検索広告キャンペーンにおいて、ロングテール・キーワードの実用性(もしくはその欠落)に焦点を置く戦略の人気は浮き沈みが激しい。しかし、PPCにロングテールを活用する手法を取り上げる戦略が再び脚光を浴び始めているようだ。それにしても、これだけ多くの議論が行われているにも関わらず、大半の人々が焦点を当てるべきある重要な“違い”を見過ごしている現実はいただけない。
まずキーワードと検索クエリはまったく別物である。キーワードとは広告主が購入する商品であり、一方の検索クエリは検索エンジンに実際に人々が入力する言葉を意味する。この違いは重要だ。なぜなら、検索クエリは、通常、キーワードよりも遥かに長いテールを含み、検索エンジンのクエリデータを見つけることに多くの価値が見出されているためだ。
私たちはこの点をさらに深く掘り下げ、検索広告アカウントにおけるヘッド、ミッドレベル、そして、ロングテールの検索クエリのパフォーマンスを精査するため、ワードストリームのクライアントのアカウントをランダムにサンプリングし、全体の費用やコンバージョン数、そしてコンバージョン毎の費用を分析した。その結果、とても興味深いことが判明し、“検索数の多いキーワードを並べただけだよ。ロングテールなんてものは眉唾さ”と主張する「ビッグワード」派の人たちと“クリックの頻度が少ない方が価値は高いのさ”と言い張る「ロングテール」派の人たち、両方にとって、都合の悪いデータが出てきた。
私たちは、約1,500万回のインプレッションおよび100万ドルの投資に値するデータの分析を行った。以下はデータの特筆事項である:
さらに、検索広告キャンペーンが数千億円規模の産業である点にも注目しておきたい。ただし、このサンプルの量が最も正確なデータを得ることが出来る量だと断言することは出来ない。それでも、とても興味深い見解を幾つか得るには十分であった。
まずは、ヘッド、ミッドレベル、そして、ロングテールの用語に対する投資の分布を見ていこう:
この分析の興味深い点は、対象アカウントへの投資の大半が、ロングテールの検索クエリに向けられていたことだ。アカウントにおける検索クエリの総数は、キーワードの総数よりも4対1の割合で多かった。
このデータが検索者の意図の分布に関する誤解を生み出す。多くの広告主がトラフィックの大半は少数のビッグワードによってもたらされると思っているが、現実には、彼らは予算の大部分をロングテールに費やしているのだ。
次に、同じセグメントのコンバージョンの分布を見てみよう:
このデータは最初の一連のデータと一貫性があり、これらの広告主がコンバージョンの大部分を0-5クリックのクエリから得ていることを示している。さらに、このデータセットに対するコンバージョンの90%は、円グラフにあるように1-100クリックでもたらされていた。
このデータセットにおける、ヘッド、ミッドレベル、そして、ロングテールのクエリ全体におけるコンバージョン毎のコストは注目に値する:
6-99クリックでのコンバージョン毎のコスト(CPC)は、競争が激しいクエリのCPCの半分以下であり、その一方で、とりわけボリュームの少ない用語(0-5)はCPCが6-99クリックの区分の3分の2ほど高かった。
このデータが意味することは以下の通りだ:
私たちが実施した分析で判明した重要なポイントを次にリストアップする:
ロングテールには価値がある。 0-5クリックおよび0-100クリックのクエリがコストの大半を占めている事実、そして、これらの企業のコンバージョン全体を考慮すると、検索クエリのロングテールが多くのトラフィックを呼び込み、また、ポテンシャルが高い点は明白である。
クエリデータに対する見かけ以上に長いロングテールが存在する。 キーワードの総数がクエリの総数の約4分の1になったのは、“隠れている”ロングテールの検索クエリが単一のキーワードに包まれているためである。広告主のアカウントにざっと目を通しただけでは、大半のトラフィックが短いキーワードの羅列によってもたらされていると思うかもしれない。しかし、実際には、幅広くマッチした一連のキーワードは、具体的にマッチし、人気が低いクエリと競り合っている。
ネガティブなキーワードにも価値はある。 最後のポイントは、0-5クリック対6-100クリックのコンバージョン毎のコストの矛盾がもたらす事実だ。0-5クリックは、広告主全体におけるコストおよびコンバージョンの大部分を占めていたが、6-100のセグメントのコンバージョン毎のコストは遥かに低かった。
理論上では、0-5セグメントの方が言葉やフレーズのバリエーションの具体性は高いはずである。そのため、このセグメントをターゲットに選び、コンバートを狙うべきである。ギャップはどこにあるのだろうか?
0-5セグメントの結果が比較的乏しくなった主な理由は、クエリが具体的にターゲットを絞っていないためである。その多くは、遥かに広範なキーワードにマッチしている人々に積極的にインプレッションを勧めている結果である。また、多くの関連性のない用語がこれらの広範なキーワードに含まれている。そのため、入札しようとしていることを人々が理解していない用語をターゲットの具体性に欠ける広告にマッチさせているため、コストが上昇しているのだ。
このデータがすべての広告主の当てはまるわけではないが、ネガティブなキーワードの発見と実装を組み合わせる戦略的なアプローチの必要性は明らかになったはずだ。そして、具体的な検索クエリの発見、分類、そして、ターゲティングの重要性が改めて浮き彫りになったと言えるだろう。
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「Short Vs. Long Tail: Which Search Queries Perform Best?」を翻訳した内容です。
This article on Features: Analysis first appeared on Search Engine Land.
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