企業がコンテンツマーケティングを活用する新方程式

公開日:2012/03/06

最終更新日:2024/02/17

ブログ

ブログの性格上、コンテンツマーケティングをSEOの観点で語ってしまうことの多いSEO Japanですが、ソーシャル全盛時代にコンテンツはこれまで以上にマーケティングの中枢に位置すべきより大きな意味を持ってきているのもまた事実。今回は米国の調査会社が発表したコンテンツマーケティングに関するレポートを元に、ブライアン・ソリスが企業のコンテンツ活用について語ります。 — SEO Japan

アルティメーター・グループの同僚のレベッカ・リーブ氏が、最新のレポート「コンテンツ: 新しいマーケティングの方程式 – 企業が関連性を必要とする理由」をリリースした。このレポートは、組織が関係者および消費者、さらには収益に価値をもたらしつつ、効果的なコンテンツ戦略を作成する上でのバランスを見つける上で役に立つ。

やはり、オーディエンスの注目は減少傾向にあると言って問題ないようだ。また、つながりを持つ顧客のオンラインおよびモバイルデバイスでの行動に注目すると、一般人として芽生える責任感は、それだけでメディアにおける信号になりつつあることが分かる。そのため、彼らは積極的に共有および管理を編集を介したアプローチで彼ら自身のオーディエンスのために情報発信を行っている。かつて受け身であったオーディエンスは、現在、オーディエンスを持つオーディエンスになっているためだ。ノイズではなくシグナルに貢献することで得られる見返りが存在する点は、人々に浸透している。この取り組みを行わないと、「ストリームの完全性を維持するために、人々がつながりを解消する」事態に直面することになるだろう。

企業にとっても同じことが言える。ソーシャルストリームに対する価値に貢献しない企業は、コンテンツおよび求める声により、かつて虜にしていたコミュニティとの関係が断絶されてしまうだろう。リーブ氏のレポートは、企業が関連性を高めるための道を特定する上で役に立つ。また、この方向性を決める取り組みは、連続モデルを介してキャンペーンを拡大する常時オンのアプローチを採用することから始まる。リーブ氏は次のように指摘している…

マーケッターは、意識、ブランディング、意図、コンバージョン、そして、カスタマーサービスのあらゆる段階を介して、コンテンツを使って顧客および顧客候補に貢献することが出来る。しかし、広告とは異なり、コンテンツのイニシアチブは、一時的ではなく、継続的なプロセスであり、マーケティングの組織だけでなく、企業全体に新たな要求をもたらす。

多くのブランドのソーシャルメディアキャンペーンや戦略全体の意図および構造を調査すると、ソーシャルメディアの現状とは矛盾しているのではないかと考えてしまう。この点については昨年何度か取り上げ、ソーシャルメディア 1.0の時代に終止符を打つよう求めてきた。企業にアンチソーシャルなソーシャルメディアから脱却し、より魅力的でお互いにメリットのある交流を求めてレベルを引き上げてもらいたいのだ。

良き友人のトム・フォレムスキ氏は、先日、「企業は“エキスパート”軍団から儲かるセールスおよびマーケティングのチャンネルとしてソーシャルメディアを搾取するようにプレッシャーをかけられている。このような行為はソーシャルメディアを破壊してしまう…」と主張していた。ブランドはソーシャルメディアのチャンネルを使って、従来の企業メディアを推進し、ソーシャル交流を装った集団的に配信を行う姿勢を見せていると同氏は指摘していた。その後、フォレムスキ氏は、EC=MC(全ての企業はメディア企業)運動を興し、マーケティングだけでなく、真のストーリーテリング、経験に基づいた取り組み、そして、交流に対するソーシャルがもたらす機会を企業が理解することが出来るように支援する試みを始めた。また、この運動は、ブランドジャーナリズム、もしくはブランドパブリッシングと呼ばれることもあり、ブランドが、ジャーナリズムに沿ったアプローチを採用することで、さらに多くの注目を集め、接触範囲を広め、そして、良い結果を出すと言うアイデアに基づいている。プロモーション丸出しのコンテンツから、有益で、面白く、または意義深い交流や経験をニューメディアを介して提供する取り組みへの移行である。

注目は限りがあり、注目を巡る競争は激化する一方である。しかし、注目を引き、手に入れる取り組みは、新たにコンテンツ戦略を策定し、編集カレンダーを利用するだけでは不十分である。コンテンツを通して、経験を解き放ち、そして、交流を切り開くため、新たな使命、意図、そして、文化が必要になる。

レベッカ・リーブ氏は次のように指摘している…

コンテンツマーケティングには、企業の文化、リソース、予算、パートナー、そして、戦略に変化をもたらす必要がある。バランスを再び取る試みはこれらの目標を達成する上で欠かせない。今、バランスを取り直すか、あるいは、注目を巡る争いがさらに激化する今後に後回しするのか、決断が求められている。

効率的なマーケティングを巡る新たな状況に適応するために、リーブ氏は5つの段階の成熟度モデルを紹介している。このモデルは、企業がコンテンツを使って効果的にマーケティングを行うことを目指す上での企業の進化を詳細に表している。全ての企業が全ての段階に到達するわけではない。しかし、同氏が主張しているように、進化、方向性、そして、目的については、トップから動き出す必要がある。

効率的にコンテンツを使ってマーケティングを行うには、組織的な変化および変革が組織のトップレベル主導で行わなければならない。マーケティング部門に全てを任せてしまうと、成功する可能性は減ってしまう。デジタルテクノロジーにおいて、そして、従来型のマーケティング部門の仕事ではなく、新聞、雑誌、または放送局に存在する仕事に合致する仕事内容において、新たなスキルを生み出し、トレーニングを提供しなければならない。コンテンツは、マーケティングよりもスピードと俊敏性が求められ、それでいて、企業の戦略的なマーケティングの目標と一致している点を確認するメトリクスと合わせる必要がある。


1. 立ち上がる途中: このタイプの企業はソーシャルメディアに手を出し、ブログを作成しているかもしれないが、アクティビティは少なく、組織内で基本的に重要視されていない。マーケティング部門はほぼ完全にeメールマーケティング、ダイレクトメール、そして、広告等の“プッシュ”型のコミュニケーションに依存している。

2. 背を伸ばして、一歩目を踏み出す – 地平線を見ながら: 背を伸ばすステージの企業は、コンテンツマーケティングの価値を把握しており、コンテンツの作成および配信に必要な戦略およびサポートの構築を始めている。理解することがこの姿勢を生み出しているが、一方でツールやメディアの多くにはコストをかけていない。コンテンツにはリソースの投資が必要である。このプログラムを導き、価値および接触範囲を組織全体に伝えるためには重役の支援が欠かせない。この重役の支援には、初期のチャンネルで交流を行うメンバーの特定、コンテンツの基本的な形式の構築、そして、潜在的なエージェンシーとの関係の評価が含まれる。

3. 歩き出す – 熱意と前に進む勢い: この段階では、コンテンツの作成および生産は、組織的な戦略の基礎に基づいて行われている。チェンネル(例: ブログ)特有のコンテンツから、チェンネルにとらわれないコンテンツへと変わり始め、様々なチャンネルおよびプラットフォームで配信される。プロセスは形式化される。チームが具体化し始め、戦略が完全に改善され、調整されていき、チームがコンテンツのプロセスを縮小/拡大および形成を行う管理体系を構築し始める。

4. ジョギング – 維持可能、有意義で拡大可能なコンテンツのイニシアチブ: このステージでは、組織の戦略は明確になり、また、企業全体に伝わる。焦点はチーム、そして、ただ単にシンプルなストーリーや情報を与えるコンテンツを作成して配信するよりも、経験に基づく、魅力的なコンテンツを作成する力を拡大する方向に移る。コンテンツを生産するプロセスもまた完全に発展し、戦略に沿ったものになる。コンテンツは、複数のメディアプラットフォーム全体で再生可能な点または再度目的を持たせる点を考慮して作成される。

5. 走る – 刺激を受け、刺激を与える: このステージでは、ほぼ全てのブランディングの構造に対して、優れた、リアルタイムのコンテンツマーケティングおよび管理が統合される。企業は真のメディアカンパニーとなり、ブランド化された、もしくはブランドの提案に関連する革新的且つ洗練されたコンテンツを収益化することが出来る。コンテンツは、単体のメリットに応じて、販売およびライセンス化され、コンテンツの部門は別個の損益の責任を持つようになる。

このレポートで、リーブ氏はコンテンツマーケティングの成熟に向けた4つの基本的なステップもまた紹介している。これらのステップは、どれだけ高度なプログラムを現在利用していようが、成功するか否かは、オーディエンスを持つオーディエンスが企業のストーリーに向き合い、そのストーリー、価値、そして、使命を広める上で貢献する取り組みにかかっている点を強調している。そして、成功は、彼らがどのように感じるか、または交流の結果として取る行動によって計測される。

1. コンテンツマーケティングは無料ではない点を理解する

2. 広範な文化の統合をコンテンツマーケティングで実施する

3. コンテンツマーケティングに広告を統合する

4. 派手なだけが取り柄のコンテンツは避ける

ここまで辿りつくのは簡単ではない。先程も申し上げた通り、文化、そして、リーダーシップに左右される。その上、効果的なコンテンツマーケティング戦略およびその戦略がもたらすことが可能な経験と成果には、新たな専門性の柱によって強化されるサポートするためのインフラが欠かせない。そのためには、可能なこと、高い水準、そして、支える計測基準に対する異なるビジョンが求められる。

– 組織的な構造。 コンテンツの作成おおび配信を可能にするインフラは、マーケティング部門、そして、その他の部門で育成し、後押しする。

– 内部のリソース。 コンテンツマーケティングを支援し、作り出すスタッフの役割、チーム、そして、リーダーシップ。

– 外部のリソース。 エージェンシー、クリエイティブなリソース、そして、テクノロジーのベンダーを含む外部のベンダーおよびサービスプロバイダーと協力する範囲。

– 計測。 全体的なマーケティングおよび売り上げの目標に結びつける等、コンテンツマーケティングに関する役に立つメトリクスを作成する。

– 新たなスキルおよび能力。 コンテンツマーケティングの理解、重役の後押しを促進し、スタッフがコンテンツの管理、作成、そして、配信することが出来るようにする。

– 新たなマインドセットおよびアプローチ。 コンテンツマーケティングは、9時から17時までの仕事ではない。通常の営業時間を超えた、リアルタイムでのコンテンツの作成、管理、そして、監視が必要である。

レベッカ・リーブ氏のレポートには、アルティメーターのコンテンツマーケティングの成熟度モデルのどの段階にいるのかを評価する自己評価表が付いている。フレームワークと共に前に進む必要がある点を理解し、また、コンテンツが交流、経験、そして、その結果としての成果を高める仕組みにおける効率を改善することが目標である。レポート内で提供されているケーススタディは目を見張る事実を明らかにしている。また、これらのケーススタディは、コンテンツマーケティングの目標を決める上で、創造力を掻き立てる効果もあると思う。

結局、コンテンツとは、喚起したい感情の表現、伝えたいストーリー、提供したい経験、そして、企画したい旅に等しい。しかし、コンテンツは、企業のビジョン、支える文化、そして、紹介するソーシャルオブジェクトを決める意図でもある。今こそバランスを整えてもらいたい。

コンテンツ: 新たなマーケティングの方程式


この記事は、Brian Solisに掲載された「Report: Content and the New Marketing Equation」を翻訳した内容です。

元々が固めの調査報告書&固い文体のブライアン・ソリスだけに若干の読みにくさはある内容でしたが、書かれていること自体は素直に納得できるものでした。企業のコンテンツ活用の5段階を走る図で表したのは面白かったです。まだまだ1~2段階にある企業が大半とは思いますが、さて今後コンテンツをマーケティングの中枢に置きビジネスにフル活用していく企業は今後どれ位増えていくのでしょうか。企業全体で活用するとなると、関係範囲が広いこともあり大企業では中々難しそうな気もするのですが、その分フットワークの軽いベンチャーや中小企業がコンテンツを活用して元気に成長していく事例も見ていきたいですね。 — SEO Japan

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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