Search Engine Landの創始者で編集者でもあるダニー・サリバンが、この20年間で目撃してきた検索の変化について記事を執筆している。
*記事内のリンク先は一部を除き英語となっています。
検索業界と検索エンジンを初めて記事で取り上げてから、本日で20年目を迎えた。この節目を迎えるに当たり、検索業界に携わった20年の間に、私が見てきた大きな変化を振り返ろうと思う。
*目次はSEO Japanによる加筆です。
目次
何か疑問が浮かぶと、まず最初に頼りにするのは、検索エンジンではないだろうか。Googleかもしれないし、Siriかもしれないし、Bingかもしれない。Yelpの時もあるだろうし、複数の検索エンジンを組み合わせて利用することもある。
あまり深く考えず、我々が当たり前のように実行しているこのシンプルな行為は、人々が情報を求めるプロセスに対しての革命とも言えるものだ。消費者をターゲットとした検索エンジンが20年ほど前に誕生する以前は、何百年、何千年前と同じ方法で人間は情報を得ていた。つまり、「誰かに尋ねる」という方法だ。
何かに対する答えが必要になったら、教師、専門家、親友、または、司書のような人物を頼りにする。もちろん、ツールも利用していたはずだ。図書館、図書館の目録、イエローページ、そして、LexisNexisなどの専門家のデータベースだ。しかし、多くの人にとって、他の人に尋ねて疑問を解消するという方法が、最も一般的であった。
そして、今から遡ること20年と少し前、必要とする答えを全て把握しているように思える、検索エンジンという新たなパートナーが登場する。検索エンジンは、スマートフォンがコミュニケーションの方法を変えたように、情報収集の方法に革命的な変化をもたらした。しかし、スマートフォンとは異なり、検索エンジンは静かなる革命の担い手であった。 このツールが与えた奥深い変化は、賞賛に値したものの、あまりにも自然に発生したため、誰も意識しなかったのだ。
もしも時間に余裕があれば、8分ほどの下記の動画を視聴していただきたい。数年前に私がTEDxで講演した動画であり、検索の革命をより理解できるはずだ。
Appleはスマートフォンを発明したのはではない。Appleはスマートフォンのコンセプトを完成させ、誰もが真似したくなるようなものを作成したのだ。同じように、Googleも検索エンジンを考案したわけではない。Googleが誕生する以前にも、既にOpen Text、Infoseek、WebCrawler、Lycos、Yahoo!、AltaVista、Exciteなどの有名な検索エンジンが存在していた。
Googleは検索エンジンを完成させた。少なくとも、検索エンジンに出来ることを大幅に改善した。Googleはウェブページへリンクを張る行為を分析することで、関連性が高く、総合的な検索結果を提供することが出来る点を実証したのである。人気のあるトピックでも、曖昧なトピックでも検索することを可能とし、それらに対し、優れた検索結果を得ることが可能になった。
また、Googleは自身を「二番手」とすることで、繁栄することに成功した。当時の検索エンジンは、その多くが有償の結果に対する非難を逃れるため、検索から直接収益を得ることを行わなかった。現在では当たり前のこととして受け入れられているが、1996年にOpen Textが試験的に導入したところ、ユーザーを激怒させることとなり、その他の検索エンジンもこの分野から手を引くことになったのだ。
Googleがもっと早く誕生していたら、検索に力を入れるよりも、ライバルサイトのように「ポータル化」に焦点を絞っていたかもしれない。しかし、Googleは最適なタイミングで誕生したと言える。丁度その頃、GoTo(後のOverture)が有料の検索結果(ペイドサーチ)という概念を復活させていた。このタイプの検索結果が新たに受け入れられたことと、Googleの優れた検索テクノロジーによって、Googleは瞬く間に検索業界の台風の目となった。
Googleは時間の経過とともにライバルを蹴落としていく。現在、検索と言えば、真っ先にGoogleを思い浮かべるはずだ。事実、中国とロシアなどの一部の国を除く、ほとんどの国でGoogleは検索を独占している。その結果、会社名が動詞になるほどの、究極の賛辞を獲得した。つまり、「ググる」という言葉が「検索する」という意味を持つことになったのだ。
サービスを立ち上げたばかりの頃のGoogleの目的は、可能な限り早く、ユーザーを別のサイトへ導くことだった。共同設立者のラリー・ペイジ氏は、2004年にIPOを実施した頃に行われたPlayboyでのインタビューで次のように述べている。
ペイジ氏: ユーザーがGoogleにアクセスし、すぐに探していたアイテムを見つけてもらうことを私達は目標にしています。見つけてもらったら、喜んでその他のサイトにユーザーを送ります。実はここが大事なポイントなのです。反対に、ポータルサイトでは、全ての情報を自身で所有しようと試みています。
PLAYBOY: ポータルサイトは、「スティッキーコンテンツ(sticky content)」と彼らが呼ぶコンテンツを作り、出来るだけユーザーを長くサイトに留めようとしていますね。
ペイジ氏: そこが問題なんです。大半のポータルは自分のコンテンツをその他のウェブサイトのコンテンツよりも上部に掲載してしまいます。これはユーザーの利益に相反しており、検索結果に対して、料金を要求するようなものです。ポータルサイトの検索エンジンは、必ずしも最高の検索結果を提供しているわけではありません。あくまでも自分達の結果(ポータルサイトが所有するコンテンツ)を提示しているのです。Googleはこの概念から距離を取るようにしています。ユーザーが出来るだけ早くGoogleを去り、適切な場所に向かってもらいたいと願っています。ポータル化戦略とはビジネスモデルが大きく異なるのです。
PLAYBOY: Google ニュース、Gmail、Froogleなどをローンチするまでは、そう言えるでしょうね。
ペイジ氏: と言っても、それらはウェブを利用する上で役に立つテクノロジーに過ぎません。あくまでも代わりのサービスです。もちろん、良いサービスにしたいとは考えています。しかし、最善のウェブサイトにユーザーを導き、ユーザーの利益になることを実行しようと常に心掛けています。例えば、Google ニュースでは、Googleはそのニュースを購買することはしません。Googleが所有するその情報に、ユーザーを導くことを考えていないのです。我々は多くのニュースソースを集め、整理して表示し、外部のウェブサイトにユーザーを誘導します。また、Gmailは容量の大きな優れたメールプログラムに過ぎません。
重要なポイントを太字で表示している。ペイジ氏、そして、Googleは、Google自身がコンテンツを所有することは、ユーザーを最高の情報に導くという検索エンジンの主な仕事の利益と相反すると考えていた。
しかし、当時、GoogleはGmailやBloggerなどの検索ではないサービスを展開しており、既にコンテンツの矛盾を抱えていた。時間の経過とともに、この矛盾は肥大化していく。例えば、Googleの所有物であるYouTubeで動画を視聴してもらうことは、明らかにGoogleの利益になる。次の検索結果を見てもらいたい。
上記の画像は、Googleで「rogue one trailer」を検索して表示された結果である。Googleが所有するサービスのYouTubeが、ページを占有するほどの大きさの画像でトップに表示されされている。Appleも同じ予告動画を提供しているにもかかわらず、下位に沈んでいる。Googleに有利なことは明白だ。
なぜGoogleは自身を贔屓しているのだろうか?YouTubeの方がAppleで視聴するよりも、体験として優れていることが理由なのかもしれない。個人的にはその通りだと思うが。しかし、YouTubeのコンテンツをより目立つ位置に表示することが彼らの利点となることを、Googleが理解していることが理由なのかもしれない。他にも色々な理由が考えられる。しかし、理由が何であれ、自社の動画サービスを検索結果に提示する限り、矛盾の問題は残るままだ。
多少矛盾が生じることは避けられないことなのだろう。例えば、ローカル検索はレビューに密接に結びついており、自社のレビューを表示することなく、良質なローカルのリスティングサービスを提供することは難しいのかもしれない。しかし、Yelpやその他のサービスからライセンスを得て、彼らのレビューデータを利用することで、この矛盾を避けるという手もある。
それでも、大体の場合において、Googleは検索と自社製品とのバランス、また、ユーザーの利益とのバランスをうまくとっていると私は思う(ただし、当然、例外は存在している)。それでも、野心的なプロジェクトを統括するAlphabetと呼ばれる新たな会社まで誕生しているが、Googleが成長するにつれ、こうした矛盾は数十倍に達し、恐らく今後もGoogleに付きまとうはずだ。
この件の詳細は、過去に投稿した「How Google Went From Search Engine To Content Destination」で確認してもらいたい。
あなたが手にしていものはスマートフォンではない。サーチフォンなのだ。
もちろん、Facebookで投稿するために、メッセージを送信するために、Eメールを利用するために、動画を見るために、ゲームで遊ぶために使用していることは確かだ。しかし、答えを得るためにも利用していることが多いはずだ。どこでも、いつでも、次々に質問を端末に投げ掛けていることだろう。
情報を求めるプロセスに検索エンジンが革命を与えたとすれば、スマートフォンは「常にそこにある」検索を実現した、第二の革命の担い手と言える。答えを探し、リサーチを実行するために、オフィスに戻ってノートパソコンを開く必要はなくなったのだ。今なら、そう思った瞬間に検索を行うことが可能だ。事実、検索の大半が現在はモバイルで行われている。
その結果、昼夜を問わず検索が行われ、購入に結び付く買い物などの行動に大きな変化をもたらしている。また、テレビ番組等のコンテンツとも結びついており、見ている番組によって、関連するコンテンツの検索が急激に増加する現象も起きている。
スマートフォンは、Star Trekで見られるようなコミュニケーションの方法とは異なるかもしれないが、あらゆる物事に対する答えを持つ「図書館のようなコンピュータ」に常に接続しているという状態をもたらした点においては、一致していると言えるはずだ。
カーク船長(Star Trekの主人公)が惑星に降り、川の前で「川の長さ」を尋ねるシーンを想像してもらいたい。現在、このシーンは地球の至る所で実際に見ることが出来るのだ。
「10本の青いリンク」というフレーズに聞き覚えがあるなら、恐らく、Ask Jeevesとジム・ランゾネ氏のおかげだろう。同氏はCBS Interactiveで製品担当のバイスプレジデントを勤め、後にCEOに昇格し、現在は会長職に就いている。
実際にはAsk Jeevesとランゾネ氏がこの用語を創っていない可能性もあるが、この用語を初めて使ったうちの一人であり、Ask Jeevesを新しく、新鮮なサービスへと変える手段として広めたことは間違いない。検索結果として「10本の青いリンク」を返すのではなく、Ask Jeevesは新しい方法でより有益な情報を提供することをユーザーに約束した。
10本の青いリンクは実際に消滅したわけではない。主要な検索エンジンは、今でも従来型のウェブリンクを提供している。しかし、それ以上に、ダイレクトアンサーやカルーセルの表示などによる、検索結果を利用する新しい手段を提供している。
次のスクリーンショットは随分と長いが、この変化を確認する上で非常にわかりやすい画像となっている(クリックすると拡大する)。
左側のスクリーンショットは、2002年にGoogleで「cars」を検索した際の結果画面だ。広告と自然検索結果の全てがリンクである。画像は、Googleのロゴのみだ。
一方、右側には現在、モバイル端末を使って同じキーワードで検索を実行した場合の結果画面である。この検索結果にもリンクが多数表示されているが、グラフィックが増えており、アプリへのリンクはカラフルなフォーマットで提示されている。ニュースへのリンクは画像付きで、スワイプ可能なカルーセル内に表示されている。ローカルのリスティングはマップに掲載され、クリックすれば電話をかけることができるボタンも用意されている。ご覧のように、過去の10本の青いリンクとは大幅に異なっているのだ。
検索結果は、今後の数年間で、さらにグラフィックを多用し、双方向的な利用が可能になるはずだ。同様に、検索は今後もキーボードを離れ、Amazon Echoをはじめとする各種の端末に、欲しい情報を呼び掛けるという傾向に拍車がかかるだろう。
検索エンジンが生まれて間もないころ、一部のコミュニティでは「エージェント」がユーザーが求めている情報を見つけてくれるようになり、我々が積極的に検索を行う必要はなくなるのではないか、という考えが存在していた。
このアイデアはまだ実現してはいない。今後数十年とは言わなくても、数年間は実現する可能性は限りなくゼロに近い。配管が壊れて始めて配管工の助けを必要とするよう状況のように、何か緊急の事態が発生するまでユーザー自身が何を必要としているか分かっていないことを、エージェントが検索することは非常に難しいことだ。
それでも、過去数年の間に予測検索の分野で、目覚ましい発展が起きている。Google Nowは、私が検索を行う前に必要とする情報を提示してくれており、それについては毎日のように驚かされている。MicrosoftのCortanaはGoogleのライバルとして名乗りを上げている。AppleのSiriは今も後塵を拝している状態だが、注目に値することに変わりはない。下記に、予測検索を取り上げた過去の記事を幾つか紹介しておこう。
(日本語記事:Google Now – あなたの行動を予測する革新的検索サービス)
予測検索の従兄とも言えるボットの存在も忘れてはならない。
予測検索はあくまでも受動的な検索だ。予測検索のエージェントは、優秀なアシスタントが上司に頼まれる前にアポイントを取るように、ユーザーが何を必要としているかを時間をかけて学び、提案する。
ボットは通常の検索と同じく能動的なものだ。しかし、あなたが購買を行う可能性のあるページを探し出すだけでなく、ボットはその全てを一つにしようとするのだ。これは、現実の世界において、アシスタントに誰々に花を贈りたいことを伝え、実際に行動に移してもらう、といった形に近い。
MicrosoftとFacebookがツールを紹介したことで、ボットへの注目はここ数ヶ月の間に非常に大きくなった。このツールは、デベロッパーやパブリッシャーが、コンサートのチケットの予約や花の注文などのタスクを、自動的に処理することができるボットの開発する手助けしているのである。
アメリカでは、ボットはまだまだ初期段階であり、一つのタスクに限定されている。花を贈りたいなら、生花店のボットが助けてくれる。しかし、タコスが食べたいなら、タコスボットが別に必要となる。いずれは、多くのタスクを処理することが可能なメタボットが登場するかもしれない。
ボットに関する詳細は、私、および、スタッフが投稿した最近の記事で確認してもらいたい。
この分野は注目に値する。予測検索とボットは、検索における刺激的な分野の一つであり、また、潜在的に業界を再編する力を持つ分野の一つでもある。
マシンラーニングも、検索の分野の中で成長著しい分野である。現在の検索エンジンは、数百点のシグナルを解析し、検索結果にランクインさせるコンテンツを決めるための、人間が作り出した複雑なレシピ、つまり、アルゴリズムに大きく依存している。
マシンがマシンを教育できるようになったら、何が起きるだろうか?昨年、Googleは検索エンジンが処理する”非常に大きな大部分”にマシンラーニングが取り入れられているという驚くべき事実を明かにした。このマシンラーニングのプロセスには、RankBrain(日本語記事)という名前すら、与えられている。
RankBrainが何を表示するかを我々が知るすべはないが、碁というゲームについての現状はご存じだろうか?この複雑なゲームで、マシンラーニングシステムのAlphaGoが世界チャンピオンを負かして世間を驚かせた。
検索結果の判断に関しても、勝負の「一手」が次々に繰り出されている。検索順位は、勝利の一手と敗北の一手が明確に分かれているわけではない、主観が支配するゲームだ。同じ地域で二名のユーザーが「abortion(中絶)」と検索しても、最も適切な検索結果に対する考え方は大幅に異なる可能性がある。「football」の検索結果に相応しいページも、アメリカ人とイギリス人では異なる。皆があらゆるトピックにおいて専門的な知識を持っているわけではないから、最高のコンテンツを決定することは非常に困難であるのだ。
検索は難しい。私の知る限り、Googleが実施しているマシンラーニングが行っている範囲は、複雑な検索をより一般的な検索とマッチさせ、同様の結果を表示させる試みが中心となっているはずだ。これは、非常に有意義な試みである。なぜなら、一般的な検索に照らし合わせることによって、Googleは検索結果に自信を持つことができるからだ。特に、予測されるクリック率を下回り始めた場合は、その検索結果の品質に問題があると言えるだろう。
マシンはさらに賢くなっていくはずだ。マシンは独自のルールを作り、様々なシグナルを分析するようになる。最も好奇心をくすぐられるのは、人間が思いつかなかったシグナルや関連を発見し、検索を改善することが出来る可能性があるという点だろう。
マシンラーニングについての詳細は、下記の記事を参照にして欲しい。
(日本語記事:Googleの新しいアルゴリズム、RankBrainの全容)
時間に余裕があるなら、下記に記載する、Googleのポール・ハー氏によるプレゼンテーションを視聴してほしい。Googleの複雑なランキングシステムをより深く理解することができるだろう。上から順に、プレゼンテーション、Q&Aセッション、スライドとなっている。
1990年代半ばに検索エンジンが登場したころ、検索エンジンが原因で、20年後に欧州裁判所が「忘れられる権利」を認める判決を出すことになるとは誰も想像していなかったはずだ。
これは、検索エンジンが社会を形成した数多くの構造の一つに過ぎない。あなたが欲しいものをすぐに見つけることが可能になったということは、他の人には見つけてもらいたくないことが簡単に見つかってしまうことも意味している。
先週も、カリフォルニア大学デービス校が、胡椒スプレー事件による失墜したイメージを改善するため、Googleの検索結果を変える取り組みを行っていたことが判明し、話題になっていた。当然、以前にも同じ試みを行った学校や企業は多数存在するはずだ。検索マーケッターに注目してもらいたいのは、この試みがことごとく失敗しているということだ。
コンテンツを消し去りたい人がいる一方で、そのコンテンツを確実に表示させたい人もいる。検索により、多くの会社が頭角を現し、成長した。以前は、主要なトラフィックを広告に頼っていたが、大量の無料のトラフィックを検索エンジンによって得られるよになったのだ。このトラフィックはとても重要になり、検索トラフィックを失うと、ビジネスの収益に大きな影響を及ぼすほどになった。eBay、Overstock、Demand Media、Verisignが良い例だ。これらの会社は、過去の収益の急激な減少をGoogleのアルゴリズムの変更を原因としたことがある。
検索に関連する司法の動向にも注目して欲しい。アメリカ国内で、検索エンジンには米国憲法修正第1項の言論の自由が認められている。ドイツでは事実上、検索エンジンがニュースの情報源にリンクを張る行為に課税する「付随的な著作権」の法律が可決された。スペインでも同様の法案が通過している。検索エンジンを巡る法律分野の戦いは続いているのだ。
検索エンジン自体も、検索結果に何を、どのように表示すべきかという問題に取り組んでいる最中である。自殺者の遺書を検索結果にに留めておくべきだろうか?戦争の記録映像を削除するべきだろうか?固定概念を含むオートサジェスチョンを検閲するべきだろうか?全て実際にGoogleが抱えている問題の一つである。詳細については、次の動画で確認することが出来る。
検索エンジンはその他にも社会に影響を及ぼしてる。
我々は、自分自身もGoogle検索にかけている。ケイティ・ペリーもその一人だ。マージ・シンプソンも自分の名前を検索している。ほぼ全ての人が経験済みであることだろう。
検索エンジンが浸透する以前は、大勢のオーディエンスに接触する方法は、高額でありながら、ターゲットが全く絞られていなかった。TVの広告を買い、商品に関心を持つ人達が見ていると思われる時間帯に放映する。しかし、実際にCMを見ている人達のほとんどは、商品に興味を示さない。通常は早送りされてしまう。
検索はこの仕組みを変容させた。少ない金額で、大勢のオーディエンスに接触することが出来るようになったのだ。さらに言えば、あなたのコンテンツは、検索を行い、商品やサービスに関心があると明言した人達にピンポイントで表示されるのだ。
車を販売している会社を例にとって考えてみよう。テレビで多額の料金を支払い、大勢のオーディエンスに車の購入を呼び掛ける。しかし、実際に車の購入を検討している人はごく僅かだ。検索はわずかな金額をあなたから徴収し、「cars」で検索を実行したことがあり、購入を検討している人達に接触することを可能にしている。その上、実際に広告をクリックした場合のみ、あなたは料金を支払えばいい。また、無料のリスティング(自然検索結果)がクリックされた場合は、1円も支払う必要はない。
検索がオンライン広告の原動力となり、アメリカ国内のオンライン広告の支出の半分を占めるほど成長したのは、当然の成り行きだと言えるだろう。
また、現在のインターネットで常識となった、パフォーマンスを計測することが可能なマーケティングの基礎を築いたのも検索だ。検索出身のマーケターが、支出する価値が大いにあることを証明するため、ツールやレポートを片手に予算を巡る争いに参戦した。この知識が、この戦いが、そして、この進化が、動画からソーシャル、そして、ディスプレイなどのその他の形式のデジタルマーケティングが成長するお膳立てをしたのだ。
しかし、SEMでも、SEOでも、検索に関わる人達は今でも戦い、そして、正しく評価してもらえないと感じていることだろう。そろそろ価値を認めてあげるべきだ。彼らは、事実と賞賛に値する働きをしているのだ。少なくとも、Googleの自動運転自動車に衝撃を受けている人を見つけたなら、「その自動車を作ることが出来るほどの収入をGoogleに与えたのは、私のコンテンツであれ、広告だ」と言っても罰は当たらないはずだろう。
検索のテクノロジーは悲しいほど不当に評価されている。SpaceXがファルコン9のロケットを浮いている離着陸台に着陸させた動画はバイラル化した。AppleがiPhoneをリリースする度に行列ができる。Googleの自動運転自動車は、テクノロジーの素晴らしさを世間に認識させている。
一方の検索は…ロケットを発射するわけでもなければ、毎年行列に並んでも買いたくなるオシャレなニューモデルをリリースするわけでもない。 検索は検索でしかない。元はSFの世界の話ではあるが、あまりにも当たり前の存在になり、普通であったり、魅力に欠けるツールと見なされ、注目されなくなってしまった。
検索は近年登場した数ある「ガジェット」の中でも特に重要度が高い。同じく当たり前の存在と化したインターネットとトップの座を争っている。科学、そして、テクノロジーがもたらした奇跡であるのだ。
そこで、今度検索を行う際は、1秒も経過しないうちに、星の数ほどのページが集められ、格納され、そして、順位付けされ、最高のページが表示される事実を少しの間だけでも噛みしめてもらいたい。これを実現するテクノロジーと検索エンジンを支える人達に感謝するべきだ。その価値は十分にあるはずだ。そして、私は運よくこの素晴らしいテクノロジーが展開する様子を特等席で見ることが出来ている。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「10 big changes with search engines over my 20 years of covering them」を翻訳した内容です。
SEO Japanでも数多く紹介させていただいておりますので、非常にお世話になっている方です。10個の変化はどれも大きなものでしたが、特にラストの変化は非常に興味深かったです。当たり前のように使用している検索エンジンですが、よく考えてみればとてつもないテクノロジーでありますね。ダニー氏が提言されている通り、たまには検索エンジンという技術に、賞賛の意を込めて検索したいと思います。– SEO Japan
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