アルゴリズムを追い続けるか、オーディエンスを引き付けるか。SEOにおける、2つの新しい考え方。

公開日:2016/01/14

最終更新日:2024/02/20

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先日ネガティブSEOについての記事を掲載しましたが、今回の記事もKeith Goode氏による記事となります。(Keith氏は弊社パートナー会社である、クロスフィニティ株式会社と業務提携を結んでいるseoClarity社のチーフ・エバンジェリストです。)2015年も色々と変化の多い年でしたが、2016年も引き続き変化の多い年となるでしょう。今年度のSEO戦略を構築するにあたり、ヒントとなれば幸いです。– SEO Japan

数年前では、SEOにおける”流派”はたったの2つしかなかった。ホワイトハットとブラックハットである。悲しいことに、(例えあなたが”善人”の立場であろうとも)あなたが起こしたアクションは、それがコンテンツ関連であれ、技術的なものであれ、Googleによる影響を受け、決定づけられていたのだ。

仕事の担保という意味ではありがたいことだろう。Googleが1年間に行う400ものアルゴリズムの変更が、この先何年も私に仕事を与えてくれると発言することに、少なからずの罪悪感は抱いていた。予算やリソースに対する制限は、単に私がサービスを提供するタイミングを延長させるに過ぎかった。当時は、SEO担当者が自身の役割に対して傲慢になりやすい状況と言えたのだ。

しかしながら、今日においては、マシン・ラーニングの到来、Googleの検索アルゴリズムの分散化、パーソナルアシスタント(Google Now、Siri、Cortanaなど)の露出の増加、パーソナル化された検索結果の強制などに伴い、SEOにおける新しい”流派”の誕生を目の当たりにしている。その新しい”流派”とは、以下の2つを指している。

  • アルゴリズムを追い続ける者
  • オーディエンスを引き付ける者

アルゴリズムを追い続ける者

もし、あなたがこのグループに属することになれば、順位変動、トラフィックの増減、Googleによる大規模なアップデートなど、その全てに対するリバースエンジニアリングを挑み続けることになるだろう。機会ではなく、障害に注力することになるとも言える。業界に関してのコンテンツのトレンドに対する早期のフォロワーとなることが、せいぜいだろう。

芳しくない順位への補償として、リンクへの注力は継続される。コンテンツ戦略は砕かれ、バラバラになり、行き当たりばったりのものとなる。技術的な側面は、ドメインの価値を下げ続ける内部リンクの効果の最大化が注力分野となるだろう。

オーディエンスを引き付ける者

こちらのグループに属した場合は、あなたの注力分野は、エンゲージを発生させる効果的なコンテンツの作成、最新のインターフェイスに迅速に対応するための技術的なインフラの整備、トレンドを追うのではなく生み出す存在となること、などになる。

ランキングの操作ではなく、ユーザーとの対話に注力分野を変更することで、リンクとソーシャルにおけるエンゲージメントは自然と発生するだろう。このグループによって作成されたコンテンツは、単純に情報を提供するコンテンツやエンゲージメントを発生させるコンテンツではない。購入が完了した後でさえ、オーディエンスがさらに欲する状態にさせるようなコンテンツである。自身のメディア以外でのブランド構築も積極的に行う。ソーシャルネットワーク、動画プラットフォーム、フォーラム、新規で立ち上げられた個人のメディアなどへの不安は全く無い。

そして、こうした変化は、Googleの進化に即したものであると言えるのだ。

パーソナルアシスタントとしてのGoogle

少々昔のことになるが、私が大卒で最初に就いた仕事はコンピューターの訪問販売のセールスマンだった。その内容は、現在の私のレジュメに含めていないほど、ひどいものであった。しかし、見込み顧客へ毎日電話営業をしている中で、非常に価値のあることを学んだ。エグゼクティブ・アシスタント(当時は”秘書”と呼ばれていた。私が古い人間であることは認めよう)は、彼らの上司にとっての門番であるということだ。そして、彼らに良い印象を与えることができなければ、意思決定者に近づくことは不可能となる、ということだ。

これは、完全にGoogleが向かっている方向と合致している。Googleは門番として振る舞うパーソナルアシスタントになり、あなたのサイトがユーザーのパーソナルな習慣や好みや癖に沿うものとなっているかを判断する、土台作りを行うのだ。

さらに、ユーザーを喜ばせたか、彼らを帰らせてしまったか、などの履歴を元に、あなたのサイトの価値を判断するようになるだろう。多くのユーザーの要求を満たす単一のアルゴリズムではなく、特定のユーザーにとって最適な情報、エンターテイメント、教育素材、商品、サービスなどをもたらす、自立性を持った70億の別々のアルゴリズムが存在することになる。映画”Her”(邦題は”世界でひとつの彼女”)の”サマンサ”を思い浮かべて欲しい。

つまり、あなたが検索とSEOが向かう方向を、どのように考えるかが問題となるのだ。もし、あなたがGoogleの検索結果で上位表示を操作させることは可能であると考えているのであれば、きっとフラストレーションが溜まることとなるだろう。しかし、あなたがユーザーの要求と、彼らがどのようにしてサイトやメディアと関わることを好むのか、という点について注力するのであれば、常に変化し続けるSEOで自身を見失うことはなくなるだろう。

パーソナル検索への準備をする方法

幸運にも、私が働いているseoClarityでは、業界内で最も先進的なSEOチームと仕事をする機会を得ることができている。また、成功している企業が、成功するために行っている事柄を目撃することができているが、それらを下記にまとめてみよう。

    • 彼らは技術的に迅速であり、変化を受け入れ、新しいチャネルに素早く自身を適合することができる。
    • 彼らは組織全体でSEOを民主化することに成功し、SEOチームが分析と個人学習に注力することを許可している。その結果、ライター、開発者、プロモーター、エグゼクティブ、マーケターが固有の規律内でベストプラクティスを採用することが可能となっている。
    • 彼らはユーザーのニーズを満たし、ユーザーの言葉で話しかけ、ユーザーが望む場所でコンテンツを消費できるための、個々のユーザーに対するコンテンツ戦略を構築している。
  • 彼らは測定基準を再定義し、ランキングやトラフィックを単純に追うのではなく、自身のサイトがどの程度エンゲージメントを発生させ、ユーザーが継続的に訪問しくれるサイトであるかを判断することに注力している。

次年度の計画建てを行う際に、これからの時代に求められる、コンテンツ戦略と技術的な要件の背後にある、インテントを考えるようにしよう。システムを操作することを試みるのか?情熱がなく、工夫のないコンテンツでユーザーを魅了しようとしているのか?言い換えれば、あなたはSEOを”検索エンジンの最適化(Search Engine Optimization)”として捉えているのだろうか?そうではなく、SEOに対する試みを”検索体験の最適化(Search Experience Optimization)”として捉えたことはあっただろうか?

この質問に対し、あなたがどう答えるかによって、あなたの今後の成功が決定されるだろう。

この記事は、RELEVANCEに掲載された「New SEO Schools of Thought—Algorithm Chasers vs. Audience Pleasers」を翻訳した内容です。

“Search Experience Optimization”という表現は個人的にもとても気に入っており、頻繁に使わせていただいております(笑)。ユーザーへの注力は以前から言われていたことではありますが、Google Nowを始めとしたパーソナル化の勢いも加速しそうで、SEOのあり方も繰り返し変化していきそうです。もちろん、根幹の部分が変わることはないでしょうが、新しく取り入れるべき要素は今後も増えていくのではないでしょうか?そろそろ新年ムードも収まりつつありますが、今年のSEO戦略に対し、常に意識しておきたいことだと思いました。– SEO Japan

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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