あくまで一般論ではありますが、Webサイトの規模が大きくなればなるほど、SEOの難易度も増加していくものです。
いわゆるデータベース系のサイトでは、アーキテクチャやユーザビリティ、クロールとインデックスなど、見るべき項目は多岐にわたります。
テクニカルな領域の難易度が高くなる状況ではありますが、その分、基本的なことを見落としてしまうこともあるかと思います。
その中でも、「内部リンクの最適化」に焦点をあてた、Search Engine Journalの記事を紹介いたします。
大規模なWebサイトの場合、内部リンクの構築には特別な注意を払うべきだ。
この記事では、内部リンクの最適化のためのシンプルなチェックリストとどこから始めるべきかを紹介しよう。
大規模なWebサイトにおける内部リンクは、その価値に見合うほど、愛され、注目され、最適化されているわけではない。
内部リンクは、Webサイトの権威性と検索結果での上位表示に役立つという確固たる評判がある。また、大規模WebサイトのSEO担当者が効率的かつ大規模に、ユーザー、クローラー、リンク効果を自由に動かすことができる、数少ないリンクベースのリソースでもある。
(内部リンクの「なぜ?」については、こちらの記事によく書かれている。)
優れた大規模Webサイトとは何か?内部リンクの最適化が徹底されており、Googleが新しいコンテンツを発見しやすく、素早くインデックスできるWebサイトと言えるだろう。
この記事では、大規模Webサイトにおける内部リンク構築と最適化をどこから始めればよいのか、無視してもよいものは何か、そして、コンテンツ公開時における注意点は何か、といった疑問にお答えする。
目次
パンくずリストは、カテゴリ間や様々なセクション間でコンテンツを結びつけることに役立つが、あまり実施されておらず、多くの場合見過ごされがちな、リンクを自然に設置できる簡単な場所である。
加えて、自動化も可能であり、ユーザーが「戻る」ボタンを押すことなく、簡単に回遊する手助けにもなる。
理想的には、中間に位置する「パンくず」は、中規模な価値を持つページであることだ。具体例を挙げると下記となる。
Home>サブカテゴリー>製品
主要なカテゴリーページやメインとなる製品ページには自然とリンクや注目が集まる。これを活かしつつ、機能性を維持しながら、中規模な価値を持つページに広げていこう。
簡単な整理が最適化にとって有効である。
多くのWebサイトが、壊れたリンクを修正する前に、新しいリンクの構築を検討してしまう。
壊れたリンクは、その役割を果たすことができていない。
管理する対象を広げる前に、既存のリンクを監査し、修正箇所を特定しよう。
大量のコンテンツを持つWebサイトや季節性のある製品を扱うWebサイトの場合、四半期ごとにこうした監査を行うことで、手に負えなくなる前に管理することができるだろう。
リダイレクトチェーンは、良く設計されたWebサイトにも起こるモノであり、特に、大量の製品を扱っているWebサイトに顕著である。
ある製品の在庫が切れた場合、その代替の商品にリダイレクトを設置する。
そしてこのサイクルが繰り返され、最終的には10個の製品のリダイレクトチェーンとなってしまう。
手っ取り早い修正方法は、主要なカテゴリページにリダイレクトを設置することだが、不便となる場合もある。
在庫がある関連製品のページへとリダイレクトすると簡単ではあるが、メンテナンスが必要である。
複数のリンクカテゴリーを可視化するための簡単な方法は、紙に書いて整理することだ(もしくは、テキストをGoogle Sheetに書き出してもよい)。
整理したマップに主要な内部リンクのカテゴリーを記載することで、Webサイトのリンクツリーの実情を把握することができる資料となる。
また、このマップを作成することで、孤立したページを特定することや、内部リンクが不足している(もしくは、過度に設置されている)ページを把握することができる(Search Consoleには内部リンクのレポート機能がある)。
これは非常にわかりやすい課題であるが、見過ごされがちな課題でもある。
特に、ニッチな商品を扱う大規模なWebサイトでよくある課題だ。
特定の商品ページにたどり着くまでに多くのクリックを要する場合は、その道のりを短縮できる方法を検討する価値があるだろう。
一般的には3クリック以内といわれているが、Webサイト内の全てのページが同じように関連しているわけではないため、やや不明瞭な指標となっている。
トップページから3クリック以内、というのは良い指標ではあるが、5クリックを必要とするページは必ず圏外になる、というわけではない。
明確なユーザージャーニーがあり、ビジネスにとって主要なページ(製品トップ、カテゴリートップ、リクエストの多いページ、など)へ簡単にアクセスできる状況にしよう。
そこから、クリック数を減らしていくのだ。
時折、SEO担当者は課題解決のために過剰なエンジニアリングを行い、その結果、不用意な別の課題を作り出してしまうことがある。
最も強力で広範囲なリンクの設置場所(ヘッダー、フッター、メインナビゲーション、サブナビゲーション)は、ビジネスにおける最も価値のあるページのために活用しよう。
検索は重要であるが、ユーザービリティやカスタマージャーニーも同様に重要である。
ユーザーやビジネスにとっての価値が明確でない限り、これらの領域にリンクを設置する衝動に駆られないようにしよう。
一般的には、重要なエントリー、コンバージョン、情報ページなどがこの領域に適しており、すぐにインデックスさせたい新しいコンテンツは適していない。
備考:強力なリンクは魅力的ではあるが、リンクのためにコンバージョンに至る道のりを不明瞭にすべきではない。
これは必ずしも一般的な内容ではないが、まずは内容を見て欲しい。
何百ものリンクをページに設置してしまうと、PageRankを伝える能力や効率的にユーザーを遷移させる能力が奪われてしまう。
少なくとも、クリック過多によりユーザーを失ってしまうだろう。
さらに、各リンクから奪われるPageRankが多ければ多いほど、最終的に伝わるPageRankは少なくなってしまう。
これについては、「PageRankについての簡単な解説」という記事を参照して欲しい。
こうした場面で検討すべき項目を挙げていこう。
それらのリンクは必要なリンクであるか?理想的なユーザー行動に余計なアクションを追加していないか?ユーザーを混乱させていないか?ビジネスにとっての目的を果たしているか?
Webサイトやユーザーのためにならないリンクは削除しよう。
優れたコンテンツが詳細な情報に埋もれてしまうことはよくある。
下記の重要な項目に取り組み、基本的な作業が完了しており、後から何時間もかけて修正する必要がないようにしよう。
・新規ページのキーワードにあわせ、キーワードのデータをベンチマークしておく
・本文内に関連する内部リンクを設置する
・リンクマップを更新する
・アンカーテキストの最適化を行う(「続きを読む」、「ここをクリック」、「予約する」などは使用しない)
何千、何十万のページにリンクを設置することは簡単な作業ではない。
「10万本のリンクを手作業で設置したいんだ!」と考える人はいないだろう。
内部リンクの生成プロセスは、可能な限り自動化ができることが望ましい。
CMSの機能を使用し自動に内部リンクを組み込もうが、カスタムスクリプトで関連するカテゴリーのコンテンツに内部リンクを設置しようが、いずれにしても、内部リンクの設置を拡大化させることが重要だ。
手動のサイトマップが未だに存在していることは、ただただ驚くばかりである。
自動化を見据えて作成されていない古いWebサイトを引き継いだ場合、常に新鮮な状態を保つため、自動化を採用することは当然のことである。
内部リンクの自動化に適した一般的な箇所は、パンくずリスト(上記参照)、関連カテゴリーや製品の提案、「次に読む」の記事の提案、などである。
新しいコンテンツは、関連性のある重要なページからリンクが張られている必要がある。
カテゴリーページであれ、関連ブログであれ、関連する価値の高いキーワードでランキングされているページであれ、内部リンクを設置されていない状態で公開すべきではない。
これらは、(SEOや企業によるコンテンツ作成が本格化する前の)ブログ記事、PRは行われているがSEOが行われていない新発売の製品ページなどによく見られる。
正直に申し上げると、これには多くの会話が必要となる。
しかし、リンクの最適化についてのコミュニケーションを図ることや社内での啓蒙活動は、選択肢を広げ、施策の効果を活かすために非常に役にたつ。
良かれと思い行った施策が、他部署のおかげで台無しになってしまうことはよくある。
規模の大きい施策に取り組む場合、賛同を得ること、技術的な変更点を伝えることを、製品に影響が出る前に行うことが必要である。
内部リンクはSEOの重要な手段である。
しかし、その効果は、適切に一貫して活用された場合に限る。
大規模Webサイトの場合、その規模に適した管理方法を見つけることが何よりも重要だ。
定期的なメンテナンスと考え抜かれた自動化により、自社のコンテンツを最大限活用する戦略を構築することが可能となる。
管理するページが多くなればなるほど、内部リンクの管理も難しくなりがちです。
記事中にもありましたが、新しく内部リンクを設置する箇所に意識が向きがちですが、壊れたリンクの修正や、それを可能にする管理体制なども事前に強化していきたいものです。
内部リンクの最適化は注力していきたい領域ですが、増やせば増やすほど効果が高まるものでもないため、最適なバランスを見つけられればと思います。
この記事は、Search Engine Journal に掲載された「11-Point SEO Checklist for Enterprise Internal Link Optimization」を翻訳した内容です。
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