iOS版のグーグルナウがデビューし、新たなオーディエンスに、グーグルのこの予測検索サービスが開放された。グーグルナウは、公開してから1年に満たない新しいサービスではあるものの、斬新なサービスから、既に究極の優れたサービスに変貌を遂げている。今回はこの「予測検索」サービスの進化、そして、今後の展開(デスクトップコンピュータへの進出を含む)を検証していきたい。
アンドロイドユーザーに向け、グーグルナウが、昨年6月にリリースされた際、このサービスが対応する情報の「カード」は限られていた。個人的にはどれも役に立つとは思えないカードばかりであり、真剣にこのサービスについて考えることはなかった。しかし、その後、グーグルナウは大幅に機能を改善していった。対応するカードが増えるにつれ – そして、私の個人情報をさらに集めるにつれ – グーグルナウは賢くなっていった。
数週間前にフェイスブックを去る際に、このサービスの素晴らしさを大いに体感した。当時私は、迂闊にもフライトの時間を間違え、時間内に空港に辿りつけるかどうか気が気でなかった。
駐車場を全速力で走り、車に慌てて乗り込んだ後、スマートフォン(ギャラクシーネクサス)の電源を入れ、グーグルナウのスクリーンを立ち上げた。そして、フェイスブックからサンホセの空港へのルートを尋ねた。ルートと時間の両方を知る必要があった。
私が話しかける前に、グーグルナウは、既に予定の到着時間とナビを始めるためのリンクを用意していた。検索を行う前に何を知る必要があるのかを理解していたのだ。
さらに、今月の始め、ミュンヘンでも私はグーグルナウに驚かされることになった。私は前回の旅行で残ったユーロを持っていたため、ドルを全くユーロに換えなかった。そのため、為替レートの情報を得ていなかった。調べるつもりではいたが、後回しにしていたのだ。しかし、グーグルナウを利用したところ、調べる必要はなくなった。既に、為替レート、ドイツ語で「hello」を何と言うのか、さらには、ミュンヘンの写真撮影スポットが提示されていたためだ。
衝撃的であった。グーグルナウは私の期待を上回っていた。「推測」または「先読み」検索がもたらす未来を垣間見たような気がした。
また、グーグルナウは、“衝撃的”なレベルではなくとも、様々な場面で役立っている。
例えば、私は金曜日と土曜日に映画の上映リストを定期的に確認している。グーグルナウは、私が検索を行う前に、この情報を用意してくれていることがある。その上、グーグルナウは、私が好きなスポーツチームを把握し、自動的に試合の速報を押してくれる。私が読んだ最新の記事を確認し、同分野のニュースをアップデートしてくれる:
完璧ではない。昨年、SMX ロンドンカンファレンスに出席するためにチェルシーフットボールクラブを訪れた際、グーグルナウは、私がこのチームを好きだと勘違いした。チェルシーのファンには申し訳ないが、このクラブに愛情を持っているわけではない。このケースでは、チェルシーをスポーツのリストから削除するだけで修正することが出来たが、修正不可能な推測が行われるケースもある。それでも、簡単にスワイプして消すことが可能であり、心配する必要はない。
答えを出すため、グーグルナウは複数のソースから情報を得ている:
このような個人情報は、グーグルが把握している公の情報と組み合わせて利用されることもある。例えば、グーグルは公共機関の乗り継ぎの地点を把握している。電話がグーグルナウに当該の乗り継ぎの駅の近くにいる点を伝え、この駅を出る電車の出発時刻のスケジュールを推測してもらえると便利である。/p>
同様に、航空券を購入し、Gメールに予約の情報が送信されると、グーグルナウは、特定のフライトを利用することを理解し、フライトの状況に関する公の情報源を確認する。
グーグルナウに関するページ、そして、グーグルナウのヘルプページに用意されているカードの一覧には、グーグルナウが提供する各種のカードの概要が提供されている。
以下に、私が作成したカードの一覧、そして、表示させるために必要な個人情報の種類を網羅した表を掲載する。この表では、カードがグーグルナウに加わった時期、そして、アンドロイドとiOSの双方で利用することが出来るかどうか、あるいは、アンドロイドのみで利用可能なのかについても把握することが出来る(グーグルは、アンドロイド限定のカードを最終的にはiOSにも導入すると明言している):
当然、グーグルに上述した個人情報の一部を渡さない場合、グーグルナウは奇跡を起こすことは出来ない。位置情報のみを提供すると、一部のカードしか表示されない。検索履歴(グーグルは“ウェブ履歴”と呼んでいる)やGメールへのアクセスを認めてあげると、さらに役に立つ。
個人情報において、グーグルを信頼しなければグーグルナウは成り立たない。さらに、グーグルのサービスをフル活用する必要もある。例えば、フライトに関するeメールが、ヤフー!メールやマイクロソフトのアウトルック.com、あるいは、アップルのiCloudのメールアカウントに送信されているなら、グーグルナウには反映されない。グーグルナウが対応しているのはGメールのみである。また、ヤフー!やビングで行った検索もグーグルナウには反映されない。そのため、グーグル検索で検索を実施する必要がある。
グーグルナウが役に立つ点を証明することが出来れば、このツールを介した検索が増えるだけでなく、グーグルのその他のサービスとさらに緊密に連動して利用されるようになるだろう。
興味深いことに、グーグルの検索製品そのものであるグーグルナウだが、グーグルの検索部門や“ナレッジ”部門で開発されたわけではない。グーグルナウは、エンジニアが勤務時間の20%を好きな取り組みに費やすことが許可されている、あの有名な「20%タイム」プロジェクトで始まった取り組みである。
バリス・ガルトキン氏とアンドリュー・カームス氏の二名が、グーグルマップ部門に在籍していた際に、中心となってこの製品を開発したようだ。グーグルナウが生まれた経緯に関しては、昨年10月にThe Vergeが投稿した記事、11月にグーグル+のアンドロイドページに掲載されたインタビュー、そして、今年の3月にガルトキン氏へのインタビューの内容を掲載したMemeburnに詳細が綴られている。
グーグルナウが20%タイムのプロジェクトであった時代は終わり、現在は複数名のスタッフが100%の時間を割いて取り組むプロジェクトに進化している。ガルトキン氏は製品管理を統括し、一方のカームス氏は同製品のソフトウェアエンジニアリングを担当している。また、2013年1月には、グーグルナウは、検索部門の製品管理ディレクターから、検索部門のバイスプレジデントおよびモバイル部門を支援する立場に昇進したヨハナ・ライト氏に託されていた。
ライト氏は、ユニバーサル検索から、ナレッジグラフに至るまで、主要な検索製品を担当したベテランの従業員である。ナレッジ部門に所属するライト氏をモバイル部門に移す方針は、少なくとも私にとっては、モバイル製品として生まれたグーグルナウが、検索製品に進化したことを物語っているように思える。
検索製品として、グーグルナウが、モバイルデバイスから、多くの検索が行われるデスクトップに手を伸ばす方針は合理的だと言えるだろう。事実、グーグルナウがクローム、クロームブック、または、グーグルのホームページに進化することを疑わせる様々な兆候が表れている。現在進行中のGメール・サーチフィールド・トライアルは、確実にデスクトップ化において求められる要素の一つである。
グーグルナウをデスクトップにも対応させるかどうかをグーグルに訊いたとしても、答えてもらえないだろう。また、次にどのようなカードや機能が登場するかに関しても教えてくれないはずだ。しかし、ライト氏は、モバイルで始まった製品が、モバイル以外の分野にも波及することはあり得ると示唆している。
「モバイルの登場により、位置情報から、グーグルにとって素晴らしい背景の情報が得られるようになった。さらに、電話は毎日の生活を支援するため、常にそばにいる。そのため、グーグルナウを立ち上げる手段として、モバイルはうってつけである。」とライト氏は述べている。
今後の展開に注目する必要がある。一方、アンドロイド 4.1以上(ジェリービーン)が搭載されたスマートフォンには、グーグルナウがデフォルトで搭載されている(また、グーグルプレイ経由でアップデートすることが可能)。さらに、 iOS 4.3以上を搭載しているiPhone、iPad、iPod Touchのオーナーは、iTunesからグーグルサーチアプリの一部としてグーグルナウを手に入れることが出来る。
皮肉にも、iOS向けのグーグルナウがリリースされることにより、アンドロイドよりも多くのiOSのユーザーがこの製品にアクセスするようになるだろう。この点に関しては、「グーグルナウのiOSマーケットは、アンドロイドの“ナウ”ベースの2.5倍」で詳細を確認してもらいたい。
また、グーグルナウをiOS向けの検索アプリに加えたことで、このアプリの利用者が増えるかどうかにも注目したい。このアプリは昨年10月に大幅にアップグレードされ、アップルのシリのように、音声による検索機能を導入し、また、シリよりも早く反応する完成度の高さを見せつけていた。
それにも関わらず、グーグルの検索アプリはあまりiOSユーザーの間で人気が高いとは言えない。iTunesのチャートでトップ10入りを果たした光景を私は目にしたことがない。16位が最高だと思われる。現在は150位前後をうろついている。
反対に、グーグルマップアプリとユーチューブアプリは、昨年リリースされて以来、上位を維持している(現在は11位と12位)。iOSデバイスのユーザー達は、iOSのネイティブアプリの地位を失って以来、この2つのサービスを求めている点は明白である。
一方のグーグル検索は、アップルとグーグルとの契約により、iOSのサファリにデフォルトで統合されており、グーグル検索アプリを利用する必要性は低い。しかし、このアプリを利用してもらうと、少なくとも、アップルが契約の解除に関して“敵対的”な行動(日本語)を起こした際の保険として、あるいは、検索を管理するサービスとしてシリが台頭するのを防ぐ門番として、グーグルにとってプラスに働くはずだ。/p>
グーグルナウは、「サファリで検索を行う習慣」を止めさせるきっかけになるポテンシャルを秘めていると言えるだろう。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「The Amazing “Google Now” ? When Google Searches Before You Think To」を翻訳した内容です。
記事の事例はまさにSF小説を読んでいるような気分になる凄さですね。冷静に考えるとGoogleが取得しているデータを考えると十分に可能な内容であることもまた分かりますが、それにしても検索の未来を変える機能であることは間違いないと思いますし、今後の発展に要注目です。既に検索でもなくなっているというか、コンピューターがユーザーの代わりに事前検索してくれているわけですが、、、先ほどロボットがマーケッターの仕事を代行する記事を紹介したばかりですが、ユーザーの検索行動まで代行してくれる時代に突入していくのですね。楽しいような、怖いような、でも後戻りはできない世界です。しかしGoogle Glassといい、このGoogle Nowといい、Appleがどちらかというと若干停滞しつつある現状で、最近のGoogleはまた面白くなってきました! — SEO Japan [G+]
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