マット・カッツ:
まずカフェインが公式にリリースされたことをお知らせしたい。Altavistaの時代にはインデックスの更新は4カ毎だった。Googleも最初は数カ月に一回だった。GoogleDanceを覚えている人も多いだろう。2000~2001年の時点で既にGoogleはよりフレッシュな検索結果をリアルタイムに提供する努力を続けていた。
カフェインは何か?本質的には、クローリングした情報をほぼリアルタイムで検索結果に反映させる仕組みだ。
同時にカフェインによってインデックスのキャパシティは相当上がった。カフェインによって100ペタバイトのデータを取り扱えるようになった。ちなみに1ペタバイトは1024テラバイト。
またドキュメントをアノテーションすることがより簡単になった。リンクやアンカーテキストだけではない。より関連性のあるコンテンツを関連付けて表示することができるようになった。
サリバン:
アノテーションについてもう少し詳しく教えてくれないか?ソーシャルメディアの情報はどう取り扱う?
マット・カッツ:
クロールできる情報は全て取り扱える。ソーシャルグラフなどの情報も同じだ。
サリバン:
例えばリンクが張られていなくとも文章で引用されていたりするデータはどう取り扱う?
マット・カッツ:
情報にひもづくメタデータは大量にある。ツイッターAPIなども活用している。情報をどのように取り扱うかはまだまだ今後進化していく。
サリバン:
メイデイアップデートについて教えてくれる?ロングテール系のランキングが変わったといわれるが。
マット・カッツ:
どの更新でも喜ぶ人もいれば悲しむ人もいる。ちなみに僕のチームは今回の更新に全く関係していない。一昔前は上位表示にはリンクが絶対に必要だった。ロングテールの取り扱いでいえばコンテンツファーム対策を行った点はある。サリバンが2009年にこの問題をツイッターで取り上げていたと思うが、その問題に取り組んできた。品質結果は上がっていると思う。
サリバン:
どのコンテンツファームを削除しようとしたの?Mahalo?ディマンドメディア?
マット・カッツ:
特定のサイトではなく、あくまでアルゴリズムの改善だ!
サリバン:
Mahaloに関していえばサイトのコンテンツの品質が低かったのが問題なのか?
マット・カッツ:
検索ユーザーがその結果にアクセスして満足できるかどうかが重要だ。例えば、FOVファイルの編集の仕方を説明する際、本来1ページで説明できることを4ページが説明しているようなページは、ユーザーにとって本当に便利といえるのだろうか。
サリバン:
eHowのことだよね(会場、笑)。
サリバン:
他に何かある?
マット・カッツ;
キャッシュページは、現状あまり効率的に活用されているとは言い難い。今後工夫していきたいと思っている。
サリバン:
HTML5はカフェインでどう取り扱われるのか?
マット・カッツ:
良い質問だ!まだまだ途中だが、HTML5のパーシングがより正確にできるよう努力している。
サリバン:
ユニバーサル検索の普及でウェブ検索のランキングだけでは単純に評価できなくなっている。ウェブマスターツールズで順位を表示してくれるのはありがたいが、ユニバーサル検索で表示される他の情報も考慮した内容にしてくれないか。
マット・カッツ:
確かにそうだね。今日はウェブマスターツールズの担当者が来ているから具体的なアドバイスはどんどんしてほしい。
サリバン:
有料リンクを売っているサイトのページランクを意図的に下げるケースがあると思うが、それらのサイトの検索順位は変わらないままだし、ページランクに関わらず有料リンクは売られ続けている。今後、有料リンクを売っているサイトの順位を下げる可能性はあるのか?
マット・カッツ:
Googleは有料リンクに対しては今後より厳しい姿勢を取っていく。今後実際に順位を下げる可能性は十分にある。ウェブマスターツールズに有料リンクに関連した機能を入れる可能性もある。
サリバン:
カフェインはJavascriptの処理はより優れているのか?
マット・カッツ:
早くなっているし、Javascript内のリンクをより正確に認識できるようになっている。同時にJavascriptを使ったスパムを認識できるようにもなっている。
ちなみに皆に質問があるんだけどブラウザーはクロームは使っている?
(会場少し挙手)
サリバン:
サファリの広告削除機能を使っている人は?(Googleへのあてつけ)
(会場少し挙手)
サリバン:
Google Buzzはどうなのか?人気がないようだが。。。
マット・カッツ:
時間はかかるだろうが、ツイッターも人気が出るまで時間がかかった。Google Buzzもまだまだチャンスはあると思っている。
サリバン:
最近はなんでもかんでもGoogleのサービスばかり。やりすぎじゃないか?
マット・カッツ:
フェアにやっているつもりだ。ビデオ検索でYouTubeが出過ぎるという話があるが、YouTubeのスタッフいわくはYouTubeに登録されているビデオの数を考えれば、比率としては競合より出ていない位だ、ということだ。少なくともYouTubeだけを特別に検索結果で優先して出すようなことはしていない。
例えば商品検索にしても、商品リンクをクリックすると外部サイトに飛ぶ。全てをGoogle内で完結させようとしているわけではない。
サリバン:
リッチスニペッツについてはどうか?
マット・カッツ:
今後さらに進化していくと思う。ウェブマスターツールズで必要なメタデータを登録できる仕組みもあるが、できるだけ自動化したい。リッチスニペッツはユーザーの検索体験を向上させるし、皆にとって良い機能だろう。
サリバン:
Flash向けの別のサイトマップを用意する必要はある?
マット・カッツ:
その必要はない。そもそもサイト全体をフラッシュで作ることがユーザー体験上も良くないことだと多くのサイト制作者が気づき出していると思う。
サリバン:
バウンスレイト(直帰率)はウェブ検索のアルゴリズムに影響しているか?
マット・カッツ;
現状はない。僕の担当ではないけれど、通常のウェブ検索で直帰率は使っていないはずだ。アナリティクスでそのデータも簡単に取れるが、ウェブ検索のチームは基本的にアナリティクスのデータをアルゴリズムの参考にしようとしていないと思う。
サリバン:
有料リンクが駄目というなら何故Yahoo!のディレクトリ登録が認められているのか?
マット・カッツ;
人が確認した上で登録しているから。
サリバン:
だったらウィキペディアは?信頼性が必ずしもあるとはいえないが。上位すぎるのでは?そろそろ削除しても良いのでは?サイトリンクもありすぎな気がするが。
マット・カッツ:
ウィキペディアは役に立つ人も多いと思うけどね。。。サイトリンクについては研究中だ。最終的にどうするかは決めていない。
サリバン:
そろそろ終わりにするけど、これからマット・カッツを質問攻めにしないでくれ!
マット・カッツ:
おしっこしたいしね(註:本当にそういったんです)。
最初から最後までかなりテンションの高いトークセッションでした。話の範囲も幅広くて面白かったですね。SEO Japanでも取り上げたコンテンツミル(ここやここ)を前半かなり取り上げていたのには、というか今回のメイデイアップデートがロングテールの順位にある程度影響があったことは認識していましたが、コンテンツミル対策的な側面が多くあったことは恥ずかしながら初めて知りました。しかしコンテンツミルの代表的企業ディマンド・メディアは近日中にIPOを考えているはずですが、今回のアップデートでトラフィックが下がったなどの悪影響はあったのでしょうかね。後はカフェインの話で「クローリングした情報をほぼリアルタイムで検索結果に反映させる仕組み」というマット・カッツの言葉はシンプルながら一言でカフェインを理解できる説明だな、と思いましたね。
Q&Aは色々ありましたが、ちなみに有料リンクの質問(最初の)をしたのは私です m(_ _)m 有料リンクを掲載したサイトのランキングを下げることも考えているそうですが、本当かなぁ。。。Yahoo!のディレクトリに関しては相変わらずの答えでしたね。サリバンにもっと突っ込んでほしかったけど、そこは遠慮したのかな。
そんなところで、初日も無事に終わりました。5本の濃いセッションは流石にきつかったですね。Advancedは2日だけですし、明日1日頑張ります!
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