インドで学位を得る99%以上のエンジニアとは違って、私は、卒業後に辿る道は就職ではないと決めた。ソフトウェア会社が私にいわゆる“プログラミング”を容赦なくすることを期待して年間6000ドルを支払うって?何の冗談だというのだ。
それはお金(明らかに屈辱的)についてというよりも、彼らがインドのソフトウェア会社であなたにさせる“プログラミング”についてだ。もちろん、他より秀でたものもあるが、それらの多くがクズ同然だ。私はもっと大きく優れていてやりがいのあることがしたかった。2010年中旬に卒業した後、私はスタートアップを企てた。製品は、コンタクトマネージメントを簡略化するウェブアプリケーションの類である。
2011年2月、わずか半年を過ぎた頃、そのスタートアップは崩壊し燃え尽きた。さらに悪いことに、私は、その時の状況下では決して軌道に乗ることがないと分かっていたウェブアプリを絶えず育てることに疲れ切っていた。私はたくさんの過ちを犯した―スタートアップを成功させるには、失敗があまりにも多すぎた。しかし、失敗は唐突ではなかった。それは2,3ヶ月間私の中で徐々に育っていると感じだった。
では、ここにその失敗リストを挙げよう:
1. 早いうちにウェブプログラミングを学んでいない
学生時代を通して、私はC++を楽しんでいた。私はそれを本当に楽しんでいたので、どんなウェブプログラミングもあえて学ぶことをしなかった。C/C++プロジェクトにしか関心がなかったのだ(なぜなら、Linuxのスレッドとカーネルをいじることが楽しかったから)。ウェブのスタートアップをする時になって、私はPHP/Javaスクリプト/CSSに追いつくのにかなり長い時間を費やさなければならなかった。そのことが私の足を引っ張り、製品の最初のリリースをバグの出るものにした。私は、学ぶことと製品を作ることを同時にしなければならなかったのだ。それは、スタートアップを立ち上げる場合には全くもって理想的ではない。
2. 共同創設者を見つけていない/チームを築いていない
単独創設者のスタートアップが投資の価値があるかどうか、さらにはそういうスタートアップが存在すべきかどうかという論争がある。私は、Gabriel Weinbergが考える優れた創設者が持っていなければならない資質のリストに賛成である。私はそのリストに粘り強さを追加しなければならない―いくつかのスタートアップが失敗するのは創設者にそれが欠けていることが理由だ。私がその1つの例だ。
時々、私は2,3人の人達から助けてもらった。彼らが立ち寄って孤独な地の底から私を連れ出してくれたことは素晴らしかった。彼らの製品に対するフィードバックは素晴らしかったし、もし私に正規の共同創設者がいたらかなり違っていただろうとよくひそかに考えていた。スタートアップのためのプログラミングを独りですることは、世界一インターネットコネクションが遅いパンジャーブ地方のZirakpurの街からそれをしているのであれば、とても孤独で怖くなることがある。もしあなたが、共同創設者を見つけるべきかどうか困っているなら、この問題に関してインターネット上に投げられた素晴らしい議論がたくさんあるので、これが過ちだったのか私の言い訳なのかあなたに判断してもらいたい。
3. 資金調達を求めていない
インドのスタートアップ生態系についての私の理解から見ると、これがインドのスタートアップの1番の問題だ。彼らは、資金調達がどんなに重要か気付いていないし、投資家にアプローチすることを考えることすらしない。インドでは早期投資家が大きく不足しているが、それは恐らく投資するスタートアップが大きく不足していることが理由だろう。
私は、ブートストラップ・スタートアップにすることにとても自信があったため、資金調達が私の頭によぎることはただの一度もなかった。シリコンバレーのスタートアップの資金調達について読んだ時にもだ。資金調達はあまりにも重要で、時にはスタートアップが次のレベルに達するためには必要不可欠なものである。もちろん、優れたブーツストラップ・スタートアップもたくさん存在するが、税制支援が得られるほうがどんなに良いかは知る由もない。
4. 自分の時間を大事にしていない/注意散漫
私は、自分の製品を作っている時、自分の時間がいかに大切であるかに気が付かなかった。私は、プログラミングを学び、プログラミングをして自分の製品を作り、成功したスタートアップやインタビュー、TechCrunch、Hacker News、Proggit、 Swombatなどありとあらゆるものを読むことに時間を費やした。そして、一日の終わりには、大したことが達成されておらず、読み込み時間がわずかに早くなったとか、インターフェースがわずかに綺麗になったとかそんなものだった。私は、スタートアップのイベントに参加したり、自分のスタートアップと何の関係もない起業家達とネットワーキングをしたりして自分の時間を無駄にすることが多かった。全ての人がネットワーキングについて話していたし、私は自分がおいてきぼりになるのがとても怖かった。こんなことをしている間に私は自分の製品を作っているべきだったが、私がこれに気が付いたのはずっと後のことだった。
5. モバイルに手を出さない
コンタクトマネージメントについて言えること、それは、携帯電話とかなり密接な関係があるということだ。私は、最初のウェブアプリをローンチした時にすぐにiPhoneアプリを作り始めるべきだった。それによって私の製品の信頼性とユーザー基盤は強化されたことだろう。しかし、ここでも、それはその時の私にとって注目すべき重要なことではなかったため、私はウェブアプリを開発し続けたのだった。
6. アイディアに疑いを持つ
オンラインコンタクトマネージメントとビジネスカードは何ら新しいことではない。私の製品は、たくさんの工夫があるコンタクトマネージメントだった。人々がその製品について耳にした時には、共感を呼んだ。しかし、その後、スタートアップ創設者にとって最悪の事態が起きたのだった。
私は、このアイディア自体に疑いを持ち始めた。そして、全てはその時から悪化した。私は、コンタクトマネージメントに統合する別の製品アイディアを思いついた。私は新しい線上で新しい製品を作り始めたが、二つの中途半端なアプリケーションの間に苦悩し、結局は修羅場となった。
7. 機能リスト
私は、自分の製品がスイス・アーミー・ナイフのオンライン版になることで頭がいっぱいだった。誰にでもそして全ての人に便利な機能を搭載したかった。しかし、この態度が、製品のセカンド及びベータ版のローンチを遅らせるのに大きな一端を担った。実際には、私はベータ版をローンチする前に中止したため、まだそれは私のハードドライブの中に横たわっている。
8. 優れたスタートアップからの仕事を受け入れない
これはおかしく思えるかもしれないが、私のネットワーク内にいる人達が私のスタートアップが芳しくないことに気付き始めた時、私は2つの本当に素晴らしいウェブスタートアップから従業員一号にならないかと採用の申し出を受けた。これらの会社は、資金援助もされていて、成長も早く、内心では自分が何か大きなものの一部になれるだろうと分かっていた。しかし、バカな者が考えるように、私は丁重に彼らの誘いを断り、遅かれ早かれ失敗すると分かっていた自分の製品のプログラミングを続けるためにノートパソコンでの作業に戻った。それから数週間後、それは失敗したのだった。
個人的に私はウェブスタートアップの従業員一号になることは(特にあなたがプログラマーなら)、それを創設することの次に最高のことだと思っていたが、私はそれに満足しなかったのだ。私は自分自身のスタートアップを彼らと同じように成功させたかった。私は全身全霊を自分の製品に注ぎ込み、最後は燃え尽きてしまった。
9. 第二の愛情/選択肢を持っている
私は、自分のスタートアップを愛し大切にしたのと同じ位、コンピューターサイエンス(具体的には数理言語学)の調査に同じだけの愛情を持っていた。スタートアップを作る間、私はよく研究ジャーナルを読んだり、テキストから学んだり、本の中にある問題に対するソリューションをプログラミングしたり、数理言語学のトピックが書かれたものなら何でも読むことに時間を費やした。内心では大学院にも行きたかったので、私はHacker Newsのような単なる気晴らしとしてこれを扱うことができなかったのだ。大学院に入って良い成績を収めたかったら、私は一生懸命勉強しなければならなかった。この第二の選択肢が、私から粘り強さをほんの少し奪ったのだと思う。
10. システムのせいにする
私はインドを愛すると同じ位、それを批判することが好きだ。自分の状況―小さな町に縛られて、毎月70ドル以下で生計を立て、悪い食べ物を食べ汚い水を飲み、酷い条件下に暮らし、ダイアルアップに匹敵するようなスピードのインターネット環境―を考えた時には冷笑した。一応は3.1Mbpsという通信になけなしの金を払っているのだが、パッチをBitbucket上のMercurialの格納場所にアップロードするのに5分もかかる位どうしようもなく遅いのだ。
私はひそかに考えていた。先に述べた人達によって経営されるスタートアップがシリコンバレーにある最高のスタートアップ―豪華なオフィスと元Facebook/元Googleのプログラマーのチームを持ち資金提供されたもの―にどう対抗するのか?そんなの不可能だ!システムが悪いのだ!と。
インドがスタートアップに不利な環境であることについての私の文句もいくらかはもっともなことかもしれないが、それでもこれは言い訳にすぎないと私は考える。起業家精神が簡単だとは誰も言っていなかった。
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今振り返ってみると、これらの過ちはあまりにも基本的なものだった。ほとんどのアメリカのスタートアップがこれらの過ちは犯さないであろうことは分かっている。しかし、残念なことに、インドにある多くのスタートアップがこれらと全く同じ過ちを犯しているのだ。これらの過ちが私の次のスタートアップの試みにも付きまとうかどうか確かではない。(まだ少し先の話しになるが。私は今、コンピューターサイエンスの修士号を取るために南カリフォルニア大学を目指している。)そう、私は2つ目の愛に目覚めたのだ。
この記事は、The Next Webに掲載された「Lessons From a Failed Startup」を翻訳した内容です。
4の注意散漫は起業したての人にありがちな話ですし、6の自身のアイディアに集中できなかった話や7の機能を詰め込み過ぎたという話もかなりリアリティがあります。9の第二の選択肢の話は「失敗しても次がある」セーフティネットと考えて起業に踏み出す人もいるかもしれませんが(特に失敗が非難される場所では)、このパターンで成功した人って余り聞かないのも事実なんですよね。。。10のシステムのせいにするのは昔からある永遠の言い訳ですね。どこかシリコンバレーの起業家と違って妙にリアリティある失敗話でした。 — SEO Japan
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