Googleのエリック・シュミットがD9で明かした10の金言

公開日:2011/07/04

最終更新日:2024/03/21

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D9というイベントをご存じの方はいらっしゃるでしょうか?ウォールストリートジャーナルのコラムニスト等によって主催されているハイテク・メディア関連のイベントです。5月末~6月頭にかけてアメリカ西海岸で行われたこのイベント、Googleのエリック・シュミットが参加し色々と興味深い発言をしていたとのことで、その内容を紹介します。 — SEO Japan

先ほど、グーグルのエリック・シュミット会長は、カーラ・スウィッシャー氏とウォルト・モスバーグ氏によるD9 カンファレンスでのインタビューを終えた。今回のインタビューでは多数の興味深い情報が明らかになった。早速、インタビューのハイライトをリストアップしていくことにする。

以下のハイライトは、重要性ではなく、インタビューで触れられた順番を基に挙げている。引用符で囲んだ言葉は私がインタビューで全力で聞き取ったものだ。私はテックミームを使ってイベント開催中に生中継ブログを実行しており、全文はテックミームに掲載してある。

タイプミスについては後ほど修正していく。今、何よりも食べ物を探すことが先決だ。

1) 四天王 & プラットフォーム

アマゾン、アップル、グーグル、そして、フェイスブックは、巨大な“プラットフォーム”を持ち、他の企業が太刀打ちできないほどそれぞれの分野を支配しており、シュミット氏は“四天王”と表現していた。

アマゾンは買い物を、アップルは“美しい製品”を、グーグルは情報を、そして、フェイスブックは友達とアイデンティティを支配している。

マイクロソフトは四天王に入っていない。シュミット氏は、マイクロソフトが消費者製品およびサービスにおいて進化をもたらしていないと判断していた。しかし、後ほど企業分野での力は甚大であり、その製品は“マイクロソフトに今後週十年間に渡って力を与える源”だと述べていた。

この主張は以前聞いたことがある。興味がある方は過去の投稿に目を通してもらいたい(イラストを見ると分かりやすい): 新しいボーグを紹介: Google、Facebook & Apple

2) 検索と地図でアップルとの取引を更新

グーグルはアップルのコンピュータおよびiOSのデバイス(iPhoneとiPad)のデフォルトの検索エンジンである。グーグルマップもまた優先的に掲載されている。

「私達は素晴らしい検索における提携、そして、地図における関係をアップルと持っている」とシュミット氏は述べ、双方の契約が更新されたと伝えた。詳細は他には明らかにされなかったが、更新が確認されたことは非常に重要である。なぜなら、グーグルとアップルは通常契約に関する情報は一切表に出さないからだ。

シュミット氏は昨年の9月にグーグルとアップルが検索に関する契約を更新したと述べていたが、同じ契約について話していたのか、また、どちらが先なのかはよく分からない。

3) 別の方法でグーグルはソーシャルデータを獲得する

シュミット氏は、グーグル製品を改善する上で、フェイスブック等からソーシャルデータを入手するのは“有益”だと繰り返し述べていた。「グーグルの視点では、この情報があると役に立つ。つまり製品を改善することが出来る。」

その後、グーグルがツイッターやその他の企業を買収する必要があるのかと問われた際、シュミット氏は、次のように述べた:

「グーグルのソーシャル戦略には企業の買収はまったく含まれていない。なぜなら、ユーザーにこの情報を与えてもらえるからだ。」

4) シュミット氏の新しい役割は外部を強く意識

4月にCEOに就任したラリー・ペイジ氏が製品に専念する一方、シュミット氏本人は、外部の問題のみに対応していると述べた。セルゲイ・ブリン氏は、セキュリティと最先端技術を担当している。

スウィッシャー氏は、外部の問題への対応は、シュミット氏は以前にも行っていた仕事ではないかと尋ねた。シュミット氏はこの問いに対して、「約半分は以前行った。しかし、なかなか受け入れることは出来なかった」と答えた。

つまり、外部の問題に対処する時間がもっと必要であったのだ。そして、しばらくはペイジ氏が壇上に上がることも、または外部的な役割を担うことはないようだ。

5) スティーブ・ジョブズ氏に反論 アンドロイドは小型の探知機ではない

どうやら、アップルのスティーブ・ジョブズ氏は、アンドロイドは“ポケットの中の探知機”だと述べ、スウィッシャー氏にグーグル関する記事を綴れと不平を述べていたようだ。そのアップルにも同じことが言えるかもしれないとジョブズ氏は述べていたが、アップルにはその役目を果たす検索エンジンが存在しない。

「そんなことはしていない。モバイルの情報を検索には引き込んではいない。」とシュミット氏は否定した。一部の匿名の情報は確かに戻されるものの、決して検索に対しては使われない。」

しかし、実はこの主張は誤っている。グーグルは電話の現在地を特定し – ユーザーが許可している場合 – そして、その情報を使って、よりパーソナライズドされた検索結果を作成している。また、モバイルデバイスを使っていることを検知し、それに併せて結果を調整している。

6) シュミット氏は死ぬまで、または死んだ後もグーグルに残る

シュミット氏は、つい先日決まったばかりの米商務長官の候補者になっているのか、または本人がこのポジションを求めていたかに関する質問へのコメントを拒否した。同氏はグーグルでの居心地がよく、退職するつもりはないと述べた。

するとスウィッシャー氏は、「死ぬまで」と茶化すと、シュミット氏は「棺桶を置いてくれるなら、死んだ後もグーグルにとどまりたい」とジョークで返した。そして、会話を進められないほどの笑いが起きた後、グーグルでの幾つかの役職に関するコメントをさらに述べた。

要するに、しばらくシュミット氏が同社を去ることはないと言うことだ。

7) グーグルが製品開発を控えたのは顔認識だけ

グーグルは顔認識テクノロジーを持っているが、このテクノロジーの利用には乗り気ではなく、手を引いた。これはグーグルにとっては非常に珍しい。

「私の知る限り、グーグルが開発し、手を引いたテクノロジーはこれだけです。」とシュミット氏は述べた。

8) ソーシャルメディアでの失敗はCEOとしての最大の過ち

「グーグルのCEOとして、後悔していること、または後悔に近いことはありますか?」とスウィッシャー氏は尋ねた。

先程シュミット氏はフェイスブックはソーシャルではなく、“アイデンティティ” – インターネットでのアイデンティティの曖昧さを除去する – 分野で成功したと示唆していた。そして、シュミット氏はこの取り組みをグーグルが担うべきだった後悔している。

「4年前、私はアイデンティティに関する記録を取ったものの、何もしなかった。何かしなければいけないことは明らかに理解していたが、行動に移せなかった。」とシュミット氏は話した。

その理由を問われると、シュミット氏は包み隠さず、驚くべき理由を挙げた。シュミット氏、そして、グーグルの経営陣のメンバーには“その時間がなかった”のだ。

シュミット氏は「忙しかった。」と述べ、「CEOは責任を取るべきである。大きな失敗だ。」と加えた。

9) パーソナライゼーションは検索を破壊しない

次にパーソナライゼーションが、誰もが好きなものだけを見る“世界のバルカン化”を促しているのではないかと言う質問が投げかけられた。これは、エリ・パリサー氏が綴った書籍「ザ・フィルターバブル」によって最近注目されているテーマであるが、シュミット氏はこの主張に対して次のように反論した。

「違いは僅かだ。パーソナライゼーションの局面はランキングの構成要素の小さな一部であり、主張を通すために大げさに言っているのだと思う」と述べた。

パリサー氏の本を熟読する必要はあるが(私の名前が1ページ目に出ている)、私はシュミット氏の意見に同意する。

パーソナライゼーションは重要なアイテムであり、大きな変化である。しかし、共和党の支持者が、民主党の支持者が見る検索結果と完全に異なる検索結果を見るほどパーソナライゼーションが大幅に行われる地点には、今のところ達していない。

10) 直接的な答えでビングがグーグルに勝利(することもある)

個人的には、テクノロジー界の第一人者ことウォルト・モスバーグ氏が、グーグルの検索結果についてシュミット氏を叩きのめした瞬間は、とても驚いた。

モスバーグ氏は、グーグルの結果は、アルゴリズムがリセットされたにも関わらず(2月の下旬に行われたパンダアップデートのこと)、さらに汚染されていると述べた。

シュミット氏は、アップデートは検索結果の12%に影響を与えた仕組みを説明し、反論した(多くの検索結果を改善したわけではないが、そのつもりでシュミット氏は言っていた気がする)。シュミット氏は、グーグルは目立たない“数百”もの改善を四半期ごとに行っていると述べた。情報にリンクを張るよりも、直接的に答えを提供する方策を考えているようだ。

「適切な答えが浮かんだら、ユーザーに提示するのみだ。」とシュミット氏は告げた。

消費者にとっては嬉しい限りだが、グーグル(言うまでもなくビングも)はウェブサイトからこの手の“直接的な答え”を抽出しているため、サイトからトラフィックを奪う可能性がある新たな難解な問題を起こしている。

グーグルにとっては、悪事を働いているさらなる証として一部の人々に見られるだろう。ビングはまだまだ小規模であり、本気で気にする人はいないはずだ

続いて、ビングは場合によってはグーグルよりも多くの直接的な答えを提供しているように思えるとモスバーグ氏は述べた。

「それはごく限られた場合においてだ」シュミット氏は反論した。

限られたケースであれ、ビングがグーグルに勝っていることをグーグルの3名のトップのうちの1人が認めた。このような発言は今回が初めてではないはずだが、とても稀である。

ビングの直接的な答えには、人間が干渉して答えを作成しているが、グーグルはこの取り組みを意地になって実施しないことにプライドを持っている。しかし、直接答えを与える取り組みでビングを上回るためには、「アルゴリズム至上主義」を捨てなければいけないだろう。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「The Top 10 Things Eric Schmidt Revealed At D9」を翻訳した内容です。

Googleを1検索企業から世界最強のネット企業(の1つ)に育てた立役者だけあってその発言の中身は重くまた興味深いですね。「アマゾンは買い物を、アップルは“美しい製品”を、グーグルは情報を、そして、フェイスブックは友達とアイデンティティを支配している。」という発言は言い得て妙ですね。「マイクロソフトは四天王に入っていない。」そうですが、さてマイクロソフトの人たちはどう思っているでしょうね。後半、Bingの検索結果が場合によってはGoogleより良いこともある、とも認めてはいるのですが。「ソーシャルメディアでの失敗は時間がなかったとはいえCEOとして最大の過ち」とも認めていますが、さてさてラリー・ページがCEOを引き継いだGoogleがベータリリースしたばかりの+1でどこまでソーシャルに立ち向かっていけるのかGoogleの果てしなき戦いに今後も要注目です。 — SEO Japan

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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