リンクビルディング2.0

公開日:2013/09/29

最終更新日:2024/02/20

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すみません、9月中旬から出張が複数続いて記事の更新が全くできていませんでした。今も出張中なのですが、このペースで書かないとさぼり癖がついてしまいそうなので、頑張って復活します。。。ということで、リンク構築に関する興味深い考察を最近人気のSEOマスター、ロス・ハッジスから。 — SEO Japan


Please Exit the Gift Shop. Starring Banksy. Watch it.

これほど嫌いなSEOの専門用語には出会ったことがない。新たにブログやツイートに目を通すたびに、有料リンクコンテンツは最も重要だ、SEOの時代は終わったと告げるメッセージに遭遇する。そして、今度は“リンク構築”(一週間に5本程度のリンクを獲得する行為を表現する)だ。 それぞれの言葉が、私の心臓に次々と突き刺さり、ストレスをもたらし、そして、白髪を増やしていく。リンク構築自体は、ストレスをもたらすタイプの用語ではないが、それでも、その言われ方、そして、行われる手法を考慮する限り、この“リンク構築”と言う用語、そして、この用語がもたらす連想は、必要以上に融通の利かないイメージを作ってしまう。

リンク構築と言う言葉を聞くと、鉄の板を抱えて、ぐらつきながら階段をよじ登る、四隅にセメントを敷き詰める、釘を打ち付ける、やたらと汗をかく、弁当箱を持ち込む、仕事の悪口を言う、そして、このパターンを永遠と繰り返す、建設現場の労働者を思い描く。リンク構築は、大企業がオフィスを構える高層ビルを作る上で必要な、全く同じ、終わることない作業を、何度も重い足取りで行わなければならない「建設現場」を連想させる。そして、リンク構築は、ギークがコンピュータの前に陣取り、「送信」ボタンをクリックする、電話に出る、理由もなくSERPを行ったり来たりする、15分間をeメールのピッチの作成に費やす、理由もなくSERPを行ったり来たりする、15分間をeメールのピッチの作成に費やす、そして、構築した5本のリンクのレポートを週の終わりに提出して、満足するプロセスである。

これがリンク構築であり、つまり、私はリンク構築を行っているわけではないことになる。

ニューヨークタイムズとソーシャルブックマーキングサイトのレデイットのリンクグラフを確認してもらいたい。本気で、社内の誰かが“リンクの構築”を行っていると思うだろうか?リンクを求める営業の電話、あるいは、次から次へとeメールで宣伝を行っていたのだろうか?このような行為は行われていない。それでも、ファラオが900万人の奴隷にeメールや電話攻勢を命じたかのような勢いで“リンクが構築”されている。

私は間抜けではない。とりわけ難易度の高い分野では、手動の取り組みが必ず行われていることは分かっている。しかし、リンク構築と言う用語は、遅く、重い足取りで丘を繰り返し登り、拡大することが出来ない取り組みを連想させてしまう。これは、(リンク構築のエキスパートではなく)SEOのエキスパートとして、受け入れることの出来ないコンセプトである。例えば、食材を揃えるために彼方此方走り回っているにも関わらず、歩いていたと友達に告げられたら、私はその表現に不満を持つだろう。私がCEOであるにも関わらず、単なる社員として、ナタリー・ポートマンに紹介されたら、全く相手にされないはずである。私達 – つまり、SEO業界の関係者 – は、どれだけ質が高く、どれだけ関連性が高くても、週に5本リンクを獲得していれば問題ないと言う基準を卒業するべきである。

リンクプロスペクティング(リンク元候補の調査)

浅はかなSEOマネージャーの管理下にあり、その支援を受けている、レベルの低い「リンク構築スタッフ」は、グーグルに向かい、適当に「キーワード リンク」、「キーワード リソース」で検索を行い、連絡先のeメールアドレスを探し、キーワードを変えて、別のeメールアドレスを探し、グーグルのツールバーにランダムにクエリを入力し、ページンランクを確認し、リンクのページンランクの高さを自慢する。そして、このパターンをひたすら繰り返す。

生産率を拡大することは可能だろうか?9名の女性に妊娠してもらったら、一ヵ月後に子供は生まれるだろうか?さすがに無理がある。しかし、少なくとも疑問を投げ掛けたこと自体は評価できる。これが、優秀なSEOのエキスパートの特徴である。規模の拡大が物理的に不可能になるまで、そして、労働力を加えても、比例して成果が現れなくなる、人月の神話 – 人材を増やしても、これ以上生産力が上がらないポイント – の壁にぶち当たるまで、どのように拡大することが出来るのか、疑問を持つのだ。

15分間でeメールのピッチを作成する作業、営業電話、そして、5行のリンク構築レポートの作成が日課なら、この目標を達成することは出来ないだろう。

Dilbert

優秀なSEOのエキスパートは、SERPに目を通して、同じサイトを何度も何度も閲覧する行為に、多くの時間のロスが生じている点を理解する。優秀なSEOのエキスパートは、取り組みの規模(通常はとても大きい)を理解している。また、リンクプロスペクティングは、手作業ではなく、創造力が必要になるまで – 出来るだけ自動に近づけるべき取り組みである点を心得ている。

優秀なSEOのエキスパートは、次のような作業を介して、リンクプロスペクティングを実行する:

  • 事前に総合的な競合者分析を行う
  • 競合者をリスト内で分類して、OpenSiteExplorer.orgを使って、被リンクをエクスポートする
  • ウェブサイトに対して適用可能/関連する用語のマインドマップを作成する
  • 関係のある一連のキーワード全体で、最大で100点のグーグルの結果を入手する。当該のドメインをマスターリンクリストに追加する。
  • すべてのウェブサイトの被リンクリストを統合し、すべてのリンクを1つの文書にまとめる。
  • 今後、さらにリンクを増やし、整理することが出来るように、競合者が獲得したリンクにラベルを張る/色をつけて区別する。
  • Xmarks.comを使って、キーワード検索を行い、関連する追加のドメインをまとめて、マスターリストにリンクをエクスポートする。
  • Ontoloのリンクプロスペクティングツールを使って、各アセットのタイプに対する検索クエリを全てエクスポートする。可能な手段をすべて使って、入念に被リンクのグループを記録し、整理する。最初のマスターリンクリストの本数が、50000本を超えるまでは妥協しない。
  • OpenSiteExplorer.org からOntoloのツールを使って、関連性がある場合、もしくは、被リンクのリストにエクスポートする価値がある場合、追加のリンクをエクスポートする(Moz SERPのオーバーレイが役に立つ)。
  • DistilledMikeCPSEO用エクセルガイドを使って、重複するページとドメインを削除して、時間のロスを回避する。
  • 先程紹介した手法と同じ手法を使って、リンク先候補に対して、価値の提案をマッチさせる
  • 自力で連絡先を見つけなければならない場合、グーグルクロームを使って、効率を高める。CTRL+Fと「連絡先」検索を速やかに入手することが可能だ。ファイヤーフォックスとは異なり、クロームでは検索のツールバーは右上にあり、URLの入力から、左下までスクロールする際に発生する時間のロスを防ぐことが出来る。
  • 上の「自力で連絡先を見つけなければならない場合」の方法と同じように、OntoloのURL Reviewerを用いて、複数のURLを一度に開いて、タイムロスを最小限に抑える。

優秀なSEOのエキスパートは、ウェブは常に動いていることを理解している。優れたSEOのエキスパートは、マスターリンクリストのスタティック版を保存して、必要に応じて、オリジナルの状態で利用する。オリジナル版を色で区別すると、既に連絡を取ったリンクと重複することを恐れずに、リストを見直して、新しいリンクを加えることが出来るようになる。色で区別することで、新しいバージョンと古いバージョンを容易に見分けることが出来る。

優秀なSEOエキスパートは、被リンクリストを見直す(必要がある)際に、Yahoo! Site Explorer(閉鎖)を使って、競合者の被リンクの増加を確認する(最も新しいリンクグラフ)。この情報を使って、競合者の被リンクを見直すタイミング、徐々に上位にランクインしていくタイミング、そして、現在のリンクグラフでは、SERPを圧倒することが出来ないポイントを特定する。

優秀なSEOのエキスパートは、チャンスの中には、時間の制約を受けるものもあり、すぐに着手しなければならないことを理解している。また、グーグルアラートを当該の業界において特に関連性が高いクエリに対して設定し、eメールのアカウントに加え、「週」および「関連性高」でソートし、不要な情報を最低限に抑えている。そして、月に一度のペースでアカウントを確認し、陳腐化を防いでいる。すると、関連性の低いリンクプロスペクトに時間をかけずに済む。その結果、クエリからクエリへと移動して、生産性を落とす過ちを回避することが出来るようになる。

優秀なSEOのエキスパートは、リンク候補のウェブサイトのローディングが遅いと、集中力の損失、および、生産性の低下が発生することを理解している。 気づいていないかもしれないが、SEOの作業の中で、ウェブサイトのローディングを待つ時間が最も生産性が下がる。行動を起こすことが出来る時、そして、行動を起こしたい時の間の時間が、スタッフをソーシャルブックマーキングサイトやツイッター等に向かわせてしまう。そのため、優秀なSEOのエキスパートは、複数のタスクを同時に進行させ、生産性を最大限に高める、もしくは、出来るだけ多くのタブを開いて、生産性、そして、ページが読み込まれる間に、関係のないウェブサイトやアクティビティに手を出してしまう確率を低くしている。

リンクの獲得

レベルの低いSEOのエキスパートは – 名刺の肩書きに「リンクビルダー」と記し、作成に10分間かかるeメールを手動で送信する。eメールアドレスを手動で探し、また、独自のウェブサイトを褒めるコメントは、適切だと考えている(“素晴らしいリンクのリストですね”等)。その上、リンク構築戦略で事実上「営業電話」に当たる行為は全て実施する価値があると考える。

そんなわけはない。もっと良いオプションがあるはずであり、本気で勝ちたいなら、切り替えるべきである。妥協するのではなく、あくまでもトップを目指すべきである

Sheen SEO

優秀なSEOエージェンシーのエキスパートは、次の取り組みを通して、リンクを構築していく:

  • アマゾンのMechanical TurkElance、または、その他の安価なアウトソースサイトを使って、リンクプロスペクティングで作成したマスター被リンクリストから、連絡先のeメールアドレスリストをまとめる。
  • Textbrokerやその他のコンテンツクリエイターサイトで安価なコンテンツを購入し、質を徹底的にテストした後、マーケットの需要を考慮して、最低限の金額で、質の高いコンテンツライターと契約を結ぶ。
  • 社内の開発者と協力して、件名、ドメイン名、eメールアドレス等を自動的に入力するシステムを作り、スパムフィルターの動作を防ぎつつ、時間のロスを出来るだけ抑える。
  • 一度に多くのリンクを開く方法をSEOのスタッフに教えて、生産性の低下を防ぐ。クロームを利用し、および、イメージの読み込みを無効にして、ウェブサイトの読み込みを大幅にスピードアップする方法を伝授する。
  • eメールのテンプレート、コンテンツアウトリーチのテンプレート、ウィジェットのテプレート用のコード、インフォグラフィックのテンプレート用のコード等、様々なウェブサイトで有効なリンク獲得テンプレートを作成する。
  • 既にリンクを吸い上げた、あるいは、友好な関係の構築に成功している、注目するべきターゲットのリストを積極的に作成し、新たにリンク構築キャンペーンを始める度に見直す。
  • 初期のリンク構築の作業/ディレクトリ/クエリの一連のセットを用意し、速やかにリンク構築を実施する。最初に獲得するリンクは、シンプルなタイプのリンクが多くなる。
  • eメールの自動送信と、プロセスの90%の自動化は同じではなく、99%の価値を作り出す10%のプロセスを手動に回す。

優秀なSEOのエキスパートは、ウェブサイトごとにリンクを構築していく:

  • 優れたコンテンツアウトリーチ計画(ウィジェット、インフォグラフィック、外部サイトにホストするコンテンツ)を実行するマーケットの規模を特定する。
  • X=マーケットの規模、Y=提供するコンテンツの大体の強さとして、X=Yの状態でリンクの獲得が成功すると仮定し、Y分のXでROIを計測する。答えが1から遠く、0に近いなら、その“リンクベイト”キャンペーンを諦める。

優秀なSEOのエキスパートは、400本のeメールを連続で送信する作業は、継続することが出来ない点を心得ている。一度のバーストに対して、一定の本数を決め、 リクエストを送信する際は、この本数に固執する。すると、スタッフの疲労を軽減し、このプロセスを継続しやすくなる。管理するスタッフに関してもこの点を心得ており、各種の時間の制約を受けないタスクを与えて、モラルと生産性を最大限に高める。さらに、集中力を遮るアクティビティには、生産性を伸ばす効果がある点を理解し、外部サイトのコンテンツの閲覧やツイッターの利用を薦めて、eメールの送信作業を一時中断させる。

The pressure to build five links is on..

リンクの報告と管理

リンク構築自体は、より多くのリンクを獲得するプロセスの一部に過ぎない。リンク構築を拡大するためには、さらに多くの時間を費やす必要がある – そして、そのためには、報告および計測基準の管理に費やす時間を抑えなければならない。報告に注ぐ時間を短縮すると、代わりにリンクの獲得に多くの時間を費やすことが出来るようになる – つまり、プラスの効果をもたらすプロセスに集中することが可能になる。しかし、クライアントのために作業をしているなら、報告を怠ることは出来ない。また、たとえ自分のサイトに対して作業を行っている場合でも、効率を高めるためには、一定の測定基準を維持する必要がある。

優秀なSEOのエキスパートは、次のようにリンクの報告および管理を行う:

  • Raven SEO等の自動報告ツールを使って、リンクの報告、ランキングの報告、そして、リンクデータの報告を自動化して、リンクのデータをページごとに手動で入力する作業を回避する。
  • Raven SEOを用いて、自動生成したデータを確認し、リンクの獲得、アンカーテキスト、リンクの価値、そして、その他の要素を比較して、予算、アンカーテキストの詳細、そして、全体的なSEO戦略に適切な調整を行う。
  • Yahoo! Site Explorer(閉鎖)の最新のデータを使って、手動(または、システムを作ることが出来るなら、自動)で競合者および自分のサイトのリンクの増加を計測する。このデータを使って、競争に勝つために必要なリンクの量をその場で判断し、その後、戦略を調節する。
  • また、Yahoo! Site Explorer(または、Majestic SEO)のデータを使って、台頭しつつある競合者をチェックし、リンク構築を行う期間、そして、競合者のリンクの増減に合わせて、リンク構築の作業を増加させるタイミング、あるいは、減らすタイミングを把握する。重要な内部のページ、そして、競合者のサブページに対するリンクの量を記録する。
  • Yahoo! Site Explorerは、個別のリンクを張るドメインごとにリンクを追跡しているわけではないため、ランキングの変化が起きたタイミングを把握する必要がある。また、ランキングの変更が起きた際、競合するサイトのリンクの量を確認して、大体の「引き金点」を見出す。すると、1位をがっちりと維持している際に、リンク構築を再開しなければならない時点を特定することが可能になる。
  • Yahoo! Site Explorer(閉鎖)のデータをグラフ形式で表し、手っ取り早く分析することが出来るように工夫する。自分のサイトよりもランキングが低い競合者を月に一度評価し、強固なリンク構築を行っている“眠れる虎”を見つける。
  • 細かい点まで管理することなく、レポーティングソフトウェアで個別のユーザーアカウントを開設し、しばらく週に一度のペースで評価を行って、従業員の生産性を検証する。信頼が深まったら、月に一度のペースに変える。

優秀なSEOのエキスパートは、会議が生産性を落とすことが多い点を心得ている。報告および会議の時間を減らすために努力しつつ、総合的なSEO戦略に対して提供されたデータを優れた仲間や上司に評価してもらうことで得られるメリット、そして、全体的なモチベーションおよびモラルに対するその他のメリットを維持する。

リンク構築を卒業し、拡大する取り組みを

週に5本のリンクを得る戦略が、効果的ではないことに気づいた状態で、このパラグラフを読んでいることを私は期待している。私は何度も「拡大」と言う用語を使い、オフィスで冗談のネタにされているが、うまくいっている兆候だと確信している。日頃から「拡大」と言う用語が頻繁に出てこないようでは、次の3つの問題の一つに直面することになる:

  • A) 収益の面で効率がよくない
  • B) 上位にランクインすることが出来ない
  • C) AとBの双方

プログラマーが裕福なのは、拡大を常に心掛けているからだ。拡大を意識しないことが、SEO業界の平均的な専門家が、裕福ではない理由である。 「リンク構築」と言う考えを完全に捨てろと主張しているのではない。事実、この取り組みをうまく表現する用語が思い浮かばない。また、リンク構築と言う用語を変えようとするのは、バチカン市国に「ロス(私)の田舎のお城」と名前を変えるよう要請するようなものだからだ。

さすがに無理がある。

しかし、個人的には、週に5本が十分な量である点を受け入れることを止め、リンク構築が“手動”から、より優れた、拡大することが可能な、そして、遥かに多くの利益をもたらす取り組みへと進化させるべきでと考えている。


この記事は、Siege Mediaに掲載された「Please Exit The Link Building」を翻訳した内容です。

原題は「リンク構築を脱却せよ」という意味だったのですが、内容的にはリンク構築をより高いレベルで行う方法について書かれていたのであえてリンク構築2.0としてみました。「***2.0」は既に言い古された言い方ではありますが、英語圏では未だに普通に使うこともあるようなので。内容自体は極めて真っ当で参考になる点も多い記事だったと思います。というか、そもそもここまでプロアクティブなリンク構築作業を行っている日本のサイトは皆無に近いと思いますし、ここに書かれている手法の一部だけでも取り入れてみるだけでも、あなたのリンク構築がかなりパワーアップするかもしれません。 — SEO Japan [G+]

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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