アダム・ドゥヴァンダーは、SendGridでディベロッパーコミュニケーション部門を統括する、「開発」のスペシャリストである。過去には、Wired、Webmonkeyに記事を寄稿し、また、APIのリソースとして名高いProgrammableWebで編集に携わった経験を持つ。
数年前、アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)は、楽に、そして、機能的にアプリケーションを連動させるための手段、つまり、デジタル版の接着剤と認識されることが多かった。しかし、現在、APIの価値は、単なる橋渡し以上の役目に進化している。
多くの開発者にとって、APIは、ビジョンを明らかにすることが可能な基礎的な構造の役目を担っている。ここで、効果の80%は20%の原因によって引き起こされると説くパレートの法則について考えてもらいたい — アプリとクラウドのサービスは、アプリが必要とする作業の80%を既に実施しているため、この環境を活かして、自分ならではの20%の「魔法」に力を入れれば良い。
「API」と言う用語は以前から使われているが、現代の、ウェブに接続するAPIのバージョンが勢いをつけ始めたのは、AmazonのStore APIが登場した2000年代の前半であった。このAPIによって、どんなウェブサイトでもサイト上にAmazonを掲載することが可能になった。
例えば、小規模な小売業者がAmazonのStore APIを統合すると、別にEコマースの機能を開発することなく、ウェブサイトから商品を販売し、配送することが可能になる。中小規模の業者にとって、今までとは全く異なる新しいチャンネル(そして、経済)が登場したと言えるだろう。
FacebookとTwitterも独自のオープン API戦略を用いて、Amazonの後に続いた。Facebook、または、TwitterのログインAPIを統合したウェブパブリッシャーは、ウェブサイトを訪問している人、閲覧している人、そして、コメントを投稿している人に関するデータを集めて、理解することが可能になり、その結果、広告スポンサーにより良い製品とサービスを売ることが出来るようになった。
この頃から、APIは大幅に成長し、採用するサイトは増加していった。APIを公開してとりわけ大きな成功を得た企業の一つが、Salesforce.comである。同社は、第三者アプリのエコシステムで300万近いアプリに利用され、サイトのトラフィックの大半は、APIによってもたらされている。
APIは、ビジネスを早く確立し、成功に導くモデルとして、インターネット全体に影響を与えている。インターネットは、様々な事業体によって所有され、運営されるウェブページのネットワークから、オープン API、そして、アプリケーションが連動して、新たなアプリケーション、新たなビジネス、そして、新たな協力関係を築く手段を作り出すエコシステムへと姿を変えつつある。
APIには明確なビジネス上のメリットがあるものの、運用の面でも幾つかメリットをもたらす(その多くはビジネスの成長 & 成功に関連する)。現在、ウェブアプリの開発者は、多数のAPIを利用することが出来る。Facebook、Google、そして、Salesforce等の一流のテクノロジーブランドがAPIを提供している。
また、政府機関、教育機関、金融機関、さらには、大型の小売業者等、一風変わった業界からも多くのAPIが提供されている。
APIから得られるメリットを幾つか挙げていく:
APIは余計な作業を減らす。 APIを利用することにより、運用およびインフラの一部をその領域のプロにアウトソースすることが可能になる。
APIは知識を得る上で役に立つ。 アプリのインフラの一部をエキスパートに対応してもらうことで、プロから学ぶ機会を得られる。
APIはより幅広いアプリのエコシステムに接触することが可能になる。 アプリのインフラの一部をエキスパートに委託する機会が増えると、エキスパートとのつながりも増える。
APIは新製品を作り & テストする上で役に立つ。 独自のAPIを公開すると、顧客& パートナーのエコスシテムが活用するビジネスを公開することになり、新たなビジネスの機会が生まれる可能性がある。
要するに、APIの消費者になると、アプリケーションやビジネスの構築を簡素化することが可能になる。オープン APIを統合して、インフラを管理し、運営上の懸念を拭い去ると — たとえ解決策が分かっていることでも — 最も重要なこと、つまり製品に集中する余裕が生まれる。当該の領域を専門にするエキスパートにアウトソースすることで、不要な作業を回避することが可能になるのだ。
現代の一般的な開発者にこのパターンを当てはめてみよう。大半の開発者は、様々な API コール & サービスを利用して、アプリをデザインし、開発している。例えば、SMSや音声にはTwilioを、ログインにはFacebookやTwitterを、モバイルアプリのデータおよび分析にはParseを、そして、eメールにはSendGridを利用している可能性がある。
事実、アプリの大半の必要とされる機能は、誰か、または、どこかの会社によって既に解決策が提示されている。また、このようなサービスの多くを当初は無料で利用し、規模を拡大する中で、徐々に出費を増やしていくことになる。
このPareto-As-A-Service(サービス型パレート)モデルにより、既存のAPIのエコシステムを基盤として活用し、マーケットにもたらすことが可能な固有の価値、能力、そして、ビジョンに力を入れられるようになるのだ。
APIのエコシステムを使って、アプリを作ったら、今度は自分のアプリのオープン APIを提供することで、他の開発者が自分のプラットフォームをベースとしてアプリを構築することが出来るようになり、エコシステム(そして自らのビジネス)に還元する機会が生まれる。すると、パートナーにプラスに働き、また、エコシステムに貢献して、シームレスなアプリ間のUXを提供することで、成功を収めることが可能になる。
APIの統合は、ビジネスを推進させるツールとして定着しており、多くの企業がAPI限定のビジネスを立ち上げるようになった。例えば、WePayは、先日、Eコマース、クラウドソーシング、そして、零細企業のソフトウェアプラットフォームを統合するために構築されたオンライン支払いシステムのAPIに事業を一本化している。その結果、過去の1年のみで、WePayのAPIビジネスは600%増加し、先日、1500万ドルの資金を調達していた。
どのようなルートを選ぶにせよ、パレートの法則を指針にするべきである。素晴らしいアプリを作り、良質なUXを提供することに集中しよう – その他の作業はAPIに任せておけば良い。
この記事は、The Next Webに掲載された「The rise of the API economy and consumer-led ecosystems」を翻訳した内容です。
3分で分かるだけにポイントを簡潔にまとめた内容、新しい発見があるわけではありませんでしたが、そういうことだよね、という納得感はありました。私もたまたま今API主体の新サービスを手掛けているだけに、早くこのAPI経済に飛び込んで(いつもはユーザーとして利用させてもらっている側ですが)、その世界で自由に泳いでみたいです。この記事を参考に、途中で溺れないように・・・。 — SEO Japan [G+]
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