サーチエンジンランドが主催するSMX Advanced カンファレンスの初日は、ダニー・サリバン氏が、グーグルのスパム対策本部を取りまとめるマット・カッツ氏をゲストに迎えた「You & A」セッションで幕を閉じた。このセッションは午後5時(太平洋標準時間)に始まる予定だが、ここだけの話、舞台裏はどたばたしており、スタートは遅れる気がする(要するに、カッツファンは既に臨戦態勢に張っており、カッツ氏本人がもみくちゃにされているのだ)。
マット・カッツ氏のファッションに興味がある人に伝えておこう。カッツ氏は緑色のポロシャツを本日着こなしている。それでは、SMX Advancedの初日を締めくくる、この必ず盛り上がるセッションの模様を伝えていくので、後ほど戻って来てもらい、読んでもらえると嬉しい。
書記として注意事項を発表する。ダニー・サリバン氏は「DS」、マット・カッツ氏は「MC」と省略している(「分かり切ったことをわざわざ説明してくれてありがとう」と言う声が聞こえてきそうだ)。
冒頭にダニー・サリバン氏は、カッツ氏にグーグルのロゴが入ったバンズのスニーカーを手渡し、そして、サリバン氏自身も同じスニーカーを履き、セッションが幕を開けた。次に椅子の間に置かれていたカバーをめくると大きなパンダのぬいぐるみが現れ、そして、椅子の下からパンダの足台を引き出すと、大きな笑いが起きた。
DS: パンダについてですが、スクレイパーサイトがパンダアップデートが行われた後、自分のサイトよりも上位に格付けされている点を指摘するeメールが大量に送られてくるそうですね。
MC: 私のチームの一人がこの問題に対応しています。変更が認められており、この問題を解決する上で役に立つでしょう。パンダについて繰り返し申し上げていますが、このアルゴリズムの変更は、もともと、ウェブスパムチームではなく、検索の質を担当するチームが始めたのです。
検索の質とウェブスパムは別物だと考えていた時期がありました。ウェブスパムと質の間にははっきりした境界線があり、グーグルでは長年にわたって問題なく通用していました。しかし、検索業界以外の業界では、あまりにも多くの質の低いウェブサイトが検索結果を汚染していると言う認識が浸透しています。パンダはこの問題に対処するために考案されたのです。
DS: 今はバージョンいくつですか?パンダ 2、パンダ 2.1、… パンダ 2.2ですか?
MC: もうすぐ新たな変更が行われます。英語圏だけでなく、世界全体で行われる時期については把握していません。
DS: パンダはサイトごとに影響を与えます。例外はありますか?
MC: 特に例外は設けていません。カルト・オブ・マックは混乱しているかもしれませんね。このサイトは、ブログでこの件を報じたために、新たにトラフィックを得ているのです。実際には今まで例外は設けていません。
DS: このアップデートは、一部のサイトが回復するほど十分に変更されましたか?判断するのは早過ぎますか?
MC: 基本的には、まずアップデートを行い、シグナルを後ほど加えて、区別しやすくするのです。まだ状態を直接元通りにするような試みは行っていません。一部のサイトに影響を与えた可能性のあるデータを再計算しました。サイトに影響を与え、元通りにする可能性がある変更が一つ存在します。
DS: このエントリに質問が22問投稿されていますが、たとえ既に変更を行っても、まだ何もプラスの効果は表れていないと言っているように聞こえますよ。
MC: データを再計算しているので、助けになっている可能性はあります。パンダ 2.2は既に承認されているものの、まだ展開はされていません。
DS: オーディエンスの質問を読んでみましょう – サイトのユーザビリティは、ファクターとしてより考慮されているのでしょうか?
MC: パンダは、ユーザビリティに直接ターゲットを絞っているわけではありませんが、サイトをビジターに気に入ってもらう上での重要なパーツであることに変わりはありません。グーグルが指摘していたからではなく、大事な取り組みなので、ユーザビリティに気を配りましょう。
DS: データやイメージの共有をベースにしているウェブサイト – 最高のユーザーエクスペリエンスがイメージを見せることで得られ、テキストを多く持っているわけではないサイトに対して、何かアドバイスはありますか?グーグルはイメージをコンテンツだと認証しますか?
MC: それは通常は特に問題にはなりません。フリッカーはテキストを多く持っているわけではありませんが、ユーザーに価値を提供しています。
DS: 話題を変えましょう — ラリーとはうまくいっていますか(サリバン氏は、4月にCEOの職務を引き継いだラリー・ペイジ氏に言及している)?
MC: 数週間前に私の部署に立ち寄り、数時間話し合いました。
DS: ラリーは検索について何と言っていましたか?それは有益な内容でしたか?
MC: 有意義でしたよ。ラリーは検索に長年関わっていますからね。私達のことを信頼してくれています。ただ、引き続き奇妙なクエリを要求してくるのです。
DS: 例えばどんな?
MC: そうですね。これなら表に出せるかもしれません … 「warm mangoes」と言うクエリを送ってきました。私達は、意図がさっぱり分からず、バンドの名前か何かかと思いました。その後、ラリーはさらに情報を与えてくれました — ユーザーはマンゴはなぜ箱に入れておくと暖かくなるのか気になっている。
そして、告知の時間に入った…
カッツ氏は、本日グーグルが導入した新しいrel=author タグについて説明した。この件については当サイトのエントリを参考にしてもらいたい。
DS: これはグーグル限定ですね。
MC: そうです。このタグをサポートすることに決めました。
サリバン氏は、サイトからサイトへのオーサーシップの移動について尋ねた。
MC: それが理想です。
DS: それではオーサーランクと言うコンセプトをグーグルは持っている可能性はあるのですね。
MC: しばらく私達はこの件について話し合っています。作者が信頼に値する場合、記事が掲載されているサイトは関係あるのか?と言うコンセプトです。
続いてサリバン氏はSchema.orgおよびこの件に関する批判について尋ねた。
DS: Schema.orgもまた作者に対応する新しい手法を用いています。どちらを使えばいいのですか?
MC: 私ならrel=authorから始めますね。
DS: (オーディエンスの質問) サイトのブロックの効果をパブリッシャーに知らせるため、グーグルはどんな対策を取っていますか?また、+1のようなポジティブな評価の効果を知らせるために何をしていますか?
MC: サイトがブロックされる可能性のある各種の仕組みを説明しましょう。2回目のパンダは、ブロックされたサイトに関する収集されたデータを用いていますが、これは特に自信がある場合の話です。グーグルは、ブロックに関するスタッツを提供する取り組みからは距離を置いています。なぜなら、パブリッシャー側は何もすることが出来ないからです。このメトリクスを与える予定はありません。しかし、+1に関するメトリクスは間もなく導入されるはずです(確かに。この件については当サイトのエントリ Google +1分析がもうすぐやって来る; 全容を予測を参考にしよう)。
DS: ブロックに関するデータは、ページレベルのベースで見せれば役に立つかもしれませんね。
MC: グーグルはブロックに対して3つの選択肢を使っていましたが、ユーザーにとって面倒な作業になってしまいました。そのため、現在は2つの選択肢に絞り、シンプルにしています。
DS: ページネーションについて話しませんか?
(カッツ氏は先ほど行われた別のセッションでのマイリー・オイェの答えを思い出し、的を射た答えだと述べた。)
次にサリバン氏はAjaxのプレゼンテーションとクローキングに関する質問を投げかけた。
MC: Ajaxの標準的な方法に従っていれば、割と様になっているはずです。しかし、濫用しているなら、問題視される可能性があります。Ajaxの方が格好いいからと言って、多用するのではなく、ユーザーにとって理にかなっている場合は、ページを使いましょう。
DS: 「経済に深刻な打撃を与える、グーグルのアラン・グリーンスパン」になるのはどんな気分ですか?個人的な話をしましょうか。
MC: (首を左右に振る – 質問が気に入らなかったようだ – さらに大きな笑いが起きた) 「マット・カッツが言ったんだから、間違いない」と言う状況は問題があると思います。オーディエンスの中にもたくさんのグーグルのスタッフがいますよ。
DS: 手を挙げてください!
MC: (笑い) いいえ、いいえ、どうせならブースまで来てもらって、「どうやってリンクを買ったか教えてくれ」と言ってほしいですね。(オーディエンスは爆笑)
DS: (パンダに関する質問)
MC: 比較的質が高いとグーグルが判断すれば、影響は少ないでしょう。十分に専門知識を持っており、他に誰も良質なコンテンツを提供するサイトが存在しない場合、パンダの影響を受けていたとしても、上位にランクインするでしょう。
DS: (誤りを暴く時間がやってきた。SEOmozのランキングファクター調査が、フェイスブックの共有とグーグルのランキングの相関関係を立証した件について質問する)
MC: これは相関関係が因果関係と一致しない良い例です。グーグルはフェイスブックの共有に関するデータを得ていません。ブロックされているのです。ファンのページは見ることが出来ますが、フェイスブックの共有を把握することは出来ないのです。
DS: ただ単にコンテンツの質が良かったのでしょうか。
MC: その通りです。コンテンツの質が高いこと、そして、より多くのリンクが寄せられる可能性があることを示しているのです。
(カッツ氏は、JC ペニーは求人欄を介して多数の.eduのリンクを加えていたため、上位に返り咲くことは出来なかったと述べた。)グーグルは、TLD – .govや.edu – を基にランクを上げたりしません。このようなドメインは多くの質の高いリンクを得る傾向があるだけです。
DS: フェイスブックを再び利用するつもりはありませんか?
MC: すぐにフェイスブックに戻るつもりはありません。 1年半ほどフェイスブックは利用していません。(数名のオーディエンスが拍手する)(しかし、フェイスブックから距離を置いているのはカッツ氏だけではない。詳しくは、サーチエンジンランドのエントリ: マット・カッツ & その他のGoogleのエンジニアがFacebookをやめるを参考にしよう)
続いてライトニングトークが行われた。
DS: ランキングレポートに関して意見を聞かせてください。
MC: グーグルの検索結果が刈り取られている点を含め、複数の理由でランキングレポートには良い印象を持っていません。また、焦点を絞るべき対象としても誤っています。
DS: 禁止措置の対象になる違反ですか?
MC: それは稀ですね。しかし、あまりにも多くスクレイプされている場合、対策を講じる可能性があります。B
DS: サイトでのマルチバリエイトテストにはどのように対処していますか?
MC: A/B テストは、コピーのコンバージョンを知るための優れた手段です。先日、ウェブサイトのオプティマイザーチームが当該の製品をローンチする前に私の下を訪れ、会議を行いました。この製品はグーグルボットを特別扱いしていません。大きなリトマス紙のテストのようなものです。その他のデスクトップのブラウザのようにグーグルを扱ってもらえば、何も心配する必要はありませんよ。
DS: パンダに関する質問 — パンダは、広告の少ない質の高いコンテンツに注目しているように思えます。コンテンツにより多くの資金を投じ、広告への投資は控える。これはインターネットを葬り去るのでしょうか?
MC: 最高の取り組みがインターネットの繁栄につながるのではないでしょうか。他人のコンテンツを作り直している場合、もしくは質の低いコンテンツを作成している場合、インターネットにプラスの影響を与えるとは思えません。本日の多くのセッションでも、コンテンツに創造力を持って取りかかり、ユーザーに気に入ってもらえる作品を作り出すと言う意見がよく耳に入ってきました。
この言葉を最後に、ダニー・サリバン氏は、この伝統を続けてくれていることに感謝の意を述べ、そして、グーグルへのお土産として大きなパンダのぬいぐるみをプレゼントした。
キーノートは無事終了した。ご清聴、ありがとう。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「Coming Soon: Google Panda Update 2.2」を翻訳した内容です。
色々な話はありましたが、オーサーランクという概念は興味深いですね。パンダアップデートはまだまだ発展途中という感じで。最後も無難に締めていますが、以前は建前と本音は違うよ、と思いたくなることもありましたが、最近のグーグルの進化を見るにあながち、「真実はいつも1つ!」的な状況に変わりつつある気がしなくもありません。話は変わりますがマット・カッツが持ち込んだパンダグッズはいつかやると思っていたのですが、あれはmade in chinaなのかな?とかくだらない想像をしてしまいました。せっかくならマット・カッツ自ら動物園などで売ってるパンダ帽子をかぶってほしかったですね。 — SEO Japan
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