どの業界においても、年末年始は1年を振り返り、変化を思い返すにはうってつけの時期である。2012年に起きた変化の量および影響力を考えると – アルゴリズムの変更、会社でのSEOに対する見方の変化、SEOのプロがデータを利用する仕組みの変化、そして、その他の変化 – これはSEO業界に特に当てはまると言えるだろう。
そこで私達Conductorは、時間を割いて、今年SEO業界で遭遇した多くの変化をまとめた。これから、検索で台頭しつつあると考えたトレンド、そして、下火に思えるトレンドを挙げていく。私達は出来る限り見解を実際の経験に基づく証拠で裏付けているが、皆さんの見解が異なる可能性は十分にあるので、意見が合わない、あるいは、リストアップするべきなのに見過ごしている点があったなら、コメント欄で挙げてもらいたい。
目次
業界を問わず、変化を徹底的に評価するためには、コアおよび補助的な要素を網羅する必要があるため、私達の評価はSERP以外の要素も取り上げている。まず、変化を探す場所として、組織内が挙げられる。
SEOの組織内での見られ方の変化を分析する上で、予算の配分、人数、そして、テクノロジーの採用において、2012年、SEOがもたらす機会の認識がどのように変化したのかが表れている。
以下のスタッツについて考えてもらいたい:
このような変化はすべて、自然の検索における機会の認識が高まったことで生じている。
完全一致のアンカーテキストのリンクを軽視するアルゴリズムのアップデートが行われ、そして、少数のボリュームの多いコアのキーワードを求める原始的なアプローチからの脱却が進み、完全一致のアンカーテキストへの注目は下がった。
第4四半期に616名のマーケッターに対して調査を実施したとろ、来年、2番目に優先する目標が、キーワードの拡大であることが判明した:
2012年においては、ペンギンアルゴリズムのアップデートは比較的に規模が小さく、影響を与えたクエリは3.1%のみであった。しかし、業界へのインパクトは強烈であった。SERPでの薄っぺらいコンテンツに対する重要度が大幅に落ちたため、SEO業者は「質の高いコンテンツ」の作成およびマーケティングに力を入れるようになったのだ。
この調査のデータでは、 「コンテンツ策定戦略の改善」が2013年のSEOの目的として1番多く挙げられている。
品質が2012年のコンテンツの基準になった一方で、検索ランキングでパブリッシャーを押し上げる原動力となっていた薄いコンテンツは利用禁止に追い込まれていった。毎月、パンダアップデートが、そして、ペンギンアップデートが一貫して行われ、劣悪なリンク構築およびキーワードスタッフィングを握りつぶしている。
しかし、新たなアップデートに不当に捕えられたと感じた(グーグルから短期間追放されたSEER インタラクティブを含む)一部の正当なサイトのオーナーから、非難の声が上がっていた。いずれにせよ、この2つのアップデートは、薄っぺらいコンテンツを“下火”のトレンドにする上で大きく貢献していた。
SEO業界が進化し、検索マーケッター達が徐々に洗練されるようになると、データの使い方、そして、データから得る見解におけるレベルも上がっていった。
今年、SEO業界に「ビッグデータ」の波が押し寄せ、同時に新しい、強固なデータソースが姿を現した点は何度も取り上げられいる。その結果、一つの場所で異なるデータソースから得た見解を活用する能力に対して、マーケッターの期待に変化が生じている。
現在、マーケッターは自然な検索におけるビジビリティのデータをウェブのトラフィックのデータ、PPCのデータ、そして、ソーシャルの見解と併せて見たがっている。インバウンドマーケティングのファネルをより詳細に把握するためだ。
2011年の暮れ、グーグルが検索の暗号化を導入するようになると、ウェブ分析のデータでキーワード[Not Provided]が現れるようになり、最終的に最高でオーガニックな検索トラフィックの24%を占めるようになった。この影響により、有益なキーワードのデータを失った人達が憤慨し、業界イベントで頻繁に取り上げられるようになった。
その年、SEO業界は立て直しを図り、失ったデータの一部を回復する次善策を策定し、また、我慢することを学ぶようになった。2012年が暮れに差し掛かるまでに、このトピックが話題に上がる頻度は、業界のイベントにおいても、そして、業界をリードするウェブサイトにおいても、大きく下がっている。
ランド・フィッシュキン氏は、「リンク構築の終焉、そして、リンク獲得の再生」に言及し、リンクの取得の変化を指摘している。恐らく、フィッシュキン氏は、リンク構築はかつては積極的に「行動を起こして、構築を行う」プロセスであったものの、「功績」に応じてリンクを得られる仕組みに進化し、最高のコンテンツが見返りを得られるようになったと言いたかったのだろう。
また、従来のリンク構築のプロセスからの進化によって、新たなコンセプトが誕生した。それは、リンクの浄化である。グーグルとビングがリンクの無効化ツールを立ち上げ(業界全体がこのツールのローンチを歓迎していた)、SEOの担当者はリンクグラフをクリーンにすることが出来るようになった。これは今年のアルゴリズムの変更が行われるまでは存在しなかった取り組みである。
「リンク獲得」は確かに注目の的になっているが、その一方で「 リンク構築」 – 積極的にコメント、ディレクトリ、接触、その他のアクティブなメソッドを介してリンクを構築するプロセスは存在感を失いつつある。積極的に「自ら仕掛けて獲得する」プロセスが、受動的な「待って、獲得する」プロセスに進化したのだ。
2012年、SERPはインターネット検索が登場して以来、最も大きく変化した。 検索結果へのソーシャルの導入から、ローカルのクエリへのレビューの表示、そして、グーグルオーサーシップの追加、さらには、ナレッジグラフに至るまで、今年1年でSERPに多くの変更が加えられた。
SEO業者は、今年行われたSERPの変更から(少なくとも)2つの教訓を得ることが出来るはずである。 まず、検索のビジビリティに脅威を与える変更が多数行われた一方で、チャンスが豊富に存在することも事実である。
ソーシャルネットワークにコンテンツを蒔く方法における変化、そして、rel=authorタグを使って、コンテンツのクリエイターにビジュアルの要素を加える取り組み等、変化を理解し、変化を利用するマーケッターにとっては、変化は脅威の姿をしたチャンスだと言える(また、概要を理解するだけでなく、SERPでの特定のキーワードにおいてバーティカルに与える影響の詳細を理解してもらいたい)。
2つ目の教訓は、より受動的であり、そして、先進的な考えを必要としている。グーグルが今年導入した変更には、(グーグルが収益の97%を得る)SERPに対して変化をもたらすことを厭わないグーグルの方針が色濃く表れている。
SERPへのソーシャルの導入にせよ、コンテンツに対するオーサープロフィールの追加にせよ、ローカルクエリのレビューの情報にせよ、ユーザーインターフェースの変更にせよ、2012年、グーグルは検索結果ページの見た目および機能に対して – 大きな変更を含む – 変更を加えることに前向きだと明確に宣言しと言っても過言ではない。来年、キーワードに対して進行中の変化が検索結果に及ぼす影響を評価するメカニズムを用意しなければ、競争において不利益を被る可能性がある。
ここでは賛否両論を呼ぶ立場を取り、業界全体が注目しているにも関わらず、少なくとも現時点においては、モバイルを「下火」のトレンドに分類させてもらう。コメント欄を炎上されてしまう前に言っておくが、ウェブトラフィックを増加させる力に関してモバイルを否定しているわけでもなければ、マルチプラットフォームのユーザーエクスペリエンスにおいてサイトのオーナーが対応可能な検討事項がないと指摘しているわけでもない。
しかし、私達の分析では(1ヶ月間に25サイトに寄せられた1200万のアクセス)、モバイル検索のトラフィック(スマートフォン + タブレット)は現時点では自然な検索トラフィックのたった11%である。
場合によっては、ヤフー!が維持するマーケットシェアの12%に届いていない。事実、通常の最適化の取り組みを超えて、時間を割いてわざわざヤフー!だけのために最適化を行うSEO業者を私は見たことがない。
そのため、僅かな自然なトラフィックを求めて具体的な最適化を行うためにSEO担当者の貴重な時間を使うよりも、例えば質の高いコンテンツの作成、データを集めて、競争で有利に立つための見解を得る試みを優先する方が無難である。
今回の年末の分析においては、SEO業界が成熟し、従来の「流行りを追う」枠組みから「長期的な戦略」へと移行しつつある傾向が共通して見られた。リンク構築はリンク獲得になり、特別なキーワードに焦点を絞る方法は、ディープなコンテンツを策定する取り組みへと変化し、そして、データの活用の範囲および相乗効果は今まで以上に拡大している。
そのため、現在SEO業界が経験している変化を踏まえて、長期的に成果を生む手法や戦略に焦点を絞った新年の誓いを立ててもらいたい。雑音に惑わされるのも、アルゴリズムを追い掛けるのも今年一杯で終わりにしよう。
いずれせよ、皆さんにとって健康で、順調な2013年になるよう心から願っている。
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「Hot & Cold Trends In Search Going Into 2013」を翻訳した内容です。
人によって意見の違い、サイトや業界によって傾向の差はあると思いますが、記事の結論にもあるように、「流行りを追う」枠組みから「長期的な戦略」を念頭に取り組んでいかなければSEOに勝ちきれない時代になっているのは不明の事実。SEO業界最大の変化を経験した2012年でしたが、2013年はその変化を前提に、どこまで本質を見失わず地道にSEOに取り組んでいけるかは勝負の別れ目になりそうです。 — SEO Japan [G+]
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