モデレーターはダニー・サリバン。スピーカーはBlueGlass Interactiveのグレッグ・ボーザー、Bruce Clayのブルース・クレイ、サーチエンジンランドのバネッサ・フォックス、Performicsのトッド・フリーセン、Netconcepts創立者のステファン・スペンサー、High Rankingsのジル・ウォーレンというアメリカのSEOエキスパートとしてお馴染みの顔ぶれ。
パンダ・アップデートの特徴は?
グレッグ:サイトを全体の品質で評価するようになった。低品質のコンテンツが多いサイトは評価しない。ロングテールでも上がりにくい。Googleはコンテンツ自体もスパムとみなすようになってきた。大規模なコンテンツスパマーが増えたせいともいえる。
バネッサ:作りたててで内容が無いページが多い場合はとりあえずnoindexタグを張っておき、中身が充実したら外す。Googleのマイリーが昨日薦めた手法。
ブルース:3カ月前からコンテンツの複雑性を判断する機能がついたが、それが多少コンテンツの品質判断の基準の参考になるかもしれない。
ステファン:Googleは複数のシグナルを分析する。ソーシャルでコンテンツが評価されればプラスになる。
トッド:Googleのブロック機能が今後シグナルになる可能性は十分ある。
サリバン:ブロック機能のデータは今回は全く使わなかったと明言していた。ただ将来的に使う可能性はある。
サリバン:eHowが今回のアップデートで生き残ったのは何故だ?皆がターゲットになると思っていた。ただeHowは品質はともかく見た目は広告も少ないし、他のコンテンツサイトより信頼できるサイトに見える。順位が落ちなかったことと関係あるかもしれない。
バネッサ:ユーザーにとってのサイトの信頼性は重要。
将来重要になると思われるSEOのテクニックはある?
グレッグ:これまではとりあえず大量にコンテンツを投入して一部が結果を出せばよいという考え方が通った。これからは難しい。サイト全体の品質を考える必要が出てきた。大量ページのサテライトサイトを作る手法は通じなくなってくるかもしれない。
ステファン:内部リンクの調整がもっと重要になってくるかもしれない。
ブルース:キーワードが検索される意図をより理解する必要があるだろう。検索ユーザーのペルソナを理解して意図をつかむ。意図は検索ユーザーのロケーションやデバイスによって差も出る。これらを理解してより多くの検索ユーザーを満足させられるコンテンツを提供できるかが重要。
ジル:SEOのためのトリックは通じなくなる。検索ユーザーのことを考えてコンテンツを提供する地道な作業が重要。
トッド:リンクを大量に集めるだけでは効果がなくなる。
グレッグ:そうはいってもGoogleの傾向を分析し、キーワード分散や比率を考えて内部・外部を含む対策を行うことは重要であり続ける。それがSEOの仕事。無視することはできない。リンク戦略に関してクライアントにアドバイスもできない。
サリバン:SEOは重要だが、サイトやサイトが提供している製品サービスがまずありき。良いモノがあればそれを最大限PRしていくのは当然。その辺を理解せずSEOだけに取り組む人が多いのもまた事実。
ペナルティを受けたと思われる判断基準は?
グレッグ:50位以上順位が下がったら危ない。インデックス削除されていれば手動の可能性もある。
トッド:サイトがペナライズされる場合、1つの要素というよりは複数の要因がある場合が多い。有料リンクを外して再申請すればインデックスが保障されるわけでもない。
グレッグ:有料リンクを買っただけど順位が劇的に下げることはまずない。過去長期にわたって色々なスパミーなことをやってきたかが影響する。検索エンジンはウェブマスターが思っている以上にサイトについて時間軸で理解している。
ブルース:50ペナルティを受けた会社から問い合わせがあった。有料リンクは買っていないといわれたが、詳しく調べると一部の部署が有料リンクを買ってリンクファームに参加していた。全て削除したら戻ってきた。
Bingのシェアが30%になってBing対策を何か行うようになったか?
バネッサ:基本的にGoogleと同じ。特に特別な考慮をする必要はない。
グレッグ:Googleと比べてBingの進化は多少タイムラグがある。Googleではもう効果がないが、Bingでは効果があるテクニックもある。場合によってはBing対策を特別に行う。
バネッサ:BingはFlashをクロールしない。Canonicalタグの対応も悪い。テクニカルな観点から考えると個別に対応すべきこともあるといえばある。
ブルース:海外では大半の国でGoogleのシェアが90%以上なのでGoogleだけでいい。それよりもツイッターやフェイスブックなどソーシャルプラットフォームで検索サービスになりつつある点も無視できない。
何か会場に伝えたいことは?
ステファン:SEOツールはツールに過ぎないと言えば過ぎないが、使い方によっては作業を大幅に削減できるのも事実。賢く使おう。
ブルース:マット・カッツ含めて専門家の言うことを鵜呑みにしないこと。サイト毎に様々な条件があるし、自分でテストしよう。
グレッグ:シグナルが複数あることを理解する。ウェブのソーシャル化でシグナルは多様化する一方だ。特に人によるレビューや意見。今後のランキングに大きな影響を与えていくはず。
トッド:SEOとPPCが完全に分断されて運用されているケースが多い。担当者が違ってもお互いに情報交換しながら両者をより効率的に運用するべき。
バネッサ:リンクが最も重要だった時代からユーザー体験に重要度が変わってくると思う。ウェブマスターツールやアナリティクスのデータをもっと活用していく必要もあるだろう。
ジル:検索結果ページ自体が複雑化している。ブレンド検索やソーシャルの結果がもっと取り込まれていく。特にソーシャルとローカル。またページ単位のSEOで無くサイト全体を考えたSEOがより重要になっていく。検索ユーザーの意図を理解することも重要。
サリバン:リンク構築は重要であり続けると思うがそれが全てでなく、1つのシグナルと認識すべき。フェイスブックやツイッターも益々重要になってくるだろう。
毎回恒例のSEOセッションですが、前の検索エンジンのセッションと比較しても1つの質問に対して皆が答えを掘り下げて答える形で、米国のSEO専門家の考えがより理解でき、いつも以上に勉強になりました。正直、時差ぼけが直らないままで、睡魔との闘いだったのですが、我慢して最後まで出て良かったです。というわけで、SMX West 2011、無事に終了です。 — SEO Japan
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