネットは一般家庭に普及している。comScoreによると、中国のインターネット人口は、アジア太平洋地域 & 世界で一番多い。
アジア太平洋地域のインターネットユーザー人口
成熟した台湾と香港の成長率は同じ
(吹き出し)中国のインターネット人口は、昨年比で4%増加。一方、台湾と香港はともに2012年3月から2%増加
(左から)中国 348,177(000) インド 73,872(000) 日本 73,640(000) ベトナム 16,055(000) オーストラリア 14,371(000) インドネシア 13,628(000) 台湾 11,861(000) マレーシア 11,800(000) タイ 9,485(000) フィリピン 7,432(000) 香港 4,595(000) シンガポール 3,397(000) ニュージーランド 2,895(000)
さらにcomScoreの調査結果を提供する:
中国のソーシャルメディアの範囲は、平均を超えているものの、利用は平均以下である:
中国と台湾でのソーシャルネットワークの浸透度は平均を超えるものの、利用は平均以下。成長するポテンシャルは大。
(左)ソーシャルネットワークの浸透のカテゴリ
世界 82% 米国 79% 英国 77% 日本 53% 中国 86% 香港 79 % 台湾 86%
(右)ソーシャルネットワークを利用する平均の時間(分)
世界 324分 米国 363分 英国 448分 日本 88分 中国 69分 香港 251分 台湾 398分
2013年8月の時点で、comScoreは、中国で人気の高い5つのソーシャルネットワークを報告している:
中国には、厳格な検閲の規定が存在するため、国産の検索エンジンを活用する点は理に叶っている。iResearch Globalの第三四半期のデータ からは、中国の検索エンジンの収益が増加していることが分かり、前年と比較すると成長率は41%近く増加している:
中国の検索エンジン市場の収益 2012年の第一四半期 – 2013年の第三四半期
収益(元) % 前四半期比の成長率 % 前年比の成長率
注記: 検索エンジン企業の収益とは、検索エンジンチャンネルの代理店の収益を除く、検索エンジンを運営する会社の収益の合計を指す。
ソース: このデータは、企業側が発表した決算、専門家とのインタビュー、そして、iResearchのスタッツモデルを基に算出し、推測している。
2013年第一四半期、iResearchは、過去3年における中国の検索マーケットの収益のシェアを公表した。百度は、約81%にシェアを伸ばし、明らかに市場を制している。一方、グーグル中国は、シェアを約14%まで減らしていた。
中国の検索エンジンマーケットの収益 2010年第一四半期 – 2013年第一四半期
注記: 検索エンジン企業の収益とは、検索エンジンチャンネルの代理店の収益を除く、検索エンジンを運営する会社の収益の合計を指す。
ソース: このデータは、企業側が発表した決算、専門家とのインタビュー、そして、iResearchのスタッツモデルを基に算出し、推測している。
検索のシェアに関しては、6月のレポートを参考にすると、百度は約66%のシェアを獲得し、グーグルは3%に急激にシェアを落としていた。
今年(2013年)、中国の検索エンジンは、覇権を巡り、戦略的なバトルを繰り広げた。シェアを獲得するための一つの手段として、合併を用いる動きが見られた。7月、2番目の規模を誇る検索エンジンのQihooが、3番目に大きい検索エンジンのSogouを買収すると示唆する報道があった。しかし、9月には、Sogouが4番目に位置する検索エンジンのSosaを買収すると報じられていた。
また、その一方で、密かに中国最大のEコマースサイトのアリババが、Aliyun Searchを立ち上げていた。Aliyunが中国の市場でどこまでインパクトを残せるのかは、今後の展開次第だが、comScoreが10月にリリースした「China Digital Future in Focus 2013」レポートは、アリババのユーザーが、平均で137分間を同サイトで過ごしていると指摘している。これは、2位のサイトの利用時間の約4倍に匹敵する。
Webcertainが公開した調査結果によると、韓国の携帯電話の利用は、その他のアジア太平洋地域の国々、さらには、世界の国々に勝っており、世界の平均の3倍に相当する。2013年の第一四半期、インターネットへのアクセスの60%近くがスマートフォンを介して行われたと、Webcertainのグローバルモバイルレポート 2013は指摘している。
(上)スマートフォンの契約者 3800万人
携帯電話契約のスマートフォンの契約が占める% 67%
スマートフォン契約者数 前年比で18%の増加
インターネットのトラフィックのうちモバイルが占める% 31.3%
(左下)携帯電話 & タブレットの利用
携帯電話およびタブレットを使ってインターネットにアクセスしたインターネットユーザーの%
2011年6月 携帯電話 32.5% タブレット 6%
2012年第二四半期 携帯電話 50.3% タブレット 6.7%
2013年第一四半期 携帯電話 59.6% タブレット 9.7%
(右下)モバイルOSマーケットのシェア
モバイル経由のインターネットトラフィックを占める%
2012年5月 (上から)その他、iOS、アンドロイド
2013年5月 (上から)その他、iOS、アンドロイド
韓国の検索マーケットシェアを最も獲得しているのはNaverだ。インターネット上で韓国語を使ってサイトを成功に導くためには、Naverにリストアップしてもらう必要がある。comScoreによると、Naverのシェアは2011年から減り、一方、グーグルは多少シェアを増やしているものの、まだまだNaverには遠く及ばない。
Naverは独自のビジネスモデルを持っている。基本的には、ヤフー!のサイトと同じように、その他のNaverのサイトに導くポータルサイトだが、エンジンでもあり、多面的な検索結果を用意している(グーグルのユニバーサル検索結果に似ているが、より凝ったフォーマットを採用している)。グローバルなブランドは、出来るだけ多くの場所に出没することで、ブランドへのビジビリティを集めることが出来る。
NAVER
SERPの説明
(上から)有料リスティング
製品のリスティング
登録したブログ
登録したウェブサイト
登録したサイトでインデックスした画像
自然な結果
エンサイクロペディアのディレクトリ
ソーシャルの結果
ユーザーが作ったコンテンツ
製品のリスティング
雑誌のコンテンツ
ニュースセクション
Naverで成功を収めるには、検索エンジンに登録し、参加を認証してもらう必要がある。Naverでマーケティングを始める上でのヒントを5つ紹介する:
日本は、世界で四番目にインターネットユーザーが多い国である。日本では、ヤフー!のサイトの人気が最も高く、モバイルの利用が浸透している。また、ツイッターとフェイスブックがソーシャルネットワークシーンを牛耳り、大勢のインターネットユーザーが、特にエンターテイメント系のサイトで時間を過ごしている。
5月にリリースされたcomScoreのデータによると、ヤフー!は、6万5000人近くのユニークビジターを擁し、利用者が最も多いものの、約6万4000人が利用するグーグルが肉薄している:
利用に関して目立つヤフー!とグーグル
ブログサイトも健闘
上位のウェブサイト – 日本
ユニークビジター ビジター当たりの滞在時間(分)
(上から)ヤフー!サイト グーグルサイト FC2 Inc. NHN Corporation アマゾンサイト マイクロソフトサイト サイバーエージェント 楽天 ウィキペディア NTTグループ
日本のインターネットユーザーは、その他のアジア太平洋地域のユーザーや世界のユーザーと比べて、エンターテイメント系のサイトでより多くの時間を過ごしている。2013年5月のデータでは、エンターテイメント系のサイトの滞在時間が、世界では平均3.5-5時間のところ、日本では約5時間と記録されている。
日本のウェブユーザーは、同地域および世界のユーザーと比べて、エンターテイメント系のサイトで時間を費やす傾向がある
エンターテイメント系のサイト
訪問するウェブユーザーの% サイトで過ごす平均時間(時)
世界 アジア太平洋地域 日本
5月12日 5月13日
また、comScoreは、日本には1億200万人を超えるモバイルユーザーが存在し、34%以上のペースでスマートフォンの浸透が進んでいると報告している。
日本でのスマートフォンの浸透は34.8%に到達
昨年比で40%以上の増加
スマートフォンユーザーのシェア – 日本(%)
多数の国々で構成されるヨーロッパでは、国によってインターネットの利用に差があるものの、インターネットユーザーの人口は増え続けており、より大きな機会をマーケッターに提示している。2013年の3月にcomScoreがリリースしたデータによると、世界のインターネットユーザーのうち、ヨーロッパは27%を占めている。
世界のインターネットユーザーの分布
オンラインユニバースの中心は米国ではない
1996年 米国外 34% 米国 66%
2012年 米国外 87% 米国 13%
アジア太平洋地域 42 % ヨーロッパ 27% 北米 14% 中東・アフリカ 9% ラテンアメリカ 8%
ヨーロッパのデジタル情勢をかいつまんで説明していく(comScore 2013年3月):
ヨーロッパでは、グーグルが検索市場を独占しており、シェアの86%を獲得している(米国よりも遥かに高い)。そして、Yandexが2位につけている。
インターネットの利用に関しては、comScoreのデータを見ると、トルコが最も検索回数が多いものの、インターネットを利用する時間は英国が最も多い。
ヨーロッパでのインターネットの利用
ヨーロッパでは、平均で27時間弱インターネットが利用されている
(上から)英国 37.3
トルコ 31.0
オランダ 30.6
ポーランド 29.3
フィンランド 27.8
フランス 27.7
ヨーロッパ平均 26.9
ロシア 26.1
ノルウェイ 24.9
ドイツ 24.6
スペイン 23.8
ベルギー 22.4
スウェーデン 22.0
ポルトガル 20.8
デンマーク 20.6
アイルランド 19.5
イタリア 18.5
スイス 16.6
オーストリア 14.4
(吹き出し)ベルギーは、利用時間/ビジターにおいて、ヨーロッパで最も伸びが大きかった。1年前と比べ、インターネットを利用する時間が2時間増している。
また、ヨーロッパのインターネットユーザーは、eBay、フェイスブック、そして、アマゾン等のサイトでも、検索を行っている。
ヨーロッパのインターネットユーザーは、グーグルとYandexだけでなく、フェイスブック、eBay、アマゾンでも検索を行う
(右上)検索エンジンのユーザー当たりの検索回数
アジアとヨーロッパ諸国の間にあるロシアは、comScoreのデータによると、ヨーロッパのインターネットユーザーの大半を抱えている。そのため、同国の国産の検索エンジン、Yandexが世界で4番目にユーザーが多いことも納得できる。
ヨーロッパ諸国のインターネットユーザーの人数
4億800万人を抱えるヨーロッパのインターネットユーザーの15%をロシアが占める
(左)前年比の成長
(左中央)ユニークビジターの合計
(吹き出し)イタリアとロシアは、特に増加ペースが速い — それぞれ、17%と15%。
Yandexにとって、2013年は浮き沈みの多い1年間であった。Islands(次世代のリッチスニペットテクノロジー)をリリースする一方で、創業者の一人、イリヤ・セガロビッチ氏が帰らぬ人となった。
今年(2013年)の始めには、2012年の11月 & 12月の段階で、月間検索クエリの数で、Yandexがビングを上回ったと言う報告が上がってきた。2012年12月、Yandexは、48億4000万件のクエリを処理し、マイクロソフトは、44億8000万件のクエリを処理していたようだ。世界のシェアに換算すると、Yandexが2.8%、一方、ビングは2.5%であった。
Bloombergがリリースしたさらに新しいレポートでは、Yandexの検索のシェアはロシアで62%、グーグルは26%、そして、国産の別の主要な検索エンジンのMail.ruが約9%を獲得していることが判明した。
Yandexは、ウクライナやトルコ等の海外への拡大に向けた取り組みを強化しており、ロシア語以外の言語にも対応している。事実、CNNの報道によると、Yandexは、参入するマーケットで、グーグルに続くNo.2の検索エンジンになることを戦略に掲げているようだ。
また、収益のデータを見る限り、Yandexは順調に成長しており、2013年の第三四半期の収益は、2012年の同時期よりも40%多く、約3億2000万ドルを記録している。
国際的なブランドにとって、グローバルな最適化は欠かすことの出来ない取り組みである。検索エンジン、そして、地域の文化には差があるものの、グローバルなSEOを行う上で有効なアドバイスを幾つか提供していく:
1. 地域のユーザーを理解する
グローバルSEOとローカリゼーションを取り上げた9月のコラムでは、各地域と言語において、答えを用意する必要のある重要な問いを提示した。この記事の一部を以下に掲載する:
2. 地域に的を絞ったコンテンツを作る
営業を行う地域のオーディエンスに接触するつもりなら、その地域の文化に見合ったコンテンツを作るべきである。様々な文化圏で、マーケティングを行う際に注意するポイントを幾つか挙げていく:
3. SERPのレイアウトを理解する
世界中のマーケッターの大半が、グーグルの検索エンジンを活用しているが、米国のSERPで2013年にもたらされた変更点、そして、この変化が2014年のSEOに与える影響を理解することは重要である。
また、次の取り組みにも力を入れる必要がある:
4. 地域の規制を考慮する
ロシアや中国等の国々は、特別なインターネットの規則を定めている。海外でビジネスを実践するなら、その国で受け入れられる慣習とコンテンツを理解し、ルールに従う必要がある。
以下に、熟知しておきたいトピックを幾つか挙げていく:
5. 適切な人材とテクノロジーを投入する
世界の各地域でマーケティングを行うには、接触を望む地域に人材を配置する必要がある。現在の取り組みをそのまま別のマーケットにコピーしてしまうと、ブランドとオーディエンスが分断されてしまう可能性がある。国際的なブランドなら、言語、条件、コンテンツ、イメージ戦略、スタッツの策定、そして、成果を記録するために用いるテクノロジー選択に至るまで、ありとあらゆる取り組みに貢献する国際的なスタッフの存在が欠かせない。また、地域での検索のパフォーマンス、検索エンジン、デバイス、そして、SERPのタイプを管理する上で有効なテクノロジーを選ぶことも肝要だ。
グローバルなSEOを行う上で、今回紹介した提案は役に立つものの、2014年に向けたより広範なSEO戦略 & コンテンツマーケティング戦略と併せて、実施する必要がある。この全体的な戦略を策定する上で、参考になりそうな情報を挙げる:
2014年、皆さんのSEOとコンテンツマーケティングが成功することを心から願っている。
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「The Global SEO & Content Marketing Landscape」を翻訳した内容です。
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