数年前では、SEOにおける”流派”はたったの2つしかなかった。ホワイトハットとブラックハットである。悲しいことに、(例えあなたが”善人”の立場であろうとも)あなたが起こしたアクションは、それがコンテンツ関連であれ、技術的なものであれ、Googleによる影響を受け、決定づけられていたのだ。
仕事の担保という意味ではありがたいことだろう。Googleが1年間に行う400ものアルゴリズムの変更が、この先何年も私に仕事を与えてくれると発言することに、少なからずの罪悪感は抱いていた。予算やリソースに対する制限は、単に私がサービスを提供するタイミングを延長させるに過ぎかった。当時は、SEO担当者が自身の役割に対して傲慢になりやすい状況と言えたのだ。
しかしながら、今日においては、マシン・ラーニングの到来、Googleの検索アルゴリズムの分散化、パーソナルアシスタント(Google Now、Siri、Cortanaなど)の露出の増加、パーソナル化された検索結果の強制などに伴い、SEOにおける新しい”流派”の誕生を目の当たりにしている。その新しい”流派”とは、以下の2つを指している。
もし、あなたがこのグループに属することになれば、順位変動、トラフィックの増減、Googleによる大規模なアップデートなど、その全てに対するリバースエンジニアリングを挑み続けることになるだろう。機会ではなく、障害に注力することになるとも言える。業界に関してのコンテンツのトレンドに対する早期のフォロワーとなることが、せいぜいだろう。
芳しくない順位への補償として、リンクへの注力は継続される。コンテンツ戦略は砕かれ、バラバラになり、行き当たりばったりのものとなる。技術的な側面は、ドメインの価値を下げ続ける内部リンクの効果の最大化が注力分野となるだろう。
こちらのグループに属した場合は、あなたの注力分野は、エンゲージを発生させる効果的なコンテンツの作成、最新のインターフェイスに迅速に対応するための技術的なインフラの整備、トレンドを追うのではなく生み出す存在となること、などになる。
ランキングの操作ではなく、ユーザーとの対話に注力分野を変更することで、リンクとソーシャルにおけるエンゲージメントは自然と発生するだろう。このグループによって作成されたコンテンツは、単純に情報を提供するコンテンツやエンゲージメントを発生させるコンテンツではない。購入が完了した後でさえ、オーディエンスがさらに欲する状態にさせるようなコンテンツである。自身のメディア以外でのブランド構築も積極的に行う。ソーシャルネットワーク、動画プラットフォーム、フォーラム、新規で立ち上げられた個人のメディアなどへの不安は全く無い。
そして、こうした変化は、Googleの進化に即したものであると言えるのだ。
少々昔のことになるが、私が大卒で最初に就いた仕事はコンピューターの訪問販売のセールスマンだった。その内容は、現在の私のレジュメに含めていないほど、ひどいものであった。しかし、見込み顧客へ毎日電話営業をしている中で、非常に価値のあることを学んだ。エグゼクティブ・アシスタント(当時は”秘書”と呼ばれていた。私が古い人間であることは認めよう)は、彼らの上司にとっての門番であるということだ。そして、彼らに良い印象を与えることができなければ、意思決定者に近づくことは不可能となる、ということだ。
これは、完全にGoogleが向かっている方向と合致している。Googleは門番として振る舞うパーソナルアシスタントになり、あなたのサイトがユーザーのパーソナルな習慣や好みや癖に沿うものとなっているかを判断する、土台作りを行うのだ。
さらに、ユーザーを喜ばせたか、彼らを帰らせてしまったか、などの履歴を元に、あなたのサイトの価値を判断するようになるだろう。多くのユーザーの要求を満たす単一のアルゴリズムではなく、特定のユーザーにとって最適な情報、エンターテイメント、教育素材、商品、サービスなどをもたらす、自立性を持った70億の別々のアルゴリズムが存在することになる。映画”Her”(邦題は”世界でひとつの彼女”)の”サマンサ”を思い浮かべて欲しい。
つまり、あなたが検索とSEOが向かう方向を、どのように考えるかが問題となるのだ。もし、あなたがGoogleの検索結果で上位表示を操作させることは可能であると考えているのであれば、きっとフラストレーションが溜まることとなるだろう。しかし、あなたがユーザーの要求と、彼らがどのようにしてサイトやメディアと関わることを好むのか、という点について注力するのであれば、常に変化し続けるSEOで自身を見失うことはなくなるだろう。
幸運にも、私が働いているseoClarityでは、業界内で最も先進的なSEOチームと仕事をする機会を得ることができている。また、成功している企業が、成功するために行っている事柄を目撃することができているが、それらを下記にまとめてみよう。
次年度の計画建てを行う際に、これからの時代に求められる、コンテンツ戦略と技術的な要件の背後にある、インテントを考えるようにしよう。システムを操作することを試みるのか?情熱がなく、工夫のないコンテンツでユーザーを魅了しようとしているのか?言い換えれば、あなたはSEOを”検索エンジンの最適化(Search Engine Optimization)”として捉えているのだろうか?そうではなく、SEOに対する試みを”検索体験の最適化(Search Experience Optimization)”として捉えたことはあっただろうか?
この質問に対し、あなたがどう答えるかによって、あなたの今後の成功が決定されるだろう。
この記事は、RELEVANCEに掲載された「New SEO Schools of Thought—Algorithm Chasers vs. Audience Pleasers」を翻訳した内容です。
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