ダウ平均株価が30%以上下落するなど、コロナウイルスの実経済の影響は留まることを知りません。
センシティブなトピックではありますが、マーケティング担当者としては目を逸らすべきではないでしょう。市場は冷え込んでいますが、冷静に時を待ちたいところです。
今回は、ニール・パテル氏による「コロナウイルスがマーケティングにどのように影響するのか」の考察記事をご紹介します。
コロナウイルスについて、様々な情報を耳にしていることだろう。
悲しむべくは、コロナウイルスは急速に広がりつつあり、そして、今後もしばらくの間広がり続けるということだ。
1日に約13,000件の新規症例が発生し、急速に増加していることを知っているだろうか。
最終的にどれほどの感染者が出るのか、誰も予測することはできないだろうが、コロナウイルスは世界の株式市場を崩壊させた。
つまり、あなたのビジネスに対して影響が出ることは間違いない。
私の広告代理店は主要なセクターである数百の企業と連携しており、世界中に7つのオフィスがある。
そして、「コロナウイルスがマーケティングにどのような影響を与えているか」を既に感じ始めている。今回はそのデータを共有したいと思う。
コロナウイルスはマーケティングに対し、どのような影響を与えるのか。
まずは本題に入る前に、マーケティング担当者がしてはいけないことを明確にしておこう。
目次
我々が最初に目にしたのは、恐怖を悪用しようとしている人々だ。
世界中で物資が不足している。マスクやトイレットペーパー、消毒剤などの必需品まで。
マーケティング担当者がそれらの物資を買いあさり、eBayで再販したり、広告を掲載して定価の10~50倍もの価格で販売している事態が見受けられる。
それは事業でもなければ、マーケティングでもない。コロナウイルスによるこの状況を悪用して、手っ取り早く金を稼ごうとするのはやめることだ。
恐怖に便乗した金稼ぎは間違っているだけでなく、非常に近視眼的発想だ。確かに手っ取り早く金を稼げるかもしれないが、それは長続きしない。長期的なものに時間を費やす方が良いだろう。
まずはこの前提を抑えておこう。
さて、コロナウイルスによるこの状況はマーケティング担当者にとって何を意味するのだろうか。
中国での感染の広がりが落ち着いてきたが、コロナウイルスの感染速度が急速に低下したとしても、企業はその損失を補う必要があり、1年以上は苦労することになる。
例えば、中国ではコロナウイルスにより、小売の売上高が20.5%減少し、2月の失業率は6.2に上昇した(ソース)。
Appleのような企業が感染を防ぐために店舗を閉鎖すると、収入と利益が減少する。
確かに彼らは休業期間中に従業員に給料を支払うことができるが、すべての会社が十分なキャッシュを抱えているわけではなく、同じ対策を取れるとは限らない。
旅行業界を目を向けてみよう。コロナウイルスは旅行業界に8,200億ドルの損失を与えると予想される。
ヴァージンアトランティック航空は、従業員に対し、8週間の無給休暇を取るように要求した。
港も空であり、レイオフの最初のラウンドは既に開始されているのだ。
コロナウイルスは世界経済に2兆7,000億ドルの負担を強いると推定されている。
そして、人々はお金を失うだけでなく、トラフィックとコンバージョンを失っている。
前述したように、我々は代理店を通じて、様々な業界の数百のクライアントと協力している。
それに加えて、Ubersuggestによって、大量のデータも保有している。
データを見るにあたって、1つの国に焦点を当てるのではなく、グローバルな観点から流入数の統計を見ることにした。
また、割合の観点から、グローバルな問題やアルゴリズムのアップデートがない場合でも大きな変動がある月に5,000ユーザー以下のサイトのデータは含めなかった。
また、すべての業界に関するデータがあるわけではない。
例えば、ローカルレストランにはマーケティング予算がなく、マーケティングを行ったり、マーケティングのデータに投資したりすることは少ない。
このように、主要なデータは揃っているが、すべてではないことを承知してほしい。
現在、SEOの観点から見ると、トラッキングしているほとんどの業界で自然検索の流入数が大幅に減少した。
以下のチャートを見ていただきたい(1週単位で比較したデータである)。
ニュース業界や金融業界については、流入数は急増した。
一方、旅行業界は流入数が大幅に減少した。
チャートではわからないが、ECサイトにおいては、増加も減少も見られた。例えば、おむつやおしり拭きのようなベビー用品を販売している場合は、トラフィックの増加が見られる。
しかし、大画面テレビのような高級品を扱っている場合は、トラフィックが減少した。
CVRの観点から見ても、ほとんどの業界で低下が見られた。
流入数が急増した金融業界においても、コンバージョン数は減少した。
次のチャートを見ていただきたい(1週単位で比較したデータである)。
ニュースメディアについては、多くの人が最新の情報を読むために課金したため、大きなコンバージョン数の増加が見られた。
例えば、ワシントンポストでは次のようなメッセージが表示されるまで、一定量のコンテンツを無料で読むことができる。
人々はコロナウイルス・政治・金融の情報を見逃したくなかったため、ニュースメディアのコンバージョン数は上昇した。
また、旅行業などの一部の業界においては、現在大幅な値引きを行っており、トラフィックの減少に抗っている。
しかし、全体を通じて見ると、彼らは収益に大きな打撃を受けている。
Ubersuggestは主にSEOをする目的で使用されるため、SEOほどのクリック単価に関するデータはない。
しかし、クリックあたりのコスト(CPC)に大きな変化は見られない。旅行のような業界においても同様だ。
サンプルとしてのボリュームは十分ではないが、前述したように、コストはそれほど下がっていない。
例えば、フライトやホテルなどを検索するユーザーの数が大幅に減少したにもかかわらず、CPCが大幅に低下することはなかったが、顧客獲得単価(CPA)は大幅に増加した。
つまり、1クリックあたりの単価は変わっていないが、トイレットペーパーなどの必需品を販売している場合を除き、ほとんどの業界ではコンバージョンあたりのコストが上昇している。
マーケティング担当者にとって、これはどのような意味を持つのだろうか。
Be fearful when others are greedy, and greedy when others are fearful.
これはウォーレン・バフェットによることわざである。
世界経済が2兆7,000億ドルの打撃をうけることが予想されるため、人々は消費を抑制しようとしていると思うことだろう。専門家達も景気後退のフェイズに入ると述べている。
カール・アイカーンのような億万長者の投資家でさえ、市場は下落する余地がさらに残されていると述べており、株式の売却はより長く続くと予想すべきだろう。
しかし、2000年のITバブルの崩壊と2008年のリーマンショックを経験して学んだことは、「他人がベットしない時にこそ、ベットせよ」ということだ。
景気低迷時には、競争が少なくなる。つまり、成果を得るのが簡単かつ迅速になり、場合によっては、PPCの削減などの利益を得ることができる。
想像してみてほしい。米国のすべての上場企業において、市場が下落し続けると、多くの企業が負債の返済に苦労し、その影響は75兆ドルにまで拡大する。
これは、一部の企業が破産するか、買収されるか、政府に救済されるかといったことを意味する。料金を支払うのに十分なコストを削減できる者もいるが、ほとんどの場合は手遅れになるだろう。
繰り返すが、この状況はあなたにとって競争が少ないことを意味する。
不況の間にキャッシュを扱える幸運があるなら、他の会社を買収するのに最適な時期だろう。買収するなら、理想はメディア企業だ。
コントロールできる視野が広ければ広いほど、将来的にはより大きな力を得ることができる。そして、視野をコントロールすることで、将来の需要に対応することができるようになる。
それが、私が数年前に50万ドルでKISSmetricsのWebサイトを購入した理由だ。ピーク時には、1月あたり、1,260,681人のユニークビジターが流入していた。
大量のトラフィックだ。
サイトを購入した際、私はかなりの金額を使い果たしたが、NeilPatel.comのサイトに統合したところ、リード数を19%増やし、1年もしないうちに投資を改修した。
言い換えれば、これは市場シェアを獲得するチャンスだ。
そのため、競合他社がマーケティング活動を中止、または減速させているのを確認した場合、それはベットする契機となりうる。
すぐに最大の利益を上げることは難しいかもしれないが、長期的には利益は伸びていくだろう。
市場が20%以上低下するたびに、回復には約536日かかる。そして、我々にはどこまで下がるのか、いつ底が見えるのか、見当もつかない。
市場が回復すると収益が伸び、マーケティングのROIが天井を超えていくことがわかるだろう。
今後の状況はわからないが、コロナウイルスの広がりをうまく抑えられれば、生活への影響も最小限に抑えられるだろう。
まずは他の人と頻繁に接触したり、混雑した場所に行ったりしないようにすることだ。
コロナウイルスの広がりによる世界への影響を減らすために、我々が何をできるかを考えよう。ワシントンポストによる偉大なシミュレーションを破壊するために。
そして、マーケティングに関して言うと、今はベットすべき時期だ。他の人が恐れている時に、あなたも恐れるべきではない。
ウォーレン・バフェットの発言に倣おう。他の人々が恐れている時、貪欲になるのだ。
つまり、ベットすることだ。
コロナウイルスがトラフィックにどう影響するのか、お分かりいただけただろうか。
恐怖を悪用することは非難しつつも、ビジネス的には今が仕込み時であるという内容の記事でした。
コロナウイルスによって景気が後退すると、ビジネスにも大きな影響が生じます。
先行きは不透明であるものの、こんな時だからこそ堅実かつ適切に意思決定をしていく必要がありますね。
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