グーグル+は、その他のどのソーシャルネットワークとも異なる経緯で、軌道に乗ったソーシャルネットワークである。「制限付きのフィールドトライアル」の段階ではあるものの(現在は一般に公開されている)、既にツイッターとフェイスブックのライバルとして考えられている。ジャーナリスト達は既にこの2つのネットワークを活用しているが、グーグル+も同じような用途で利用することは出来るのだろうか?
一部のジャーナリストは、ニュースを共有するため、ニュースについて会話を交わすため、そして、ニュースを調達するため、グーグル+を実験的に利用し始めている。その例を幾つか挙げていく:
それでは、グーグル+の何がジャーナリストにとって魅力的なツールに映るのか考えてみよう。ベンジャミン・コーヘン氏は、スピード、使いやすさ、そして、会話を促す仕組みが組み合わされるため、とても強力なツールになり得ると述べている。
「例えば、ルパート・マードック氏とジェームズ・マードックシ氏が(英国政府の)文化・メディア、スポーツ特別委員会で発表することが出来なかった声明を、ニューズコーポレーションは報道陣にリリースした。私はこの声明文を受けた20秒後にグーグル+で投稿した。チャンネル 4 ニュースのウェブサイトに投稿していたら、掲載されるまでに時間がかかったはずだ。- コンテンツ管理システムがローディングするのを待たなければいけないからだ。また、恐らく、投稿される前にエディターのチェックを受けなければならなかっただろう。」とコーヘン氏は説明した。
「フィードバックはツイッターよりも良好であった。」と同氏は続けた。「ツイッターでは多くのリプライを獲得するかもしれないが、必ずしも他の人達の発言を閲覧することが出来るわけではないため、会話の全体像を伝えるのは難しい。グーグル+は簡潔さには欠けるかもしれないが、会話には向いている。」
コーヘン氏は、グーグル+は間違いをした場所を特定するためにも使えると加えた。ユーザーが投稿とコメントを「+1」することが出来るため、コメンターが指摘した検討するべき重要なポイントを容易に把握することが出来る可能性がある。その上、コメントの中からストーリーに対する新しいリードを容易に発見することが出来るポテンシャルもある。一方、リツイートはメンションのストリームをすぐに追い出してしまうことがあるため、ツイッターではリードが消えてしまう可能性がある。
フェイスブックは、ジャーナリストが作品を掲載するプラットフォームとして利用するように促す試みを最近集中して行っている。7億5000万人のアクティブユーザーが存在する点はもちろん、この取り組みは、レポートツールとしてのフェイスブックの強みと言えるだろう。しかし、コーヘン氏は、フェイスブックは、運営しているピンクニュース等のニュースサイトのトラフィック源として遥かに大きい点は認めているが、現在のユーザーベースは小規模ではあるもののグーグル+が多くのアドバンテージを持っていると指摘している。
「間違いを編集することが出来る点は重要だ – フェイスブックでは投稿した後は編集することが出来ないため、削除しなければならない。するとコメントといいね!も全て消えてしまう。グーグル+では、その場で編集することが出来るメリットがある。ツイッターやフェイスブックで不正確な投稿を行うと、その処理が大変だが、グーグル+では必要に応じて間違いを正すことが出来る。」また、コーヘン氏の場合、フェイスブック上の仕事のページよりも、グーグル+の方がオーディエンスが多い。この記事を作成している時点で、フェイスブックのファンページは752人に“いいね!”されているが、グーグル+では1364人のサークルに登録されている。
しかし、誰もがグーグル+のバラ色の未来を予測しているわけではない。通信社のロイターでソーシャルメディアエディターを務めるアンソニー・デローザ氏は、大手のマスコミのツールとして利用するには、現在、オーディエンスの規模が小さく、また限定され過ぎていると述べている。
「グーグル+は、昔のBBS(電子掲示板システム)にフェイスブックのウォールが加わったような仕組みであり、会話には向いている。」とデローザ氏は話した。「テクノロジーとメディアの関係者が大勢集まっており、多くのトピックで広がりを期待するには少し範囲が狭過ぎる。ギーク度が高く、私のメディアおよびテクノロジー関係の友達が気にするようなトピック以上の十分に一般受けする興味のレベルには達していない傾向が見受けられる。ロイターの読者は、広範なトピックについて知りたがっており、グーグル+はオーディエンスが注目するほどの多様性を持っていない。最新のソーシャルメディアプラットフォームであるため、私はグーグル+にアクセスするものの、通常は休憩するため、そして、もっと深く読むため、または、より長い文でレスポンスをするために利用している。
デローザ氏は、ツイッターを主力のソーシャルネットワークとして利用し(従来型のジャーナリストであれ、適切な時期に適切な場所にたまたまいただけであれ、シグナルとして、そして、ソースとして情報を集める手段として)、フェイスブックに対しては、オーディエンスの規模、および、「少し個人に特化したスペース」を作ることが出来る力があるため魅力的であると考えている。また、考慮する価値のあるサービスとしてタンブラの名も挙げていた。
「個人的には、タンブラは、ジャーナリストのスペースを大きくパーソナライズすることが可能な最もクリエティブなプラットフォームだと思う。」とデローザ氏は述べた。「ブライアン・ステルター氏とCJ シバーズ氏が良い例だ。ジャーナリストは無数に存在するが、ヴァディム・ラブルジク氏(フェイスブックのジャーナリズムプログラムマネージャー)のような人物がタンブラにいない事実は意外である。ジャーナリストに本当に必要なものを与える大きなチャンスを逸している。マーク・コートニー氏は最も近い人物である。コートニー氏はニューズウィークに所属していたが、同社はブラックブックと共にタンブラで評判を呼んだ初めてのメディアであった。」
ベンジャミン・コーヘン氏もアンソニー・デローザ氏もグーグル+をジャーナリスト向きのサービスにするための現実的な提案を行っていた。
コーヘン氏は、同氏を含むテレビのジャーナリストは、ウェブサイトにトラフィックをもたらす点を考慮する必要がないため、オンラインのジャーナリストとは異なる使い方をして、テレビの報道の中で新たなリードを浮上させるように、最新のニュースを提供するために使うことが出来ると指摘している。これは先程申し上げたノルウェーでの悲劇を報道するために、サラ・ヒル氏が巧みにハングアウトを利用した件で実証されている。しかし、コーヘン氏は報道番組の視聴者に議論を継続してもらえるように、公式のURLの短縮機能が欠かせないと主張している。
一方、デローザ氏は、グーグル+の成功は、規模、そして、その他のサービスを統合するグーグルの力量にかかっていると指摘している。「フェイスブックの規模に到達するまでは(ユーザーの人数)、ジャーナリストには注目されないニッチのままだ。ジャーナリスト達は注目が最も多い場所を好むからだ。ただし、フェイスブックよりも遥かに規模は小さいものの、グーグル+でのフィードバックおよび交流のレベルは高いように思える。これはグーグル+の有利な点である。グーグルは、グーグルニュースでジャーナリストが持つ力を集め、ジャーナリストがプロフィールに引き込むことが出来るカスタマイズ可能なフィードを作成し、ジャーナリストの興味を引くような試みを行うべきだと私は思う。」
そのデローザ氏は、昨日のグーグル+のプロフィールで、ノルウェーでの出来事を受けて、適切な指摘を行っていた。グーグル+は、適切な検索機能、そして、ハッシュタグと言う便利な機能に欠けている。「私はグーグル+を愛用しているが、今日の#Osloのニュースをフォローするような機能がない。私は起きてから1日中ツイートデックを開いていた。グーグル+はいずれかの時点で議論を交わす上では役に立つものの、最新のニュースや情報においては、ツイッターには歯が立たないのが現状であれ、今後も苦戦を強いられるだろう。」
グーグル+の未来は、ユーザーベース、そして、ユーザーが利用する方法に左右されるが、早い段階での実験を参考にする限り、ストーリーの調達および報告を行う手段として、興味深いスタートを切っていると言えるだろう。それでも、ツイッターと互角の戦いを演じるには、まだまだ乗り越えなければならない壁がたくさんあるようだ。
マーティン・ブライアントはザ・ネクストウェブのヨーロッパ在住のエディターであり、英国のマンチェスターを拠点に活動している。ツイッター、グーグル+、個人のサイトで動向を窺うことが出来る。
この記事は、The Next Webに掲載された「Can Google+ beat Twitter and Facebook as a tool for journalists?」を翻訳した内容です。
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