SMX ウエストで、アドビのウォーレン・リー氏とパネルで同席する機会があり、同氏からエンタープレイズSEOに関する興味深い情報をもらった。このパネルの後、私達は問題点に関する議論を引き続き行った。その後、話し合った内容を記事にまとめて欲しいと私はリー氏に頼んだ。以下のコラムがその記事である。
ウォーレン・リー氏は、SEOを介して4800万/月を超えるビジターをアドビのサイトに導いている。リー氏はAdobe.com、Photoshop.com、そして、その他のアドビのウェブプロパティに対するSEOを管理している。
アドビに入社する以前、ウォーレン・リー氏はMOVE社に所属していた。MOVE社では、同氏はインハウスのSEOマネージャーを務め、comScoreがレポートしているように、Realtor.comが不動産業界で最もアクセス数の多いウェブサイトの地位を守る上で敏腕を発揮した。
エリック・エンゲ: SEOで成功を収めるためにどのように組織を構成していますか?
ウォーレン・リー: エンタープレイズSEOの一般的な問題を確実に把握すると、SEOの問題を事前に防ぐことが可能であり、また、検索チームが大きな勝利を収めるための戦略を考案する上でも貢献します。
大規模な企業内で発生する傾向のある主な問題を以下に挙げていきます:
部門間の協力体制の問題は、SEOの専門家が組織の1つの部門に制限されている際に発生します。SEOチームが配属される部門の中では、マーケティングとITが圧倒的に多いです。
ウェブサイト、テクニカル、そして、製品マーケティング部門が全てSEOのパフォーマンスに影響を与える点を考慮すると、戦略および部門間の協力において、SEOチームはその構造上苦労することになります。SEOチームは、常に先頭を切って変化を起こさなければなりません – 大半の関係者は(方法を知っていると仮定した場合)、自ら検索のベストプラクティスを日頃の作業に加えようとはしません。
この難問に挑む検索マーケティングチームは、関係者に参加させる取り組み、そして、SEOの完全な統合を最優先します。そのためには、まずはSEOにインパクトを与える全ての部門を把握し、適切なタイミングで適切な関係者に影響を与えなければなりません。
最終的な目標は、SEOのDNAを早い段階で & 社内の全てのデジタルなアセットに頻繁に注入することです。そのためには、組織の構造内に適切なスキルセットを持ったチーム、そして、このチームの意図を支える企業の雰囲気が必要になります。
この2つが揃ったら、SEOチームは次に企業全体の影響の範囲を評価し、主要なパートナーとの関係を構築する必要があります。大規模な会社の主要なパートナーは次の通りです: 有料検索、サイト検索、ソーシャルメディア、デジタルアナリスト、IT、ウェブ運営、ウェブセキュリティ、法務、製品管理、製品マーケティング、編集、QA、モバイル、リマーケティング、サイトテストチーム。
エンタープライズSEOは抱えきれないぐらいの仕事量があるため、全ての決定に機会費用が存在します。その結果、ポジティブな影響、そして、組織的な変更においては、時間および優先事項を守ることを意識し、避けられない緊急のリクエストのバランスを取り、重要 & 戦略的なプロジェクトを締め出すような事態を避ける必要があります。
サービスの最高のバランスを見出すには、プロジェクトの優先順位は、データ & 結果によって決められ、効果の高いトレーニング、プロセス、そして、関係者とのコミュニケーションによって支えられる環境をチームに作り出す必要があります。
実際には、データを基にした決定は、プロジェクトに対する重要なメトリクスおよびKPIに注目し、メトリクスにおけるインパクトに応じて適切なSEOのレバーを引き、そして、現実的なプロジェクト計画を導入するプロセスを経て行われます。
昨年、情熱的でスキルを持った検索チームを雇った結果、私達はこのプロセスを実装し、デジタルマーケティングスイートを利用して、データおよび関係者の双方と一貫して連動するようになりました。
また、週2度のスクラムチェックイン、そして、共有する知識を保有し、1年に4回優先順位の投票を行うための有力なプロジェクトのランニングリスト(現在150以上)、さらには、取り掛かっている主要なプロジェクトに対する隔週のスプリント等、アファイルソフトウェア開発プロセスの主要な要素を借りています。
優先順位のフォーカスを維持するには、SEOの幾つかの要素 – サイトアーキテクチャ、内部および外部のリンク構築、新しい、または既存のコンテンツ – へのインパクトに応じてプロジェクトを絞り込む方法等が有効です。
追加のプロジェクトや基準には、プロセスおよびワークフローの最適化、有料および自然な戦略の相互の最適化、そして、ソーシャルメディアチームとの連動が含まれます。以前、私は会社の主要なフォーカスの分野を特定し、変更を実施することが可能なリソースが割り当てられているかどうかを評価するプロセスに関する記事を綴ったことがあります。
上述したビジョンを遂行するためには、コンテンツの増加および最適化、リンク構築、そして、サイトアーキテクチャの改善に対する承認および支持を得る必要があります。
アルティメーターグループのレベッカ・リーブ氏が先日実施した調査によって、SEOの優先順位が低く、オンライン動画、ソーシャルメディア、もしくはモバイルマーケティングのイニシアチブほど多くのリソースを得られない傾向があることが判明しています。
この難題を乗り越える組織は、SEOによるプラスの効果を分かち合い、そして、主要なメトリクスに影響を与えている失敗またはサイトワイドの問題を指摘しています。
過去の過ちを指摘する、もしくは(変更を実施しなかった際に発生する)今後の失敗に言及すると、承認を得る上で大いに効果があります。とりわけ、自分達が実施していない競合者の取り組みを挙げると、きっかけとして効果的に作用します。さらに一歩踏み込み、競合者の取り組みを自分達の戦略に組み込み、自分のチームに向けて実装すると、大きな価値を実証する効果が期待できます。
この2つの取り組みは、組織内でSEOを戦略化しない際のコストを明らかにする効果もあります。その際は、プラスの面も分かち合うべきです – 可能な場合にはデータを提示し、主要なKPIを事前に調整し、双方の利益を祝うことで、関係者をSEO大使およびSEOチームのファンにさせることも可能です。
検索の勝利の名声を一人で独占してはいけません。勝利におけるサポートを他の人達に感謝するよう心掛けましょう。すると、大幅に容易に承認を得ることが出来るようになるでしょう。
広範囲に散らばる関係者全体の関与のバランスを取る取り組みは、どんなエンタープライズSEOでも必ず苦戦します。この取り組みにおいては、次の3つの戦略が役に立ちます: トレーニング、義務を記した表、定期的な会議。
継続的な部門間のトレーニングは、SEOの知識 & 責任感を組織に植え付ける上で欠かせません。少しの知識が大いに役立つのです。このトレーニングが存在しない状態では、コンテンツ作成、インフォメーションアーキテクチャ、もしくはソーシャルメディアでのリンク構築等のプロセスにSEOを統合しないことで発生する影響を完全に理解してもらうことは不可能です。
トレーニングでは次のようなコンセプトを網羅しておく必要があります:
また、主要なパートナーとのコミュニケーションを欠かさないように自分自身も注意する必要があります。
そのため、部門間のカスタマイズしたSEOトレーニングを作成することは重要ですが、部門間のワークフローにおけるSEOチームの関与に対して統合したプロセスを確立する必要もあります。
その他のテームのプロセスの内部で適切な接点を探し出すメソッドは、トレーニングと検索チームの関与のバランスを保つ上で、そして、重要なパートナーと連絡を密にする上で非常に役に立ちます。
トレーニングを適切なグループに提供した後、ワークフローのプロセスを分析し、SEOが関与するべきタイミング & 当該のグループがトレーニングに頼るタイミングを特定すると有益です。
その他の部門とのプロセスを検索チームが明確に把握していると、DACIやRASCI等、義務を記した表が、バランスの取れた部門間の関与に向けたステップをまとめる際に役に立ちます。その他のチームのワークフローのプロセスをこのように統合することで、連絡を取り続けるだけでなく、通常の会議と組み合わせ、SEOが必要に応じて必ずプロセスに参加するように仕向けることが出来るのです。
大規模な企業で発生する可能性のある共通の問題を解決するためには、十分に優先順位がつけられたイニシアチブにおいて、SEOが早い段階で、頻繁に関わる必要があります。SEOの情熱的な活動、関係構築、そして、重要なメトリクスへの調整は、SEOを行う雰囲気を作る上で絶対に欠かせません。
エリック・エンゲ: ご協力感謝します。
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「How To Structure Your Organization For SEO Success」を翻訳した内容です。
SEOの場合、デザインからシステム、コーディングに最近はコンテンツとかなり多岐に渡る範囲を考える必要があり、部門を超えた連携なくしてSEOの成功はありえません。SEOとは全く関係がないように思えるアドビですが、自身のウェブ戦略においてはきっちりSEOも上手に取り込んでいるようですし、今後こういった企業が多く増えてくると良いですね。SEO業者的には微妙に商売上がったりな部分も無きにしも非ずですが、、、汗、、、ま、でもそれはそれで良いことなので良しということで。 — SEO Japan [G+]
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