Brian Solis氏によるキーノート。これからのビジネスとマーケティングについて。 – Click Z Live Chicago(2014)セッションレポート

公開日:2014/11/09

最終更新日:2024/02/17

ブログ

2014年11月4日から11月6日にかけて、イリノイ州シカゴで開催された、Click Z Live in Chicagoに参加しました。オープニング・キーノートは、SEO Japanでもブログを度々紹介させて頂いている、Brian Solis氏。Webが消費者行動に与える影響と、マーケティングにおける変化について、たっぷりと語ってくれています。– SEO Japan

原題:The A.R.T. of Engagement
Speaker:Brian Solis, Award-Winning Author, Futurist and Principal Analyst, Altimeter Group

未来とは、これまでにすでに起こったものではない

次の世代ではどういったことが起こるか?

大量のテクノロジー、早すぎる進化によって、デジタルとの関わり方は今後も変化していくだろう。マーケターの役割は従来の単純なものだけではなくなってきている。

エンゲージメントをデザインする

これからのマーケティングは、共有できる経験にフォーカスしていくだろう。ソーシャルやYouTubeなどが代表的なものだ。そして、この場所に新しいブランドが生まれる。また、この場所はマーケターが活躍する場所にもなる。ビジネスはもはやブランド単体によって行われるものではなくなってきている。共有された経験を通じて消費者と共に作り上げていくものであり、オンラインでの検索と対話の結果によって定義されるものだ。

まずはモバイルから話そう

1日のうち、主要なメディアで人々が過ごす時間の23%はモバイルだ。しかし、広告費の4%しかモバイルに使用されていない。モバイルでは、小さな画面で人々の関心を数秒間で集めなければならない。新しいプラットホームと言えるだろう。Webサイトの役割も変わっていく。

モバイル、ソーシャル、リアルタイム。

例えば、パーティーでは参加者と喋る人がいない。隣の人ではなく、スクリーンに向かって話している。少し大げさな表現ではあるが、実際にこれに近いことは起こっている。我々はどう対応するべきだろうか?従来のマーケティング手法はどんどん縮小している。

ティーンエージャーの集中力

あらゆるデジタルデバイスを使用せずに、宿題に集中している時間はたったの6分間しかない。こうした顧客に注意を向けてもらうためのUXをデザイン、言い換えれば、エンゲージメントを構築するためのデザインを検討しよう。オーサーとしてジャーナリストとして、なにができるか?人々がなぜクリックし、なぜアクションを起こしたか。それらを明らかにするのが、未来のサイエンスである。

購買決定とデジタルデバイス

バイヤーズジャーニーの67%はデジタル(Web)で完了している。そのため、企業からのタッチポイントもここにあると言える。消費者によるデジタル社会での行動が、これからのマーケティングでの決定的な要素になる。この世界はあなたをフォローしている人によって作られている。人は他人の情報をあてにしているのだ。

より良い経験とは何か?

購入者の86%がより良い顧客体験のためにはより多くのお金を支払うと答えているが、企業が彼らの要求を常に満たしていると答える人は、たったの1%しかいない。マーケターとしての仕事は、共有したいと思わせる経験、エンゲージメントをデザインすることだろう。

The A.R.T of Engament

エンゲージメントにおける主要な3要素を、それぞれの頭文字をとって、A.R.Tと呼ぶ。つまりは、ActionsとReactionsとTransactionsだ。

Moment Of Truth

デジタル時代の購買決定プロセス

デジタル上の行動が購買決定の大きな要因になっている今日において、購買に至るまでの過程は、従来のそれと比べ、大きく変化している。顧客とのタッチポイントになる、Zero Moment Of Truthを含め、プロセスは以下の通りになる。

  • 刺激(認知)
  • Zero Moment of Truth(ソーシャルでの発見)
  • First Moment of Truth(購入の検討)
  • Second Moment of Truth(経験)
  • Ultimate Moment of Truth(共有された経験)

真実の瞬間

全てのプロダクトは顧客のモバイルでの体験からはじまる。あなたにとっての機会はモバイルの中にある。2014年の調査によると、オンラインでのリテラーの56%がモバイル経由で注文されている。また、70%のモバイルでの検索が1時間以内に何らかのアクションをリードしている。

人々の評判

85%の人が”自分が知っている人”からの推薦を信用する。人々はマーケターを信用しているわけではない。

Googleの利用数の減少

多くの人がアプリを使って検索している。例えば、YouTubeはGoogleのような存在になっている。自分との関連性のあるコンテンツを探す際、95%の人がGoogleとYouTubeの両方使っている。また、Pinterestはビジュアルでの訴求に優れ、結果として、アクションを導くアプリになっている。

First Moment of TruthとSecond Moment of Truth

オフラインとオンラインのコネクションがより重要である。そして、それを構築するためにはビジョンと設計が必要。我々の仕事はこれらを一緒にさせること。ブランドがiBeacon、Square、チェックイン機能などを用いることで、顧客はシームレスでパーソナルな経験を得ることができる。

P&Gの例

消費財市場の巨大企業であるP&Gは、店舗で顧客が商品を認知する最初の数秒間を重要視している。それは、オハイオ州シンシナティの本社にFirst Moment of Truthの部門を設置し、世界中に50人のリーダーを採用していることからも伺える。また、P&Gはテレビや雑誌の影響力の低下に対応し、消費者へ直接ブランドを訴求できるポイントを重視しているのだ。

Ultimate Moment of Truth

88%以上の人が、他者のオンラインでのコメントに影響されている。経験は共有されることで、実際に経験をした人以外の人に影響を与える。誰かがシェアし、誰かがそれを発見する。そこに、エンゲージメントが発生するのだ。

ソーシャルでの対応

88%の人がソーシャルでの不満を対応していない企業の製品を今後買わないようになる。しかし、ロイヤルカスタマーは、通常の人よりも20%から40%以上、その企業のソーシャルにお金をかけている。

顧客経験

顧客の経験はサイトを通じてタッチする全てのことになる。マルチスクリーンが普通のこの時代では、オンラインでショッピングをしているとき、他のことも同時に行っている。90%の人がマルチスクリーンで連続した行動をとっており、67%の人がオンラインでのショッピングの際に、別の行動をとっている。つまり、eコマースとソーシャル(評判の確認)のループが発生している。

ヒーローズ・ジャーニー

顧客をヒーローとして扱おう。マーケティングは経験であり、ライフサイクルなのだ。成功を狙うのではなく、価値のある存在になることを目指そう。

Moment of Truthについては数年前から提唱されている理論ですが、Zero Moment of Truthでのモバイルの重要性と、オンライン・オフラインでのシームレスな経験をポイントにあげていました。ブランドと顧客のタッチポイントと、その後共有される経験が、今後のビジネスを決定すると言えるほど大きな意味を持っています。それらを意図したとおりに設計し、構築することが未来のマーケティングだと述べています。簡単に達成できるものではありませんが、少しでも理想に近づけるよう、努力していきたいものです。
— SEO Japan
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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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