グーグルは、先月、ウェブマスターツール内のリンクプログラム/不自然なリンクに関する文書を密かに更新していた。
バリー・シュワルツが、記事の中で分かりやすく指摘していなければ、気づく人達はほとんどいなかったに違いない(私はページの更新を知らせるアプリを設定していたものの、数日間気づかなかった)。
この記事のおかげで、このニュースはリンク構築/SEOコミュニティに伝わり、“google updates link schemes.”と言う検索クエリで6000近い検索結果が表示されるほど、変化に関するレポートが次々に投稿されていった。このニュースが報じられてから3週間も経過していない点を考えると、ウェブは、抜群の反響効果を持っていると言えるだろう。
私がこれから、具体的なグーグルの変更点に対して、戦略的なレベルで許されるか、許されないかを判断し、解析を行っていく。広大なウェブにも、このタイプの情報はあまり見当たらない。
私はグーグルの広報としてこの取り組みを行っているわけではない。内部者のみが知る秘密の情報も持っているわけでもない。経験と見解を基にこの記事を綴っている。経験と言えば、3ヶ月後には、オンラインマーケティング/コンテンツの宣伝を始めて20年が経過することになるため、ある程度の知識を得ているはずである。
グーグルの主張
ページランクやグーグルの検索結果でのサイトのランキングを操作することを意図したリンクは、リンク プログラムの一部と見なされることがあり、ウェブマスター向けガイドライン(品質に関するガイドライン)への違反にあたります。これには、自分のサイトへのリンクを操作する行為も、自分のサイトからのリンクを操作する行為も含まれます。
厄介な理由
「意図した」、「見なされることがあり」と宣言するだけで、グーグルは、弁解の余地を正当な理由で得ていることになる。私達にとって重要なのは、どのように意図を解釈するかである。ページランクを操作する意図はなかったものの、最終的にページランクを操作する結果になったリンク構築キャンペーンに参加する可能性は十分にあり得る。意図的にキャンペーンを行ったかどうかを、アルゴリズムはどのように判断するのだろうか?
個人的な見解/戦略的な対応
被リンクプロフィールの履歴が、リンクプログラムに意図的に関与しているかどうかを決定する判断基準として採用される気がする。
大学の成績証明書に例えると分かりやすい。3年間ずっと「C」ばかりを取っていたのに、突然、4年生になって「A」を立て続けに獲得すると、少なくとも学術的な分野において、その人物の人となりを物語っている。同様に、サイトが、アーティクルファーム、大量のディレクトリ、そして、多くのプレスリリースサイトから4年間にわたって被リンクを獲得しているなら、この過去の取り組みにサイトの特徴が反映されていると言えるのではないだろうか。
しかし、人物(またはウェブサイト)を徹底的に精査しなければ、確実な結果を得ることは出来ない。だからこそ、グーグルは弁解の余地を残しているのだと思う。全く同じアンカーテキストをベースとしたプレスリリースの戦略が、過去の“リンクのストーリー”に応じて、全く異なる影響を与える可能性がある。 この点に関して私が持つ証拠は、同じ戦略を採用して、完全に異なる結果を得たクライアントから相談を受けていることのみである。被リンクプロフィールを調査していくと、兆候が若干見えてくる。少し正しい、あるいは、少し誤っているかが、この兆候に現れている。
戦略においては、当たり前だが、ページランクのみを考慮して、リンクを求める行為は避ける必要がある。追及しているリンクについて、私は「ランキングを改善する効果がなくても、このリンクを欲しいか」と自問自答するように心掛けている。つまり「自然のランキング以外に、このリンクを得るメリットがあるかどうか」を尋ねているのだ。リンク戦略全体として、このような基準を満たすリンクを求めてもらいたい。
グーグルの主張
厄介な理由
平凡なウェブマスターが、SEOの専門的な知識を持っている可能性は低く、そのため、「ページランク」とは何か、もしくは、ページンランクがどのように転送されるのかを把握していない確率は高い。
個人的な見解/戦略的な対応
繰り返すが、解釈によって対応は変わってくる。グーグルは、ページランクを転送する有料リンクについて、かなり明確に説明している。そのため、大勢のウェブマスターがページランクが何か理解していないことが、混乱を生じさせる原因となる。
事例: 航空関係のウェブサイトのためにリンクを探している際に、州の航空協会が航空関連のリソースを見事にまとめている点に気づいた。良質な飛行機関連のウェブサイトを持っているなら、無料で掲載してもらうことが出来る – しかし、50ドルを支払うと、特別な「特集サイト」に載せてもらうことも出来る。
このサイトとの交渉を続けた結果、さらに多くの情報を入手することが出来た。この協会は、nolollow/followが何なのか全く分かっていなかった。「アンカーテキスト」と言う用語も通じなかった。SEO業者ではなく、あくまでも航空協会であり、グーグルの検索結果のランキングを改善するためにリンクを張っているわけではなかったのだ。
当初、私は真意をつかみかねていたが、話を進めるにつれ、会話をSEOの方向に導くことが出来るようになり、技術的な面で、自分達の行為がグーグルの品質ガイドラインを違反していることに気づいていなかった点が明らかになった。
事実、私達の多くは、この業界のことばかり考え、星の数ほどのウェブサイトが存在し、その多くがグーグルのガイドラインのことなど知る由もない人達によって運営されている点を忘れがちである。このケースでは、当該のサイトを運営しているのは、パイロットであり、nofollowリンクを知らなくて当然である。
戦略においては、リンクを何らかの報酬を介して得ることで発生するリスクが、見返りを上回るかどうかを自問するべきである。グーグルが存在しなかったら、そして、リンクに対価を支払っているとしたら、リンクがトラフィックを運んでくると感じたと言う理由でなければ、何らかの見返りを与えてリンクを得る行為は、筋が通らない。この質問に対する答えを目安にするべきである。リンクを購入している最中にマット・カッツ氏に見つかったら、ランキングとは関係がなく、オーディエンスにとってリンクが適切であるため、買ったと説明することが出来るだろうか?
グーグルの主張
厄介な理由
ここでもまた、グーグルは曖昧な説明に終始している。この場合、何が「過剰」に該当するのだろうか?また、グーグルは、あらゆる目的において何をもって「過剰」と判断するのだろうか?
個人的な見解/戦略的な対応
グーグルが「過剰」をどのように定義しているのか知りたい。リンクの交換が、ビジネスにおいて妥当だと判断される様々なシナリオが考えられる。例えば、ジョージア州アトランタのウェディングプランナー業を営んでいると仮定する。その場合、ケータリングサービス、フォトグラファー、DJ、リムジン会社、花屋、エンターテイメント会社、引っ越し業者、チェロの演奏者、ハープ奏者、- さらには、仕立て屋、はたまた、一輪車の乗り手とも提携を結んでいる可能性がある。
この場合、個別の会社の認知度を高めるため、お互い助け合う手段として、リンクを張る取り組みが、理に叶って“いない”と主張する方が無理がある。グーグルのことは忘れよう。あくまでもマーケティングを考慮しているのだ。これは、認知度、そして、クリックを増やす取り組みそのものである。
「過剰」等の曖昧なワードが、迷惑だと思うのはこのためだ。どの時点で提携を回避すればいいのだろうか?熱気球の会社なら大丈夫だろうか?ウェディングで熱気球を飛ばすシーンを見たことがある。海上でウェディングを行いたいカップルもいるので、ボートのレンタル会社と手を組んでも平気だろうか?博物館、あるいは、山頂の場合は許容されるのだろうか?
そもそも、アルゴリズムは、優れたマーケティングと過剰なマーケティングをどのように見分けるのだろうか。やはり過去のリンク構築の取り組みが参考にされるのだろうか?しかし、ウェディングプランナーが、以前はブラックハットなSEOサービスを採用し、数年間にわたって浅はかなリンク構築の手法に手を染め、グーグルに見つかったことがあるものの、現在は、正真正銘のホワイトハットなアプローチを信条とする私と手を組み、検索のランキングではなく、ブランドの認知度と拡大を目指している場合はどうなるのだろうか?グーグルはこの点にも気づいてくれるのだろうか?そうであることを私は願う。
戦略においては、相互リンクは、とても役に立つかもしれないが、検索ランキングを改善する目的で、関係のないサイトとの相互リンクを実施するのは、やめておいた方が無難だと私は思う。私達自身は、ウェディング専門のフォトグラファー、スキューバダイビングのインストラクター、そして、ダルシマーの演奏者が、実際にウェディングと関連しているシナリオを想像することが出来るものの、グーグルにもその関係を理解してもらえるなどと期待するべきではない。
グーグルの主張
厄介な理由
「大規模」とは何を意味するのだろうか?
個人的な見解/戦略的な対応
聴覚障害を持つ高校3年生の生徒に大学の学資援助の選択肢を理解してもらうことを意図して作られた素晴らしい記事/eブックをクライアントが持っていると仮定する。その後、多くの高校に連絡を取り、75本のリンクを獲得したとする。これは“大規模”に該当するのだろうか?あるいは、リンクを獲得することを目的として、大量の記事のデータベースを投稿する行為のみが問題視されるのだろうか?
アンカーテキストとリンクの本数を基に判断されるのだろうか?キーワードを豊富に詰め込んだアンカーテキストを利用せずに、経歴欄にプレーンテキストのリンクを利用していれば、5000のサイトに記事を投稿しても許されるのだろうか?私はサーチエンジンランドに100本以上の記事を投稿しており、全てのページの経歴欄から自分のサイトにリンクを張っている。これは“大規模”だと考えられるのだろうか?
戦略としては、広範囲/全般的な記事投稿サイトを避けるよう私は提案する。個人的には、この手のサイトを利用する価値はないと思う。ただし、上のeブックの例のように、分野にこだわることで発生する機会を無視しないでもらいたい。
ゲスト投稿に関しては、戦略は、次の2つの疑問の答えに集約されているのではないだろうか 1) なぜゲスト投稿を行うのか?(検索結果のランキング?トラフィック?) 2) ゲスト投稿を行う側、そして、受け入れる側は共にどの程度信頼することが出来るのだろうか?
私は今まで一度もゲスト投稿を実施ことはなく、今後も実施するつもりはない。万が一、ゲスト投稿を行うとしても、ゲスト投稿の機会を積極的に宣伝しているブログは避ける。「このブログに記事を投稿しませんか?」と言う文言は、個人的に危険信号に等しい。私なら寄稿者全員のスキル、そして、コンテンツのトピックを調査する。史上稀にみる優れたゲスト投稿を作成したとしても、投稿するブログが、怪しげな製薬会社に関するブログなら、何もメリットを得ることは出来ないはずだ。
グーグルの主張
厄介な理由
タスクの一部を自動化する場合もペナルティーの対象になるのだろうか?グーグルはどのように判断するのだろうか?
個人的な見解/戦略的な対応
最後にグーグルは、「自動化されたプログラムやサービスを使用して自分のサイトへのリンクを作成すること」を挙げている。しかし、何をもって自動化と言うのだろうか?50本のeメールをそれぞれ内容を変えて作成し、送信箱で保存したとする。その後、サンダーバードの「後で送信」機能を利用する場合は、技術的に自動化したことにはならないのだろうか?自動化したことになる。しかし、グーグルが言及する自動化とは、少し違う気がする。
戦略においては、リンクを要請する上で、安全に自動化するプロセスもあれば、出来ないプロセスもあると思う。調査なら自動化することも可能だが、自分でリサーチを行って、補う必要はある。連絡先の追跡や継続調査は、容易に自動化することが出来る。一方、決定権を持つ適切な連絡相手を特定する取り組みは、自動化するべきではない。
常識で判断するべきだ。リンクを手に入れるために、「パーソナル」な文章に見せ掛けているメールは一目瞭然である。それでも、この行為を続ける人達が一向に後を絶たない。20年近くリンクを要請する取り組みに私は携わっているが、メールを送信する相手の名前を知らない状態でリンクを要請するメールを送ったことは一度もない。「ウェブマスターの方へ」あるいは「拝啓」で始まるメールは、自動的に削除するようにしている。自動化することが出来るからと言って、自動化するべきだとは限らないのだ。
当たり前?
今回の私の主張は、思考の糧にしてもらいたいものもあれば、当たり前のものもある。しかし、SEO業界以外の人達にとっては、当たり前ではないことばかりである。また、SEO業界の大きさは、世界全体から見れば、米粒ほどである。グーグルが毎月実施する変更、そして、その影響についてなど知る由もない人達が、サイトを運営しているのだ。
大勢のウェブマスターは一人でサイトを運営している。一方で、SEO業者やSEOコンサルタントの言いなりになり、するべきではなかったことを、していたことに気づき、ショックを受ける人達もいる。実際、毎日この手の相談を私は受けている。
ウェブマスターは混乱し、恐れている。とりわけ、ペナルティーを科されたものも、理由が分からない場合、あるいは、リンク構築戦略を学んだものの、それが安全なのか、あるいは、いずれサイトに大きなダメージをもたらすのかどうか分からない場合、不安は募る一方である。
私はグーグルのファンであり、ガイドラインで情報を公開するグーグルの取り組みを高く評価している。グーグルは、劣悪なリンクの例を紹介し、不自然なリンクとリンクプログラムに関する文書を更新している。
しかし、このように情報を公開する取り組みを行っても、混乱は起きており、事実、私に届くeメールの数を見る限り、混乱は増え続けていると言わざるを得ない。細部をおろそかにすると痛い目に遭う。今回は、いろいろな解釈が出来る幾つかのワードが点在している。皆さんなら曖昧なワードをどのように定義するだろうか?
是非、意見を聞かせてもらいたい。例外があるため、グーグルが解釈の余地を残していると言う私の意見に同意してもらえるだろうか?例外は、私が紹介したケースに似ているだろうか?ウェブマスターを助けるため、他にグーグルはどんな取り組みを行うべきなのだろうか?
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「Understanding Google’s Latest Assault On Unnatural Links」を翻訳した内容です。
SEO最新情報やセミナー開催のお知らせなど、お役立ち情報を無料でお届けします。