ミスター・カッツを呼ぶ前に、ブラックハットの“アイデア”が変化してきたことを知ってもらいたい。以前、ブラックハットと言えば、理想の製品を届けるためにユーザーエクスペリエンスを完全に破壊する形で、上位にランクインすることを目指す、検索エンジンを徹底的に操作する取り組みのことを指した – キーワードでのランキングを高めることのみを意図して、キーワードスタッフィング、クローキング、サイトワイドリンクを行う取り組みが横行していたのだ。
しかし、ミスター・カッツ、そして、カッツ氏率いるウェブスパムチームが、スパム対策を強化していくにつれ、ブラックハットの“ブラックハットらしくなくなり”、やがて、リンクを買う行為に限定されるようになった。以前も申し上げた通り、個人的には浅はかな考え(日本語)だと思う。そのため、この記事では、多くの価値をもたらしている、そして、今後もさらに多くの価値をもたらしてくれるであろうドメインに対して、上述のリンクを埋め込みつつ、ターゲットを絞った、目障りなことが多い、営利目的のアンカーテキスト/おきて破りのバーティカルリンクを提供する行為について考えていきたい。
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大きな力には、大きな責任がつきものである、と、スパイダーマンのキャラクター、ベンおじさんは語っていた。多くのウェブサイトが、上の釣鐘曲線の餌食になっている – ページランク、または、それ以外の何らかの形で価値を獲得して、サイトを収益化すると、ウェブマスターは、自分が有利な立場にいると考えるようになる。すると、収益を得るために、あらゆる手段に手を出すようになる。その結果、サイトの価値を失い始めていくのだ。
大量のテキストリンクを売る – または営利目的のアンカーテキストリンクを掲載すると、読者からの信頼感が揺らぎ、トラフィックを失い、自然のリンクを獲得することが出来なくなる。 同様に、アルゴリズムの怒りを買い、検索エンジンの視点で見た実際の価値を失う可能性が高くなる – 当然ながら、この2つの要因は絡み合っている。その結果、高いページランクによって得た権威を失い、ウェブマスターは、金銭的な価値を扱うことが出来なくなり、全ては灰と化す。そのため、徐々にランクが落ちるのではなく、急降下することが多い。
ページランクの価値がもっと広い範囲にわたっていたら、そして、頻繁に更新されていたら、どうなっていただろうか?もしかしたら、ウェブはもっと良い世界になっていたのかもしれない。ベンおじさんの余命が、あとどれぐらいなのか、私達には分からないため、この議論は、また別の機会で取り上げるとしよう。
これはSEOにとってジレンマである。SEOのエキスパートは、このようなサイトの黄金時代に採用されることが多い – 何らかの形で営利目的のアンカーテキストを受け入れる決断を下したばかり等、この手のアンカーテキストを売って、収益を得ることで、どんどん下り坂を転がっていく以前の、アルゴリズムの価値が最高点に達している状況である。そのため、SEOの担当者は、時間の経過とともにリンクが価値を増していくようなケースに巡り合うことはない。SEO業者は、このようなジレンマに何度も悩まされているのだ。理想を言えば、ドメインの価値を理解していないナイーブなウェブマスターと仕事をしたいところだが、このような状況は通常長続きはしない。突然、オープンサイトエクスプローラやヤフー!サイトエクスプローラに突然現れ、ピラニアが血に吸い寄せられるように、競合者が続々と群がってくる。ランキング1位のサイトがリンクを張っているなら – 1位を獲得するために競合者も同じことをするのは当然だ。
これは厄介な問題である..
それでは、SEOの当事者は何をすればいいのだろうか?営利目的のアンカーテキストは、競争の激しいキーワードで上位にランクインするために必要だが、もともと持っていた価値を失ってしまったウェブサイトにリンクを張ってしまうことがある。このようなリンクを価値が下がるのではなく、堆積されていく場所に張ることができれば最高である。
信じるものは救われると言うが…
営利目的のアンカーテキストは、目につく。ブログで見かけると、嫌な気分になる。ハッキリ言って、目障りだ。当然、マイナスに働き、最悪の場合、ユーザーを遠ざけてしまう。 問題は、必ずしもハッキリと表面上には現れることがない点である。そのため、多くの優れたサイトでは何の問題もなく見えるため、読者は気づかない。ただし、フッターの奥深くや右下のサイドバーに隠されている、リーズナブルサーファーのような状態を指しているのではない。あくまでも、ウェブ上でとりわけトラフィックの多いサイトの一部で、読者の目の前で、価値を動かしているケースのことである。
なぜこのような現象が起きるのだろうか?サイトがボタンの色を変えて、コンバージョン率を50%高くすることが出来るのと同じ仕組みである – オーディエンスは、特定の要素に引き寄せられるため、ウェブサイトは、オーディエンスの習性を活用し、アンカーテキストのリンクをユーザーの視点が集まらない場所に配置しているのだ。
グーグルが、クリックのパターンにおいて、このような行為を検知し、ユーザーにとって役に立たない領域のリンクの価値を減ずることが出来ると主張する人がいるが、私はその反対だと思う。 グーグルが、サイトごとに、正確にこのような行為を特定していると考えるのは、グーグルが、スカイネット(ターミネータに登場するコンピュータ)に等しいと言っているようなものだ。リーズナブルサーファーモデルがグーグルに導入されており、フッターのリンクが、記事の本文中のリンクほど大きな価値をもたらしていない点を特定することが出来ると言う意見には、私も賛成する – しかし、私の裸の写真でリンクを張り、一番目のリンクにクリックを集めているので、二番目のリンクの方が価値が高いと指摘するのは、人類史上最も進んだテクノロジーだと言わざるを得ない。アルゴリズムは優秀だが、まだこのレベルには達していないはずだ。
また脱線してしまった。ベンおじさんにはあまり多くの時間が残されていないので、本題に戻らせてもらう。グーグルがどのようにリンクを解釈しているにせよ、重要なのはユーザーの行動である。特定のセクションから視線が離れる状況では、有料リンクは目立ってしまう。フッターやサイドバーの隅よりも大きなダメージをもたらすだろう。なぜなら、「このウェブマスターは狡猾」だと思われると、機械的にユーザーを失ってしまうからだ。
ただし、もちろん限界はある。このようなリンクからユーザーの視線を自然に動かすサイトでは、有料リンクが自然に存在するように見える。それでも、20本の営利目的のアンカーテキストのリンクが主要な領域に配置されているなら、必ず見つかる。しかし、その他のリンクとミックスさせ、サイトは今まで通りの取り組みを行っているなら – 優れた、価値をもたらすリンクを自然に獲得している – やはり実施する価値はあるのではないだろうか。
SEOコンサルタントは、この点について考える必要がある。営利目的のアンカーテキストをこのサイトで自然に掲載したとしても、このサイトの未来に影響を与えるようなことになるのだろうか?私の視線は自然にどこに引き寄せられるのだろうか?通常のトラフィックは、この点に関してどのように感じるのだろうか?リンクを評価する際は、いろいろなことを考えなければならない。
時折、ブロガーは、友達のリクエストに応え、アーカイブを過去に遡り、古い記事にアンカーテキストを挿入することがある。メリットは明らかである – ユーザーは、このような記事にアクセスすることはほとんどなく、検索のトラフィックがコンバートする確率が低い(購読)ことを除けば、有力なサイトの記事にリンクを加える費用対効果のメリットは明白だ。
(ブラックハット推進派にとって)許し難いのは、この行為に、有料リンクが全く関わっていないことだ – このようなリクエストをするには、深く、個人的な関係が必要とされるためだ。「ブログアーカイブ」のブローカーは存在しない。現在の定義に則れば、これ以上の“ブラックハット”はない。
このような状況では、この手のリンクは、引き続きリンクを獲得しているホームページからの“1度限り”の取り組みであり、読者は内部で起きている有害な行為には気づいていない。やはり、この行為は、人気の高いウェブサイトで頻繁に行われている。くまなく調べていくとポルノのサイトですら見つけることが出来る。実際に私は見つけたことがある。つまり、このレベルまで堕落する可能性があるのだ。
しかし、クリーンな場合もある。友情/ドメインのオーソリティを苦労して獲得したはずである。友達からリンクを求められたら、私ならAptus保険や短期の健康保険のサイトにリンクを張る。友達に手を貸しただけであり、特にやましい気持ちはない。金銭的なやり取りもない。
バナー広告が必要だろうか?ただし、ハイパーリンク化されたバナー広告とは、異なる手法がある。イメージのalt tagをキーワードに代えて、アンカーテキストのメリットを元のウェブサイトにもたらす行為は、質の高いシグナルとまではいかないまでも、間違いなく遥かに自然に見える。
質の高いサイトは、広告を掲載しているため、ナイーブな読者にとっては、SEOの価値を得ることが主な目的のリンクは、通常のアドセンスの広告のように見える。間違いなく、この戦略を利用するほど賢いウェブマスターは、“広告”収入を最大限に増やしながら、イメージを維持するスキルを持っているはずである – 少なくとも、帳簿には広告と記載したいはずである。
サービス/ソフトウェアのプロバイダーは、自分のウェブサイトでペナルティーを受けることなく、製品を購入した顧客について堂々と語ることが出来る、ユニークな権利を持っている。アンカーテキストを利用することは出来ないかもしれないが、「イメージのalt」タグの例を見れば分かるように、ソフトウェアを買った人/推奨広告を提供した人に対するメリットとして、容易に実施することが出来るだろう。このような顧客の推奨広告は、サービス/ソフトウェア製品に関して、中途半端な取り組みに終始していたSEOに精通する企業にとって、“転機”となる可能性がある。
あの大手SEO会社のRavenは、私に推奨広告を求め、昔務めていた会社にリンクを張ると提案していたが、思い切りしくじっていたため、私は怒りに任せて、巨大なアフィリエイトのイメージをサイドバーに掲載した。もちろん、これは皮肉だが、リンクの提案が行われた2週間、この証言広告からは、まったくリンクが届かなかった。私は本当にRavenが好きになった。
P.S. – Ravenへ、 Internet Marketing Tools
SEO業者は、クライアントのサイトを上位にランクインさせるためには、何でもしなければならない点を受け入れている、同じような人達を顧客に持つことが多い。ある時点までは、オーディエンスは、あからかさまなアンカーテキストの提案の多くを受け入れる。事実、ある有名なSEO関連のブロガーは、先週、ポルノサイトにリンクを張っていた – それでも、200本を超えるリツイートを獲得していた。さすがに私はポルノサイトは避けるが、これは実際の出来事であり、受け入られている事実には、良質なコンテンツを嫌うSEOブロガーの懐の深さがよく現れている。
サービスのプロバイダー – およびインターネットマーケティングサービスのプロバイダー全般 – は、 – オーディエンスの怒りを買うことなく、劣悪なサイトに自然にリンクを張ることが出来る点を知ってもらいたい。その後も、自然なリンクは引き続き引き寄せられてくる – コンテンツがリンクに値することが条件だが。
時々しか発生しないため(偶然のこともある)、これは最も強力な戦略だと言えるだろう。ブロガーは、URLやウェブサイトを「Tシャツ」や「すごいコンピュータ」のようなアンカーテキストを基に描写する – なぜなら、理に叶っているためだ。そのため、トピックが関連する、一度きりのアンカーテキストのリンクは、オーディエンスに確実に受け入られれる。また、とりわけ強力なキーワードをターゲットにする多くのホームページに対して、グーグルが「最適なURLの取得」を行うきっかけを作ったのが、この行為である可能性もある。なぜなら、トピックが関連していても、あまり理屈に合わないウェブサイトにリンクが向けられることがあるためだ。
SEOにとって問題なのは、妥協点がほとんどないことだ – 上述した指摘をウェブマスターに納得させるのは困難であり、要請をしたところで、常軌を逸した、暴挙だと見なされるのがオチである。試したいなら、1本ではなく、数本のリンクを引き出してみよう – 恐らく、同じような考えを持つSEOのスタッフによって、多くの営利目的のアンカーテキストのリンクが続くようになり、その結果、リンクを掲載したサイトと共にリンクの価値が減っていく“釣鐘曲線”の餌食になるだろう。運良く(もしくは、巧みに)この取り組みに賛同してくれるウェブマスターを見つけたなら、金メダルクラスの価値のあるリンクを獲得したようなものだ。
他にも戦略はあるかもしれない。その中には、グーグルのウェブマスターガイドラインで承認されていない行為を必要とする戦略もあるだろう。そのため、細心の注意を払って、行動してもらいたい。ただし、この記事からは、「リンクの価値が時間の経過とともにどのように変わるのか」を真剣に考えてもらいたい。価値は上がるのだろうか?下がるのだろうか?上がるプロセスを促すには、どうすればいいのだろうか?
リンクが掲載された後に、ウェブマスターに対してメッセージを綴り、ウェブマスターの見方を「ゴールドを得るために対価を支払う」から変えて、リンクをゴールドにする取り組みを推薦することが出来る日はやって来るのだろうか?自分がSEOサービスで生計を立てていることを忘れるべきではない – 助けてくれた人に力を貸すことで、自分が得をするのだ – その後、そのリンクが最大の価値を得られるように、今度は助けてもらうことが可能になる。
利益はゼロサムゲームではない – 他のサイトを助けて、自分のリンクの価値を積み重ねていってもらいたい。
この記事は、Ross Hudgensに掲載された「How To Act Blackhat And Get Away With It」を翻訳した内容です。
どれもSEOを意図していたとしてもブラックハットかといわれると、グレーゾーンでもないような、ただ大量にやってしまうと一気にグレーゾーン越えする可能性もなくはないものでしょうか。最近のゲストブログ取締り問題にしても日本はともかく英語圏では一大SEO産業と化していましたし、その結果を受けての大掛かりな取り締まりだったわけですし。SEOに限らず、何毎もほどほどの範囲でやっておくのが無難とはいえそうです。それとは別にリーズナブルサーファーとGoogleの評価について書かれていた部分もナルホドと思わせる点が多分にありました。「Googleはそこまでリンクを意識して評価している」ということは簡単ですが、実際の現実性考えると様々な障壁が技術面、リソース面でありそうですし。とはいえ、いずれはそれこそスカイネットのような人工知能ロボットが各サイトでクロール&悪質なSEOが行われていないかチェックしに訪れる、ような時代が来るのでしょうか。。。今も半分似たようなものですけどね。 — SEO Japan [G+]
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