ここ最近、私は新たに刺激的な本を執筆するプロジェクトに取り組んでおり、そのリサーチの一環として、TopRank MarketingのCEOであり、Optimizeの著者でもあるリー・オデンにインタビューを行った。ちなみに、『Optimize』は、過去5年間で読んだビジネス書の中で、ベストの部類に入る。
デジタルマーケティングのトレンドを知りたいなら、リー・オデンに尋ねるべきだ。新たな考えを示すことが出来るだけでなく、デジタルマーケティング業界のベストプラクティスを真剣に研究している。今回のインタビューでは、現在のマーケティング戦略を導く上で役に立ちそうな強力且つ実用的なインサイト、つまり、理解を導くビジョンを披露してもらえた。
マーク・シェーファー(私): Optimizeの中で、オデンさんは「コンテンツは単なる王様ではなく、王国だ」と指摘しています。この点に関する考えは進化していますか?それとも、現状にもこの考えは当てはまりますか?
リー・オデン: アトラクション(オーディエンスを魅了する取り組み)、エンゲージメント(オーディエンスに参加してもらい、ブランドと交流してもらう取り組み)、そして、コンバージョンに関するマーケティングの問題を解決する取り組みにおいては、今もコンテンツ、そして、戦略的なコンテンツの作成が中心的な役割を担っています。
検索は、コンテンツなしでは成り立ちません。ソーシャルウェブでも、コンテンツがなければシェアが行われることは滅多にありません。現在と過去の違いは、量ではなく、インサイトが重視される点だと思います。
多くのSEOの関係者は、今でもコンテンツを作成する巧みな方法を編み出し、コンテンツを増やすことに専念しているようです。しかし、残念ながら、顧客に関して、顧客の理解に関して、カスタマージャーニーの購入サイクルに関しては、全く触れられていません。コンテンツは王国だと私は考えていますが、効果的に機能させるためには、より多くのコンテンツを投入するのではなく、より質の高いコンテンツを作成し、見る側の体験を考慮し、そして、適切な時期に適切な情報を提供する必要があるのではないでしょうか。
コンテンツに関して、顧客とのつながりは、どのような役割を担っているのでしょうか?数年前、ソーシャルメディアは、規模が小さく、静かでした。そのため、当時は、微調整を行い、顧客になる確率が高い個々のユーザー、セールスのリードになる確率が高い個々のユーザーに力を入れることが出来ました。現在、ソーシャルウェブは騒然としています。ソーシャルメディアを利用するユーザーは増加しています。このような状況で、つながりを築くことは可能なのでしょうか?この取り組みを拡大することは出来ますか?人間らしさを貫くことは重要ですか?それとも、違いをもたらすのはアルゴリズムそのものなのでしょうか?
SAS企業に勤めている人達は、アルゴリズムが最も大事だと主張するかもしれませんが、私は人間のつながりを拡大することは今でも可能だと思っています。ただし、難しくなっています。多くの企業にとって、顧客は単なるデータベース内の名前であり、具体的なペルソナ — つまり、行動や年齢等に応じてコンテンツを調整します。セールスサイクルに沿って、コンテンツを助成しているのです。このプロセスを完全に自動化することは不可能だと私は思っています。
マーケティングの自動化とリード生成の取り組みを監督するインバウンドマーケッターがいるはずです。人間の理解が絶対に必要なのです。 リアルタイムで浮上するチャンスを探さなければなりません。
人とのつながりは、今まで以上に重要になってきていると思います。企業は、より優れた、より有意義なコンテンツを作り、セールスサイクルの早い段階でバイヤーを魅了しなければならなくなるでしょう。
例えば、ストーリーテリングです。この用語は決まり文句のようになりつつありますが、実際の人間として話を伝え、より工夫を凝らす上で、つながりに対する多くのインスピレーションが役に立つのではないでしょうか。企業はこのように差別化を行っているはずです。間違いありません。
自動化のプロセスでさえ、機会が生じた際に、自分自身を登場させて、このつながりを作る人間が存在するのでしょうか?
当然です。ご存知のように、企業は自動化した「単一の答え」と「単一の事柄」に偏る傾向が見られます。私は顧客とのつながりには階層的なアプローチを用いるべきだと考えています。 人は高等な生物であり、単一の答えを提供するアプローチでは対応することが出来ないのです。
計画的なコンテンツと組み合わせて、ソーシャルメディア、そして、エンゲージメントの計測指標をチェックし、今後浮上するビジョンの存在を確認しています。
現実は、当然ですが、購入プロセスに消費者が従うとは限りません。消費者は、複数の段階に属し、購入サイクルに慣れています。リアルタイムで情報を集め、人を関与させると、例えば「この人はファンネルに入ったと思ったら、もう購入する気満々だ」のような状況を把握しやすくなるのです。
何度かSEOに触れていますが、SEOは、現代のコンテンツマーケティングの世界においてどんな意味を持つのでしょうか?数年前は、明確に決められた一連手法と活動が存在し、チェックリストを確認していたような気がします。今でも、明確に定められているのでしょうか?
今でも利用されているアクティビティは幾つかあると思います。しかし、チェックリスト自体、内容が大きく変わっています。私自身はSEOを検索、広告、Eメール、コンテンツを含む、ビジネスを構築する全てのアイテムに対する、マーケティングのパフォーマンスの最適化と見ています。
目標に向かって正しい方向に進んでいるかどうかを示す証拠として、データを集め、KPI(主要業績評価指数)を集め、このデータベースのインサイトを用いて、軌道修正し、実行中の取り組みのパフォーマンスの最適化を行っているのです。
当然ですが、SEOにおいては、Googleに任務を遂行してもらうための従来の取り組みは、今でも存在しています。なぜなら、Googleは完璧とは程遠いからです。Googleは今年以前とは異なるアプローチを採用し、新しいビジネスの源として自然な検索に大きく依存していたウェブサイトに劇的な影響を与える選択を行いました。このタイプの事業は、特にリンクおよびリンクの供給源に関して、大きな方針転換を行わざるを得なくなりました。リンク構築の手法の大半が、Googleによって潰されてしまったのです。
かつて、企業はリンクを獲得するためにSEO業者を雇っていました。しかし、現在は、獲得したリンクを削除するために、SEO業者に料金を支払う有様です。
テクニカルな面で、そして、コンテンツの調整の面で、自分達が誰なのか、サイトが何を描写しているのか、そして、ユーザーが検索している対象として最も相応しいかどうかをGoogleに楽に理解してもらうために出来ることはあります。
Googleはオーサーの信頼性、そして、コンテンツのオリジナリティを重要視する姿勢を強めています。これは、個人で対応可能な領域なのでしょうか?それとも、SEOのスペシャリストを雇い、シグナルをGoogleに送ってオーサーランクを改善し、サイトのランク、および、検索結果を改善する試みにおいて、導いてもらう必要があるのでしょうか?
現実として、新しいコミュニティや新しい職場に足を踏み入れる際は、その組織において信頼を築いていきたいはずです。さもなければ、何も仕事を成し遂げることが出来ないからです。
つながりを得るためには、既に信頼されている人達に接触し、関係を持つに値する何かしらの理由を考え出すと良いかもしれません。この取り組みにより、例えば、パーティーを誰かが開催し、招待してもらう等、認めてもらえるようになったら、さらに信頼され、さらに多くのつながりを構築することが出来るようになります。
これは、信頼性のシグナルにおいて、Googleが求めていることです。Googleが実際にオーサーに関して考慮しているかどうかは分かりませんが、情報検索において、エンティティと呼ばれる表現が存在することは事実です。
人、会社、そして、例えばハブ等のモノもエンティティになりえます。そして、このエンティティがコンテンツを作り出すのです。エンティティは情報を作り出し、専門誌にあるように他の人達に言及させる力を持っています。これがGoogle、そして、ページランクアルゴリズムの起源なのです。
ページランクがウェブサイトに明確に関連していると言うよりも、コンテンツを配信すると個人を特定することが可能な信頼性のシグナルが存在すると言った方が近いかもしれません。
Google+のアカウントを持っているなら、Gメールを使っているなら、YouTubeのアカウントを持っているなら、Googleは、リンクやコンテンツ等、検索エンジンが通常確認する要素を考慮するだけでなく、ソーシャル経由で流れるデータの一部にも注目します。
例えば、Social Media ExaminerやThe Wall Street Journal等、別のサイトで記事を投稿すると、理にかなっている場合、名前の言及が行われるため、信頼性はついて回ります。
素晴らしいコンテンツを作成するシェーファーさんの取り組みは、個人のオーソリティを築くことを望む方々にとって良い見本になります。現代的な考え方を持つSEOの専門家は、各種のツールを使って、ストーリー、コンテンツ、信頼性の拡散を促進するチャンスを明らかにするでしょう。現代のSEOは、広報のような存在です。広報のように、例えば、シェーファーさんに関するストーリーを発掘し、このストーリーを介して宣伝を行い、見てもらい、注目してもらう確率を高める方法を考案するのです。
とても興味深いコンセプトですね。オデンさんの言う現代のSEOは、従来のパブリックリレーションズを連想させます。別の信頼されているサイトでポジティブに取り上げられると、Googleに追加的なシグナルを送るため、コンテンツのレベルアップにつながるのでしょうか?
まさに仰る通りです。私は常にパブリックリレーションズには高い価値があると考えてきました。私達のエージェンシー自体、元を辿れば、パブリックリレーションズの代理店として15年前に誕生したのです。PR、具体的に言うとメディアのリレーション、そして、この類の認知度を対象として配信媒体と連携する能力は、ソーシャルメディアでの接触範囲、検索、そして、コンテンツの移動において、今まで以上に重要度を増しています。
具体的なケーススタディを見ていきましょう。先日、オデンさんは、Content Marketing Worldカンファレンスを宣伝するため、名作「不思議の国のアリス」をテーマにした一連のeブックを作成していました。素晴らしい作品だっと私は思います。工夫が凝らされ、有益であり、興味をそそられました。これは第一歩目です。それでは、実際に、このコンテンツをここからネットワークにどのように移動させればよいのでしょうか?
コンテンツは複数の方法を介して移動します。まず、eブックで取り上げる人物の選定は、トピックへの関連性、そして、アクティビティとソーシャルメディアでの交流の質を考慮して行われました。
私達は、オーディエンスが見たい優れた作品を作っているため、まず、コンテンツが動きます。カンファレンスに足を運ぶかどうかは別として、優れたマーケッターにとって役に立つ情報源になるのです。シェーファーさんの仰る通り、コンテンツの質が起点となります。
このeブックの配信を始めた際、関係者がシェアしやすいように工夫しました。eブックに参加したことを誇りに思ってもらい、「この素晴らしい企画に参加したんだよ」と言う感じで伝えたくなるため、限定的ではありますが、再びコンテンツが動きます。ただし、誰かがお願いしているからではなく、実際に素晴らしい作品に仕上がっています。これもコンテンツが動く次元の一つです。
当たり前のことですが、私達自身もコンテンツの宣伝を行います。eブックに付随するインフォグラフィックを作成しました。そのインフォグラフィックの中には、ツイート可能な名言を盛り込んでいます。また、楽にシェアすることが可能な質の高いコンテンツの一つとして、優れたインフルエンサーの名言をグラフィックなイラストで表現する試みも実施しています。 その上、講演者のTwitterのリストも作りました。そして、このプロフィールは、Pinterest等に持ち込まれ、eブックのコンテンツを、言わばバラバラにしていきます。さらに、講演者へのインタビューを付加的な宣伝素材として配信しました。eブックの配信を始めた当日、参加者および広範なネットワークに対して、ツイートを配信し、そして、スライドデックにコードを埋め込んだのです。
私は、リストやこの手のアイテムを長年配信してきました。この取り組みを行う度に、影響力を持つ人達とのつながりが増え、「こんなことしたの覚えていますか?もう一度同じようなキャンペーンを行うのですが、良かったらシェアしてもらえませんか?」と再び声を掛けることが出来るようになります。
インフルエンサーの相乗効果を作り出しているように見えますが、いかがでしょうか?
その通りです。成果は出ていますし、高い関心を持っています。それだけでなく、このプロセスを経て出会う人々、そして、生まれるつながりに驚かされています。
「リー・オデンは面白い取り組みを行っている」と言ってもらえるように、私はポジティブで、知的で、創造性に富んだ体験を関係する方々のために作りたいと思っています。
6ヶ月もすると、このつながりは具体的な形で現れます。このつながりは、有料のチャンネル、無料のチャンネルを通して、ネットワーク作りを通して、そして、インスピレーションを通して、コンテンツを動かす上で役に立ちます。なぜなら、力を合わせてコンテンツを作っているからです。型に嵌めてそれで出来上がるのではなく、素晴らしい、オーガニックなコンテンツだといます。それが原動力になるのです。
少し脱線しますが、先程、インフォグラフィック等の別のコンテンツの形式に触れていました。基本的には、同じコンテンツを使ってイベントの宣伝を行うため、再利用しており、素晴らしいアイデアだと思いました。イベントを宣伝するにあたって、どのような角度でSEOを見ていましたか?
私達は、キーワードを組み合わせ、eブックのシリーズを「不思議の国のコンテンツマーケティング」と名づけました。私達は、コンテンツマーケティング、そして、不思議の国のアリスを意識し、「不思議の国」をキーワードのターゲットにしていました。
このeブックは、「コンテンツマーケティング 知識」や「コンテンツマーケティング 秘訣」等のワードではヒットしませんが、無料、もしくは、有料のソーシャルメディアを介してこの作品の存在を知ると、大勢の方々は「不思議の国のコンテンツマーケティング」を検索し、このキーワードの正当性を立証してくれます。
私達は、このようにして検索の需要をまさに作り出しているのです。適切な宣伝を行うと、不思議の国のコンテンツマーケティングは、何度も検索される用語として定着します。当然、そのためには、この検索用語で見つけてもらえるあらゆるアイテムを最適化していきます。
あまりにも多くのことが起きています。しかも、チャンネルは複数存在するのです。Eメール、そして、多少有料のオプションを用いて効果を増幅させる取り組みも行います。
今回は、貴重なご意見を共有して下さり、本当に有難うございました。{grow}のコミュニティにとって、掛け替えのない情報を得ることが出来ました。
この投稿は、進化するテクノロジー業界に関するニュースと分析を提供する、Dell Insight Partnersプログラムの一環である。さらに情報を求めている方には、TechPageOneを訪問して頂きたい。この記事はDellの資金援助を受けて作成したものの、Dellの見解や戦略を必ずしも反映しているわけではない。
情報開示: 本のリンクはアフィリエイトリンクである。また、リー・オデンと私は取引関係にある。私はオデンを雇い、反対にオデンが私を雇ったこともある。しかし、この記事で取り上げることに対しては、報酬は支払われていない。
この記事は、{grow}に掲載された「The state of the nation on SEO, content strategy and earned media」を翻訳した内容です。
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