デバイスやテクノロジーの進化、ユーザー行動や嗜好の変化により、Googleの検索結果も以前とは大きく変化しています。
こうした状況の中、SEO担当者が行う仕事が従来のまま、というわけにはいかないでしょう。「10本の青いリンク」以外の検索要素に目を向ける必要がありますが、こうした現状を「On-SERP SEO」と呼び、各項目を解説した記事をCXLよりご紹介いたします。
SEO戦略全体の考察のために、きっと役に立つはずです。
SEOは日々変化している。
かつて、1ページ目に表示させる方法は、正しいキーワードの選択と、わずかなバックリンクが全てであった。そのような日々は、すでに過ぎ去っている。
Googleの検索結果は、もはや「10個の青いリンク」だけではなくなっている。
検索結果に表示されるリンクはよりリッチに、よりインタラクティブになっており、Webサイトへ与えられるクリック数は減少している。
新しいコンセプトが、従来のSEOのアプローチに取って代わっている。
自然検索の順位のモニタリングと改善のみではなく、より総合的な戦略を受け入れる必要がある。つまりは、「On-SERP SEO」である。
On-SERP SEOを行うことで、あらゆるWebサイトへのクリックを発生させるかどうかにかかわらず、各キーワードから得られるビジネス上の価値をより多く受け取ることができるだろう。
では、話を進めていこう。
目次
「On-SERP SEO」とは、ターゲットとなるGoogleの各検索結果の表示領域を、可能な限り占めることに注力した、多角的なSEO戦略である。
また、特定の順位を最適化し、モニタリングするのではなく、各検索クエリ全体についての戦略でもある。
具体例を挙げながら、これを説明してみよう。モバイルデバイスで[ピザ]と検索した場合、下記の検索結果が表示される。
完全な検索結果はこちらから見られる。
従来の自然検索結果のリンク(青い、クリック可能なリンク)を発見することが非常に難しい。
自然検索の順位は、もはやビジビリティを獲得するために十分な要素ではなくなっているのだ。
そのため、自然検索の順位内に表示されるための努力をするのではなく、下記の項目を検討することが重要である。
キーワードによってGoogleの検索結果は変化するため、自身のブランドを可能な限り露出させるために、固有のアプローチが求められている。
「On-SERP SEO」自体は、新しい考えではない。
しかし、Googleの検索結果がよりリッチに、よりインタラクティブになるにつれ、従来の10個のポジションのみに注力することへの価値は低くなっており、その傾向は今後も続くはずだ。
ユーザーがあなたのブランドに関連する検索を行った際、いつでも、どこでも、あなたのブランドを際立たせる必要があるのだ。
状況はさらに複雑になっている。
例えば、2019年にGoogleが強調スニペットの重複をなくして以降、「ターゲットキーワードで1位をとるべきだろうか?」という非常にシンプルなこの質問に対し、簡単に答えることはできなくなった。
Googleによる強調スニペットの重複の削除は、強調スニペットに採用された場合における、自然検索結果からの排除を意味している。
そのため、かつて、あなたのWebサイトが1位に表示され、また、強調スニペットにも採用されていたとしても、今は強調スニペットのみに表示されるようになっている。
これは大きな問題なのだろうか?
「検索結果の1番上に表示されているではないか」と感じるかもしれない。
しかし、残念ながら、全ての自然検索に表示されるリンクが平等に作られているわけではない。
各強調スニペットの表示はそれぞれ異なっているため、どれがクリックを発生しやすいのか、それを知る術はないのだ。
実際、自然検索結果の上位に表示されている場合より、クリック率がずっと低くなる強調スニペットも存在する。
現在、強調スニペットに採用されることで、結果として得られていたはずのクリック数の50%を失う可能性もある。
強調スニペットに採用された場合、例え実質の2位と考えられていたとしても、通常の自然検索結果内に含まれる方が喜ぶかもしれない。
非常に判断が難しい選択を求められているのだ。
あらゆる自然検索結果の上位に表示される強調スニペットに採用されるべきか?
それとも、通常の自然検索結果内にとどまることを好むべきか?
そこで、「On-SERP SEO」の出番である。上記の選択を検索結果ごとの基軸で判断すべきなのだ。
より多くのクリックを獲得できるのは何か?
検証にはテストが必要であるが、この場合では、強調スニペットの下部に表示されるとしても、私はリッチスニペットの方を好む。
次の質問だ。この特有の検索結果において、どの要素を最適化すべきだろうか?
関連する検索、人気の商品、レシピ、検索サジェストなど、これら全てが(自然検索結果以外の)最適化すべき要素である
こうした分析が、我々の核となるターゲットキーワードのために必要なことになるのだ。
まずすべきことは、どのようなコンテンツと戦術が、各クエリにとって最適化の手助けとなるかを特定することだ。
最も有益なコンテンツのタイプは、検索結果によって異なる。
そのため、最初のステップは、ターゲットキーワードを実際にGoogleで検索することである。モバイルとデスクトップの両方で検索し、あなたが取るべきアクションを特定しよう。
もし、この作業をスケールさせたいのであれば、クエリ単体ではなく、クエリの構文について考えてみよう。ケビン・インディグ氏が詳細をこちらに書いている。
現状、Googleの検索結果は2つのグループの要素で構成されている。
Googleは、Googleが保持するデータをベースとした、検索者にとって有益な機能を検索結果に追加している。
とある検索結果では、それが画像であるし、別の検索結果では、ニュース枠やショッピング枠かもしれない。
では、1つの検索体験でブランドの露出をより発生するために最適化が可能な、最も頻度の高い要素について見てみよう。
動画カルーセルは、モバイルとデスクトップの両方において、非常に多くの検索クエリで表示されている。
特にモバイルにおいて、動画カルーセルは検索結果の大きな面積を占めている。
モバイルの検索結果では、Googleはクリック可能な動画のタイムラインを表示しており、その動画内の特定のポイントを見られるよう、ユーザーを遷移させている。
「On-SERP SEO」においては、動画カルーセルは明らかにターゲットとなる要素だ。YouTubeの動画はカルーセルの最適化にとって非常に容易であるため、私はあらゆるコンテンツの動画バージョンを作成することを勧めている。
InVideoのようなツールを用いれば、このプロセスは容易となる。テキストベースのコンテンツをプロフェッショナルが仕上げたような動画に落とし込むのに、数分とかからない。
デフォルトでは、サブタイトルとトランジションだけでなく、ストックフォトとBGM(これはあまり素晴らしくはない)も含まれている。どこまで時間を費やせるかによるが、全ての変更と調整が可能である。
※参考:ストックフォトと、自ら撮影したオリジナルの写真。どう使うべき?
この戦略が悪用されているのを見ることは簡単だが、大量のスクリーンショットやGIFを伴った、プロセス重視の投稿に価値を見出すことも容易であるのだ。
画像も頻繁に表示される検索要素であり、検索結果のファーストビューの大部分を占めることもある。
自然検索結果の上位を占めているのは画像だけ、という検索もある
基本的な画像検索のSEOを実施することや、Webサイトの各ページに画像を記載するということを省けば、このセクションに表示させるための特別なトリックは存在しない。
ビジュアルに対しての包括的なブランド戦略という考えは良いと思う。
それらの画像がクリック数を保証してくれることはないが、検索者が認知し、あなたのブランドを覚えてくれる手助けとなってくれる。
Webサイトの全ての画像にあなたのロゴを配置し、認知しやすいスタイルになっているか、確認しよう。
レシピカルーセルは、食べ物に関連したクエリにのみ、表示される。
自身のサイトでレシピの記事を投稿している場合、レシピの構造化データを使用することが、レシピカルーセルに表示される手助けとなる。
ここで紹介されているプラグインの全てがschemaをサポートしている。こうしたツールを使えば、最適化の作業は非常にたやすいだろう。
ユーザーが近くの場所を訪れたり、何かを行ったりしたいと考えているとGoogleが判断した場合、ローカルパックは検索結果の大部分を占める。
Googleがクエリと検索者のロケーションに最も関連していると判断した3つのビジネスがローカルパック内に表示される
Googleマイビジネスの認証を受けたローカルビジネスの場合に限り、ここに表示される。
ショッピング検索は、Googleが商業的(購買)インテントがあると判断したクエリに対し、一般的なGoogleの検索結果に表示される。通常、「スポンサー」とラベルがついたボックスの中に表示される。
自身の商品をこのボックス内に表示させるためには、Google Actionsのプロジェクトの一員になる必要がある。
「Interesting finds」は、モバイルデバイスのみで表示される、若干、不可思議な検索要素である。
その業界内で評判を得た記事がランダムに表示される。従来のランキング要素というよりは、優れたコンテンツをGoogleが集めようとしているように見える。
ここで表示される可能性を高めるために、ターゲットとするトピックに関連するあらゆる興味深い記事(変遷、ハウツー、まとめ記事など)を作成しよう。
実際の検索結果とは別に、表向きはユーザーが検索を完全に行う手助けとして、Googleは検索のサジェストとインタラクティブなセクションを追加している。
現実は、ユーザーを検索結果のクリックから遠ざけ、Googleの検索結果ページに彼らを留まらせる施策となっている。
こうした検索要素はさらなるGoogle検索の引き金となる。これらをクリックすることで、検索結果に表示されたパブリッシャーのサイトではなく、ユーザーはさらに別の検索結果に遷移される。
最適化を測るためにあなたがすべきことは、ユーザーがあなたのターゲットキーワードを検索した後に辿るであろう経路を特定することだ。こうした余分な検索は、キーワードデータの追加のソースとなるはずだ。
我々の強調スニペットのツールは、あなたにとって重要なクエリに関連して表示されるサジェストデータを集めているため、こうしたキーワードに対応するコンテンツを作成する手助けとなるだろう。
ターゲットカスタマーの検索行動を変容しうる検索サジェストを発見し、それらに対してコンテンツを最適化させる。
このような無料のプラグインを使用することで、この種の検索サジェストを確認できる。各検索結果ページの下部にある全ての検索要素の優れたまとめを作成できるだろう。
[amazon]という検索クエリでGoogleが表示する検索サジェスト
検索セクションのいくつかは、最適化のための要素にも、検索結果で行われるアクションの引き金となる要素にもなりうる。
例えば、「People Also Ask」は、非常にインタラクティブである反面、気を散らす要素にもなっている(私はより多くの質問を発見するために多くの時間を費やしている)。
各質問に対しての答えを提供しているページにはいくらかのクリックが発生しているため、可能な限り、この枠に表示させたいものだ。
「People Also Ask」はクリックが発生する追加要素にもなりうるし、キーワードの新しいアイデアのソースともなる
「People Also Ask」に表示させる可能性を高めるため、質問の最適化の戦略を採っていただきたい。
質問の調査と最適化のために、Text Optimizerのようなツールを使用することもできる。あらゆる検索クエリに関連する質問を特定し、それらに対してコンテンツを作成することを手助けしてくれる。
Text Optimizerはセマンティックなリサーチプラットフォームであり、よくある質問と、それに対するコンテンツ作成の手助けとなる。
最後に、あなたのコンテンツマーケティング戦略を多様化する方法をまとめたいと思う。
バイヤージャーニーはますます複雑化し、多様化している。
そのため、あなたのマーケティング戦略もそれに合わせる必要がある。
ブランドはより多くのコンテンツとコンテンツの種類を求めているため、コンテンツマーケターにとっては良いニュースだろう。
コンテンツマーケターの仕事は、より統合的で、エキサイティングなものとなるはずだ。
しかし、その成果を測定し、報告することはずっと困難になる。あなたのサイトへのランディングとコンバージョンの経緯はより複雑となるため、解析が難しくなるのだ。
Google Analyticsでファネルの設計に苦労しているのであれば、Fintezaのようなツールが役立つ。複数のチャネルとデバイスをまたいだコンバージョンファネルのモニタリングが可能だ。
このツールで重要なコンバージョン指標を設定すれば、どのステップでトラフィックが漏れるか、コンバージョンへの経路を省略できるか、などを示してくれる。
Fintezaはあなたのサイト上のユーザーの経路のモニタリングに役立つ。また、ユーザーがコンテンツにどのように関わっているか、それを理解する手助けとなる。
トラフィックのソースやランディングページによる結果を限定することができ、「On-SERP SEO」の施策がどのような効果をもたらすか、深く理解することができるだろう。
Googleの検索結果はよりリッチに、よりインタラクティブになり、コンテンツマーケティングとSEO戦略はそれに追随しなければならない。
もはや、自然検索結果の順位のみをターゲットとし、モニタリングすることだけでは不十分となっている。
それぞれの検索結果全体で評価することが求められるだろう。自然検索結果以外の検索のセクションで表示される方法も模索するべきだ。
1つの検索結果画面に含まれる要素に対し、可能な限りの最適化を行うという戦略は新しい基準となり、これが、「On-SERP SEO」の核となる部分だ。
それぞれの検索結果に対し、下記のような疑問を持とう。
最後に、こうした変更をモニタリングすることも必要だ。それは、かつてのように、キーワードの順位と検索からのトラフィックを単純に報告する以上の作業が必要となる。
まとめると、「On-SERP SEO」は課題と可能性の両方を秘めている。
On-SERP SEPには、コンテンツの品質の改善、ブランドの評判、ロイヤリティ、エンゲージメントなどが含まれているのだ。
SEOの業務の複雑化と対象の拡大は今に始まったことではありません。その傾向は今後も続くと思いますが、「効果検証」も複雑化することは悩みの種であると思います。
記事中でも言及されていましたが、施策ごとに目的を設定し、それを周知するという作業も今後増えていきそうです。
ますます変化していくSEOという業務ですが、こうした変化を楽しみつつ、業務を行っていきたいですね。
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