先週、設立後15年周年(9月27日)のイブにあたる9月26日、グーグルは、最新のアルゴリズム「ハミングバード」の発表を行った。より精度の高い結果をより早く提供することを目指したこのアルゴリズムの特徴は、セマンティック検索をベースとして構築され、個別の検索用語ではなく、ユーザーの意図に注目する点である。
当サイト、サーチエンジンランドのダニー・サリバンは、「Googleの最新アルゴリズム「ハミングバード」徹底解剖」(日本語)の中で次のように説明している:
ハミングバードは、クエリ内の各ワードに注目して、特定のワードではなく、クエリ全体 – 文全体、会話、または、意味 – を考慮する。この取り組みのゴールは、たった2、3のワードにマッチするページよりも、意味がマッチするページの方が、有益になる状態である。
ハミングバードの公式発表が行われたのは先週だったが、多くのレポートを参考にする限り、このアルゴリズムの導入は一ヶ月前に行われていたようだ。既存のアルゴリズムに対するアップデートであったペンギン(日本語)やパンダアップデートとは異なり、ハミングバードでは、アルゴリズムが完全に交換されている。グーグルの検索部門を統括するアミット・シンガル氏は、グーグルのアルゴリズムがここまで大幅に書き直されたのは、2001年以来だと弊社のダニー・サリバンに明かしていた。
ハミングバードが初めてリリースされてから一ヶ月以上が経過したことを踏まえ、私は、正式にハミングバードと言う名前が与えられた、この新アルゴリズムに関する意見を数名のSEO業界の関係者に尋ねてみた。
「ハミングバードは、検索インターフェースのレベルでグーグルのセマンティック機能を大幅に拡大する。とりわけ、次の2つの点で顕著に表れる。まず、複雑な検索クエリに対応する能力が高まり、ウェブドキュメント内のエンティティをインデックスする取り組みが改善されている。そして、検索クエリとウェブドキュメントを関係を考慮して結びつける能力が大幅に改善されている。その結果、ナレッジグラッフが大幅に強化されたはずである。」と、Google Semantic Searchの著者であり、検索エンジンの専門家として名高い、デビッド・エマーランド氏は指摘している。
また、同氏は、グーグルのセマンティック検索に対する試みにより、SEOの取り組みにメリットがもたさられると主張している:
ハミングバードの導入によって、戦略の面で、企業とウェブマスターには、多くのチャンスが到来する。現実的な観点で考えると、自分の会社のセールスポイントを特定し、それぞれの分野で認められる(信頼される)存在になることが、継続的にSEOで成功を収める上で、重要な鍵を握っていると言えるだろう。また、製品やサービスの情報に対するインデックスに関して、アルゴリズムに統合された比較の要素により、セマンティックマークアップを用いたサイトは、アドバテージを得られるようになる可能性がある。
エマーランド氏は、知名度の高いインフルエンサーによって、コンテンツが、ソーシャルネットワークを介して共有されることが重要だと力説している。「これは即座に行われるプロセスではない。インフルエンサーと関係を構築し、当該の人物のネットワークにとって価値のあるコンテンツを共有してもらうまでには、時間がかかり、相当の努力が必要とされる。手っ取り早いSEOは、確実に過去の遺物になった。」
Leap Interactiveでマーケティングおよびメディア部門を統括するクリスティー・ベルデン氏は、グーグルが、ハミングバードを介してセマンティック検索に力を入れており、SEOは今後も正しい方向に導かれると主張している。「グーグルは、以前から、セマンティック言語を話題に上げており、また、検索の裏側にある意味を理解する取り組みを行ってきた。モバイルデバイス、そして、音声で検索を行うユーザーが増えているため、ハミングバードの導入は理に叶った方針だと言えるだろう。」
また、ベルデン氏は、ハミングバードが導入されてから一ヵ月が経過するものの、クライアントの検索結果の順位に大きな変動はないと述べている。「現在の取り組みを大きく変えるつもりはない。質の高い、説得力のある、共有することが可能で、リンクを張るに値するコンテンツをどのように作るのかがポイントである。この点は、弊社のSEO戦略の中核を担いつつある。」
SEOコンサルタントであり、Archology社で重役を務めるジェニー・ハラズ氏は、検索用語のデータを「100% not provided」化する決断、そして、ハミングバードアルゴリズムとの関係を指摘している。「キーワードよりも、クエリの裏側にある意図が重視されつつある。この方針は、最近の変更の全てに反映されており、特にハミングバードでは色濃くこの狙いが表れている。キーワードのデータが提供されないことで、消費者の意図を把握する取り組みは多少難しくなるものの、積極的にソーシャルメディア等でターゲットの消費者と交流するなど、このデータの手掛かりを得る手段は他にも多くある。」
ハラズ氏は、SEO業界は、キーワードに過剰に注目し、誤った情報に焦点を絞っていると主張し、「多くのSEOの関係者は、データのリバースエンジニアリングに力を入れているが、これはあまり実用的ではない」と述べている。さらに、同氏は、SEO業界は、キーワードのデータに執着するのではなく、消費者のエンゲージメント(関与をベースとした交流)に力を入れるべきだと指摘している。
「ページの直帰率に注目し、直帰した人と検索クエリをマッチさせようとする人達は、全体像を見ていない。ビジターが利用した特定のキーワードではなく、ページで何を探していたのか方が重要である。ページは、ビジターが求めていた情報を提供していたのだろうか?直帰したため、提供していなかったはずである。それでは、ページ、もしくは、全体的なインフォメーションアーキテクチャに関して、何がいけなかったのだろうか?」
ノルウェーのMetronet社で、シニアSEOストラテジスト & パートナーとして活躍するトロンド・リンゴ氏は、ハミングバードの導入を歓迎し、2012年12月から今回のアルゴリズムのアップデートを予告していた。「ハミングバードの導入はプラスに働く。グーグルは、クエリの裏側にある意図を探し出し、解決策を提供しようと試みている。ナレッジグラッフの拡大と共に、ハミングバードがどのように進化していくのか楽しみで仕方がない。特に、モバイルデバイス経由のローカル検索において、グーグルがどのように目標を達成していくのか非常に興味深い。」
リンゴ氏は、昨年の12月にSEOnomics.comで投稿した記事の中で、信頼が最も重要になったと指摘し、「セマンティック検索の主な目的は、SERPから無関係の情報を取り除くことである」と力説していた。
この記事が投稿されたのは、ハミングバードの発表が行われる10ヶ月前であったが、このアルゴリズムのリリースを考慮すると、同氏が提供したSEOのアドバイスは、的を射ていると言えるだろう:
• 会社/事業は、セマンティック検索とナレッジグラッフを理解し、適応しなければならない。
• 消費者が探している答えを提供しなければならない。
• 意図、ニーズ、そして、問題を特定する。解決策と答えを提供する。クエリに注目し、消費者が本当に必要としている情報を特定する。クエリの裏側にいる消費者が求めているものを与える。
ハミングバードに関する詳細は、今週、ニューヨークで行われるSMX East Search Marketingで明らかにされる。このカンファレンスでは、「セマンティック検索」のみを取り上げるコーナーを用意しており、2日目には、「やがて訪れるエンティティ検索革命」セッションが予定されている(10月2日)。
とりあえずは、ハミングバードアップデートに対する次のツイートに目を通しておいてもらいたい:
@amygesenhues #Hummingbirdのおかげで、グーグルはもっと良い方法でシグナルを処理することが出来るようになる。SEOを適切に実施していれば、ネガティブな影響は受けないはずだ。
— iProspect Canada (@iProspectCA) 2013年9月27日
@amygesenhues ナレッジグラフが導入された時に、いつかこうなると思っていた。これは検索版のポストモダンの記号論に過ぎない。@mattmcgee @sengineland
— ペイジ・ウィリー (@PaigeCWilley) 2013年9月27日
@amygesenhues 基本的には、パーソナライズされたデータとローカライズされたデータをベースとしており、ソーシャルシグナルにより力を入れているように思える @mblumenthal
— イムラン・アフリカワラ (@imranafrica84) 2013年9月27日
この記事は、Search Engine Landに掲載された「Google’s Hummingbird Takes Flight: SEOs Give Insight On Google’s New Algorithm」を翻訳した内容です。
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