シアトルで開催されたSMX Advanced 2011のパネルで、私はSchema.orgのタグに関する質問を耳にした。もう少し詳しく説明すると、グレッグ・ボーザー氏による検索エンジンが最終的に元に戻った経緯に関する発言であった。
まず、検索エンジンはメタデータを検索アルゴリズムに利用した。その後、撤去した。そして、今、検索エンジンは再びメタデータを求めているのだ。ただボーザー氏のトーンからは、Schema.orgの告知やSEO戦略としてのタグの利用に関して、同氏がどう思っているのかは伝わってこなかった。
その他のパネリストは、Schema.orgのタグがコードの膨張につながる点に関してコメントし、最終的に新しいSchema.orgの新しいタグを使ってサイト全体のコーディングをやり直す取り組みを推奨するパネリストは一人も現れなかった。そして、Schema.orgのタグをSEO戦略として利用する点に対して、経験に基づいた証拠もまた提示されなかった。
これはHTML5を巡る状況と酷似している。ここ数年に渡って、HTML5に関する記事は様々なサイトで投稿されているものの、オーガニックなトラフィックにおける、あるいはSEO全般におけるHTML5の効果に関する証拠を誰も出せずにいる。
事実、有名なSEOブログまたはライターはHTML5をあまり話題に取り上げていない。そして、取り上げている人達は皆同じことを言っている。
そして、HTML5はいつかすべてを良くする。これが結論だ。しかし、その“いつか”はまだやって来ていない。
大半のブロガー/ライターは大事な点を明記していない。現時点で、HTML5の機能とコードを完全にサポートしている人気の高いインターネットブラウザーは一つもない。ハッキリさせておくが、現在のブラウザーはHTML5を表示するものの、完全にサポートされていないHTML5の局面は多く、また、全てのインターネットブラウザと互換勢があるわけでもない。
2010年5月22日、グーグルはTVゲームのパックマンに捧げるグーグルドゥードゥルを行った。これはアニメーションのロゴであり、遊ぶことが可能であった。このロゴはHTML5で作成され、HTML5をサポートしていないブラウザのためにフラッシュの選択肢を用意していた。パックマンのグーグルドゥードゥルは、大半のネットユーザーにとって、HTML5、そして、その力に触れた初めての瞬間だったと私は確信している。
個人的には、心が躍るような気分だった。私にとっては、インターネット、ウェブサイトの閲覧、モバイルアプリおよびゲーム、そして、ウェブサイトの機能の未来に実際に触れた瞬間であった。SEOに関しては、さらに想像が膨らみ、HTML5がSEOの領域にもたらすポテンシャルを真剣に考えた。
しかし、グーグルはSEOのためにHTML5をどのように利用するのだろうか?グーグルはHTML5へ移行するウェブサイトへアドバンテージを与えるのだろうか?
2010年10月の投稿の中でバリー・シュワルツ氏は、HTML5とグーグルボットを取り上げていた。その中で、シュワルツ氏は、グーグル社員のJohnMuがグーグルが“様子を見て”、人気が出てきたらHTML5を“採用する”と示唆する、グーグルウェブマスターのヘルプのスレッドを引用していた:
通常、グーグルはウェブを出来るだけ理解するように心掛けている。しかし、HTML5のマークアップが現時点では、グーグルがコンテンツをより良く理解するための手段として用いる価値があるほど幅広く(そして、正しく)利用されているとは感じられない。HTML5の人気が上がり、グーグルがインデクッスシステムに役立つような具体的なマークアップを認識するようになったら、この傾向は変わる可能性が高い。しかし、現段階では、過去のHTMLではなくHTML5を利用することでの利点があるとは私には思えない。
このスレッドは1年以上前のものだが、HTML5を利用するウェブサイトに対してアドバンテージを与える意欲は全く伝わってこない。私のクライアントがSEOのメリットのみのためにHTML5に移行するつもりなら、私はSEOの戦略としては勧めないだろう。その他の理由でならHTML5を推奨するかもしれないが、現時点では…SEOだけのためなら認められない。
HTML5がHTML4よりも遥かに優れているなら、いつ使えばいいのだろうか?そして、HTML5はいつになったらSEO戦略の役に立つのだろうか?素晴らしい質問だ。思わず自画自賛してしまった。
HTML5がSEOにとってマイナスに働くと言う印象は拭い去っておきたい。
一部のウェブサイト – 特にフラッシュに大幅に依存しているサイト – にとって、SEOは天の恵みである。フラッシュだけで構成されているサイトを運営しているなら、HTML5に移行するメリットは確実にあるはずだ。
何と言っても、サーチボットがサイトをクロールし、コンテンツをインデックスすることが出来る点が大きい。アニメーションに埋め込まれているコンテンツの全てを検索エンジンが読むことが出来る。基本的なSEOのセオリーでは、このHTML5の特徴により、自然な検索トラフィックをもたらすウェブサイトの力に大きく影響を与えると言われている。
噂(つまりリンク)を生成する傾向がある点もHTML5を利用するメリットの一つである。月曜日、フェイスブックは待望のHTML5のiPadアプリを立ち上げた。パンドラは先日最新のミュージックプレイヤーをHTML5でローンチした。ゲームプラットフォームのジンガもモバイルブラウザで利用可能な3つの新しいHTML5のゲームをリリースしたばかりである。
HTML5のウェブサイトとして、またはHTML5の特徴を活かして再び立ち上げられるウェブサイトが後を絶たない。テクノロジーの最前線にいることはユーザーにとっては素晴らしいことだが、リンク構築、報道のきかっけ作り等も忘れるべきではない。ランド・フィッシュキン氏曰く、インバウンドのマーケティングこそ最も重要なのだ。
最後にユーザビリティの面では、HTML5は、ユーザーがウェブサイトと情報をやり取りする仕組みを変えるポテンシャルを持っている。メディアを豊富に持つウェブサイトは最も効果が期待できる。なぜなら、HTML5には、とりわけモバイルプラットフォームにおけるオーディオと動画のストリーミングを容易に行うことが可能な要素が幾つか存在するためだ。
iPhoneとiPadがいつかフラッシュをサポートしてくれると言う希望を持っている人はもういないはずだ。それでも問題ない – HTML5があるからだ。開発者達は、オーディオと動画をブラウザの互換性やプラットフォームの能力を気にすることなく埋め込むことが出来るのだ。
以下にHTML5のカンニングペーパーを掲載する。HTMLに精通しているなら、大半のタグは見たことがあるはずだ。
しかし、注目してもらいたいタグが幾つかある。HTML5のウェブサイトがSEOで成功を収める上で欠かせないと考えられるためだ:
<hgroup> <h1>メインのヘッドライン</h1> <h2>記事のタグラインまたは小見出し</h2> </hgroup>
HTML5がコードの膨張を緩和すると考えているなら、その考えは正しい。しかし、HTML5とSchema.orgのタグを組み合わせると、より多くのコードがページに必要になる可能性がある。人生と同じだ。ウェブはますます拡大しており、気が遠くなるほど多くのコンテンツが存在する。
そのため、グーグルとビングが、両社の非常に洗練されたサーチボットとインデックスの保管所では、ネット上の全てのコンテンツをソートすることが出来ない可能性があるため、より多くのメタデータが必要だと判断したのなら、私達ユーザーは検索エンジンに手を貸すべきだと私は思う。そして、同時にウェブサイトをより楽しく、そして、より容易に使えるようにすることで、ビジターに対してももっと優しく接しようではないか。
多くのSEO業者は、最新のHTML5に置かれるアルゴリズムの重要性を試すため、限界を押し広げていくだろう。その後、検索エンジンはアルゴリズムを頻繁にアップデートし、SEO業者がHTML5に見出した近道と戦略に対して調整を行うだろう。
過去15年間のSEO業界そのものである。フラッシュのインデックスを話題にしなくてもよい点は異なるが。うまくいきますように。
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「SEO Best Practices For HTML5: Truths, Half-Truths & Outright Lies」を翻訳した内容です。
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