デジタル業界では、検索メディアとディスプレイメディアには重複している部分があり、計画および運営において両者を組み合わせると、1+1=3の効果が不思議と現れ、その結果、個別に実施した場合よりも高い見返りを得られると言われることが多い。
しかし、そもそも実際にこの重複は実在し、1+1=3になるのだろうか?それとも、2にしかならないのだろうか?
この答えを解明するため、私はこの業界のベテラン達に声をかけ、見解および意見を求めた。
今回協力してもらった人達はどちらのメディアにも精通しており、実際にディスプレイの計画および検索マーケティングの実行に関する計画やチームの監修を務めた経験を持つ。今回の議論に参加してもらい私は感謝している。それでは早速この議論の結論をまとめていく( 完全な未編集版の回答は、ここで見ることが出来る)。
参加者全員に次の2つの質問に答えてもらった:
私がSEO代理業者に務めていた当初、要約用のディスプレイデッキに(大きな太字のフォントで)「1+1=3」と記されたスライドを加え、統合メディア製品を提供する私達の姿勢に関して熱弁を振っていたことがあった。私は、SEMとディスプレイを個別のチャンネルとして捉えるアプローチは間違えていると確信し、このスライドを支持していた。心の中で、各チャンネルは他のチャンネルに対してハロー効果があり、広告主に付加価値を与えると考えていた。
当時、検索プログラムに対してディスプレイの購入を加える際は、2.4倍から10倍の見返りがあることを実証するお決まりの調査を私は引き合いに出していた。しかし、行動に関する詳細な情報は、このタイプの調査には常に欠けていたように思える。そのため、この効果が起きる理由と経緯、そして、この効果を起こす最善の戦略に関して、私は悩んでいた。
協力してもらった全ての方々が、ディスプレイと検索プログラムを同時に実行することでメリットを得ていると報告していた。この報告を基に、長年に渡って目にしてきた不思議なハロー効果、そして、定量化可能な計測結果もまた明らかになった。
エソロジーを率いるジェフ・プルイト氏は、決定を下すまでにユーザーは検索を複数回実行すると報告している。この考慮の期間はマーケッター達にとっては最も重要な時間であり、「リサーチ段階で狙いを絞ったディスプレイ広告を提供し、異なる点で見てもらうチャンスを作り、行動を起こしてもらう確率は上がる」と述べている。
今まで以上に多くの検索を実施するこの枠は広範であり、競合するブランドに顧客を奪われる可能性は高まる。ディスプレイはこの潜在的な流出を阻止するツールである。
iクロッシングのクリス・ウォラスによると、この枠の効果も計測することが出来るようだ。ウォラス氏は、繰り返し広告を表示させることで、ブランド検索クエリが増加し、「デジタルキャンペーンに効率的で意義深いインパクト」をもたらす状況を実際に目にしてきた。このリサーチの段階で、消費者が広範なクエリ(シカゴのホテル)から始め、ソリューションに絞り込んでいく(ダブルツリーホテル シカゴ 値段)経緯を考えると、妥当な結果と言えるだろう。それが本当なら、一般的な情報の先を思い描き、定量化を始めることが出来ることになる。
これらの主張は、ディスプレイは、いずれにせよ起きているイベントの頻度を高めているだけだと言う点を示唆しているものの、AKQAメディアは、複数のチャンネルでユーザーを追跡するデジタル分析プラットフォームを開発しており、個々のユーザーがディスプレイを初めに見なかった場合は実行していなかったブランド検索を実行しているケースを把握している。こういった業者は、メリットが実在することを証明することが出来るようだ。
何をすべきかに関しては、エキスパート達のアドバイスは、ハッキリしている – 重複を理解するには計測が欠かせないものの、簡単ではない。マーケティングの投資を全て確認し、成果を分類して、それぞれの取り組みが全ての取引に与えた影響を理解するのが理想的なソリューションと言えるだろう。
前回の記事で、多くの場合このソリューションを実現することが出来ない点、もしくは、少なくとも面倒である点を取り上げたばかりだ。
しかし、計測を行うためには、ガラクタをかき分け、効果のある取り組みを見つけなければならない。このプロセスには、オンサイトとオフサイトの相互作用の違いを理解することが求められる。
ブーヨーアドバタイジングでは、エミリー・アイバーソン氏が率いるチームは、CTRやCPA等の標準的なメトリクスに注目するものの、さらにチャンゴ(検索リターゲティングプラットフォーム)等を使って、増加分の調査を実行して、それぞれのチャンネルからの増加している相互作用の確率を精査している ? あるチャンネルが別のチャンネルにもたらす可能性のある最大のインパクトを読み取る上で役に立つ。
これは初めの一歩としては良好であり、内部で報告する上で最も容易な取り組みと言えるだろう – 例えば、「ディスプレイを立ち上げ、検索におけるCTRが20%増加しました」と言うことが出来る。
こういった測定はサイトの外部で発生し、計測されている。しかし、オフサイトこそが、キャンペーンが消費者の目に触れる場所である。iクロッシングとAKQAの両社は、私の質問に対して、検索とディスプレイキャンペーンの双方を目にした場合、個人のオンサイトの行動は改善されると指摘していた。
これは、サイトで過ごす時間、訪問したページ数、そして、エソロジー社が指摘した極めて興味深いコンバートする時間等のインカミングのトラフィックの“エンゲージメントメトリクス”を見れば、計測することが可能である。
従って、重複が存在することは明らかである。また、計測可能である点、そして、何を見ればいいかも分かった。それでは、すぐに行動を起こし、検索プログラムにディスプレイを加えるべきだろうか?
クリス・ウォラス氏はそうは考えていない。「マーケッターにはキャンペーンを立ち上げる前に、検索とディスプレイを合わせたインパクトをキャンペーンの実施中に評価するために用いる、計測戦略を検討するべきだと助言している – このメソッドにより、キャンペーンを終える前の調整、そして、キャンペーン実施中の調整が可能になる」ようだ。
妥当なアドバイスである。重複を見るためには、チャンネル全体で読むことが可能な固有のIDを活用する必要があり、そのためには技術的な投資および注意深い計画が求められるためだ。
1+1の公式の答えは、本当に2以上になり、注意深く検討および計測を行うことで、定量化可能なメトリクスが判明し、その結果、自分のキャンペーンに対する正確な答えを理解することが出来るようになる – 事前に計画を練っておくと最高の効果が期待できる。
AKQA メディア、ブーヨーアドバタイジング、エソロジー、そして、iクロッシングの顧客は、検索とディスプレイを組み合わせる方法を心得ている、経験豊かな統合チームに協力することで、メリットを得ていると言えるだろう。また、検索リターゲティング等の高度な技術は、この2つの領域の良い点をフル活用し、 この統合をもう1歩進める上で、この4社に貢献しているようだ。
ジェフ・プルイト氏曰く、次のステップに進む、もしくは、集中型のテクノロジーを用いて、検索の広告スポンサーが2つのチャンネルを管理することが出来るシステムを構築し、適切にパフォーマンスおよびコンバージョンに対するそれぞれのチャンネルのインパクトを調査しない広告主は、広告への投資および結果として起きる行動を最大限に活用することは出来ないそうだ。
大変な取り組みだと感じただろうか?エミリー・アイバーソン氏が指摘しているように、重複は実在しており、それが信じられないなら、キャンペーンの1つ(検索またはディスプレイ)を中止し、KPIの落下を計測すれば嫌でも分かるだろう。
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「The Industry Speaks On The Overlap Between Search & Display」を翻訳した内容です。
シナリオ設計はともかく、実際の実施時にきちんと全体像を効果測定しながら調整していけるかが重要なのでしょうし、そのレベルで使えるマーケッター用のより統合されかつシンプルでわかりやすく、使いやすいマーケティングキャンペーン管理ツールは今後必要になってくるのでしょうね。実際、様々な次世代ソリューションが開発提供されているようですが、どれもまだまだ一長一短ではあるようですし。
GoogleリマーケティングがGoogleアナリティクスと連携するなどディスプレイ広告でできることも以前と比べると既に相当な進化を遂げていると思いますし、サーチリターゲティングなど比較的シンプルなところからでも始めてもそこそこ効果は得られる気もするのですが、意外と何も取り組んでいない企業もまだまだ多い気もします。さて今後ディスプレイ広告と検索はどのように連携して進化していくのでしょうか。 — SEO Japan [G+]
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