プレスリリースのリンクよりも遥かに大きな問題

最終更新日:2024/02/16

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プレスリリースをSEOに活用する戦術は、英語圏では一般的な手法として使われてきましたが(日本ではそこまで使われていなかったと思います)、意図的なアンカーテキストリンクを盛り込んだ内容の薄いリリースが大量生産され続けた結果、Googleが公式にプレスリリース内のリンクを実質スパム認定するような見解を述べる始末。質の高いコンテンツを生産することが大事なのはわかっていても、それにはコストも手間もそれなりにかかり、結果も保障されるものではないのもまた事実であり、意図的なリンク構築に頼れないウェブマスターの悩みはつきません。今回はSEO Bookが久々のGoogleとウェブマスターを取り巻くSEO事情に関するエッセイ的記事を。– SEO Japan

ご存知の方も多いかとは思うが、グーグルが、ウェブマスターガイドラインを更新した。

グーグルのガイドラインへの違反にあたる不自然なリンクの例としてよくあるケースを次に紹介します:….他のサイトに配布される記事やプレスリリース内の最適化されたアンカーテキストリンク。

次に例を示します。
市場には多くの婚約指輪が流通しています。結婚式を開くなら、最高の指輪を選ぶべきです。また、ウェディング ドレスを購入する必要もあります。(註:イタリックがアンカーテキストリンク)

とりわけ、グーグルは、他のサイトに配布される記事やプレスリリース内の最適化されたアンカーテキストを用いたリンクに焦点を絞っている。今回もグーグルらしく、若干ルールが曖昧に定められている。「最適化されたアンカーテキスト」とは何を意味するのだろうか?提供されている例では、アンカーテキストにキーワードが含まれており、アンカーテキスト内のキーワードが“最適化”されている。よって、グーグルのガイドラインの違反に当たる。

実に曖昧な表現である。

プレスリリースの変更点を考慮して、グーグルのガイドラインは次のように説明している:

ページランクやグーグルの検索結果でのサイトのランキングを操作することを意図したリンクは、リンク プログラムの一部と見なされることがあり、グーグルのウェブマスター向けガイドライン(品質に関するガイドライン)への違反にあたります。これには、自分のサイトへのリンクを操作する行為も、自分のサイトからのリンクを操作する行為も含まれます。

SEO目的 – つまりランキングを操作する目的 – で獲得したリンクは、グーグルのガイドラインに違反することになる。

グーグル vs ウェブマスター

あるチャットを紹介する…

このチャットの中で、グーグルのジョン・ミューラー氏は、ウェブマスター側から行動を起こしたなら、それは自然なリンクではないと指摘している。安全を第一に考えているウェブマスターに対して、ミューラー氏は、nofollowの利用を薦めている。

グーグルの方針は一貫しているが、画面に映っていた数名のウェブマスターは、完全に食い違っており、見ていて面白かった。グーグルは、プレスリリース自体は問題視していないものの、グーグルのガイドラインにおいて安全を重要視したいなら、リンクをnofollowにした方が無難である。

その通りだ。SEO目的でリンクを構築するのではなく、純粋なプレスリリースなら、リンクをnofollow化することに異論はないはずだ。

当然である。

しかし、一部のウェブマスターは、実際の自分達の取り組み関して、自覚していないようであった。この点は、質問の内容にも反映されていた。恐らく、「プレスリリース内のキーワードのリンクは、許される」と言う言葉を聞きたかったのだろう。今度もリンク構築の取り組みの一環として、プレスリリースもどきを配信することが出来るためだ。

要点を理解していないとしか私には思えなかった。

私はグーグルの味方なのか?

どちらか一方に肩入れしているわけではない。

もっと大きな問題に注目してもらいたいだけだ。

ウェブマスターの行動の良し悪しが、今後もグーグルによって決められていくなら、いずれ、完全に蚊帳の外に置かれてしまうことになるだろう。グーグルがウェブマスターの味方ではない点は明らかだが – 残念ながら多くのSEO関係者が誤解しているようだ。グーグルは、グーグルの味方である。たまにユーザーの味方だと主張することもある。そして、その言葉に嘘はない。

ウェブマスターは、グーグルにとって、コントロールし、好ましくない場合は排除し、整理し、そして、分類しなければならない存在である。人一倍“アグレッシブ”なウェブマスターに対しては、「友は近くに置き、敵はもっと近くに置く」ポリシーを採用している。

一部のウェブマスター、つまり、SEO業者は、ユーザーのためだけにコンテンツを配信するのではなく、グーグルの収益システムと争っている。SEOは、グーグルの金の卵とも言える、質の高いクリックのトラフィックをもたらす、クリックベースの広告と競合するサービスを提供しているのだ。

SEOが成功を収めると、グーグルに料金を支払う人がいなくなるのは目に見えている。当然 – 代わりにSEOに投資するようになるだろう。そのため、グーグルの立場から見ると、SEO業者は敵であり、コントールしなければならない。私がグーグルでもSEOに「質の高いコンテンツの提供」へと見直しを迫るだろう。

グーグルは、単純にプレスリリースのリンクを無視すればいいのではないだろうか?決して難しいことではない。なぜ公にしたのだろうか?グーグルは、アルゴリズムに関して、ウェブマスターに聞かせたいトピックを除き、徹底した秘密主義を採用している。それでは、なぜグーグルは、ウェブマスターに対して、プレスリリース内のリンクに関する情報を公開する気になったのだろうか?真っ先に浮かぶのは、リンク構築、そして、SEOの効果を弱めるためだ。

巨大なミサイルが、グーグルから発射されている。

ガイドラインに従う人達

グーグルに行動の条件を決めさせると、SEOの戦いから放り出されてしまう可能性がある。

(常に変化する)ガイドラインを守っていると言いつつ、実は違反すると、法的な責任問題に発展する可能性がある。最近、次のような訴訟が進行している:

先週、Seilay & Stewartが、RICO法(違法行為による利益の獲得を罰するアメリカの法律)を根拠に、法律事務所のマーケティングに特化したRainmaker Institute社に対して、$49,000のSEO料金の返還、そして、懲罰的損害賠償を求めて、訴訟を起こした。

…..SEO業者が情報を明らかにしているなら話は別だが、「グーグルのガイドライン違反」が、今後、訴訟に発展しやすくなる可能性は否定できない。

気軽にSEOをキャリアにするべきではないのかもしれない。

この最新のグーグルの取り組みに対して、正当なPRエージェンシー、メディア対応部門、そして、広報は感謝している可能性がある。ここで、ウェブマスターワールドのコメントを紹介する:

大半の正当なPRエージェンシー、メディア担当部門、そして、広報は、グーグルのガイドラインに喜んで従うのではないだろうか?なぜなら、「プレスリリース」が「SEOスパム」になってしまうと、この重要なツールが役に立たなくなってしまうためだ。

本物の広告スポンサーが、広告にページランクの転送を期待していないように、本物のPRエージェンシーもまた、プレスリリースにページランクを転送してもらうことなど期待していない。パブリックリレーションとは、検索結果を操作するのではなく、メディアにメッセージを埋め込む取り組みである。

ただし、プレスリリースが、信頼されていると言い切ることも出来ない。プレスリリースは、SEOが台頭する前から、そもそもあまり評判が高くなかったからだ。それでも、今回の措置により、ライバルは減り、PRエージェンシーは、クライアントのプレスリリースをアピールしやすくなったのではないだろうか。

ターゲットに焦点を合わせるガイドライン

上の動画の中で、グーグルのコアのランキングチームを統括するアミット・シンガル氏が作成した記事が、参考資料として取り上げられていた。2011年に作成された記事であり、最新の情報ではない。この記事は、品質を特定について次のように説明している:

アルゴリズムで用いられている、実際のランキングシグナルを私は公開するわけではない。検索結果を操作されたくないからだ。しかし、グーグルの考え方を知りたいなら、次の問いに答えていけば、グーグルがこの問題をどのような視点で見ているのか、自ずと分かってくるのではないだろうか:

  • その記事に提示されている情報を信頼しますか?
  • その記事は、エキスパート、または当該のトピックを熟知する熱心な人物によって書かれていますか?あるいはそれよりも質が低いですか?
  • そのサイトには、同じ、または同様のトピックで若干異なるキーワードのバリエーションを用いた、重複する、一致する、もしくは余分な記事がありますか?
  • そのトピックは、サイトの読者の紛れもない関心によって選ばれていますか?それとも、検索エンジンで何が上位にランクインするかを推測することで、コンテンツを作成していますか?
  • その記事は、オリジナルのコンテンツや情報、オリジナルのレポート、オリジナルのリサーチ、またはオリジナルの分析を提供していますか?
  • そのページは、検索結果のその他のページと比較して、十分な価値を提供していますか?
  • コンテンツにどのぐらい質の管理を実施していますか?

…等々。グーグルは、常に「品質の高いコンテンツの作成」を重要視している。グーグルのユーザーが、この品質の高いコンテンツを求めている。そして、グーグルのユーザーが求めているものは、同時にグーグルの株主が求めているものでもあるのだ。

もちろん、品質の高いコンテンツを求めること自体は問題ない。質の低いコンテンツを求めている人などいるだろうか?しかし、SEO業界の関係者のほとんどが理解しているように、品質の高いコンテンツを作ったところで、成功が保証されるわけではない。グーグル、そして、ユーザーにとっては、プラスに働くのかもしれないが、パブリッシャーにとっては、不利な環境である。リスクを全て背負うのは、パブリッシャーだけだからだ。

ニューヨークタイムズは、大量のコンテンツを持つボストングローブを、買った当時の金額のよりも大幅に低い金額で売却した。コンテンツの質が高いことは間違いないが、大きな利益をもたらすビジネスとは程遠い。適切なマーケティングを行うことなく、コンテンツばかりに力を入れる戦略は、信頼に欠ける。最近、アマゾンのCEO、ジェフ・ベゾス氏が、ワシントンポストを買収していたが、コンテンツを最優先している可能性は低い。

質の高いコンテンツは、作成コストが高い上、ウェブ広告の手数料が雀の涙しか期待できない点、オーディエンスに見てもらえない点、コンテンツがはぎ取られ、盗まれる点を考慮すると、ウェブマスターが、上位のランクを確保するために、その質の高いコンテンツを売り込むのは致し方ないと思える。その他に一体どんな選択肢があるのだろうか?

SEOを実施しない方がよっぽどリスキーである。

安価なコンテンツファクトリーとして有名なeHowでさえ、購読会員制に移行しようとしている。

さらに大きな問題

グーグルは、ゴールポストを自分の好きな場所に動かすことが出来る。現在行っている取り組みが、今後、グーグルの怒りを買う可能性はある。コンテンツが誰にも見てもらえなくなり、やり直す以外は、他にどうすることも出来ない状況に身を置かれるかもしれないのだ。

このような不測の事態に備えて、計画を練っているだろうか?

Johnonは的確にこの問題を表現している:

大事なことは、現在、検索エンジンから、どれぐらいのトラフィックを獲得しているのか、そして、今後、グーグルがこのトラフィックの流れを遮断した際に、どれだけ準備をしているのかだけである。

グーグルのポリシーとガイドラインの細かいところに気を取られていると、大事なポイントを見失ってしまう。グーグルが、ゴールポストの位置を動かし、トラフィックの流れを断ち切った際に、どれだけ準備が出来ているかが鍵を握る。

グーグルの方針の細部に気を取られていると、本当に、重要なポイントを見過ごしてしまうだろう。

これはリスク管理の問題だ。メインのサイト、または、クライアントのサイトが、グーグルのポリシーの変更に巻き込まれ、大打撃を受けてしまったら、どうなるだろうか?他にもサイトを運営しているだろうか?片方では、積極的にSEOをプッシュし、もう片方では、SEO抜きでサイトを運営しているだろうか?ガイドラインに従い、それで十分だと自分を納得させていくのだろうか?ガイドラインを守るものの、上位にランクインしていないなら、全くオーディエンスの視界には入らないため、ペナルティーを受けたようなものではないだろうか?検索トラフィックをメインコースではなく、ボーナスとして扱っているだろうか?

グーグルのニーズを自分のニーズよりも優先する方針は、慎重に判断してもらいたい。そして、自分のリスクは自分で管理するべきである。


この記事は、SEO BOOKに掲載された「Google: Press Release Links」を翻訳した内容です。

特に結論がある話ではありませんでしたが(いや、あるのか)、集客や収益の多様化が重要とはいえ、SEOはもちろん、検索エンジンに依存しないウェブビジネスは、限りなく一部でしょうし、成功しているウェブビジネスの多くはSEOにトラフィックを相当依存しているケースが多いのもまた事実。もちろん、その多くはペナルティを受ける確率は限りなく低い正攻法のSEOを長年続けてきたサイトとは思いますが、ちょっとしたアルゴリズム更新でがロングテールワードの平均順位が1ページ目から2ページ目に下がるようなことがあれば、トラフィックへの影響は莫大なものがありますよね。特にGoogleが余りに圧倒的な検索プラットフォームとして君臨している今日、わかっていても、どうしようもできない現状のような気もします。無理せず地道にSEO以外のことも考慮しつつコンテンツ作りに励んでいくしかないのでしょうが、ウェブマスターの仕事と悩みは募るばかりです。 — SEO Japan [G+]

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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