Googleが、検索結果で表示される情報をよりリッチにしていく傾向が続いていますが、「自社サイトへのクリックが奪われてしまう」といったWebマスター側の懸念はよく聞きます。
先日、若者を中心としたユーザー行動の調査結果の記事を紹介させていただきましたが、今回は検索全体の調査記事となります。SEO JapanではおなじみのSearch Engine Landから、Jumpshot社が行った調査データをもとに、ランド・フィッシュキン氏が見解を述べている記事を紹介いたします。
SEO担当者としても非常に気になるトピックですが、その調査結果は、いかに。
Jumpshot社による調査によると、Googleの検索エンジンを利用した検索行動全体において、そのうちの49%は自然検索結果をクリックせずに検索行動を終えるものである。
しかし、自然検索結果へのクリック数は、広告へのクリック数の12倍に昇る。
部門にもよると思うが、3年前と比べ、今日のマーケターはおそらく複数のポジションを任せられていることだろう
これは、SparkToroの創立者であり、Googleのクリック率の調査についての記事を執筆したランド・フィッシュキン氏がSearch Engine Landに語ってくれた言葉だ。
マーケティング調査会社のJumpshot社から提供されたデータによれば、Google検索でクリックが発生しないケースは、ここ3年間で上昇傾向にあるとのことだ。
Jumpshotが計測しているデータを分析した結果、2019年の第一四半期では、米国のGoogleで行われた検索のうち、48.96%がクリックされなかったという。この数字からは、2016年の第一四半期と比較し、12%も増加していることが読み取れる。
また、2019年の第一四半期で行われたGoogle検索のうち、41.45%がGoogle以外のWebサイトへのリンクをクリックしており、5.9%がGoogleの所有するWebサイトへのリンクをクリックしている。クリックをしたユーザーのみに絞り込むと、12%がGoogleの所有するWebサイトへのリンクをクリックしている。
「旅行、ホテル、フライト、歌詞など、あなたがGoogleが参入を決意した市場にいる場合、検索市場の覇者であるGoogle企業は市場における競合相手となり、多くの機会を奪っていくだろう」。これは、前述のランド・フィッシュキン氏がニューヨークで行われたSMX Eastのキーノートで語った言葉である。
目次
(データ情報:10億回の検索、1,000万のモバイルとデスクトップのデバイス)
Jumpshot社の算出によると、2019年の第一四半期では、615億回のクリック(自然検索、かつ、ブラウザベース)が発生している。同社が算出した、2016年の第一四半期のクリック数は756億回であったため、20%近い減少となっている。
(データ情報:1,000億回の検索、1,000万人のモバイルとデスクトップのデバイス)
自然検索結果へのCTRは13%減少し、47.4%となっている。しかし、広告へのCTRは75%上昇し、3.69%となっている。
クリックが発生しない検索と広告のクリックの増加はモバイルにおいて顕著だ。
また、上記のグラフで示されているとおり、検索トラフィックの獲得機会も、デスクトップと比べ、モバイルのクリック数の減少が大きくなっている。全体の検索はモバイルの方が多いため、ブランドにとっての影響は大きい。
フィッシュキン氏は、この状況の一部を「Googleの検索結果画面の積極的な機能強化と(強調スニペットによる)インスタントアンサーによるもの」と考えている。広告も、モバイルの画面では、スマートフォンのファーストビューの大部分を占めている。
この記事で使用された図は、アメリカ国内で、1,000万のデスクトップとAndroidのデバイス環境で行われた、10億以上のブラウザ検索のデータを元に作成されている。
「iOSデバイス」「Google検索アプリ」「音声検索のみのデバイス」「モバイルアプリへランディングする」などの検索は含まれていない。
クリックが発生しない検索は、ユーザーが求める情報が、検索結果画面で表示される場合に起こる
これは、Googleが様々な強調スニペットを提供することで実現される。
SEO InhouseのCEO、そして、Search Engine Landのエディターでもあるジェシカ・バーマン女史は、SMX Advancedのキーノートにて、「Googleは検索エンジンとしての側面を弱め、ポータルとしての側面を強化している」という考えを披露している。また、検索結果画面の変更に対し、企業が準備すべきことも提言している。
「”強調スニペットの高機能化”と”クリックが発生しない検索の増加”というトレンドは、より資金のあるブランドにとって有利な状況になるのか?」という問いに対し、フィッシュキン氏は、「そうかもしれない。しかし、国内のビジネスを取り巻く環境を反映しているともいえる」と返答している。
比較的小規模なブランドも強調スニペットやリッチリザルトに採用される場合もあるが、(資本力のある企業が有利になるという)あなたの分析は概ね正しい。
Google検索からのトラフィックは、さらに少数の巨大な勝者へと流れるだろう。
公平に言うと、このトレンドは、アメリカの経済の全般のトレンドとも言える。富の集中と検索の集中は相関している。
また、どちらももたない弱者は、よりGoogleを批判する傾向にある。
検索の半分が検索結果に表示されるリンクをクリックせず、その内の12%がアルファベット社(Googleの持株会社)の保有する資産へと導かれる状況において、自然検索における窮地と考えるマーケターもいるだろう。特に、旅行予約やフード・デリバリーなど、Googleと競合する業界においては。
しかし、Googleが検索結果上で自社サービスを展開していることを楽観的に見るべき理由も存在する。
「Googleと直接競合していない分野と比べると、クリックされる機会は少ないかもしれないが、競合している分野よりも検索者は多く存在するだろう」と、フィッシュキン氏は指摘する。
また、強調スニペットへの最適化や構造化データの実装などは、Web上の発見性(見つけやすさ)と検索者の行動に対する、効果的な施策となりうる。
Googleのビジネスモデルについては司法省も関心があり、厳しい監視下におかれている。この流れを断ち切るポジションにいるマーケターも存在するだろう。
「多くの報道の関心を引き寄せ、政府機関がGoogleを注視している状態ではあるが、マーケターとパブリッシャー(発信者)がGoogleの行動に影響を及ぼす機会はあるだろう」と、フィッシュキン氏は述べている。
こうしたマーケターによる貢献が、検索業界の覇者(Google)が”公平で、開かれており、健全な競争が保持される環境”を作る手助けとなればいいと考えている。
米国のユーザーが対象、また、iOSデバイスが含まれていないなどの条件はありますが、検索ユーザーの行動を推し量る上では有用な調査であったと思います。
Googleの検索結果の変更は賛否両論あると思いますが、検索ユーザーの行動の変化は事実として受け止めるべきでしょう。
「重要なキーワードの順位を死守する」だけでなく、「複数キーワードでの上位表示獲得」や「コンバージョン増加のための施策」など、SEO戦略自体を拡大させていきたいと、改めて思える記事でした。
SEO最新情報やセミナー開催のお知らせなど、お役立ち情報を無料でお届けします。