グーグルで企業名を入力したら、突然、オートコンプリート機能で「scam」(詐欺)や「complain」(苦情)と言う用語が一緒に表示されたことはあるだろうか?これは会社にとっては避けたい事態ではあるが、このような状況に身を置かれる会社は増えつつある。
オンライン評判管理(ORM)を重点的に行う会社の一員として、私は様々なタスクを受け持っている。検索結果から名前を消すことを望む個人の依頼に応えることもあれば、企業と提携を結んで、評判の問題を特定して、修正することもある。
現在最も件数が多い問題は、グーグルのオートコンプリート機能に影響を与える戦略の立案および実装であり、規模を問わず多くの企業から要請される。
こういったクライアントは、問題の根源を特定する上で助けを求めており(本当に劣悪なサービスを展開しているのか、あるいは不満を抱えた元従業員や競合者が原因なのか)、問題への対処および解決に関する相談を望む。その後、オートコンプリートに影響を与えて、ブランドに関連するポジティブな局面やアクティビティを目立たせて、ネガティブな結果を追い出すための戦略を私達は考案する。
目次
データはクライアントを支援する上での取り組みを動かす。数ヶ月前、私達はグーグルのオートコンプリートを詳しく調査した。オートコンプリートの仕組みに関する調査は他の会社も実施しているが、自分達のデータを使って仕切り直すことに決めたのであった。
私達は、オートコンプリートが多くの企業に対して提案する内容を集めたデータセットを構築し、その後、このデータを分析して、評判管理プロジェクトにおいて役立つかどうか特定した。
同じようなオートコンプリートの問題を抱える企業からヒアリングを徹底して行うことで、そして、多くの企業に対するオートコンプリートの価値に注目することで、グーグルがワードをユーザーに提供する際の様々なワードを特定することが出来ると私達は仮定したのであった。
そして、「好まれるワード」を取り組みの中で利用して、クライアントが、グーグルのオートコンプリート機能に影響を与えることが出来るように工夫するのだ。
この記事では具体的なワードをプッシュするために私達が取った行動を詳しく説明するわけではない。まずは、テストを基に、オートコンプリートのアルゴリズムは次の3つの主なインフルエンサーによって構成されていると私達が考えている点に注目してもらいたい:
理想のキーワードで上述した3つのアイテムを多く獲得することが出来れば、グーグルのオートコンプリートに影響を与えられる可能性がある。
グーグルのオートコンプリートの仕組みをもっと詳しく知りたいなら、このグーグルインスタント/オートコンプリートに関する記事に目を通しておこう。詳細な情報が提供されている。また、グーグルはオートコンプリートのサポートページでも、少しだけこの機能に関する秘密の情報を明かしている。
まず、スタート地点を – つまりオートコンプリートのバイアスが存在するか否かを特定するためにどの企業を見ればいいのか – 特定しなければならなかった。
私達はフォーチュン 500の企業を採用して、大企業のリストを手に入れることに決めた。その後、小さな会社から中型/大型の会社まで網羅するInc. 5000のリストでデータセットで補足した。
Inc. 5000では上位500社と下位500社に限定した。上位の会社は中型から大型の企業が多く、下位の会社は中小企業が多かった。
次に別々に分析を行い、それぞれ小さな企業、中規模な企業、そして、大きな企業に関連する調査結果を得るため、データを分類した。Inc. 5000の上位の企業とフォーチュン 500の企業には共通点が見られた。そのため、Inc.の上位のリストのうち100位までの会社はスキップし、次の500社を採用した。
その後、ワードまたはフレーズに対する上位10点のワードを表示するグーグルのオートコンプリート APIを利用した(文書化されていない)。
これはAPIが用いるフォーマットである(ブラウザから直接アクセスすることが可能):
https://google.com/complete/search?q=YOUR+PHRASE+HERE&output=toolbar
私達はグーグルドキュメントの裏ワザを使って、1500社に対するオートコンプリートのワードをかすめ取り、そのデータをエクセルに落として、より高度にデータを処理できるように工夫した。
オートコンプリートのワードの結果をビジュアルで確認したいだろうか?このワードクラウド(Wordle.netのおかげ)は、私達が引き出した1万3500点のオートコンプリートのワードで構成されている。
データをエクセルに落とすことで、分析することが可能になり、発生回数に基づいた最も頻繁に登場するワード、大企業と小さい会社の上位のワードの違い、そして、ネガティブなキーワードの発生回数等のデータを手に入れることに成功した。その結果、私達はデータを徹底的に調べ、特に興味深く、利用可能な情報をクライアントに与えることが可能になった。
フォーチュン 500は、利益の多い上位500社の米国の企業で構成されている。ここをクリックすると、私達が用いた2011年版のリストを見ることが出来る。
まず、フォーチュン 500の企業のオートコンプリートのワードを分析した。次に掲載するデータは、発生回数を基に計算した上位10点のオートコンプリートのワードである(括弧の中には、それぞれのワードの発生回数を記している)。
「Careers」と「Jobs」が頻度で1位と2位を占めていた点は興味深い。
オートコンプリートにおいて仕事関連のワードが目立っていた点から次の教訓を得ることが出来る:
以下にトップ10のワードおよびこのデータを自分のブランドに利用する方法に関する簡単な見解を幾つか加える:
以上のトップ10のワードは、フォーチュン 500の企業において、非常にグーグルのオートコンプリートで人気が高いと思われる。事実、トップ10のワードはオートコンプリートの25%を占めている:
フォーチュン500の企業よりも遥かに規模が小さい企業に対する分析を行う価値もあった。この分析を行うことで、小さな会社にとって意義深い結果を得ることが出来るためだ。そこで私達は米国で成長著しい企業をリストアップしたInc. 5000を利用した。
このリストの下位に掲載された企業(500社)を取り上げることで、小規模な企業に対するオートコンプリートの現状を映し出すデータ、そして、集められたデータに基づき、小さな会社が実施することが可能な取り組みが見えてきたのであった。
以下に発生回数が多かったワードの上位10点を挙げていく:
このリストには反映していないが、何もワードが表示されないケースが最も多かった。つまり、会社に対するワードが1つもしくは複数のポジションで返されなかったことになる。
小規模な企業なら、この文書内で消化した分析結果を用いて、理想的なオートコンプリートのワードを特定し、グーグルに影響を与えておきたいところだ。グーグルがオートコンプリートを埋めるまで待つなら、ブランド名 + 詐欺、苦情、あるいは更にひどいワードが表示される可能性がある。
このスライド資料集には、ブランドのオンラインでの評判を未然に守るために役に立つアドバイスが提供されている。
以下に小さな会社の分析結果のその他の注目するべきポイントを挙げていく:
Inc. 5000の下位500社の分析に続き、私達は同リストの上位500社の分析を行った(フォーチュン 500と重なったため、100位までの企業はスキップした)。
今回取り上げた企業は、ここ数年間で急激に成長している中規模から大規模の企業を代表している。こういった企業に対して、オートコンプリートでは次のワードが数多く提案されていた:
興味深かったのは、フォーチュン 500のリストおよびInc. 5000の小さな会社のリストで同じ要素が現れていた点である。これは、ブランドのオートコンプリートのワードが会社の成長と共に変わっていくことを示す何よりの証拠である。
新しいワードに対する注目ポイントを幾つか挙げていく:
ワードソース別に会社を分類すると、様々な規模の企業におけるオートコンプリートのワードの差を理解する上で大いに役立つが(フォーチュン 500、Inc. 5000の上位500社および下位500社)、さらに私達はデータをまとめて、全体の分析を実施した。
この記事の前半部分で掲載したタグクラウドはこの結果を組み合わせたものである – それでは以下に全体の上位10ワードを挙げていく(特に意外な点は見当たらない):
トップ 10のワードを明らかにした後、私達は集めたデータの中で少なくとも5回現れたキーワードにカテゴリーを割り当てていった。こうすることで、どのキーワードのカテゴリーが全体的に頻出するのかが見えてきた。
以下にトップ10のカテゴリーを挙げていく:
ここで興味深いのは、careerやjobsがリストの上位を独占していたものの、カテゴリーを与えると、「場所」の方が現れる回数が多い点である。「場所」は様々なワードで構成されていることがこの理由である(location、locations、そして、街や州の名前)。
また、経営者は、「苦情またはレビュー」が頻出するカテゴリーの中で6番目に多く、ネガティブなワードのカテゴリー(詐欺、裁判等)が10番目に多い点にも注目するべきである。どちらのカテゴリーも、ブランドにとってネガティブな影響を与える温床となるため、この分野では積極的にプラスのイメージを保つための取り組みを行う価値がある。
全体として、最初に考えていたよりもグーグルのオートコンプリートのワードは多様性に欠けていることを私達は学んだ。また、会社に対して用いられるキーワードとグーグルオートコンプリートに表示されるワードの間には明らかに相関関係が存在していた。
積極的にオートコンプリートのワードをコントロールするために行動を起こしている会社にとって、私達がまとめたトップ10のワードリストは、ターゲットにするワードを選ぶ上で参考になるだろう。
ターゲットにするポジティブなワードを決定したら、当該のワードで検索してもらい、ソーシャルメディアのアップデートで言及してもらい、ウェブに投稿するコンテンツの中に含めてもらえるように、創意あふれるアイデアおよび賢いアイデアを考案しよう。数ヶ月間この取り組みを活発に実施していると、オートコンプリートを思い通りの方向に導くことが出来るようになるだろう。
このデータは完璧ではないが、総体的に用いる限りは決定を下す上で十分に参考になると考えている。
オートコンプリートのワードにおいて場所のバイアス(グーグルドキュメントのIPアドレスの影響を受けた)が見受けられ、また、一部の企業に対してはとても具体的なワードが現れ(例えばボーイング社においては747や757等の旅客機名が圧倒的に多い)、そして、一部の企業にとっては表示させる価値があるものの、1回だけしか登場しないためレポートには反映されないワードもある。
さらに、オートコンプリート APIに企業名を直接入力したため、9つのワードしか表示されなかった。最初の結果は常に企業の名前が表示されるためだ。
次回は会社名の後にスペースを挟むつもりだ。こうすることで、会社名が最初に提案されるのを回避し、10点のワードをすべて分析することが出来るようになる。
私達はグーグルのオートコンプリート機能について調べなければいけない点がまだまだあると考えており、今後も調査を継続する。ロバート・ダーリントン、サン・ヒンクリー、そして、私自身は、この実験を成功させる方法を考えるために多くの時間を割いてきた。そして、現在、必要なツールを手に入れたため、今後もさらにデータを引き出し、さらに徹底した分析を実施していく。
グーグルのオートコンプリート機能において調べたいことはあるだろうか?コメント欄で意見を聞かせてもらいたい。
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「How Google Autocomplete Can Affect Your Brand’s SEO & ORM Strategy」を翻訳した内容です。
同時にネガティブ検索と検索結果に悩んでいる企業も多いとは思いますがとはいえ、安易なネガティブ対策SEOは偽装口コミコンテンツやマイクロサイトなどやり方によってはさらなるブランドダメージ、炎上を産む可能性もあるのでご注意ください。 — SEO Japan [G+]
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