SEOの未来を想像してもらいたい。– キーワードやその類義語の利用について、考える必要がない未来だ。未来のSEOでは、このような戦略は時代遅れになる。未来の検索エンジンは、内部で、信頼されている文書にリンクする認証済みのデータと照合し、クエリに対する答えをユーザーに提供する。
未来の検索に対してウェブサイトを最適化するには、SEOの当事者は、よく絞り込まれた、焦点が絞られ、あるいは、範囲が限られたクエリに答えるウェブページ上で、関連する、機械が認識することが可能な「エンティティ」を作成する必要がある。
エンティティを作るため、セマンティックウェブのテクノロジー、そして、構造化データの利用が進む。すると、検索エンジンは、ページの内容をより正しく理解し、それぞれのクエリに対して、より妥当な検索結果/答えを提供することが可能になる。
この記事では、未来のSEOを行う理由を説明し、そして、その方法を紹介していく。
先週、グーグルグラスやグーグルナウ等、最近のグーグルのイノベーションを考慮した上で、検索 & SEOの未来について、良き友人であり、仕事上の仲間でもあるバーバラー・スターと議論を交わした。その際、その見解をこの記事で紹介することに同意してもらった。
セマンティックストラテジストとしてのバーバラ・スターの経歴は目を見張るものがある。キャリアの早い段階で、バーバラ・スターは、High Performance Knowledge Bases(HPKB)プロジェクト — コンピュータが、知識を取得し、提示し、操作するテクノロジーを進歩させるための国防高等研究計画局(DARPA)のリサーチプログラム — に参加した。また、DARPAにおいては、PAL プログラム(後にSiriになる)を含む、その他のプロジェクトにも貢献してきた。
2009年にスターに出会った時、SEOと検索エンジンのテクノロジーの関係について会話を交わした。時間の経過とともに、この会話は、検索およびセマンティックウェブの過去の事実、そして、今後の可能性を語る議論へと姿を変えていった。その後、この議論は、検索エンジンでキーワードを利用する理由に関する議論へと発展し、最終的に、エンティティ検索、そして、String Entity Optimization(文字列のエンティティの最適化: SEO)のコンセプトが導き出されたのであった。
グーグルやその他の検索エンジンは、IP、シグナル、そして、アルゴリズムにとても敏感であり、次に検索にもたらされる変化を推測することは、SEOの関係者にとって、容易ではなかった。今回の投稿では、スターと私が意見を出し合い、たどり着いた見解を紹介する。当然だが、グーグルが今後どのような取り組みを行うのか、私達には分からない。しかし、グーグルやその他の検索エンジンが、現在、採用している検索およびセマンティックテクノロジーに関しては、基本的なコンセプトを見出すことが可能であり、ここから、検討する価値のある、実現可能な取り組みを明らかにすることが出来る。
私: なぜ、これほどまで長い間、私達は検索でキーワードを利用してきたのでしょうか?
バーバラ・スター: キーワードは、検索の歴史において、人為的な影響を受けるアイテムとして、進化を遂げてきました。キーワードは、音声検索やジェスチャー検索等のメカニズムが成熟していなかった時代、キーボードのような非効率的な入力メカニズムしか存在しなかったため、利用されていました。当然ですが、音声検索等、行動による結果を機械で提供するには、まだまだ解決するべき課題は残っています。
つまり、キーワードのみのクエリは、最終的になくなると、私は考えています。クエリ全文を入力するのが大変だったため、そして、音声認識、タッチスクリーン等、効果的なテクノロジーがなかったため、キーワードは存在したのです。しかし、現在、検索エンジンは、長い文や本格的なフレーズを好む傾向が見られます。このようなフレーズは、クエリ内の前後の関係、そして、ユーザーの意図に関する情報を(直接クエリの「明確」な要素を介して)得られるためです。私なら、デバイス、居場所等、「状況」に応じて、「黙示的」な要素を様々なサブカテゴリに分類します。
また、ハードウェアの面では、ムーアの法則が関係しています。かつて、源となるコンピュータのパワーが不足しており、また、検索エンジンにはパフォーマンス等を意識させる必要があったため、この奇妙なキーワードシステムを利用せざるを得なかったのです。当時、このシステムに勝るテクノロジーは存在しませんでした。言うまでもないことですが、グーグルが、キーワードの宣伝および収益化に長けていたことも理由の一つです。
「キーワード」に答える「アンサーエンジン」など、夢にも思いませんでした。前後の関係がない状態で、どこからともなく突然、誰かに「delivery」(デリバリー)と言ったら、変人扱いされてしまいます。しかし、現在の検索エンジンは、ユーザーが検索の履歴や場所等、コンテクスト(背景)を提供している場合、食べ物に関連するレストランのカルーセルが表示されます。また、ユーザーによってこの結果が有益ではないと判断されると、2番目のアルゴリズムが稼働し、eコマースタイプのデリバリーの結果を提供します。この際、ナレッジグラフのエンティティが用いられます。ここから、グーグルが「コンテクストそのもの」を引き出すのです。
私: キーワードが重要ではなくなる日はやって来ると思いますか?
バーバラ・スター: SEOの関係者の間では、キーワードにほとんど依存しない構造は、大きな混乱を招くかもしれません。しかし、多くの検索が、1時間後には対象から外れるクエリを持つ、アンサーエンジンを構築するため、10年間を費やした私にとっては、それほど大きな変化ではありません。
Sindice.com等の検索エンジンを例にとって考えると分かりやすいと思います。Sindice.comは、ウェブ上のページをクロールし、HTMLから構造化データのメタデータを抽出し、そして、その他の部分を捨て、「エンティティ検索」として内部で直接検索を行うため、構造化データを維持します。そのため、エンティティ検索におけるページ上のキーワードは、この場合、関連性がある・ないの問題ではなく、検索エンジンによって、文字通り破棄されてしまうのです。
グーグルは、その他のシグナルを使って、信頼性を特定し、内部のエンティティグラフを確認し、検証します。セマンティックに対する注目は大きく、尚且つ、自然であり、ユーザーの意図を理解する観点から、そして、特定の状況下の特定のユーザーに適切な結果を返す観点から、グーグルは「シグナル」に注目しているのです。エンティティとして考えられていない場合、エンティティ検索では、見つけてもらえません。この点において、 「状況」の領域、そして、グーグルプラスと調和する「ソーシャル」の領域を拡大することが出来るかもしれません。
私: これはSEOの関係者が、理解に苦しむコンセプトなのかもしれません。SEOが「エンティティ検索」内にフィットする仕組みを説明してもらえませんか?
バーバラ・スター: グーグルのナレッジグラフがエンティティグラフである点を理解すれば、「エンティティ検索」がSEOに適用される点は、明らかです。そのため、グーグルに「エンティティ」として扱ってもらえない場合、ナレッジグラフ(またはカルーセル)、グーグルナウ、グーグルグラスに存在しないことになります。当然、クエリに対する答えとして結果に表示してもらえなくなります。単純にコンテクストおよび全体像から漏れているのです。
そのため、先程も申し上げた通り、ブランド/クライアントが、グーグル、ビング、そして、台頭するセマンティック・アンサー・エンジンにおいて、見つけて欲しい場所で、必ずエンティティとして認識してもらう必要があるのです。
SEOの関係者なら、エンティティのランク付けにおいて、トレンドのエンティティから発想を得られるかもしれません。これは、計測上の基準において、エンティティにシフトチェンジするグーグルの意向が初めて表面化したサービスであり、新たなセマンティックウェブのツールが開発されるようにつれ、より取り上げられる機会は増えていくかもしれません。
グーグルウェブマスターツール内の構造化データの結果も初期の計測基準に挙げられます。このツールは、今後登場するツールと比べると、まだまだ荒削りだと言わざるを得ません — ついでに言うと、ナレッジグラフもまた生まれたばかりです。
私: 今後3年の間に、検索エンジンのユーザーおよび検索エンジンにどのような変化が起きると思いますか?
バーバラ・スター: グーグルを筆頭に検索エンジンは、最終的な目標である未来のスタートレックのようなコンピュータに向けた取り組みを始めています。今後、検索は、ますますセマンティック化し、人工知能に主に関連する本質的なコンセプトを活用するようになるでしょう。
私: 検索エンジンとSEOは、どのような要素を検討するようになるのでしょうか?
バーバラ・スター: 検索結果、そして、ユーザーのクエリにおいて、セマンティック、そして、構造化データの利用がさらに増えるでしょう。
私: String Entity Optimazation(すなわちセマンティックSEO)は今後どのように展開していくのでしょうか?
バーバラ・スター: ここで再び、ナレッジグラフ、エンティティ検索、そして、「インデックス」から「理解」への関連する方針転換に触れる必要があります。
現在、検索エンジンとソーシャルエンジンの大半が、エンティティ検索を活用しています。そのため、ユーザーの意図の理解が活用される仕組み、そして、エンティティグラフ検索との関係が鍵を握ります。エンティティと見なされていない場合、エンティティ検索では、見つけてもらえません。
私: SEOの当事者は、エンジンがこの方向に全力で進む前に、どのように取り組みを改善すればいいのでしょうか?
バーバラ・スター: SEOに対する質問は、次のように言い換えることが出来ます — よく絞り込まれた、つまり、焦点が絞られ、範囲が限定されたクエリに応える、適切なエンティティを作成するにはどうすればいいのでしょうか?このタイプのクエリは、答えとして、具体的な結果/エンティティを求めています。
SEOの関係者は、エンティティへの文字列のマッピングを理解する必要があります。
エンティティのschemaで定義されている、検索エンジンの内部の構造化データにより、エンティティが見つけられ、表示される点、そして、同じく検索エンジン内部の構造化データからエンティティがもたらされる点を理解する動きが活発化しています。つまり、キーワードについて心配する必要はもうないのです。ユーザーに対して、何を「伝える」のか、そして、検索エンジンが興味を持つエンティティや「物事」にどのように関連付けるのかについて、検討する必要があります。検索エンジンは、ある理由のために、このような「物事」に関心を寄せます。
先程挙げたSindice.comを思い出して下さい。この検索エンジンは、ウェブ上のページをクロールし、構造化データのメタデータをHTMLから抽出し、そして、ページの残りを捨て、構造化データを維持します。内部で、直接このデータに検索をかけるためです(エンティティ検索)。
繰り返しますが、今後は、キーワードや類義語を何度もページ上で利用する方法に関して、気を揉む必要はありません。何の役にも立たないからです。エンジンが、ユーザーにクエリに対する答えを提供する文書にリンクする内部で有効なデータを認証すると、このデータを、答えとして、信頼し、認証したソースとして利用するようになります。
私: 今回は、貴重なご意見を有難うございました。変化はすぐそこまでやって来ており、セマンティックマークアップを理解することが、今後、ますますSEOにとって、ベストプラクティスとなるのではないでしょうか。 新しいSEOの詳細: String Entity Optimization(文字列のエンティティによる最適化)– 今後、再び二人でコラムを提供する可能性があります。
グーグルの公式ブログ: ナレッジグラフの導入
サーチエンジンランド: コンテンツを探す時代から、コンテンツが探す時代へ
アーロン・ブラッドリー氏のブログ: 懐疑的なSEO
デビッド・アマーランド氏の著書: グーグルのセマンティック検索
セマンティックウェブテクノロジーおよびリンクトデータ: SemanticWeb.com
リンクトデータ: LOD クラウド
Mozのブログ: キーワードからコンテクストへ — 新しいクエリのモデル
グーグル+のコミュニティ: セマンティック検索マーケティング
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「Future SEO: String Entity Optimization」を翻訳した内容です。
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