より多くのトラフィックを獲得するためか、Webサイトの品質を向上させるためか、ブランド認知を高めるためか、その目的は様々であれ、コンテンツ作成を施策の中心に据える機会もあると思います。しかし、コンテンツを作成することにとらわれてしまい、せっかく作成したコンテンツの効果を把握していない。。。という状況も起こってしまうものだと思います。コンテンツの監査というと、過去を振り返る作業のように聞こえますが、そこで得られた知見は未来のコンテンツ作成にも活かすことができます。今回は、こうしたコンテンツ監査についてまとめた、Search Engine Journalの記事を紹介します。
そのコンテンツの目的をもとに、作成したコンテンツが機能しているかどうかを判断する必要がある。この記事では、そうしたコンテンツ監査のための決定版リストを紹介する。
あなたが保持するコンテンツの完全な棚卸と分析を最後に行ってから、どれくらいの時間が経過しているだろうか?
これはコンテンツ監査と呼ばれるものである。しかし、コンテンツ作成者の多くが新しいコンテンツの作成に注力しており、その結果、すでに自身が作成したコンテンツの監査をおろそかにしてしまっている。
最後にコンテンツ監査を行ってから12か月が経過しているのであれば、あなたは今、古い情報をもとに、コンテンツの戦略を立ててしまっているかもしれない。
ここで、定期的にコンテンツ監査を行うべき理由をいくつか挙げてみよう。
全てではないにせよ、ここで挙げた項目の中で、どれか1つでもコンテンツを定期的に監査する必要がある理由と感じていただければ幸いだ。
では、具体的な監査の内容について見ていこう。
目次
コンテンツ監査の第一歩は、各コンテンツの基本事項を細かく分解し、1回限りの項目とすることだ。
コンテンツがどのように作られているのか、何人のメンバーによって作成されているのか、基本的な公開情報は何か、について着目しよう。
詳細な個々のコンテンツ監査のスプレッドシートに、下記の事項を記載し、測定すべきだろう。
これは非常に楽しいパートである。コンテンツのデータを監査するには、ちょうど私が作成したこのような、便利なExcelシートが必要だ。
データの分析を行う前に、かつて作成したコンテンツの監査が必要だ。
過去に作成したコンテンツのパフォーマンスを知ることで、これから作成すべきコンテンツの種類、また、作成すべきでないコンテンツの種類を把握する手助けとなる。
コンテンツ監査におけるこの作業は、少なくとも最初のうちは、時間のかかる作業となる。
どのくらいの期間をさかのぼるのかを決め、その期間に作成した全てのコンテンツのURLを集めよう。
私としては、少なくとも1年前までさかのぼり、各コンテンツのパフォーマンスを把握することをお勧めしている。
過去のコンテンツのURLを収集する作業は、必ずしも、手作業で行うべきものではない。
幸運にも、Google AnalyticsやSemrushのコンテンツ監査ツールのように、多くのツールが存在する。こうしたツールを活用することで、サイトマップのデータをベースとし、コンテンツのリスト化を素早く行うことができるのだ。
前年度に作成したコンテンツの全てをリストアップし、Excelファイルに追記を終えたら、新しく作成したコンテンツに対して、毎週この作業を繰り返すことができる。
データの入力が1週間分となれば、コンテンツを把握し、定期的に監査を行うことは、ずいぶんと楽になるはずだ。
次のセクションからデータをExcelファイルに追加し、週単位で最新の数字と統計データを更新するのだ。
時間の経過とともに大きな変化があれば、それを忘れずに追記する。
特にエバーグリーンなコンテンツにおいては、本来のパフォーマンスを発揮するまでに数か月かかることもある。
コンテンツのデータの監査を行うにあたり、追跡すべき指標を紹介しよう。
適切に管理されているコメント欄であれば、ユーザーが生成した価値のあるコンテンツを、ブログ投稿や記事に追加することができる。コンテンツ作成の目標の1つがWebサイト内にコミュニティを作成することであるならば、どのような種類のコンテンツやトピックが会話を発生するのかを把握したいはずだ。
ugc属性をリンクに付与し、Googleが求めるリンクのマークアップ要綱に準拠していることを確認しよう。
ブログ記事へのコメントを許可していない場合は、あなたのコンテンツについてのソーシャルメディアの投稿を確認してみよう。
ソーシャルシェア数は無価値な指標であると軽視するマーケターもいる。しかし、ソーシャルにおけるあなたのコンテンツの人気度を確認することは、特定のソーシャルオーディエンスの関心を最も引くトピックを発見する手助けとなりえる。
例えば、会話の多くがFacebookで発生している企業は、Facebookのオーディエンスに人気のあるコンテンツを作成したいと思うはずだ。
過去、Facebookで最も多くのシェア数を記録した記事を分析し、今後の良いパフォーマンスを生むためにはどのようなトピックが効果的かを把握しよう。
作成したコンテンツが多くのオーガニックトラフィックを獲得していることが理想だろう。
オーガニックトラフィックを獲得できていない場合、赤信号が灯っている可能性がある。
もしかしたら、何らかの問題があるかもしれない。
コンテンツ監査の一環として、定期的にオーガニックトラフィックを確認することで、高い評価を与えるか、やり直す必要があるかを判断することができるのだ。
あなたが作成したページに訪問したユーザーが、コンテンツに何のかかわりを持つこともなく、Webサイトを去ることはないだろうか?Google Analyticsのデータを見てみても、ユーザーがWebサイトを去る前のスクロール、クリック、その他のインタラクションを確認できないのであれば、それは直帰とみなされる。
そして、直帰率が高い場合、そのコンテンツの品質は低い可能性がある。
検索からWebサイトへユーザーを導き、ユーザーを楽しませ、必要な情報を与え、ニーズに合わせてさらに多くのコンテンツへ導く、というのがコンテンツとしての理想だろう。
直帰率が低く、滞在時間が長いコンテンツは、ユーザーを引き付け、さらに多くの時間を別のコンテンツで過ごしてもらう、「粘着性」のあるコンテンツと言える。
直帰率の目安はどのくらいだろうか?
26%~40%が理想的であるとみなされる場合が多いが、平均では55%ほどになることもあるだろう。
バックリンクを獲得することは良いことである。しかし、我々の価値を高め、信頼性を与えてくれるバックリンクに限る。
作成したコンテンツがバックリンクを獲得したかどうかを定期的に確認することは、下記の2つの理由により、必要と言える。
・バックリンク数は時間の経過とともに変化する。新しいコンテンツを公開した初日では、バックリンク数は2~3本かもしれない。しかし、1週間後には10~12本を獲得しているかもしれない。さらに、1年後には、そのコンテンツが宣伝され、多くのユーザーに発見され、共有されることで、589本のバックリンクを獲得しているかもしれない。
・全てのバックリンクが良いリンクであるわけではない。589本のリンクというと、良い数字であると思えるかもしれない。しかし、そのうちの500本のリンクが潜在的に危険であったり、スパムの可能性があったり、有料リンクであったり、品質の低いWebサイトとつながっている場合、こうした不自然なリンクの削除を検討すべきかもしれない。
2,500単語の長文のブログ記事にもかかわらず、平均滞在時間が18秒であるならば、何らかの問題があるはずだ。
滞在時間は、あなたのコンテンツがオーディエンスにとって適切でないのか、もしくは、適切ではあるものの、そのトピックにさらに注力したコンテンツを作るべきなのか、といった判断を下すために必要な指標と言えるだろう。
多くのユニークビジターを獲得し、コンテンツを見てもらい、コンテンツの閲覧数を増やしたいはずだ。
より多くの閲覧数を得られれば、コンバージョン、エンゲージメント、シェア、バックリンクなど、コンテンツからのROIを得られる機会が増えるだろう。
ユーザーがコンテンツを閲覧した後、どのくらいのページをユーザーは見ているのか?
どのようなページへ、ユーザーは遷移しているのだろうか?
冬に買うべき最適なコートを紹介するブログ記事は、その記事内のリンクをユーザーがクリックし、あなたのWebサイト内で販売している他のコートを閲覧するきっかけとなることができる。もしかしたら、その中の何人かのユーザーは、購入に至るかもしれない。
そのコンテンツは、新規顧客を獲得できているだろうか?
再訪問してくれるユーザーを獲得することは素晴らしい。再訪問してくれる顧客は、なお良い。
しかし、我々は新しいユーザーをコンテンツによって獲得する必要がある。それぞれをうまく組み合わせることができれば、理想的である。
メインのトラフィックのソースを特定することで、トラフィックがどこから発生しているかを把握することができる。
もし、トラフィックの大部分がFacebook経由であるならば、より多くのコンテンツをFacebookに投稿すべきだ。
Eメールのニュースレターからのトラフィックがほとんどないのであれば、Eメールの内容を再検討すべきだろう。
新規に作成したコンテンツの目標が、第一四半期に100のコンバージョン(例えば、Eメールのニュースレターのオプトイン)を得ることであれば、スプレッドシートに列を追加し、そのコンテンツから発生したコンバージョンを計測する必要がある。
おそらく、最初の週ではコンバージョンが2件しか発生しておらず、そのコンテンツの有効性を疑うかもしれない。
しかし、毎週コンテンツの監査を行い、2か月が経過したとしよう。その結果、トータルで140のコンバージョンが発生しているかもしれない。目標を達成しているだけでなく、それを上回る可能性もあるのだ。
監査を継続的に行うことで、各数値に意味のあるコンテキストを付与することができ、データに裏打ちされた、より賢明な判断を下すことができるのだ。
コンテンツについてさらに詳細を追加したいのであれば、下記のような情報が候補となるだろう。
スプレッドシートに行を追加し、こうしたSEOに関連する値を記載しよう。
今後、コンテンツを最適化する作業をする場合、今までに使用したタイトルとディスクリプションをすぐに確認することができるため、非常に便利である。
コンテンツのトラッキングに使用したカスタムUTMパラメーターを記録しておくことで、各コンテンツのプロモーションキャンペーンを追跡することができる。
こうすることで、新しいコンテンツ用にUTMパラメーターを作成する際や、Google Analyticsで過去のコンテンツのデータを探す際に、非常に便利である。
Google Analyticsでコンバージョンイベントを設定している場合、どのコンテンツの収益が最大であるかを把握することができる。「エンゲージメント」の配下にある「ページとスクリーン」にアクセスし、Webサイト内のどのページがコンバージョンを導いているのかを確認しよう。
こうしたデータを把握することで、ROIによい影響を与えるコンテンツの種類やトピックを理解することができる。
作成したコンテンツをメールリストで共有した場合、コンテンツのパフォーマンスに影響はあっただろうか?
Eメールのエンゲージメントが重要な目標であれば、開封数やクリック数を計測し、どのコンテンツのパフォーマンスが最高であったのかを確認しよう。
いくつかの記事を集め、それらをEブックにしたり、またはその逆を行ったことはあるだろうか?このように再利用したコンテンツについては、その記録を残しておこう。
メインのコンテンツと、関連するコンテンツの指標を組み合わせ、コンテンツの再利用があなたの戦略にどのような影響を与えたかを確認しよう。
特定のコンテンツにおけるターゲットキーワードで上位に表示されているだろうか?
ランキングの上位に表示されているキーワードとその表示期間を把握することで、とのようなタイプのコンテンツが長期間上位に表示され、どのようなタイプのコンテンツが短命に終わったのかを把握できるようにしよう。
コンテンツの拡散を目的として、インフルエンサーと共同したことはあるだろうか?多くのトラフィックやソーシャルシェアもたらしたインフルエンサーを把握しておこう。
今後、同様のコンテンツを作成する場合、彼らと再度仕事を行うかもしれない。
コンテンツの本来の目的に基づき、そのコンテンツの効果を判断する必要がある。
監査の対象となるコンテンツには、いくつかの指標が付随しているはずだ。こうした指標は、そのコンテンツが目標を達成しているか、もしくは、大きく逸脱してしまっているかを確認することに役立つだろう。
パフォーマンスの良いコンテンツの場合、監査によって得られた結果が、何を意味しているのかに注目しよう。そのコンテンツの種類は何か、トピックは何か、誰が作成したか、いつ公開したか、などである。
成功を重ねるについて、同様の効果を得られるコンテンツを作成することが可能になるだろう。
目標に届かなかったコンテンツの場合、各指標については注意を払おう。
コンテンツを公開したチャネルの場合もあるし、著者、公開時期、コンテンツの種類など、様々な要素が絡み合っている場合もある。
パフォーマンスの高いコンテンツから得られた知見を、パフォーマンスの低いコンテンツに適用することも可能かもしれない。
定期的な監査を行い、コンテンツの効果を測定することをいとわなければ、新しくコンテンツを作成することへの恐れもなくなるだろう。
あらゆる施策にはその目標を設定すべきであり、コンテンツ制作も例外ではありません。設定した目標を達成したかどうかを判断するため、効果測定は非常に重要な作業です。しかし、計測対象となりうる指標が数多くあり、なかなか面倒な作業にもなってしまいます。今回の記事で紹介されているように、一通りの枠組みさえ作ってしまえば、あとは繰り返すの作業とすることも可能です。せっかく作成したコンテンツを無駄にしないためにも、定期的な監査を実施していきたいと思いました。
この記事は、Search Engine Journalに掲載された「How To Do A Content Audit: The Ultimate Checklist」を翻訳した内容です。
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