【SMX East 2015 レポート記事】Google NowとMicrosoftのCortanaが実現させる、予測検索の世界。

公開日:2015/11/09

最終更新日:2024/02/16

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少々時間が経ってしまいましたが、9月29日から10月1日にかけて、アメリカはニューヨークにて、SMX Eastが開催されていました。アイオイクス(SEO Japan)は参加しませんでしたが、Search Engine Landでいくつかキャッチアップ記事が掲載されていたため、ご紹介させていただきます。今回の記事は予測検索(Predictive Search)を扱っており、最先端の一つとも言えるこの検索技術について、様々な情報を与えてくれています。SEO Japanでも、以前にGoogle Nowを取り上げた記事(iOS9がメインですが)を掲載していますので、そちらもご参照いただければと思います。– SEO Japan

*記事内のリンク先は全て英語となっています。
*第二弾の記事はこちら

寄稿者のベンジャミン・スピーゲル氏が、SMX Eastのプレゼンテーションを振り返る記事を執筆してくれた。成長が著しい予測検索の技術、それがもたらす機会、そして、検索マーケターが考慮するべき事項とは何かを明らかにしている。

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次にあなたは何を検索するのだろうか?GoogleとMicrosoftは、それぞれの製品(NowとCortana)で、この答えを解き明かそうとしている。全てのデータが利用可能になれば、あなたが検索をする前に、検索エンジンは、あなたが次に何を検索するかを理解することができるようになるかもしれない。マーケターとして、あなたがこうした技術の進歩を理解することで、ユーザーが認知する前に、あなたのブランドと製品を積極的に提示してもらう機会を増やすことができるのだ。

この「予測検索」というトピックは、MobileMovieのファウンダーである、シンディー・クラム氏が、先週ニューヨークで行われたSMX Eastで発表したプレゼンテーションの中心的なテーマであった。

クラム氏のプレゼンテーションはGoogle Nowを中心としていた。なぜなら、Googleは、Googleの製品を総動員し、データ収集という分野ではトップに立っているからだ。そのため、Microsoftのスマートフォンの予測検索エンジン「Cortana」についての言及は限られたものだった。

クラム氏は、Google Nowが、ユーザーが尋ねたり検索する以前に答えを提供することを試みているという前提に基づいて話を進めていた。Googleが網羅する範囲、および、データのルートは拡大し続けている。そして、Googleが提供するこの種の答えは、予測検索エンジンの進化とともに、デジタルマーケターが考慮すべき機会と課題をもたらしている。

正直に言うと、当初、私は「音声検索の未来とデバイスに命令を送る様々な方法」に関する、ありきたりなセッションに参加してしまったのではないかと思い、一抹の不安を抱えていた。しかし、クラム氏は、Google Nowの情報の原動力となり、影響を与える全てのデータをあますところなく伝え、さらに、マーケターが未来の検索に備える上で役に立つ実用的な見解を発表してくれたのだ。

それでは、シンディー・クラム氏が取り上げた重要なトピックを一つずつ振り返っていこう。

予測検索とは何か?

予測検索は、ニーズに対するセマンティックな予測をベースとしている。つまり、予測検索エンジンは、現状のコンテキスト、過去の行動履歴、今まで収集してきたユーザーの行動パターン、そして、アクティブな情報の提案などを基に、結果を返しているのだ。

このようなサインや指標を組み合わせることで、検索エンジンは、ユーザーの現在の意図を予測し、最良の答えを提供することができている。デバイスに向かって叫ぶ必要はなく、予測検索が我々に答えを提供してくれため、クエリを投げる時間すら、必要がないのだ。

なぜ予測検索が重要なのか?

  1. モバイルデバイス、ウェアラブルの台頭、成長が予測される「モノ・ゴト」のインターネット、そして、多種多様なデバイスのインタラクション(相互関係性)に伴い、プラットフォームが、ユーザーがどこでも見やすい形式で、彼らの質問に対しての予測した答えを提供することは、今まで以上に重要になってきているのだ。
  2. Amazon、iTunes、そして、Netflixなど、ユーザーは彼らが望むものを、様々な場所で検索をする機会が増えてきている。Googleは、ユーザーが各分野の検索エンジンに直接訪問するのではなく、自身の検索トラフィックを維持することを望んでいる。そのため、Googleは、ユーザーが望み、必要としていることを意識する以前に、あらゆるデータをベースとした、彼らが検索するであろう対象を提示しているのだ。

予測検索のために用いられるシグナルは何か?

Google Nowは、検索、メール、マップ、カレンダー、そして、Google+、つまり、Googleのログイン情報を使うあらゆるサービスから集めたデータを活用している。

Googleは、あなたが誰で、何を、どこで行っているかを、行動パターンを基に、あなたが望むものを予測している。(MicrosoftのCortanaは、これ程までのデータポイントの範囲や量を保持しておらず、ユーザーが設定した好みを基に結果を提供している。)

ジオロケーション(地理的な要素)も、Google Nowの結果において、コンテキストの大きな判断材料となる。スマートフォンとウェアラブルにおいては、IPアドレスではなく、デバイスの実際の位置と動きで、場所が特定される。Google Nowは、ロケーションの履歴情報を用いて、ユーザーが住む場所や働いている場所を学習する。GPSのチェックインを基に移動を追跡し、日付、時間、検索履歴などのデータを利用して、関連性の高い交通情報、天気予報、地域のレストラン、お薦めの旅行先、フライトスケジュールなどの情報を提供している。

予測検索の結果は、どのように表示されるのか?

クラム氏は、ナレッジグラフが第一の予測検索のカードだとした場合、Google Nowはナレッジグラフ2.0であるとしている。Google Nowはユーザーが求めている可能性のある情報(音楽、ニュース、ホテル、買い物情報など)についてのカードを作成し、提示する、真の予測検索体験を提供しているのだ。

ユーザーは、好きな活動(アクティビティ)、定期的に見ている番組に関する詳しい情報や抜粋、関係性の分析を基にしたおすすめ情報などのリマインダーを手にすることができている。

Google Nowと統合したアプリ

Google Nowの中でも最先端の機能の一つに、Lyft(運転者と乗客のマッチングサービス)、Uber(タクシーの配送サービス)、そして、Open Table(レストランの予約サービス)などの第三者アプリとの統合が挙げられる。(そして、Google Nowと統合するアプリの数はさらに増え続けている。)アプリからのシグナルにより、位置情報をベースとしたアラートとレコメンデーション(おすすめ情報)を提供しているのだ。

現在、Google Nowは最新のAndroidのスマートフォンに搭載されているが、iPhoneでもダウンロードして、アプリとして使うことができる。しかし、クラム氏は、AppleのOSプラットフォームとの統合は十分ではないと指摘している。今のところは。

予測検索はどこに向かっているのか?

モバイル検索は、デスクトップ検索と相互的な関係を持っており、Google Nowはプラットフォームのスタイルを融合している。Google PlayとYouTubeの融合は現在進行中であり、カードとして提示されるモバイルの検索結果は増え続けている。(デスクトップ検索でもある程度この傾向が見られる。)

また、Google Nowは、オフラインのデバイスとの統合も行っており、「モノ・ゴト」のインターネットを予測検索にもたらしている。クラム氏は、ロケーションのカードは、ブラウザから簡単にお気に入りに登録することが可能であり、また、レストランのメニューのカードも間もなく登場すると指摘していた。

Google Nowが、検索に刺激的な機会をもたらしている点は疑いようがなく、また、ウェアラブルやモバイルデバイスの小さなスクリーンにとっては、うってつけの機能だと思える。現時点では、マーケターは、この機能を活用する手段を探っている状況だが、Googleは、そのうちスポンサー付きのオプションを提供するようになると私は考えている。

現在、Google Nowは、ユーザーの行動や好みに関する莫大な量の情報を保有しているため、独占的な立場を保っている。しかし、注目に値するサービスや競合者が近いうちに現れることを、私は確信している。

この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもSearch Engine Landを代表しているわけではない。著者のリストはこちら

この記事は、Search Engine Landに掲載された「Google Now, Microsoft Cortana & The Predictive Search World: Recap From SMX East」を翻訳した内容です。

Google Nowがメインに話されていたようですが、個人的にもよく利用しており、かなり便利だと感じています。(AppleのSiriについての言及はありませんでしたね。)記事中にある通り、Googleはあらゆるデータをクラウドから利用していますが、プライバシーを考えると、他サービスが魅力的に映るユーザーもいると思います。これに関しては好みによるものなのかもしれませんが、今後市場の動きがどちらに動くか、注視してみたいと思います。

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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