サイトへの自然検索流入が増減する理由は多々あるため、「何が課題なのか」を特定するのに苦労しているWeb担当者は多いでしょう。
言い換えると、「SEOには変数が多い」ともいえますが、その変数を一つ一つ紐解いていくのは骨が折れる作業です。
今回の記事は、SEOの課題を4つに分類し、分析から解決策までをまとめたフレームワークについての記事となります。
チェックすべきポイントがわかりやすく抑えられているため、多くの方に参考になる内容かと思います。
最近、サイトへの自然検索流入が減少、または上昇した際、あなたはどのように感じただろうか。
よくあるケースとしては、Googleのアルゴリズムが誤っているという結論をすぐ出すことだろう。
しかし、Googleが誤っているという結論をすぐに出してしまうと、SEOにおける成功を獲得できなくなる。さらに悪いケースでは、過ちを繰り返すことになる。
この記事で紹介するSEOの問題を特定するための体系的なフレームワークは、SEOの4要因のうち、どれが実際にパフォーマンスへ影響を与えているのかを特定し、主となる問題と迅速に特定して解決するのに役立つはずだ。
目次
これらの要因は、検索トラフィックに影響を与える主なものを指している。
以下の各要因について、定義・原因・診断ツール、および主要な問題を解決する方法について解説しよう。
定義:検索アルゴリズムの変更が、検索パフォーマンスに影響を与えている
1.トラフィックが増加、または減少した日付を特定しよう。タイムラインはアルゴリズムアップデートと一致しているだろうか。
以下は、MozとSEMrushのタイムラインの例だ。
2.アップデートがない場合は、Googleサーチコンソールで手動による対策(ガイドライン違反)を検討しよう。
3.手動による対策がない場合、トラフィックはSERPsの機能変更と同時に発生してはいないだろうか。
1.ランキングまたは自然検索流入が急に減少/増加したタイミングを特定する。
2.日付をアルゴリズムの変更と紐づける。相関関係がある場合は、問題の規模・詳細・重大さを確かめる。
GoogleWebマスターのYouTubeチャンネル、業界の記事、または親密なSEOerから情報を収集して、最適な解決策を特定しよう。
残念ながら、アルゴリズムのアップデートに対応するための特効薬は存在しない。
ファーストアクションとして最善なのは、アップデートがページの内外、どちらに主として影響するかを理解することだ。
3.相関関係が存在しない場合は、Googleサーチコンソールで手動による対策のペナルティを確認するか、MozCastでSERPsの機能に動きがないかどうかを確認しよう。
定義:Webサイトへの変更が検索パフォーマンスに影響を与えている
サイトの技術的な変更のタイミングを特定しよう(フロントエンドorバックエンド)。
Googleアナリティクスの注釈や、CMS内のチェンジログは分析に役立つ。
これらの課題は、少なくとも定期的にトラッキングする必要がある。
サイトに大規模な変更が実装された時から、検索パフォーマンスに突然の変化が起こるまで、どのような相関関係を描くことができるだろうか。
技術的課題は、様々な原因から生じる。
テクニカルSEOの監査は、課題を解決するための最高の解決策になるだろう。
監査を行うためには、Screaming Frog、またはお気に入りのクロールツールを使用して、サイトのフルクロールを実行する。
すべてのSEOツールが完全にクロールできるわけではないことに注意してほしい。一部のツールは、クロールするURLの量やタイプを適切に制限する。
クロールの結果を出力したら、次のチェックリストに従ってサイトの各URLを確認しよう。
1.リンク切れの監査(404)
404エラーは時間の経過と共に自然に発生するが、サイトの大部分が「壊れている」場合は、その修復に時間をかけるべきだ。
2.一時的な302リダイレクト、または長いリダイレクトチェーンを特定する。
3.低品質、または内容が薄いページを特定する。
順位がついていない・流入がない・コンバージョンに繋がらないページがある場合は、他のページにリダイレクトするか、統合しよう。
4.重複するページを特定し、canonicalまたはnoindexを設定する。
重複を解消し、1つのページに評価が向けられるようにしよう。これは、重複する要素を複数持つサイトにおいて有効だ。
5.robots.txtによって、サイト内の重要なページがクローラーを弾いていないかどうかを確認する。
6.クロール深度の高いページを監査する。
クロールの深さとは、特定のページがトップページからどれだけ離れているかを計測したものである。トップページから4~5クリック以上離れているページは、クロール頻度が低い可能性がある。
これらのページがビジネスにおいて重要である場合、情報構造の再設計が必要になることがある。
繰り返しになるが、これらはテクニカルSEOの監査の始まりに過ぎない。
ただし、SEOのテクニカルな課題の70~80%は、Webサイトをフルクロールすることで見つけることができるだろう。
定義:季節性要因が検索パフォーマンスに影響を与えている
Googleトレンドは、ターゲットとなるトピックの季節的な検索トレンドを特定するのに役立つ。
主要な製品、またはサービスについて、過去5年間の(対象地域における)検索トレンドを引き出すことができる。
次に、業界の検索需要と自然検索流入の相関関係を特定する。
以下の例では、「テラスの家具」に関連するキーワードの年間の検索パターンを示している。
社内のマーケティングスケジュールと休日によって、季節性のあるキーワードをスケジューリングしよう。
1年を通じてトラフィックの大規模な変動に悩まされている場合は、購入者となるペルソナが検索するキーワードのうち、閑散期でもビジネスと近接しているキーワードを特定することだ。
上の例では、暖かい季節にニーズのある商品を扱っている家具店は、季節ごとのキーワードに合わせたコンテンツを制作する必要があるだろう。
顧客が製品を購入するタイミングは周期的かもしれないが、それでも顧客と繋がるためのきっかけを見つけることができる。
例えば、人々は涼しい時期でも屋外でバーベキューをすることをやめない。
1年を通じて、顧客の季節的な興味関心に合わせに行こう。
定義:競合の取り組みが検索パフォーマンスに影響を与えている
SEOに競合的な課題があるかどうかを理解するための鍵は、ビジネスに影響を与えるマクロの傾向や、補完または代替製品、そして顧客となるペルソナの購買行動への知識を深めることだ。
競合が発生することで、自然検索の伸びに影響を与えている2つの指標は次のとおりだ。
以下の例は、過去5年間の「食事キット」の人気の高まりを示している。
トピックが右肩上がりに成長していることは、より多くのプレイヤーが参入していることを示している。
さらに、Googleトレンドのデータが全体の自然検索流入のデータと一致している場合は、この仮説を検証することができる。
最後に、自社と競合他社による有料広告への取り組みは、自然検索への流入を奪い合うという意味も持つ。
もし、他社と競合していると感じられる場合は、自社の置かれている業界における有料広告への投資が増えたことによるものなのか、それともSEOに投資する競合他社の増加によるものなのかを特定しよう。
競合他社に勝っているキーワードと負けているキーワードをリサーチすることで、サイトにおける個別ページの課題を詳しく分析することができる。
競合他社が自社より秀でている最大の要因は、他社のサイトにより多く、より洗練されたコンテンツがあるためだ。
以下の例は、キーワード分析の一例だ。最初にすべてのランキングキーワードを分類してから、それらをピポットテーブルに入れると、キーワードごとの勝ち負けが確認できる。
この例は、代理店の「カスタマージャーニー」に関連するキーワードと、他のMartechソリューションの結果を示したものである。
すべてのキーワードをタグ付け、または分類した後、これらのリストをピボットテーブルにかけることで、1~3ページ目におけるランキングしているキーワードや、ほぼ圏外にあるキーワードの量を把握できる。
以下のサンプルレポートは、上記のシンプルなピボットテーブルから収集できる「ブログ」関連キーワードの強さを示している。
コンテンツの品質に次いで、情報構造は競合他社をしのぐために重要な要素である。
Screaming FrogのForce Directed Crawl Diagramレポートは、サイトの情報構造を視覚化して、コンテンツがキーワードとユーザーの意図によって整理され、どのページにも簡単にアクセスできることを確認するのに役立つ。
コンテンツと情報構造の要素を検討した後、バックリンクの状況を競合他社と比較する必要がある。
これにより、検索結果における競争力を高めるために取得する必要のあるリンク元ドメインの量と質を確認できる。
アルゴリズム・技術的課題・季節性要因、そして競合的課題が自然検索流入に変動を及ぼす原動力となっている。
この記事で紹介した体系的なアプローチを使用してSEOの課題を診断することで、SEOの課題を迅速に特定し、組織のマーケティング活動における優先度付けを支援できることだろう。
フレームワークというだけあって、順位変動や流入数の増減に関して、わかりやすくまとめられた記事でした。
このフレームワークをそのまま活用するのもよいですが、自分なりにカスタマイズして持っておくと、使い勝手が良くなるでしょう。
SEOに関する情報は、普遍的なものとトレンド的なものがありますが、普遍的な内容を抑えておくと溢れる情報に右往左往せずに済みます。
SEOを体系的に理解するためにも、まずは基本的な内容からおさえてみてはいかがでしょうか。
SEO最新情報やセミナー開催のお知らせなど、お役立ち情報を無料でお届けします。