6年前、私はソーシャルなリビングルームを作るという、野心的なソーシャルプロジェクトに関わる機会があった。因みにこれは現在のソーシャルネットワークができる以前の話だ。あらゆる観点において、このシステムは、PCでの経験、そして、その他のすべてを変えるのが何かを予言していた。ウェブは孤立しており、孤独な経験であるという点、そして、オンラインと現世のコンテンツを未来のオーディエンスに提供するためには、新しいハイブリッドなデバイスが必要である点を理解することから始まった。このハイブリッドなデバイスは、総合的な経験におけるソーシャル、消費、そして、参加を融合する役目を負っていた。
ヴァージン・アメリカに乗り、飛行中にエンターテイメント・システム(RED)を利用したことのある人ならば、未来の展望を実感しているはずだ。REDの強みは、オンデマンドのコンテンツ消費よりもむしろ、他の乗客と一緒にコンテンツを見て、プログラム放映中にスクリーンでソーシャル活動を楽しむことが出来る点だ。
私たちはこういった経験の一部になり、私たち自身、そして、それを見て、会話に貢献してくれる全ての人のためにこの経験を形作っていく。
多くの技術者、メディアの実業家、そしてマーケッターは、コンテンツ消費の現状を「3つのスクリーン」で表現している。それは、携帯電話、パソコン、そして、テレビである。
この3つのスクリーンは世界の窓とも言える。皆さんの世界の窓であり、この窓を介して自分が没頭したい世界で、徐々に影響力を持つようになる。
この3つのスクリーンはソーシャル、モバイル、そしてリアルタイムのウェブをゴールデン・トライアングルとして融合させる内在的なテクノロジー・プラットホームを基に成立しており、場所に関わらずオンデマンドで人々を夢中にさせ、参加型の経験を提供するデバイスによってつながっている。
このゴールデン・トライアングルは3つのスクリーンを共有する経験を生み出すだろう。しかし当面は、関連性およびパーソナライゼーションに対する集団の要望が再び台頭し、それぞれのメディアの変化と革新を率先していくのではないだろうか。
今日、ツイッターの流行のトピックをチェックすると、参加者が特定の番組やイベントに関する会話に集まっていることが分かる。参加者たちは井戸端会議を行い、リアクションを起こし、中心となってソーシャル化を行っている。こういった活動の融合は実際に見てもらえれば分かる。そして、この融合が増えていくと、範囲と影響力がソーシャルグラフで反響し、部外者を魅了し、彼らをリアルタイムの参加者に変えていく – これは、たとえ限定的であっても、文化的な意味合いを持つ可能性があるため、見逃したくないと言う感情によってもたらされる。
ニューヨークタイムズ紙は このオンライン上の社会現象をウォーター・クーラー効果(井戸端会議効果)と呼んでいる。実際、 このソーシャルな効果は、テレビ全般における視聴者の減少といった現象に新たな息吹を吹き込むと言う功績を認められいる。
ニューヨークタイムズ曰く…
今年のスーパーボールは、アメリカのTV史の中で最高の視聴率を記録し、それまでの歴代のトップの視聴率を叩き出していた1983年の「M*A*S*H」を抜いた。また、今年、グラミー賞を含む授賞式も、ここ数年で最も多くのオーディエンスを獲得している。ブログ、フェイスブック、ツイッターのようなソーシャルウェブサイトが、オンラインで井戸端会議現象を巻き起こし、人々にコンピュータのスクリーンと大きなTVのスクリーンに費やす時間を分割させていた。
ウェブは私たちの一部となり、私たちはウェブを現実の世界で経験する全て、そして、今やテレビの中にさえ持ち込んでいるのだ。
ニールセンによると、スーパーボールとオリンピックの開会式を観ていた人の7人に1人が、インターネットを同時に利用していたそうだ。そして、この数字は上昇する一方である。このように、TVネットワークはソーシャルエフェクトを利用しようと試みている。ニールセンの副社長であるジョン・ギブス氏は、ニューヨークタイムズ紙に、先日のオリンピックのデータから勇気をもらったと話した。この、テレビとウェブの同時視聴に関する調査結果は、「ソーシャルメディア使用の増加が視聴率の上昇につながる」点を明示し、テレビの経験におけるインタラクティビティの重要性が増している点を示唆していた。
NBCは、今年、ゴールデングローブ賞授賞式を東西の両海岸で初めて生放映した。そして、ソーシャルアクティビティの大きな後押しを受け、同ネットワークは秋のエミー賞でも同じ現象を再現しようとしている。
このように、ネットワークはテレビの視聴とオンラインの交流を同時に誘発するメソッドをさらに試していくのではないだろうか。
つながり、そして、共有される経験が、新しく魅力的なデジタルライフスタイルを形成していくのだ。
しかし、このウォーター・クーラー効果が影響力を持つようになると、3つのスクリーンを統合することが出来るかどうかが鍵を握るようになる ? その中でも、タブレットがギークの消費および交流行動で新たな役割を持ちつつある点は見逃せない。
今日、テレビは、ネットワーク作りの手段を視聴者に提供している。例えば、私のサムソンのテレビは、リビングのアップルのネットワークのハブに接続されていて、ツイッターを含むいくつかのソーシャルネットワークに接続することが出来る。テレビを見ながら、私は画面上でツイッターのストリームを閲覧し、同時にテレビから直接つぶやけるのである(キーボードがあれば言うことはないのだが)。
もしも、テレビ番組を自分の選択したスクリーンでソーシャル化させることが可能だとしたら、どうなるのだろうか。視聴と関連するオンライン上の交流がリビングから解放され、自分が選択した場所やデバイスで楽しむことが出来るようになる。その一方で、メディアは創造力を求めており、その結果、ピア・トゥ・ピア形式の複数の局面によって、従来型の考え方が補完されている。
例えば、オンラインネットワークは、コンテンツの実験に関しては、効果的なチャンネルになり得ることを証明しており、従来の番組のオーディエンスを拡大する傾向が見られる。第51回グラミー賞授賞式は、生放送の番組を制作し、オンライン動画ネットワークをリードするユーストリーム、そして、フェイスブックと提携を結び、ソーシャルウェブのためだけに、授賞式の補足的な放送を行った。その結果、同時に20万人が動画を視聴し、その会話が集中的なソーシャルグラフおよびソーシャルネットワークに飛び火し、TVの視聴率を35%に引き上げる原動力となったのだ。
ソーシャルエフェクトの結果、そして、今日のオンラインネットワークに備わっている統合されたソーシャルフックは、番組が最終的に望む反応と行動を生み出す創造的なきっかけをもたらし、つながり、そして、交流を促す。これは通常の放送であれ、生放送であれ、もしくは映画にだって当てはまるだろう。
ツイッターのメディア提携を監督するクロエー・スラッデン氏のは、ソーシャルメディアのソーシャルエフェクトを完璧に理解している。“ツイッター[そして、その他のネットワーク]は、人々をリアルタイムの会話に参加しているような気分にさせるのです。今後、大きなイベントでは必ずオーディエンスにも役割が与えられるでしょう”と同氏は話した。
ウォーター・クーラー、もしくはソーシャルエフェクトは、時間をかけて、より有意義な経験するための1つの材料に過ぎない。これは文化的な意味でも重要度が高い。なぜなら、イベントを参加の拠点、そして、人を引き付ける磁石として利用し、リアルタイムで共通の興味を基に人々を結びつけているからだ。ソーシャルエフェクトは、つながりを持ったオーディエンスとして、放送事業者やメディアに対して、より意義深く、視聴者を巻き込むような、番組、コンテンツ、そして、最終的には経験を要求するようになるだろう。私たちオーディエンスこそ、すべてのメディアと注目の民主化を率先しているのだ。
行動は言葉よりも力が強い。そのため、私たちが求める変化は、オンラインの会話への参加の向こう側に波及する。私たちは、視聴者が結果に影響を及ぼすことが可能な、よりレベルの高い参加を求めている。オーディエンスの役割は、視聴者から貢献者へと成熟し、この変化がメディアの関連性および可能性を裏付け、その一方で、私たちを個人、そして、オンラインの居住者として、さらに個性的且つ充実した交流およびコミュニティに結び付けていくだろう。その結果、私たちは成長していくのだ。
この記事は、Brian Solisに掲載された「The Future of Broadcast Media is Social」を翻訳した内容です。
確かにコンテンツ消費のシーンが「携帯電話、パソコン、テレビ」の3つで括られている現在ではありますが、今後テレビのデジタル化やネットとの連動に伴い、より融合されていくでしょうね。実際、携帯電話でもパソコンでもテレビが見られる時代でもあります。テレビがパソコン化する流れと言うのはパソコンも販売している家電メーカーの陰謀なのか?知りませんが、余り進んできていない気はしますが、今後避けられないでしょうね。昔からテレビ番組と連動したチャットや携帯メッセージングと言うものはありましたが、ツイッターの普及で一気に現実味が増して気がします。既にテレビ番組についてつぶやいている人たちは何十万人といるわけですし。。。
最後に書かれている「放送事業者やメディアに対して、より意義深く、視聴者を巻き込むような、番組、コンテンツ、そして、最終的には経験を要求するようになるだろう。」「視聴者が結果に影響を及ぼすことが可能な、よりレベルの高い参加を求めている。」は当然の流れかと思いますし、実際、テレビ局の社員さんでもツイッターをしている人も結構いるようですし、いよいよネットとテレビの連動が本格化する時代になってきそうです。 — SEO Japan
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