初心者がアトリビューション分析の考え方を理解するための具体事例

公開日:2014/02/26

最終更新日:2024/02/20

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日本でもアトリビューションに着目してウェブマーケティング予算を効率的に配分しようという動きが進みつつあるようですね。今回は、アトリビューション分析で一歩先を行く米国、、ではなくイギリスの事例からアトリビューション分析についての解説を。検索マーケティング視点につきサーチマーケッターが今後アトリビューションに取り組んでいく際の参考になりそうです。 — SEO Japan

慎重に考案したキャンペーンのアトリビューションは、ビジネスに対する本当の価値を表す。最初は、間違いの少ない絵を描く枠組みに決めても、割と早くその枠組みに艶を与えて、本当の価値と効率をマーケティングの予算の配分にもたらすことが可能になる。

先日、ある会社のマーケティングの担当者から「500万ポンドのマーケティング予算で、以前1500万ポンドの予算で得ていた利益と同等の利益を得るにはどうすればいいのか?」という質問を受けた。

多くのエージェンシーに、このような質問が寄せられる。不況後、マーケティング予算を拡大させた企業は、様々なチャンネルのマーケティング予算を組み合わせ、競合者に差をつけようと試みている。その際に、呪文のように繰り返されているのが、「効率」と言うワードである。

すると、当然、次のような疑問が浮かんでくる — 最も多くの収益をもたらしたのは、どのチャンネルなのか?今すぐ、ROIを計測するにはどうすればいいのか? — ちなみに、個人的に気に入っている問いは、「その分析データは、正確なのか?」だ。

この会社は、マーケティングミックス全体で行う、適切なオンラインキャンペーンから得られる効率をよく理解していたため、全体的にアプローチを見直すことに乗り気になっていた。しかし、当該のマーケットの特徴により、テレビが、今後もマーケティングミックスの大部分を担う点は、意地でも譲らなかった(残念ながら、ここではマーケットを明確に伝えることは出来ないが、ご自由に推測してもらいたい。ヒント: オンラインマーケティングにおいて歴史が長い、競争の激しい分野である。ただし、小売業ではない)。

また、この会社は、7-8ヶ国の言語をターゲットにする必要もあった。

このポイントは、全ての領域のマーケティングの予算を用いて、最大の見返りを得られる組み合わせを生み出す、理想的なマーケティングミックスを一から構築するチャンスのように思えた。

効果的なマーケティングミックスを作る

このケースでは、マーケティングミックスにおいて、明らかに優先する必要がある領域が幾つか存在する:

? 多言語(テクニカル)SEO。これは大きなポテンシャルを持つ領域である。驚くほど大きなチャンスであり、怠惰な競合相手を出し抜くことが出来るため、クライアントに有利に働く。これは一度きりの取り組みであり、予算から大きな金額を割り当てる。

? 競争があまり激しくない国。ターゲットの各地域で、PPCとSEOの競争の激しさを評価すると、毎月高額の費用が求められる双方の領域において、楽に得られる利益を世界中で見出すことが出来るようになる。また、それぞれのケースで、利益の規模を推測することも出来る。私達は、自然の検索の競争度を推測するためのツールを社内で作った。ちょっと時間を割いて考えれば、計測する手段が浮かんでくるのではないだろうか(アドバイス: マーケットのシェア、競合するページ、ランキング、当該の分野における関連するワード全体で占める割合、被リンクの強さ)。

? モバイルデバイスの競争のギャップ。モバイルデバイスに対するトラフィックのレベルが、今まで、PPCの入札への出費よりも高いことは、当然だと理解している — その結果、PPCの予算の入札戦略において、モバイルとタブレットを賢く分割することで、有効に利用することが可能なハンディキャップが生まれる(下の画像を参考にしてもらいたい)。

Kenshoo Mobile PPC Spend Vs Traffic

英国では、モバイルデバイスに対して、トラフィックと広告費の間にギャップがあることが2013年の始めに判明した。このギャップは、今も活用されていない。

? 動的リマーケティング。動的リマーケティングは、厳しく規定された目標に対して発動される。この手法は、失ったコンバージョンを捕える上で、予算を効率よく利用する効果が見込まれる。広告内で正確に適切な情報をマッチさせることが、リマーケティングの鍵を握る — そのため、静的な広告は(絶対に)避け、インベントリを使って、失ったコンバージョンの考えられる意図に関連するアイテムを明らかにする必要がある(私のクライアントは小売り業者ではないものの、「インベントリ」は持っている)。

? アフィリエイト。大幅に予算が削られると、アフィリエイトマーケティングが真っ先に退けられる。しかし、アフィリエイトマーケティングの撤廃を検討する前に、アトリビューションを確認してもらいたい。濃いコーヒーを飲みながら、まるまる1日確保し、アトリビューションモデルの基本に関するこの良質な記事の中で、アビナッシュ・コーシックが提供する例を一つずつじっくりと確認してもらいたい。 幾つか例を試し、特に、現在収益をもたらしているチェンネルを削る決定に与える影響を確認すると良いだろう。

? Eメール。動的リマーケティングの事例と同じように、Eメールのチャンネル用の予算の削減は、予算編成を失敗に導くことがある — なぜなら、このチャンネルのノンコンバータをソフトコンバージョン(登録、在庫の補充、最新のリリース/一足先の公開、一般的な情報、値引き、意見広告等)として吸い上げる力、そして、その後コンバートする力は、並外れて強いからだ。

とは言ったものの、Eメールのチャンネルで効率よく成果を上げられないことも多い。Eメールをコンバージョンパスの一環として統合しているサイトの目標の一つ一つに対して、送信する時間の間隔をカスタマイズしたアトリビューションモデルを考察すると、現在の価値がある程度把握できる。この価値は、このアクティビティに対する予算よりも大きい可能性が高いため、予算の額を変更する余地はほとんどない。

? ソーシャル。この会社は、現時点で、社内で巧みにソーシャルに対応しており、このマーケティングミックスの中でこのチャンネルに予算を割り当てる必要はないため、SEOのプロモーション予算に組み込まれる。

? オフラインユニバーサルアナリティクス、コールトラッキング、タグ付きのキャンペーン(URL短縮システムを使って、ソーシャルのエンゲージメントを豊かにする)を至る所で利用すれば、オフラインキャンペーンの影響を、コンバージョンパスにうまくアトリビュートすることが出来るようになるはずだ。このチャンネルに対しても、吟味を重ねたカスタムのアトリビューションモデルを考案してもらいたい。先のことを考えているなら、既存のデータにそのモデルを適用するべきだ。考えていなかったなら、タグ付けされたオフラインのキャンペーンのデータが入ってくるまで待つしかない。

その他に検討する必要があるのは、PPCの支出、オフライン、そして、SEOの実施(エージェンシー、または、社内)の予算配分のバランスである。ここでも、各チャンネルのアトリビューションモデルを考察することで、予算を削減すると発生するリスクを把握することが出来る。少なくとも、 時間を加えていくアトリビューションモデルを使って、理に叶った判断を下してもらいたい。

このバランスに関して、私は次のような判断を下した。

テクニカル SEOの利益の大きさ、そして、多国籍の特徴を考慮すると、ミドルテールのSEOとPPCキャンペーンを上位三ヶ国に大々的に割り当てることで、最も多くの見返りを得られる。テクニカル SEOにより、手っ取り早く得られる利益からメリットを享受することが可能であり、一般のSEOのパフォーマンスは、大幅に改善され、また、ランディングページは、全体のPPCキャンペーンを効果的にサポートする点において、より優れた品質スコアをもたらす。

ターゲットの地域で、適切にタグを付けた、小規模なテストのオフラインキャンペーンを行うことで、オフラインチャンネルに今後も残すことが可能な予算の最終的なスケールが示唆される。最も妥当だと思える推測アトリビューションモデルを使って、既定のROIの目標を達成することが出来ない場合は、後半のキャンペーンのPCCの予算に組み込み、最大のターゲットのマーケット(米国)のディスプレイとモバイルPPCのアクティビティの予算を増やす。

アフィリエイトマーケティングは、残念ながら、このミックスにおいては、バラ色の未来を約束されていない。このケースでは、マーケット内の競合者が多いため、過剰に気前の良いアフィリエイト契約が策定されている。また、大きくインベントリを収集し、SEOで成功するアフィリエイトの力を、グーグルが積極的に弾圧した結果、安価なトラフィックをもたらす力は失われ、低価格の契約を受け入れるアフィリエイトは少なくなった。

最初のオフライン広告を展開した後、パフォーマンスを見直して、1年間のマーケティングミックスを設定する。幾つかのシンプルなKPIに対するパフォーマンスによって、予算が加えられることもある。その結果、遥かに健全な基本のマーケティングミックス、そして、より競争力の強いオファーを介して、不況が訪れる前の状態に徐々に戻ることが可能になるだろう。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「Showing Value In 2014: SEO Attribution Deep Dive」を翻訳した内容です。

アトリビューション分析の基本的な考え方が理解できる記事でした。実践していくにはそれなりの試行錯誤と努力が必要と思いますが、限られたマーケ予算を効率的に使っていくためには、いずれ取り組まざるえないこの分野。今年中に一度はあなたのウェブマーケティングを棚卸してみては? — SEO Japan [G+]

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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