プラスに関する噂とツイートでインターネットが氾濫している。プラスとは、皆さんが慣れ親しんでいる検索エンジンを運営する、某企業が新たに作成したソーシャルネットワーク「Google+」のことである。
機能やhow toや仮定の推測を詳しく説明していくつもりはない。ジェイソン・フォールズ氏やクリス・ブローガン氏等、私よりも上手に説明することが出来る人達に任せておく。
グーグルの新しいソーシャルネットワークに対する私の第一印象を簡単に表現するならば、使い方が簡単で、ポテンシャルが非常に高い、フェイスブックとツイッターのハイブリッドと言うフレーズがぴったり当てはまる。初めてのリリースに関わらず、プラスはピカサ(グーグルのフォトサービス)を見事に統合しており、そして、ライブビデオチャット機能(ハングアウトと呼ばれる)はスカイプを脅かす可能性がある。しかし、最も分かりやすく、最も前評判が高い機能は何と言ってもサークル機能であり、連絡先を分割し、ドラッグ & ドロップで簡単に実行することが出来る。リストを作るために必死で作業に励むことも(ツイッターのように)、もしくはグループを作るために何度もクリックしたり、怪しげな説明書を読む必要もない(フェイスブックのように)。プラスは、友達をあるカテゴリーに、同僚を別のカテゴリーに、のようにとてもシンプルに振り分けていくことが出来る。すでに一部のグーグルプラスのアーリーアダプター達は、20、あるいはそれ以上のサークルを作成し、それぞれのオンラインの関係を分類している。ステータスアップデート、写真、動画等を1つまたは複数のサークルで配信するプロセスは、たった1回のクリックで済む。
しかし、サークルの話はここで切り上げよう。そのうち皆さんも自分自身で確かめ、グーグルプラスが、ソーシャルのつながりにおけるご自身の見解に当てはまるかどうか結論を出してもらえばよい。代わりに、私はグーグルプラス/グーグル+(どちらの書き方が定着するのだろうか)が企業で利用することが可能になったときのこと、そして、ツイッターやフェイスブック等のソーシャルメディアにどのように影響を与えるかに焦点を絞ってこの記事を書き進めていきたい。
巨大なワールドワイドウェブを仕分けし、分類する取り組みは、コンピューターの科学者達にとって、数十年越しの夢であった。グーグルは“少なくとも商業的な面においては”この暗号を見事に解き、毎日ように検索アルゴリズムを調整し、1年に数回大きなアップデートを継続して行っている。しかし、グーグルはウェブで良いアイテムとあまり良くないアイテムを特定する行為には長けているが、昔から2つの重要な要素、ページとリンクのみに頼ってきた弱みを持つ。
ページはHTMLが登場して以来ウェブの構成要素の役目を果たしており、大勢のロボットを送り出し、ページを読ませて、正確に整理する作業は、見落とされているものの、日常的なオンラインライフにとって絶対に欠かせない要素である – 電気やロルキャットと同じようなものだ。昔から、検索エンジンは、誰でも「ディスカウント 自動車の部品」を37回ウェブページに記載し、1位に格付けしてもらえるように画策する点を理解していた。そのため、ランキングメカニズムへの無数の改善に加えて、グーグルはページランクの公式を工夫し、数字、タイプ、そして、ページにリンクを張るその他のページの評判を主要なランキングの要素として利用するようになった。
この時点で、SEOはギークのチェスのような存在に発展し、SEO業者がグーグルが抱えるギークと対立し、抜け穴の発見、エクスプロイト、そして、消去を巡って、いちかばちかの勝負をするようになった。スポックがレッドブルを片手に複数のモニターを使って立体のチェスに挑んでいるようなものだ。記載されている用語、そして、リンクを張る他のページを基にページを上位にランクインさせることが目的である。
そして、10年の間、この戦略は道理にかなっていた。大いに意味があった。驚くことにグーグルは、自社のテクノロジーを回避させる代わりに、ランキングの公式に則った場合上位にランクインする価値がない場合でも、ページを上位に格付けする代わりに料金を課し、数百万ドルを儲けていた。
しかし、ソーシャルメディアが台頭し、生活の一部を分かち合うことで、ますます破壊が進む社会に立ち向かう、奥深く、ほぼ世界共通の望みに私達が気づいたとき、ページとリンク=貨幣と言うコンセプトが、あまりにも古いと考えるようになった。
現在、ステータスアップデート、写真、動画、その他のソーシャルなアイテムが大量に配信され、共有され、そして、ウェブページを構成している。コンテンツの作成が誰にでも出来るようになり、企業ではなく個人が主役になったためだ。私は1994年からインターネットを利用しているが、当時でも多くの人々がエンジェルファイヤー、トライポッド、AOL、そして、その他のワードプレスの祖先とも言える初期のウェブパブリッシングプラットフォームを利用していたが、このようなツールを使っていたネットユーザーは、アメリカ人のネットユーザーの73%が毎月フェイスブックにアクセスする(コムスコアを参照)現代と比べると、圧倒的に少なかった。
ページから共有可能な小さなコンテンツ(フェイスブックでは“エッジ”と呼ばれる)への大きなシフトチェンジは、ページ、そして、ページをつなげる網を基に帝国を構築していたグーグルに大きな問題をもたらしている。
ページランクは、可能な限り最も質の高い検索エンジンの結果をグーグルのユーザーに提供するために考案されていた。理論的には、リンクを張っているページの質が高く、リンクの量が多いページは良質なコンテンツであり、それぞれのリンクは当該のページへの“票”としてカウントされる。しかし、表現の形式がページより小さくなり、コンテンツへの質の信頼がソーシャル共有や“自分のウェブサイトからリンクを張る”行為以外の行為で表現されるようになり、グーグルは、ウェブページを格付けするポーカーをカードが足りない状態で行っていることに気づいたのだった。情報が欠けた状態であり、とても困難な取り組みにチャンレンジしていたのだ。
グーグルはもう間に合わないことは悟っていたが、数年前に既にこのシフトチェンジには気づいており、だからこそ生まれて間もないツイッターを必死で買収しようとしていたのだ。グーグルはツイッターが収益源として期待できるか否かに関わらず、ソーシャルコンテンツを格付けするための得点表の価値があると見込んでいた。RTとフォローは、コンテンツの分類における信頼を巡る競争で票としてカウントされるのだ(過去の傾向、居場所、その他の若干気分が悪くなるような情報)。ツイッターの買収に失敗したものの、グーグルはツイッターのデータをグーグルの結果に導入することに成功しており、配信したコンテンツに寄せられたツイートとメンションはグーグルの格付けに大きな影響を与えている(だからこそ、検索とソーシャルメディアのマーケティングの側面を同時に考えることが重要なのだ)。また、グーグル.comにサインインしているなら、ツイッターでの出来事、そして、ツイッターでフォローしている人達のツイッターでの行動の影響が検索結果に出る可能性がある(注記: 私はこのエントリを7月3日に投稿したため、グーグルがツイッター経由の特別なフィードの提供を7月2日に終了した(日本語)ことを認めた点を知っていた。G+のローンチのタイミングに関係しているのかどうか興味深い)。
しかし、フェイスブックは全く異なる。フェイスブックは常にグーグルを警戒してきた。なぜなら、ページからソーシャルオブジェクトへのシフトチェンジが行われると、このアイテムが最も多く作成されるプラットフォームこそが最も優位な立場に立つことを理解していたからだ。フェイスブックはデータのストリームを決してグーグルに開放することなく、代わりにマイクロソフトのビングと提携して、若干おざなりの、脅威に欠ける検索製品をローンチした。この製品は、ユーザーがフェイスブックの認証情報の利用を認めている場合、フェイスブックの友達の行動をビングの検索結果に反映させる。全く面白味のない製品だ。
一方、グーグルは“さらに多くのソーシャルシグナル”を検索アルゴリズムに組み込むことになる”。なせなら、グーグルはツイッターのデータを持っているものの、ツイッターを利用しているのは米国市民のたった8%であり、グーグルは8%で満足するような企業ではなく、「すべてのビー玉、そして、ビー玉を運ぶ袋ごと寄こしなさい。あと、仕事中に円を描くために使っていたそのチョークも寄こしなさい」的なビジネスを展開しているのだ。その結果、グーグルは、ますます拡大を続けるウェブにおいて、関連性のレベルで最も高い位を維持する上で欠かせない得点の情報を手に入れるために、ソーシャルシグナルの源を考案する試みを行ってきた。 オーカット、グーグルバズ。グーグルウェーブ、ピカサもこの部類に含まれるだろう。しかし、ツイッターレベルの勢いを得た製品はなく、また、フェイスブックには到底及ばなかった。
この4つの製品が失敗した原因は数多く考えられるが、そのなかでもグーグルがユーザーを新しいソーシャルな行動に導いてきた点は主な原因の一つに数えられるだろう。特にウェーブは大きくテクノロジーを進化させていたものの、コンピュータを介して他の人達と交友する仕組みに大きな変化をもたらす必要があり、これはあまりにも現状とのギャップが大き過ぎた。ウェーブは、その他の多くのグーグルの製品と同じように、まだ尋ねる準備が出来ていない疑問に対する答えであった。
しかし、プラスに関しては、グーグルはコースを完全に逆流している。現在、グーグルプラスの要素で独自の要素はほとんどない。その代わりに、巨大で経験豊かな企業に相応しく、品位と計画性をもってフェイスブックとツイッターの機能を採用し、3人目の利点を最大限に活用している。フェイスブックは、世界最大のOJTプログラムであり、7億5000万の人々が週末夜通しで遊んでいる間に、若干経験は浅いものの、大勢の優秀な人達が、毎日1つずつ部屋を改築している。これは新しい機能に対する成功率に反映される。ソフトウェアの観点から見ると、開発に10年間をかけているグーグルプラスは、ローンチの段階で、現在のフェイスブック並みに成熟している。
今回、グーグルは「一味違った方法でサービスを提供することが出来る」と言うプライドを抑制し、フェイスブックとツイッターの最も優れている点を採用し、両者よりも巧みに提供したのだ。
確かにフェイスブックは、ソーシャルコンテンツの作成、そして、ウェブページの格付けに利用可能なソーシャルシグナルを持っている。この2つの要素は、グーグルには今のところ欠けている。
逆にグーグルは従来のランキングデータ、グーグルアドワーズを通した巨大なカスタマーベース、そして、見過ごされがちではるが、規模の大きな一連の補助的な製品を抱えている。また、グーグルが世界で1番大きい検索エンジンと2番目に大きい検索エンジンを所有している点を思い出してもらいたい。2番目に大きい検索エンジンとはユーチューブである。
間違いなくグーグルはすぐにグーグルプラスでの行動をランキングアルゴリズムに反映させ始めるだろう(既に反映させている可能性もある)。そして、否定はしているが、過去、グーグルは所有するプラットフォームで作成されたページを有利に格付けしたことがあった。例えば、Knolだ。
グーグルは私達のデジタルライフの多くの隙間に数多の触手をねじ込んでおり、統合と通知を介して(まだ序の口)プラスを強制的に利用させることが出来る:
グーグルはOS(クローム)、ブラウザ(クローム)、そして、人気の高いモバイルプラットフォーム(アンドロイド)を所有している。フェイスブックはこの類のアイテムを一つも持っていない。また、ツイッターは、ツイッター.com、一握りのセレブやアスリートのユーザー、そして、不可解にも4000万ドルを投じて手に入れたツイートデック以外は何も魅力がない。フェイスブックがウェブの配管設備になりたがっている点は以前説明したが、グーグルは既により多くのパイプ、配管工、そして、顧客を抱えている。
グーグルは企業にはプラスのページを展開していないが、用意している点を認めており、フォードやマッシャブル等の企業は既に個人のページを勝手に使ってプロフィールを作成している。
個人的には、2011年の年末、そして、レーバーデー(9月の第一月曜日)の前に次のようなシナリオが実現すると思っている。グーグルはアドワーズの顧客にプラスのページを開放する。クリックおよび+1(グーグル版の[like])がプラス上で事業のコンテンツに寄せられると、オーガニックの検索エンジンのランキングに直接影響をもたらす。一方、フェイスブックのアクティビティは引き続き全くインパクトを与えない。
皆さんの考えを聞かせてもらいたい。消費者がグーグル+に集まらなければ、顧客がいる場所に足を運ぶため、企業はフェイスブックのファンページに多くのコンテンツ(大抵の場合、多過ぎる)を加え、グーグルプラスでの存在は後回しにするだろう。しかし、プラスがエンドユーザーの間で受け入れられるなら、- 私はそうなると確信している – 検索とソーシャルをまとめるグーグル独自の力によって企業をねじ伏せ、グーグルプラスを企業と顧客が交流を行う場所にするだろう。
私はフェイスブック(はたまたツイッター)が消滅するとは思わないが、優れた企業は、この夏、時間を割いて、特定のプラットフォームでソーシャルな行動を取ることに励むのではなく、ソーシャルになることに専念するだろう。結局、ツールが常にオンラインを変えていくのだ。
いつの時代も。
この記事は、Convince & Convertに掲載された「Why Google Has the Hammer To Make Businesses Use Google Plus」を翻訳した内容です。
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