今月の初め、ガーディアンは、グーグルが「旧知の仲のSEOを嫌いになり、新たに台頭しつつあるコンテンツマーケティングとの関係を深めている」と指摘していた。しかし、SEOは今でもグーグルと良好な関係にある。また、ガーディアンが何と言おうと、グーグルはSEOなしでは生きていくことは出来ない…その上、コンテンツマーケティングは「新たに台頭」しているのではなく、検索エンジン業界にとって、新しいだけである。
この記事の著者(DBD Mediaのジョナサン・ピギンズ氏)は「SEOは、質の高い記事の作成とPR等、以前よりも遥かに広範なスキルが必要とされている..」と示唆しているが、この指摘は必ずしも正しいとは言えない。検索エンジンは、健全なウェブサイトを上位にランク付けすることを望んでおり、非常に多くのブランドが、コンテンツマーケティング戦略よりも、ウェブサイトのカノニカルタグから多くのメリットを得ている。
テクニカルSEOの担当者が、デザイナーになるべく勉強する必要がないように、コンテンツマーケッターに鞍替えする必要もない。フリーランサーの場合は別だが、全ての役割を一人でこなさなくてもよい。ちなみに、「とんでもなく魅力的なコンテンツ」を作る方法に加え、コーディングもマスターしているなら、高額な料金を請求することが出来るだろう。
グーグルは、SEOのエキスパートをコンテンツマーケッターに変えようと試みているわけではない。
このサイト(Branded3)の検索部門を統括するティム・グライスは、3月に開催されたBrightonSEOやBranded3のデジタルマーケティングセミナーで行ったプレゼンで、「既に上位にランクインしているなら、リンクはあまり関係がない」と指摘した。
グーグルの検索結果で上位に君臨するサイトは、必ずしもリンクの数が多いわけでも、あるいは、優れたリンクを持っているわけでもない。ただ単にその他のサイトよりも質が遥かに高いだけである。良質なリンクやコンテンツの量が多くても、ユーザーエクスペリエンスがひどいなら、トップ3に食い込むことは難しい。だからこそ、SEOが今でも重要な鍵を握っているのだ。
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SEO業界の関係者が「ビッグデータ」と言うフレーズを聞くと「今SEO業者が計測しているデータであり、グーグルがますます巧妙にSEOから隠そうとしている」と考えてしまう。同じように、「コンテンツマーケティング」に関しては、デジタルマーケティング業界が、グーグルが積極的に与えるペナルティに反応し、もともと有効に働くべきではなかった以前のSEOの戦略から距離を置きたがるだけであり、あっさりと退けてしまいたくなる。事実上、これはスパム行為を行わないようにするための専門用語に過ぎない。
SEO、そして、私達(SEO業界)が「コンテンツマーケティング」と呼ぶ取り組みは、目的は似ているものの、内容は全く異なる。リンク構築、オンラインPR、そして、コンテンツマーケティングは、全て、SEOの一部である。コンテンツマーケティングは、他の取り組みよりも、よりグーグルの管理下に置かれていると言えるだろう – 良質なコンテンツを作成すると、自然にリンクを張ってもらえる。オンライン PRは、コンテンツを活用して、リンクを獲得するアプローチだが、リンクが関わらない場合でもPRは行われいる。そのため、グーグルを操作しているわけではないと考えられるのだ。
最近でも、昨年の11月、マット・カッツ氏が、SEOを「アクセス可能であり、クロール可能な優れたサイトを作り、ほぼマーケティングと同じような取り組みを行い、知ってもらう試み」だと定義していた。カッツ氏が、オンページSEOとアウトリーチ(外部への宣伝/接触)をSEOの重要な要素と見なしていることは明らかであり、なぜ、突然、テクニカルSEOのエキスパートが、キャリアを変える必要があるのか私には分からない。
ピギンズ氏は、次のように結論付けている:
「コラボレーションが、今後の鍵を握っている。コンテンツマーケティングとSEOの関係は、共存を目指すとき、最高のポテンシャルを発揮する。つまり、ブランドは、強固な内部のナビゲーション等、SEOの戦略を使って、コンテンツを支える必要があるのだ。」
「コラボレーション」と言う用語は、一人で双方の取り組みを担当しなくても良いと示唆している。また、ウィル・クリッチロー氏が、「万能型のマーケッター」になることを薦めているが、現実には、スキルを拡大することは不可能である – 大企業の場合、2つの領域を把握している1名の人材ではなく、SEOを得意にする人材とコンテンツを得意にする人材を雇用する方が、効率が良い。
これはどちらにも言えることである。SEOは、長年に渡って、コンテンツを濫用してきたが(今もなお濫用を続けている)、一流の広告代理店やマーケティング企業は、効果的なSEM戦略に多額の予算をどのように割り当てればいいのか、理解していない。
リー・オデン氏は、「コンテンツマーケティングは、SEOの一部ではない」と主張している。その通りだ。コンテンツマーケティングは、SEOの実行を望む全ての会社が実施するべき取り組みだが、だからと言って、一人で全て背負い込まなければいけないわけではない。
リンク構築は、クライアントが持つマーケティング素材を使っているなら、それがオフラインの取り組みであれ、あるいは、既に作成しているコンテンツであれ、自然に実施しやすい。しかし、特にコンテンツをリンクに値する作品にする時間は限られている場合、この素材を得ることは難しい。だからこそ、コンテンツマーケッターにはSEOの知識が求められているのだ。
…そして、SEOのエキスパートは、すぐそばに待機し、指示を送る必要がある。さもなくば、グーグルのような、収益性の高いチャンネルは無駄になり、また、その優れたコンテンツを誰にも活用してもらえなくなってしまう。
この記事は、Branded3に掲載された「Should SEOs become Content Marketers?」を翻訳した内容です。
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