マーケティング業界はアトリビューションを重要視している。しかし、ホワイトペーパー、ブログ等で何度も取り上げられているにも関わらず、アトリビューションの効果的な利用方法が話題に上がることは少ない。
例えば、アトリビューションは常に役に立つのだろうか、一般的なアトリビューションの手法には何があるだろうか、適切なアトリビューションの方法からどのような効率改善のアドバイスを得られるだろうか?このコラムでは、このような今すぐに答えが求められている疑問に答えていきたいと思う。
多くの広告スポンサーは、マルチチャンネルのアトリビューションによるチャンネル間の効果を調べたがる。しかし、検索には特定の追跡システムを、ディスプレイには別の追跡システムを、そして、eメールマーケティングにはまた別の追跡システムを利用している。
このようなシステムは互換性が確立されていないことがよくあり、また、マルチイベントのファネルの分析を行うためにデータを組み合わせることが非常に難しい(不可能ではないなら)。これでは、広東語の諺にあるように、鶏がアヒルに話しかけるようなものだ。
まずは全てのチャンネル – 検索、ディスプレイ、SEO、ソーシャル等 – で追跡を行うことが可能なシステムを用いている点を確認してもらいたい。統一された追跡システムがない状態では、アトリビューションの測定は、困難になり、時間がかかり、多くの労力が要求される計量経済的な手法に頼らざるをえなくなる。
しかし、優れた追跡システムを採用していたとしても、マルチクリックのアトリビューションに時間を費やす価値がない場合もあり得る。以下の例について考えてもらいたい:
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この円グラフは、ファネルの88%がシングルクリックのファネルであることを示している。そのため、マルチクリックのアトリビューションルールは、ファネルの12%にしか影響を与えないことになり、全体的なインパクトは少ない。次の例では、ファネルの42%がマルチクリックであることが判明している。
従って、アトリビューションルールの変更は、収益の計測方法、そして、キーワード、キャンペーン、チャンネルの最適化の方法に大きな影響を与える可能性がある。一般的な目安として、ファネルの15%以上がマルチクリックのアトリビューションなら、ルールの変更を検討するべきである。
アトリビューションプラットフォームには幾つか“一般的”なアトリビューションルールが存在する – 最初のクリック、最後のクリック、同等、最後の方が大きい、中間が大きい等だ。下のグラフを見て、「ベスト」なメディアミックスを保証するメソッドはあるだろうか?その答えはノーだ。
そもそも、ベストメソッドを語る宣伝には注意する必要がある。先程も申し上げた通り、ルールベースのアトリビューションは、メディアミックスの問題において理想的な解決策ではない。
しかし、とりわけ検索に関して、キャンペーン管理および見解の獲得の観点から見て、検討するべき要素がないわけではない。
まず、最後のクリックから動く際、ROIが高いと思われる複数のキーワード(通常はブランドキーワード)は、その他のアトリビューションメソッドと組み合わせるとROIが低くなる可能性がある。経営陣がやる気を失くしかねないデータである。
このようなケースでは、例えば最後から最初まで、あるいは最後から同等までのように、より段階を増やしたアプローチが後半を重要視したアトリビューションで用いられる。そして、同等の配分のアトリビューションは、利益をより多くのキーワードの成果として認め、その結果、より高いポジションに入札するよう促すことが出来るメリットがある。こうすることで、ROIの低さが原因でアシストしている、または低く入札しているキーワードは、より多くのチャンスに恵まれるようになる。
下の例では、アトリビューションルールを最後から同等に変えることで、低いポジションのキーワードに収益を分配している。 つまり、新しいルールでは、ROIが高くなり、入札が高くなるのだ。
アトリビューションルールの変化での勝者と敗者: この例では、最後のクリックから初めのクリックに移動することで、高いポジションのキーワードが得る収益が減る中、低いポジションのキーワードは収益を伸ばしている。その結果、同等のクリックへの入札は、ロングテールのキーワードを促すようになる。 |
先程も申し上げたように、ルールベースのアトリビューションは、メディアミックスの問題の解決策にはならない。まず、アトリビューションは、特定の収益のカウント方法によっては、収益(またはその他の反応のメトリクス)を過去に起きたイベントに再配分する。カウントするシステムを変えていたら、何が起きたかを答えることは出来ない(例えば最後のクリックから最初のクリックへの変更)。
次に大半の企業レベルのマーケッターの場合、予算の多くは、テレビ、印刷媒体等、オフラインのメディアに割り当てられているはずだ。メディアミックスの質問にこのようなチャンネルを盛り込むと、統計的なアトリビューションのアプローチを用いた計量経済学的なメソッドが必要になる。
と言うことは、ルールベースのアトリビューションルールは役に立たないのだろうか?実はそういうわけでもない。予算の配分を動かす場所の目安にはなる。下の例では、同等の配分で収益を計算し、次に最後のクリックで計算し、そして、アシスト効果を定量化した。
アシストがポジティブなら、チャンネルはアシストしており、ネガティブならアシストされていることになる。ポジティブなアシストにはより多くの予算が割り当てられるべきであり、逆にネガティブのアシストからは予算の配分を削るべきである。ただし、このメソッドでは予算を正確に特定することは出来ない。せいぜい、メディアミックスの質問に対する部分的な目安となる答えを得られる程度である。
大半の企業の検索マーケッターにとって、アトリビューションは今後さらに重要な存在になっていくだろう。しかし、アトリビューションに関する会話が交され、そして、アトリビューションを提案する人達が主張を展開している一方で、一般的に用いられるアトリビューションの手法を通して、何ができるのか、そして、何ができないのかを把握することが重要である。今回のコラムを読むことで、この誤解されることが多いトピックを少しでも深く理解してもらえたなら私は満足だ。
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「How To Effectively Use Attribution With Complex Campaigns」を翻訳した内容です。
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