賛否両論の寵児こと、Mahalo(マハロ)のCEO、ジェイソン・カラカニス氏が、“コンテンツファーム”の競合者に対して、このビジネスモデルがウェブを汚染し、グーグルの怒りを買い、検索者および自身の企業にも損害を与えていると主張し、手厳しく批判した。
カラカニス氏は、フェデレイティド・メディアのイベント「シグナル LA」で“コンテンツ競争に終止符を”と言うプレゼンを行った。以下に同氏のプレゼンで私が実施したセミ実況ブログを掲載する。
ジェイソン・カラカニス氏は、グーグルのスパムばかりの劣悪な検索結果への対策として、同氏が2007年にマハロを始めた経緯を振り返った。カラカニス氏は、当時、人間のエディターなら、人気の高い検索に対して、より良い結果を選択することが出来ると感じたようだ。しかし、ウェブの動向に合わせ、同社はコンテンツを提供するサイトへとシフト変更した。だが、昨年、同氏はマハロが“脱線”しつつあると感じ、同サイトのミッションを見直した。
マハロは、インターネットユーザーが記事、動画、そして、Q&Aのコンテンツを求めている点に気づき、注目した。しかし、大量のコンテンツを量産する企業にリードを許している点も把握していた。
ディマンドメディアは、1日、5,700本、AOLは1,700本、そして、ヤフー!のアソシエイティド・コンテンツは1,500本のエントリを投稿している。対するマハロは1,100本である。このデータは、カラカニス氏が提示したスライドには掲載されていない — 申し訳ないが、このデータの情報源を見つけることが出来なかった。上のスライドはプレゼンの後半で使われたものであり、このスライドでは、同氏は、コンテンツは少ない方がよいと語っていた。
しかし、さらに多くのコンテンツを作成する戦いに参戦していく中で、カラカニス氏はマハロが劣悪なコンテンツを作っていることに気づいたのであった。同氏は、マハロの「木琴の叩きかた」のページをスライドで紹介した。下のスライドを見れば分かるように、このページは、「木琴で遊びたい点を確認すること」から始まる:
なぜこのような劣悪なコンテンツを作っているのだろうか、カラカニス氏は自らに問いかけた。[自問したのは、先週、ビジネス・インサイダーがこのページのパロディーを掲載したためだ — 上のスクリーンショットはこの記事から得たもので、さらに詳しくこのページについて説明している]。
なぜマハロの競合者も同じことをしていたのだろうか?カラカニス氏は、ヤフー!アンサーズの質の低いページをスライドで紹介した。このスライドはオーディエンスの笑いを取っていた。以下に小さなネズミ類の動物を風呂に入れる方法に関するeHowのページを掲載する:
同氏はさらにハッフィントン・ポストも槍玉に挙げていた。カラカニス氏は、アリアナ・ハッフィントン氏とは面識があり、過去に話をしたことがあり、好きである点を説明した後、同氏はハッフィントン・ポストが他のニュース記事を要約した記事の例を挙げた。カラカニス氏によると、ハッフィントン・ポストの80%は、次のように他人のコンテンツを焼き直しているだけだと述べた。</ p>
「ハッフィントン・ポストがオリジナルの記事を投稿している人々に対して背信行為に及んでいることを知ったときはショックでした。」とカラカニス氏は述べた。
次に、グーグルの上位を独占する日々は終わったと同氏は語り、グーグルのウェブスパームチームを率いるマット・カッツ氏のブログのエントリを紹介した。カッツ氏は、1月下旬にグーグルが「浅はかなコンテンツまたは質の低いコンテンツ」が検索結果の上位にランクインしないような方法を調査していると話していた:
コンテンツファームおよびスパムまたは質の低いコンテンツで主に構成されるサイトに対して、さらに断固とした態度で臨むべきだと言う声が後を絶たない。私たちはグーグル検索にプライドを持っており、すべての検索を漏れなく完璧にするべく努力している。しかし、現実として、私たちは完璧ではなく、グーグルに対するユーザーの高まる期待を考慮すると、このような欠陥は必要以上に大きく見えてしまう。しかし、グーグルはもっと改善することが可能であり、また、そうするべきである。
カラカニス氏によると、これはグーグルがコンテンツ工場の存在に気がついた証拠であり、この類の事業にとっては悪いニュースだそうだ。
「グーグルと付き合う際には、グーグルが間抜けに見えてしまう行為は避ける必要がある。「グーグル様」に恥をかかせると、逆襲を食らうだろう。」とカラカニス氏は述べた。ちなみにSELの読者のためにこの記事では綺麗な言葉を使うことにした。「eHowが巨人を起こしてしまったのだ」とカラカニス氏は続け、巨人グーグルの機嫌を損ねた経緯を説明した。
さらに同氏は、ディマンドメディアを個人的に気に入っている点、同社およびその他の所謂コンテンツファームの重役とは知り合いである点、そして、とても尊敬している点を明らかにした。しかし、コンテンツファームは変わる必要があり、巨人の機嫌を直すには、コンテンツの質を上げるしかないようだ。
「私たちは鏡を見て、自らに問いかける必要がある。“これがユーザーのために作りたかったコンテンツなのだろうか?”と。そう、私たちはインターネットを汚染している。」
現在、マハロは質を高めるため、数百ドルから数千ドルを投じているとカラカニス氏は明らかにした。「質に焦点を絞る取り組みに戻るのは、ビジネスにとって良いことである … 私たちは切り替える必要がある。」
カラカニス氏は、マハロの「七面鳥を料理する方法」のページを紹介し、このページには多数の素晴らしい動画のコンテンツが用意されていると述べたうえで、eHowに投稿されている、七面鳥の料理の方法を様々な角度で取り上げた17本の記事と争わなければならない点を「これで私がおかしくなりそうな気持ちを理解してもらえたはずだ」と嘆いた。
さらにカラカニス氏は「マハロは質の高いコンテンツを作ろうとしており、「七面鳥を料理する方法」で1位を獲得するまでは毎日グーグルに嫌味を言っていくつもりだ」と続けた。
また同氏はイベントで広告主に対して、質の低いコンテンツを助けないでもらいたいと要請した。「広告を標準以下のコンテンツの隣に掲載するべきではない。マハロは、専門家以外にはコンテンツの作成を認めない。その一方で、ディマンドメディアは誰かが10ドルを受け取ればコンテンツを作成するだろう。」
そして、カラカニス氏はグーグルに関する警告を再び行った: 「グーグルは理解するだろう。eHowがグーグルに恥をかかせていることを。」
カラカニス氏は、先週、数百ドルを投じて、多数の動画を加え、マハロの木琴に関する記事をアップデートしたと述べ、「これで私は眠れそうだ。」と加えた。
当該のページに目を通したところ、確かに2本のオリジナルと思われる動画が掲載されていた。元々の記事に、他にどれぐらい多くのコンテンツが加えられたのかは定かではない。しかし、楽器の演奏方法を詳細に説明しているページがあるとは私には思えない。
カラカニス氏は最後に競合者への質問でプレゼンを締めくくった。「誇りを持てるコンテンツを作っているだろうか?それともグーグルの怒りを買うコンテンツを作っているだろうか?」
本日のイベントの関連するエントリにも目を通しておいてもらいたい: Googleとコンテンツファームによる“優良クリック”の定義(註:翻訳済)
この記事は、Search Engine Landに掲載された「Mahalo’s Calacanis: Time To End The Content Farm Arms Race」を翻訳した内容です。
少しニュアンスが伝わりにくいかもしれませんが、自らのサイトがコンテンツファームと昔から批判を受けているにも関わらず、自分のマハロは他のサイトより質を高める努力をよりしている、という前提で他のコンテンツファームを批判するカラカニスの姿勢に疑問を呈している内容でした。本家の記事ではコメント欄でカラカニス本人まで登場して議論が続いています。。ま、カラカニスの言っていること自体は別に良いんですけどね。 — SEO Japan
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