これまでSEOにおいてソーシャルメディアを無視する危険(およびソーシャルメディアにおいてSEOを無視する危険)を何度も取り上げているが、今回は別の危険について考察したいと思う – それは従来のセールスファネルにおいてソーシャルのメリットを無視する危険である。
多目的なツールとしてではなく、ソーシャルメディアを個別の要素、別個の部門として取り扱っている人達が後を絶たず、私のフラストレーションは溜まる一方である。
ソーシャルメディアチームを窓際に追いやり、ツイートやインスタグラムの写真の投稿を任せ、その一方で、マーケティングチームはコンバージョン、ランディングページ、リード、コスト、ROI等の大物に本腰を入れて取り組んでいる傾向が見られる。
エキスパートの多くは、ブランド認知に関してソーシャルメディアの力を認めている – ソーシャルメディアには、顧客をセールスファネルで下方向に向かわせ、収益に変えられるま維持するフライペーパー(実際の売り上げの功績は認められない)効果があると認識している。
しかし、ソーシャルメディアがセールスファネルの一部であり、売り上げやコンバージョンを決定する重要な要素であることを忘れがちである。そこで、目隠しを外し、サイト“内”で発生する短期的なコンバージョンに焦点を絞る方針を今こそ見直してもらいたい。
コンバージョンは長期的なプロセスであり、売り上げに結びつくすべての長期的な要因を無視しているなら、顧客の期待に応えることは出来ず、事業は傾いてしまうだろう。
目次
トラフィックのパターンやコンバージョン率を分析する力を否定するつもりはないが、サイトにアクセスする一部の人達のみに網を投げ掛けるだけでは不十分である。
ウェブサイトに一度もアクセスしたことがないツイッターのフォロワーがいるはずだ。フェイスブックのページを訪れたものの一度も“いいね”をしていない人達もいるはずだ。
さらに、当該の分野に関心を持つものの、競合者ばかりに気を取られ、自分の製品を注目していない人達もいるはずである。また、自分の会社の存在すら知らない顧客候補の人達もどこかに必ずいるはずなのだ。
従って、もっと広い範囲に網をかける必要がある。
私達は売り上げのプロセスを必要以上に簡素化してしまう傾向が見られる: 靴を売る。顧客が靴を必要としている。サイトにやって来て、製品を閲覧し、靴を買う。
また、若干複雑にしても次のようなプロセスで満足している:
私の会社は靴を販売する。顧客が私のサイトの存在に気づき、靴が販売されていることを学ぶ。ビジターは今日靴を買わないかもしれないが、興味を持っていることは間違いない。サイトに戻って来て靴を買うまでは彼らに引き続き狙いを絞る。
しかし、現実には売り上げのプロセスは最初のアクセスの遥か以前から始まっており – そして、アクセスしてもらった後でも、買ってもらえるよりも、買ってもらえない可能性の方が高い。サイトを見つけてもらい、30分間サイトを閲覧してもらっても – 2ヶ月後にはサイトの存在を忘れてしまう可能性がある。毎月、数多くのサイトにアクセスしているはずであり、覚えてもらえるとは限らない。
あるいは、ただ単に時間潰しをしており、1日に8つの靴のサイトを見て回っているだけなのかもしれない。競合者のサイトではなく、自分のサイトを覚えてもらえる保証はない。
買うつもりがなくても店に入ることはよくある。製品に興味を持つかもしれないが、明確な理由がない状態では(セール、イベント、クーポン)、実際に財布に手を伸ばそうとは思わないのではないだろうか。
そして、この初回の訪問において買う気が起きなければ、 – 買うべき理由を与えなければ、今後、買いたいと望むことはないだろう。ソーシャルメディアほど、このような理由や機会を与えることが出来る場所はない。
それでは、長期的なソーシャル検索ファネルで成功を収める典型的な例を見ていこう:
インフォメーショナル検索 > ソーシャル Q&A サイト > ソーシャル 常に新鮮なリソース/リンクベイトの推薦 > リテーゲティングを行った広告のクリック > フェイスブックページのいいね! > フェイスブックでの値引きのオファー > サイトで製品の購入
1. インフォメーショナル検索
顧客は「vegan shoes」(註:植物性素材だけで作った靴のこと)とグーグルに入力する。購入サイクルのリサーチの段階がここから始まる。
2. ソーシャル: Q & A サイト
顧客が「vegan shoes」のヤフー!アンサーズのスレッドを見つける。
3. ソーシャル 推薦
このスレッドの中で、vegan shoesの販売会社が、vegan shoesを特定する方法を取り上げた記事にリンクを張っている。この記事は常に新鮮なリンクベイトタイプの記事であり、この会社が随分前に作成したものである。ユーザーはリンクをクリックして、この記事を読む。
4. 検索リターゲティング
この会社はアドワーズのリマーケティング機能を介して、このユーザーをリターゲティングの対象にする。翌日、ユーザーは、この会社のフェイスブックページに向かうリターゲティングされた広告のバナーを目にする。
5. ソーシャル: フェイスブックページのいいね!
顧客はバナーをクリックして、会社のフェイスブックページをいいね!する。ユーザーは定期的にこの会社からのアップデートをフェイスブックのニュースフィードで目にする。
6. ソーシャル: フェイスブックの値引きに関する投稿
その月の下旬にユーザーはこの会社が行う1日限定のセールに関する投稿を目にする – この投稿はフェイスブックのユーザー専用の値引きコードを掲載している。
7. フェイスブックを介したソーシャルの推薦
ユーザーはこのリンクをクリックして、セールの製品を閲覧する。気に入った靴を見つけたものの、仕事中であったため、値引きコードをメモする。
8. ナビゲーショナル検索
ユーザーは正確なURLを知らないため、ナビゲーショナル検索として、靴会社のブランド名で検索を行う。ユーザーは靴を発見し、値引きコードを利用して、靴を購入する。
それでは、この長い長い売り上げへの道は、何を意味しているのだろうか?大半の企業はナビゲーショナル検索に焦点を絞っている。この道のりを見て、フェイスブックの値引きのプロモーションや最初のリンクベイトが売り上げをもたらしたと主張する人もいるだろう。
しかし、それは誤った見方である。このプロセスのすべてのパーツ – 最初のインフォメーショナル検索から最後の購入に至るまで – この売り上げをもたらすために連動していたのだ。
ファネルの高い場所に顧客がいる段階では、アグレッシブなセールスの戦略は控えるべきである。ソーシャルメディアマーケティングでは、売り上げにのめり込むのではなく、ファンを増やし、コミュニティと交流し、そして、ファンの行動に影響を与えることが重要である。
それでは、このような取り組みは、どのように売り上げにつながるのだろうか?売り上げプロセスの早い段階で顧客に接触することで、競合者よりも先に接触していることになる。また、早ければ早いほど、購入の決定を下すまでにより多くの交流を行うことが出来る。
私達は信頼を基に購入を行う。ファンやフォロワーと交流を積極的に行えば、それだけ会社およびブランドを知ってもらえるようになり、信頼感が生まれる。また、顧客に無限に記憶してもらえるようにもある。なぜなら、製品ではなく存在を知ってもらえるためだ。
交流を通して、力を入れていることが伝わり、顧客もまた応えてくれるようになる。
ソーシャルメディアは、顧客の心の中に存在し続ける力を与える。靴のセールに関する投稿によって、顧客は自分の結婚式が近づいており、ハイヒールの靴を必要としていることを思い出し、また、最新の投稿によって、顧客は弟の誕生日が近づいていることに気づくかもしれない。
ソーシャルメディアのフォロワーは、たとえ購読者が購入を行わなかったとしても、いつでもファネルにおいて大きな役割を果たすポテンシャルを秘めている。
ソーシャルメディアのフォロワーは次の取り組みを実施する可能性がある:
私には全てのタイプを網羅するソーシャルファネルでの投稿を行う方法を考案することは出来ない。そんなことは誰にも出来ない。皆さんの会社および顧客はそれぞれ異なり、売り上げを確定させるのは皆さんの腕次第である。
企業として、クエリにおいてユーザーが従う可能性のある全ての接点を把握する試みを行う必要があり、- また、すべての接点で自分のブランドが存在しており、積極的に活動しなければならない。そのためには、実験、テスト、分析、そして、再構成を行うべきである。最終的にはファネルの穴が売り上げの減少 – そして、顧客の減少につながるからだ。顧客の減少は、誰のせいでもなく、会社自身の責任である。
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「 The Social Funnel: What You Lose When You Ignore It」を翻訳した内容です。
特にソーシャルメディアとサーチを融合したマーケティングは、上のファネルにもあるようにユーザー行動を考えると自然なはずなのですが、現状どちらかに特化しているマーケッターが多いせいもあってか、まだまだ活用が十分にされていないとも感じます。コンテンツマーケティングやインバウンドマーケティングが叫ばれる最近ですが、手法にとらわれ過ぎることなく、あくまでユーザー心理、行動を考え理解した上で必要とされるべきアクションを打っていきたいものです。 — SEO Japan [G+]
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