SEOの主目的として、「検索からの集客の最適化」が挙げられると思います。しかし、その集客が、事業の目的にどれだけ貢献しているか?についてもしっかりと把握する必要があるでしょう。いわゆるコンバージョンへの貢献が重要となりますが、その算出が難しいことも事実です。今回は、そんなコンバージョン率の計算方法について解説した、CXLの記事をご紹介いたします。
コンバージョンは事業において非常に重要である。しかし、コンバージョン率が良ければ、売上が上がるというわけではない。
コンバージョン率の計算式の利点は、マーケティングにおけるインサイトを得られる点にある。上手く行っているものは何か、上手く行っていないものはなにか、それらを把握した上で、テストを行い、最適化や改善へとつなげることができる。
この記事では、コンバージョン率の計算を紹介し、複数のチャネルやカスタマージャーニーへの適用についても紹介する。また、コンバージョン率と収益性との関係を明らかにし、コンバージョン率の計算式を活用した、最適化の方法についても紹介したいと思う。
目次
コンバージョン率の計算方法は、チャネル、セールスサイクル、マーケティングファネルの段階などによって異なる。良好なコンバージョン率の基準は、価格、平均注文額、顧客生涯価値などの要素によって可変する。
大雑把な方法ではあるが、コンバージョン率は下記の式で求めることができる。
「(コンバージョン / アクション) * 100」
もしくは、
「(コンバージョン数 / 訪問者数) * 100」
例えば、とある製品ページにて、240回の訪問から12件の購入を獲得したとしよう。訪問から購入までに至るコンバージョン率は5%となる。
「(12の購入 / 240のページ訪問) * 100 = 5%」
しかし、この計算式にはコンテキストが抜けている。高額な商品の場合、240の訪問に対して5%のコンバージョン率が得られれば、大きな成功と言えよう。同じ数字でも、Tシャツを売るWebサイトの場合では、話が違ってくる。
また、トラフィックのソースや、カスタマージャーニーの段階に置いて、コンテキストは重要になる。例えば、Facebook広告(CPAは上昇傾向にある)に費用を投下している場合、ROASを向上させるため、コンバージョン率は健全な値である必要がある。
反対に、検索トラフィックからの平均コンバージョン率においては、余裕があると言えよう。仮に、月間で100,000のユニークな訪問者を継続的に獲得できており、コンバージョン率が1.2%であれば、1,200人の新規顧客を獲得していることになる。この状況において、ボトムラインを増加させるために行えることは下記である。
しかし、ここでもコンテキストは重要である。検索トラフィックの増加のためには、新しいランディングページやコンテンツの作成が必要となる。「何を優先とすべきか?」が、問題となるのだ。一般的には、「より効果のあることを、より多く行う」が答えとなる。
この例では、コンバージョンの測定は、マーケティングとカスタマージャーニーにおけるインサイトを得るために、行われるべきである。これを念頭に置き、より具体的なコンバージョン率の計算式の例を見ていこう。
ペードメディアは、ECサイトにとって、最も有益な顧客リソースの一つである。Statistaのデータによると、2020年では、ECサイトの16%が毎月20~15万ドル、14%が毎月15万ドル以上の広告費を投じているとのことだ。
例えば、Huel社は、AOVを増加させるために、商品バンドルに出稿している。
ランディングページでは、1回限りの購入ではなく、10%のディスカウントがある定期購入を提案されている。
こうすることで、長期的な顧客をより多く獲得することができ、結果として、LTVが向上する。
この例における、コンバージョン率の算出は下記である。
(定期購入の契約数 / クリック数) * 100
例えば、Huel社が1ヶ月の間に100,000クリックを発生させ、1,200の定期購入の契約を獲得した場合のコンバージョン率は下記となる。
(1,200 / 100,000) * 100 = 1.2%
上記と同じ計算式を使用し、1回限りの購入におけるコンバージョン率と比較することも可能だ。こうすることで、顧客が求めているものや、次回購入を促すために必要なものなどを把握することができる。
Huel社の場合、定期購入におけるコンバージョン率が低いことは、理解できることかもしれない。1回限りの購入におけるコンバージョン率が、定期購入におけるコンバージョン率よりも高くても、LTVが低いのであれば、優先すべきは後者と言える。
全てのコンバージョンが収益に直接関係しているわけではない。オーディエンスの獲得を目指している場合、メールの購読者数は重要な指標と言える。
例えば、Backlinkoでは、ブライアン・ディーン氏は、各ページにおいてニュースレターの申し込みのCTAを強く目立たせている。
ブライアン氏はオーガニックトラフィックの獲得を得意としている。彼が作成する全ての記事は、検索からのトラフィックの獲得を目的としている。そのため、「オーガニックトラフィックから発生したEメールの購読者数」が重要なKPIとなるだろう。このコンバージョン率を計算するために、下記の式を使用した。
(Eメールの購読者数 / オーガニックトラフィック) * 100
例えば、ブライアン氏が500,000のオーガニックトラフィックを月間で獲得したとし、3,100の購読者数を獲得したとしよう。
(3,100 / 500,000) * 100 = 0.62%
この計算式は他のチャネルや、リピーターなどの他のユーザーセグメントでも用いることができる。
B2BやSaaSのビジネスで、コンテンツを活用したリードの獲得を目指している場合、その取組がどれほど目標に貢献しているかを測定することは非常に重要である。
例えば、Vidyard社は、複数の動画マーケティングのトピックに関するリソースのライブラリーを保有している。
この規模でコンテンツを作成しているのであれば、それがコンバージョンに寄与しているかどうかを確認する必要があるだろう。これを算出するための計算式は下記である。
(リード数 / ランディングページの訪問者数) * 100
例えば、Vidyard社の「動画マーケティングの決定版ガイド」というコンテンツが、月に1,400のビュー数を獲得し、46のリードを獲得できたとする。
(46 / 1,400) * 100 = 0.30%
この計算式は、ブログコンテンツの読者数や、ポッドキャストのリスナー数などでも適用することが可能だ。
より収益の高いビジネスを構築するために、マーケターはコンバージョン率をどのように利用しているのだろうか?
あらゆる状況でも「良い」とされる、普遍的なコンバージョン率というものは存在しない。良いコンバージョン率とは、先月のコンバージョン率よりも良いものだ。あなた自身が、基準となるのである。
コンバージョンの価値は、いくつかの要素によって決定される。前述のHuel社を用い、彼らのプロテインバンドル製品のコンバージョン率を仮定してみよう。
表面的なコンバージョンのデータを見る限りでは、1回限りの購入の方が勝っていると考えることは可能だ。しかし、これは消費者行動やLTVを考慮に入れていない。
例えば、定期購入の顧客が、12ヶ月間のうち平均して6ヶ月の購入を継続したとしよう。この場合、フロントエンドでのLTVは390ドルとなる(65ドルの定期購入 * 6ヶ月間)。
同じ12ヶ月間において、プロテインを1回限り購入した顧客(72ドル)はさらに3つの別の製品を購入し、合計金額は150ドルとなる。
12ヶ月のLTVは222ドルとなり、定期購入のLTVよりも168ドル低くなる。これは、メールマーケティングやリターゲティングのコストを、全体の収益に反映したものではない。
この仮説のポイントは、コンバージョンと消費者行動の本当の影響を理解することである。顧客が別の行動を取り、その結果、より多くのお金を使うのであれば、例えコンバージョン率が低かったとしても、その行動の優先度は高く設定するべきだ。
コンバージョン率は、あなたが達成すべき単純な指標ではない(それが楽しいことは疑う余地は無いが)。コンバージョン率は、マーケティング戦略のより良い意思決定を手助けするために存在する。
データはインサイトを得ることに役立ち、そのインサイトは質問に対する回答を行う手助けとなり際、最も有益となる。ここで言う質問とは、下記のようなものである。
例えば、キーワードのコンバージョン率のような、指標に関係する詳細なインサイトは、戦略的な意思決定を可能とする。例えば、商業インテントの高いキーワードのグループの「コンバージョン率は、全体のコンバージョン率よりも高い、といったことを把握できるかもしれない。
このインサイトを活用し、これらの広告グループに対する予算を増加するなどの判断が可能だ。しかし、SEOやオーガニックの成長に投資するのはどうだろうか?
例えば、Huel社は「ミール リプレイスメント パウダー」や「パワード フード」などのキーワードで、上位に表示されている。
Ahrefsによれば、Huel社は、月間のオーガニックトラフィックにあたる有料トラフィックを獲得するためには、184,000ドルの投資しなければならない。
新しいマーケティング・チャネルへの投資はギャンブルのようなものだ。しかし、コンバージョンデータから得られるインサイトを活用すれば、数カ月後、数年後にポジティブなリターンを得ることを理解でき、自信を持って判断を下すことが可能となる。
コンバージョン率のデータから得られるインサイトは、新しい成長と最適化の機会に対し、優先度を設定することにも役立つ。ここでは、その方法を見てみよう。
収集しているデータが正確であり、全体的なデータであることを確認しよう。データの品質を向上させるためには、データを収集する方法を最適化し、どんなデータが最も重要であるかを定義することから始めよう。
例えば、Facebook広告を運用する場合、どのようなオーディエンスがクリエイティブに接触しているかを示す、膨大な数の指標を得ることができる。しかし、これらの指標のうち、本当に影響のある指標はどれなのだろうか?
Facebook広告のKPIとして、即座に思いつくものは下記である。
これらの質問に対する回答を持ち合わせているのであれば、正確な方法でデータを収集し、整理し、セグメント化することができるだろう。
また、マーケティングデータの標準化も重要である。特に、同じ指標に対し、異なるプラットフォームが異なる数値を示している場合は注意が必要だ。
例えば、Facebook広告で発生したクリック数と、Google Analyticsでのそのソースからのページの訪問数は、差異が発生することがある。残念なことに、どちらかが正しいのかを把握することは困難である。
それよりも、どちらが自分にとっての「本当のソース」であるかを決定し、それを忠実に守ることが重要である。一貫したデータに基づいた意思決定を行うために、そのソースを「本当の方位」として利用すべきだろう。
ResearchXLモデルを活用すれば、より勝利に革新をもって実験を行うことができる。
このモデルの基本的な考えは、ほとんどの実験は、3つのステップを経て成功に至る、というものである。
ステップ1は当然ではあるが、ステップ2とステップ3は、自信にとって最重要な目標と結果を発見し、それらを実験に反映させることが重要である。
例えば、ランディングページのヘッドラインのA/Bテストを30日間行ったとしよう。これは、積み重ねの改善にはつながるが、本当に大事なことは無視されてしまっている。
恣意的に最適化の選択を行うのではなく、どのようなインプット、アクション、アウトプット、が事業の収益における最大のインパクトを与えるかを把握しよう。リサーチがなければ、そのテストも無意味になってしまう。
まずは、自社のWebサイトを構造的に見直すことから始めよう。各アセットを、下記の基準で評価するのだ。
これは、ヒューリスティック分析と呼ばれるものである。過去の体験によって、ページやアセットに点数をつけるものだ。こうした結論を下すためには意見が必要であり、よりデータドリブンな分析を必要とし、バイアスの存在と異議を唱えることにつなげるのだ。
定量データと定性データを収集する方法は、下記の6つである。
コピーとは、ユーザーにオファーを訴求し、説得し、教育するためのコミュニケーションの手段である。それを正しく理解することは、非常に重要である。
コピーテストを行うことで、下記の質問に対する答えを得ることができる。
これを行うためには、自信でユーザーを募集する必要がある。もしくは、Wynterのようなサービスを利用し、オーディエンスパネルを設定すれば、48時間以内で完全なデータを手に入れることができる。
これらのデータを用い、明らかに優先度の高いテストを特定しよう。すぐに「勝利」を得られるテストはあるか?貧しい顧客体験を向上させるために、即座に解決すべき技術的な問題はあるか?
最適化すべき箇所を決定するためには、これらの課題がリストの最上部にあることを確認しよう。
コンバージョン率の計算式の利点は、マーケティング活動におけるインサイトを得ることができることだ。上手く行っているものと、上手く行っていないものを把握することで、テストをお行い、最適化をし、改善に導くことが可能だ。
しかし、コンバージョン率は完全なものではなく、限界が存在する。コンバージョン率は、顧客体験の全体を測定することはできない。最も価値を生むためのロードマップを提供するものでもない。コンバージョン率は、パズルの1ピースにすぎない。持続可能な顧客体験を実現したいのであれば、コンバージョン率以外の箇所の最適化も必要である。
コンバージョン率は、目標や成果によって可変するため、「良い」コンバージョン率に固執する必要はない。コンバージョン率の最適化を追い求めるあまり、意味の無いROIを生んでしまい、時間とお金を無駄にすることも考えられる。
そうではなく、コンバージョンに向かって顧客を育成していることを確認し、上手くいっている箇所を強化していこう。測定すべき成功は、競合他社に対するものではなく、あなた自身に対するものである。そして、より懸命な意思決定を行うために、実験を行うという文化を構築していこう。
検索からの集客が増加すれば、基本的には、事業にとってはプラスとなるはずです。しかし、多額の資金を投じて行ったプロジェクトの成果が、ターゲットとは異なるユーザーからの集客となってしまった場合など、そのプロジェクトが本当に成功したかどうかについては、疑問が残る形となってしまいます。SEOに限らずあらゆるプロジェクトにとっての共通項であると思いますが、一つ一つの施策において、しっかりとコンバージョンに向き合うことの重要性を改めて実感いたしました。
この記事は、cxl に掲載された「Conversion Rate Formulas to Accurately Calculate Growth」を翻訳した内容です。
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