グーグルからペナルティーの通知を受け、その理由が分からない場合、ウェブマスターはどうすればいいのだろうか?グーグルのウェブスパム対策部門を統括するマット、カッツ氏は、ウェブマスター向けのヘルプフォーラムを利用することを薦めている。それでも問題が解決されない場合は、再審査リクエストを行い、ペナルティーの詳細を教えてもらうことが出来るようだ。
あるページにスパムが見つかり、モジラが「手動」ペナルティーを受けたことが、今回の騒動のきっかけであった。また、先月には、サイトの1ページに向けられたリンクが原因でBBCが「不自然」なリンクに関する警告を受けていた。
幸いにも、ペナルティーは特定のページのみに対して課されていた。しかし、通知にはこの点が明示されていなかったため、混乱を招いていた。さらに、どちらのサイトも大量のページを抱えており、問題のページを探す作業は、ミッション・インポッシブルに近いと言わざるを得ない。
実は、グーグルは、このタイプの通知の“分かりやすさ”について神経を使ってきた。昨年、不自然なリンクに関する警告(日本語)を送ってパニックを引き起こし、その後、無視しても構わないと告げ、さらなる混乱を招いていた過去があるためだ。グーグルは、URLの例を提示する取り組み(日本語)を始めている。さらに、今月の始めには、再審査リクエストを投稿すると、サイトの問題点を“明確”に指摘してもらえると明言していた。
通知を送信する際に問題点を明確に示すことで、パブリッシャーにとって、グーグルのサポートフォーラムで活動するボランティアの人達にとって、そして、グーグル自身にとって、大幅に時間を節約することが出来るような気がする。そこで私はその他の質問と共にこの疑問を、グーグルのウェブスパム対策チームを引きいるマット・カッツ氏にぶつけてみた。以下にeメールを介して行ったインタビューの内容を掲載していく:
Q. 通知を送信する際に、とりわけ特定のURLが関係している場合、可能な範囲で問題点をウェブマスターに明確に示すべきではないでしょうか?
グーグルは、ウェブマスターに送信するメッセージの内容を大幅に改善しており、今後も、より具体的で、対処することが可能なメッセージを送る方法を検討していきます。
Q. 通知を受けたら、より具体的な情報を得るため、再審査リクエストを介してグーグルに連絡を取り、問題点に関して、詳しいアドバイスを得ることは可能なのでしょうか?
ウェブスパムに関する通知を受けた場合、手動のウェブスパムのアクションが発動されたことになります。メッセージが明確ではなく、より詳しいアドバイスが必要なら、ウェブマスターのSEOフォーラムで質問することを私は薦めます。問題が解決されたら、再審査リクエストを投稿しましょう。
再審査リクエストを投稿した後、グーグルは、リクエストが承認されたかどうか、あるいは、さらなる作業が必要とされているかどうか等、リクエストの処理に関する情報を提供します。ウェブマスター全員に1対1で対処することが出来るほど多くのスタッフを抱えているわけではありませんが、一部のリクエストには、詳しい情報やアドバイスを提供しています。
Q. 具体的なアドバイスを得られない場合、ウェブマスターは何をすればいいのでしょうか?BBCやモジラ等のサイトの運営者は、大量のページから1つのページを探す上で、具体的にどのような対策を取ればいいのでしょうか?
この点は、ウェブマスターフォーラムを利用することを薦めるアドバイスに当てはまると思います。
それでは、このアドバイスを総合的に検証していく。
まず、グーグルは2つのタイプのペナルティーを用意している。手動ペナルティーとアルゴリズムによるペナルティーである。グーグルは「アクション」や「調整」と呼んでいるものの、基本的にはペナルティーと何ら変わりはない。手動のペナルティー、または、アルゴリズムによるペナルティーを受けた場合、一部のコンテンツ、あるいは全てのコンテンツのランキングは、アクションが発動される以前と比べて大幅に落ちる。
昨年、投稿した「Google、手動ペナルティをほぼ100%ウェブマスターへ報告」(日本語)では、この2つのタイプの詳細、どちらのタイプのペナルティーを受けたのかを見極める方法、そして、アルゴリズムによるペナルティーを受けた場合の対処方法を説明している。 「リンク無効化ツールを使ってペナルティーを解除する方法」でも、ペンギンアップデート等のアルゴリズムによるペナルティーを受けた際の対処方法を紹介している。
手動のペナルティーを受けた場合、ウェブマスターは、ほぼ100%ペナルティーの存在を把握することが出来る。グーグルが通知を送るためだ。昨年の秋から、ほぼ全てのケースで通知がウェブマスターに送られるようになっている。
手動のペナルティーの場合、問題を解決し、その後、再審査リクエストを投稿して、グーグルに伝える必要がある。しかし、何が問題なのか、どのページが問題とされているのかが分からない場合は、どうすればいいのだろうか?
カッツ氏は、ウェブマスターは、グーグルが運営するウェブマスターセントラルのヘルプフォーラムで助けを求めるべきだとアドバイスしている。このフォーラムでは、投稿されたサイトの問題点に関するアドバイスをボランティアの人達が送る活動が行われている。
しかし、ボランティアは、サイトの問題点を把握しているわけでもなければ、グーグルの従業員でもない。当然ながら、サイトが手動のペナルティーの通知を受けた理由に関するデータにアクセスする権限を持っていない。つまり、事実上、問題点を推測しているに過ぎない。優れた、経験に基づく推測が行われるかもしれないが、完全に的外れな推測が行われる可能性もある。
BBCの件に関しては、このディスカッションをご覧になれば分かるように、不自然なリンクの通知を受けた理由を解明することが出来たボランティアは一人もいなかった。気にする必要はないと指摘する人達が何人かいたが、グーグルは、何らかの通知を受けたら、放置するべきではないと明言している。
最終的にグーグルの従業員が介入し、1本の記事に向けられたリンクが原因であり、サイト全体に影響を及ぼすものではないと保証していた。しかし、それが実際にどのページなのかは明示しなかったようだ。
モジラに関しては、ボランティアの人達の間で活発な議論が行われ、助けを求めたモジラの代表者に対して、サイト上のスパムと思われるページの例を豊富に挙げていた。しかし、当該のページを見つけることに成功したボランティアは一人もいなかった。そのため、再びグーグルの代表者が介入し、調べるべき場所に関するヒントを出し、その後、カッツ自身が現れ、問題のページを特定した。
つまり、サイトの規模に関わらず、パブリッシャーは、グーグルのペナルティーに関するアドバイスをフォーラムで求めたところで、大勢のボランティアが、実際の問題とは異なる問題を解決するために無駄骨を折るだけで終わる可能性があるのだ。
浮き彫りになった問題を解決することも可能だが、それは違反とは無関係であり、違反自体が解決されない限り、ペナルティーは解除されない。
これは、車を運転している際に警察官に止められ、車に問題があるために交通違反の切符を切られるケースに似ている。しかし、切符には、車が安全ではないと記されているだけで、何が問題なのかは明確に記述されていない。
問題を解決する必要があるため、修理のプロに相談する。テールライトが壊れていることに気づき、修理してもらった。さらに、タイヤ圧が低過ぎることが判明し、修理してもらった。どちらかの問題が原因で切符が切られていた場合は、問題点を解決したことを法廷で証明すればいいだけだ。
しかし、フロントガスにひびが入っていることが原因であり、誰もそのことに気づかなかった場合、車を運転することは出来ない。
以上の点を踏まえ、昨年のように(日本語)、今後、グーグルがさらに多くのチケットをグーグルが切るなら、ウェブマスター側としては、理由を詳しく教えてもらいたいはずである。単一のページが問題なら、当該のページを指摘するのは、それほど面倒とは思えない。 そもそも、グーグルの従業員は既にサイトを確認し、特定の理由を挙げて通知を送付しているのだ。
しかし、現実を受け止めるしかない。通知を受けても、原因が明記されていない可能性がある。その場合、次の2つの選択肢から対処方法を選ぶことになる:
カッツ氏は、フォーラムで何が“解決”されるのか明言していない。実際に、一部の質問は無視され、また、“最善の答え”が提供されない場合もある。個人的には、質問を投げかけ、反応を見て、最善の判断を下すべきだと思う。数日間経過しても何も解決策が提示されないなら、詳しいアドバイスが必要な点を明記し、再審査リクエストを投稿しよう。
やはり、グーグルは、再審査リクエストに応答し、問題を解決しようとする姿勢が見られるならば、ペナルティーを解除するか、あるいは、改善されていない問題点について明確な説明を行うべきである。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「Q&A With Google’s Matt Cutts On What To Do If You Get A Manual Penalty」を翻訳した内容です。
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