SEOの最重要特許ベスト10 その1 – ページランクとは?

公開日:2012/01/11

最終更新日:2024/03/01

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SEO業界の特許マニアSEO by the SeaがSEOに関連する最重要特許を10厳選して改めて解説する、というSEO業者&マニア涙目のシリーズ記事を書きだしましたので順番に紹介していきたいと思います。第一回目はSEOはもちろん検索エンジンの勢力図を根本から書き換えたGoogleのページランクについて。ページランクについてなら十分知っているよ、という人も改めて特許レベルで勉強してみると新たな気付きがあるかも? — SEO Japan

最初のページランクの特許は、米国特許商標局(USPTO)によって公開されたわけでも、会社や団体に譲渡されたわけでもなく、そして、付与されたわけでもなかった。この特許は、特許の読解を難しくする難解な法律用語や数式を避けている。また、この特許が公開された当時、その他の検索エンジンを大幅に改善するポテンシャルを秘めたウェブページのインデックスにおける画期的なアイデアを考案した博士号の候補学生、ラリー・ペイジ氏の興奮が伝わってくる。

The top of the cover letter for the provisional patent filing for PageRank.

その特許は、1997年1月10日に申請されたハイパーテキストシステム内でのテキスト検索の改善(pdf – 1.7mb): 特許申請番号 60/035,205である。今年の3月、私はUSPTOの情報検索データベースを徹底的に調べ上げ、この特許を発見し、ブログのエントリ「初めて、そして、最新のページランクの特許」の中で紹介した。今のところ、残念ながら、このエントリは他の場所で言及されていないようだ。

この暫定的な特許は、その後の続きの特許ほどの重要度、もしくは法的な価値はないかもしれないが、その後の特許には見られない、発明者のラリー・ペイジ氏の興奮と個性が垣間見れる。また、グーグルとアルタビスタの具体的なクエリの検索結果の例を突き合わせて比較し、ペイジ氏がページランクで実行したリンク分析がもたらす効果を描写している。

「ページランク」を検索結果の個別のページの隣に表示している点もまた、この特許の興味深いポイントの一つである。これは最近よく目にするツールバーのページランクではなく、実際のページランクの数字である。また、検索結果内で実際の被リンクの本数も表示する。例えば、[University]の検索では、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のホームページが1位に掲載されており、ページランクは694.687、そして、8460本の被リンクが寄せられていることが分かる。当時、このような結果を返す検索エンジンは、グーグルではなくバックラブと呼ばれていた。

この特許の冒頭および要約では、この発明について次のように説明している:

ここで説明するのは、ウェブリンクの大規模なデータベースで利用可能な情報を利用して、クエリに対する検索結果を大幅に改善したシステムである。このウェブのサイテーションのデータベースは、それぞれのウェブページに対するサイテーションの重要度のランキングを特定するために用いられ、そして、クエリの結果を並べ替えるために使われる。

このシステムは既に実装されており、400万のウェブページで構成される比較的小さなデータベースであっても、素晴らしい結果を出している。

このシステムは結果を改善するだけでなく、ウェブ検索エンジンにとって大きな出費となることもある計算のコストを大幅に軽減する効果もある。

改善を実証するのは、通常のクエリを選べば容易に行える。例えば、「weather」、そして、アルタビスタ等の従来のウェブ検索エンジンの結果と比較すれば一目瞭然である(結果セクションにはサンプルのクエリが幾つか掲載されている)。

ページランクは、その他の検索エンジンが採用していたアルゴリズムを大幅に改善することが分かり、グーグルは2011年までスタンフォード大学からこのテクノロジーの独占使用権を与えられた。このライセンスがいずれかの時点で延長されたかどうかは分からないが、マイクロソフト、ヤフー!、そして、その他の企業は、様々な面でページランクを基に考案された特許を申請し、付与されている。

また、オリジナルのページランクのアルゴリズムは、実装の直後に変更が加えられ、改善された可能性は非常に高く、この「重要なSEOの特許 ベスト10」シリーズの中でいずれ一連の改善点を紹介していく予定だ。

ページランクに関する特許を読む以外にも、グーグルを設立したラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏が作成した「大規模なハイパーテクスチュアルなウェブ検索エンジンの分析」や「ページランクのサイテーションランキング: ウェブに秩序をもたらす」等、幾つかの初期の特許にも注目する価値はある。

多くの特許に共通することだが、続きの特許、または分割された特許が、オリジナルの特許を含む、その地位を奪う、もしくは、その一部を利用して、基礎とすることで、単一の特許からその他の特許が生まれるのは珍しくはない。スタンフォード大学でラリー・ペイジ氏が作成した数多くの特許が、このオリジナルの特許を基に考案され、そして、次のように加えられていった:

リンクが張られたベータベースでのノードのランキングメソッド
発明: ローレンス・ペイジ
付与先: リーランド・スタンフォード・ジュニア大学の評議会
米国特許番号: 6,285,999
付与日: 2001年9月4日
申請日: 1998年1月9日

概要

サイテーションを含む文章を持つデータベース、ワールドワイドウェブ、もしくは、その他のハイパーメディアデータベース等、リンクが張られたデータベースでノードに重要度のランキングを割り当てるメソッド。文書に割り当てられるランクは、言及する文書のランキングによって算定される。また、文書のランクは、データベースを介してブラウザがランダムに文書に向かう可能性を示す定数によって計算される。このメソッドは、ワールドワイドウェブのように文書の質にばらつきがある広範なハイパーメディアのデータベースに対する検索エンジンの結果のパフォーマンスを強化する上で特に役に立つ。

6,285,999に続く特許

リンクが張られたデータベースで文書を採点するメソッド
発明: ローレンス・ペイジ
付与先: リーランド・スタンフォード・ジュニア大学の評議会
米国特許番号: 6,799,176
付与日: 2004年9月28日
申請日: 2001年7月6日

概要

ネットワークに保存されている文書のスコアをつけるメソッドが描写されている。このメソッドには、ネットワーク内のリンクを張られた文書にリンクを張る文書のリンク識別し、識別されたリンクの重要度を特定する方法を含む。 また、このメソッドには、特定したリンクを特定した重要性を基に重みを付け、重みを付けられたリンクを基にリンクが張られた文書にスコアを付ける方法も網羅する。

6,285,999に続く特許

リンクが張られたデータベースでノードを格付けするメソッド
発明: ローレンス・ペイジ
付与先: リーランド・スタンフォード・ジュニア大学の評議会
米国特許番号: 7,058,628
付与日: 2006年6月6日
申請日: 2001年7月2日

概要

サイテーションを含む文書を持つあらゆるデータベース、ワールドワイドウェブ、もしくは、その他のハイパーメディアのデータベース等、リンクが張られたデータベースでノードにランクを割り当てるメソッド。文書に割り当てられるランキングは、言及する文書のランキングから算定される。また、文書のランクは、ブラウザがデータベースを介してランダムに文書に向かう可能性を示す定数で計算される。このメソッドは、ワールドワイドウェブ等、文書の質にばらつきがあるハイパーメディアのデータベースに対する検索エンジンの結果のパフォーマンスを強化する際に有効である。

7,058,628に続く特許

リンクが張られたデータベースで文書を採点する
発明: ローレンス・ペイジ
付与先: リーランド・スタンフォード・ジュニア大学の評議会
米国特許番号: 7,269,587
付与日: 2007年9月11日
申請日: 2004年12月1日

概要

サイテーションを含むあらゆる文書のデータベース、ワールドワイドウェブ、もしくはその他のハイパーメディアのデータベース等、リンクが張られたデータベースでノードに重要度のランクを割り当てるメソッド。文書に割り当てられるランクは、言及している文書のランクから算定される。また、文書のランクは、ブラウザがデータベースを通してランダムに文書に向かう可能性を示す定数から計算される。

7,058,628に続く特許

リンクによって向けられている文書のランクを基に文書内のリンクにアノテーションを付ける
発明: ローレンス・ペイジ
付与先: リーランド・スタンフォード・ジュニア大学の評議会
米国特許番号: 7,908,277
付与日: 2011年3月15日
申請日: 2007年2月5日

概要

リンクが張られた文書に向かうリンクを含む文書を特定し、特定した文書内のリンクのスコアをリンクが張られた文書のスコアを基に決定し、決定されたスコアに応じて特定された文書を修正し、修正した文書を提供する。

ページランクのアルゴリズムを部分的に基づく特許は他にも申請されている。この特許に続く特許と論文の一部を巧みにまとめた要約が、ヤフー!のペイベル・バーキン氏の論文、ページランクコンピューティングの調査」で提供されている。同氏は私が「ヤフー!はユーザーデータでページランクの推測を置き換える」の中で取り上げたヤフー!の特許の発明者にも名を連ねている。この特許では、ページランクに対する思慮深い批判が数多く展開されている。この投稿で中心に取り上げている特許は、ユーザーセンシティブなページランクである。

ページンラクの特許、そして、この特許に続くアプローチをさらに調査したいなら、エイミー N. ラングビル氏とカール D. マイヤー氏が綴った書籍「Google’s PageRank and Beyond: The Science of Search Engine Rankings」を読んでもらいたい。

結論

このシリーズを読む上で注意してもらいたい点が幾つかある。ここ数年、SEOの取り組みに最も役に立つ可能性がある、注目するべき特許を教えてほしいと頼まれることがよくあるため、このシリーズに「重要なSEOの特許 ベスト 10」と名付けた。私はリストを作成しているが、5点目までは簡単に挙げられたが、残りの5点はなかなか選ぶのが難しかった。

現時点で、既にお勧めの特許をベスト 7までは絞り込んでおり、8に到達する頃には、リストに加える最後の3点のイメージを掴んでいたいと思う。もちろん、提案、このシリーズの読者からの推薦する特許に関する意見、そして、特許に関する質問は歓迎する。

SEOを学ぶ方法は他にもあり、ウェブページの構築および最適化を実際に行い、経験する取り組みに勝るものはない。しかし、検索エンジンを作った人達が綴った特許や論文に注目することで、彼らが直面した難問、彼らが立てた仮定、そして、彼らが抱えていた野心を垣間見ることが出来る。検索エンジンの仕組みの意図における検索エンジニアの見解は、SEOを実施する人達にとっては貴重な情報である。

また、最近の検索エンジンの実際の動きに関して、1点の特許、そして、その特許が描くメソッドのみを重要視し過ぎるのは危険である。特許が説明する内容は、検索エンジンが利用する可能性のあるアプローチの概要であり、検索エンジンによって実際に展開されるメソッドは実際の実施形態では変わる可能性がある。

ページランクのように、アルゴリズムは実装され、検索エンジンによって調整されていくにつれ、徐々に形を変えていく。ウェブ、検索、そして、検索ユーザーに関して検索エンジンが立てた仮定を取り上げた特許に注目してもらいたい。これらの特許を読み、自分および他の人達に問うことが可能な質問を考えよう。そして、特許で紹介されているアイデアを使って実験を行う方法を模索しよう。

ページランクは、現時点でグーグルが利用する数多くのシグナルの1つに過ぎず、また、検索エンジンは定期的にその他の多くのシグナルの利用を探っている。ページランクが初めて導入されたは1997年であり、15年近く前である。しかし、当時大きなインパクトを与えたことは言うまでもなく、そして、グーグルがウェブページを格付けする仕組みにおいて、今もなお重要な役割を担っていると推測される。


この記事は、SEO by the Seaに掲載された「10 Most Important SEO Patents: Part 1 – The Original PageRank Patent Application」を翻訳した内容です。

ページランクについて新たな気付きはそれなりにSEOを勉強している人には無かったかもしれませんが、ページランクの特許が今から14年前に取得されたものだったとは改めて時の流れは速いな、、、と感じずにはいられないベテランSEOな私でした。有料リンクだ、ソーシャルだ、ステマだ、など色々いわれていますが、そりゃネットの世界で10年以上頑張ってこれば制度疲労も起こしますよね。。。当時よりシグナルの1つに過ぎなくなったかもしれませんが、Googleが(これ以上SEOに利用されないように)認めたくなくとも、SEOに携わっている人ならそのシグナルは未だに何よりも強いものであることは良くも悪くも実感している人が多いのではないでしょうか。

これからはホントのホントにコンテンツSEOだ!と叫ばれている最近ですがさて5年後にページランクの存在がSEOはもちろんGoogleや検索結果にとって何を意味するものなのか、SEOとは別の次元でとっても興味があります。 — SEO Japan

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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