一口にSEOの施策と言っても、日々行うモニタリングもあれば、時間をかけて取り組む大規模な改修など、その内容は様々です。施策を行うべきタイミングはその内容によって異なりますが、それらを年次、月次、日次、にきちんと整理しておくことは理想的と言えます。今回は、その時々において必要とされるタスクをまとめたSearch Engine Journalの記事を紹介します。
SEOのタスクが整理されていなければ、余計な時間と労力を使うことになり、ROIも期待できなくなってしまう。この記事で紹介する日次、週次、月次のタスクを行うことで、あなたのSEO関連の作業がスムーズに進むだろう。
SEOには規律が必要だ。構造と計画がSEOになければ、多くの時間と費用を無駄にしてしまうだろう。
SEOに関連する施策の多くが、開始されたとしても、完了することがない。
SEOには「完了」というものが無いため、開始、完了、順調というステータスを、実際のインパクトを与えうる戦略的な要素や戦術的な要素に優先順位を付け、それらと結びつけることが非常に難しい。
SEOを日次、月次、四半期、年次のマイルストーンに落とし込み、プロセスを基軸とした戦術にすることで、適切なレベルでの計画を構築し、効率的に進めることが可能となる。
こうした作業は、目標やより大きな戦術と結びついている必要がある。これを行うことで、SEOを年次ベースで計画し、整理するためのフレームワークを得ることができるのだ。
目次
最新の業界のニュースを把握することはSEOにおいて非常に重要である。また、それらをメンテナンスや継続的なマネジメントプランに組み込む必要がある。
業界のニュースには、検索エンジンから発表される極めて重要な警告やアップデート、SEOのベストプラクティス、Search Engine Journalなどのメディアからの速報ニュース、などが含まれる。
業界における大きな変化を見過ごしてはならない。
また、僅かな変化であったとしても、それを見過ごしたり、ベストプラクティスと思われていたものが古い時代の施策となってしまった場合、こうした変化が重要になることもある。
こうした変化を見過ごしたり、過去のベストプラクティスに執着することは避けよう。
SEOに関連する重要な指標をリアルタイム、または、少なくとも1日に1回は確認することは、ECサイトの売上に依存していたり、セールスチームの活力となるリード量に依存しているブランドや企業にとって、非常に重要なことである。
トップレベルの指標を確認することで、自社のWebサイトが検索でどのようなパフォーマンスを発揮しているかを把握することは、危険な信号を察知する上で極めて重要である。いくつかの例を挙げてみよう。
問題が発生した場合、それらを直ちに察知することが重要である。
マーケティングやビジネスの全体目標に影響を与える前に、問題を把握し、ネガティブなトレンドへの対応策を検討すべきだ。
実際のパフォーマンスを計測することで、ベンチマークやベースラインとの比較が可能となる。また、指標についての要因と効果を完全に把握し、問題が発生してから対応を行うまでに長時間かかってしまう、という事態を避けることができるはずだ。
重要度の低いKPI(すぐに対応する必要がないKPI)は、週次で計測しても良いだろう。
しっかりとしたSEOの計画やキャンペーンには、目標、戦術、戦術についての具体的なアウトライン、が必要である。
計画、プロセス、明確なアプローチがなければ、影響が少なく、優先度の低いSEOの側面を追いかけてしまい、多くの時間を無駄にしてしまうだろう。
日次のプロセスには、具体的なタスク、マイルストーン、達成可能なアクションが含まれているべきで、それらは、より大きな全体像につながっている必要がある。
戦術には、段階的なアプローチの中で初めて行われるものも、頻繁に繰り返されるアクションも含まれる。
いずれにせよ、技術的、オンページ、オフページのアクションは、年単位での定義が必要とされ、それらが月次の単位に分解され、さらに、日々の進捗を確認できる単位まで、落とし込まれるべきだ。
SEOには、全体的な思考と、日々のタスクやアクションを行う能力の、両方が求められるのだ。
日次や週次のKPIの測定に加え、月次のサイクルで、より広範囲のレポートを行うことも重要だ。
月次のチェックポイントを重視することで、より大きなサンプルサイズと比較し、トレンドを把握するための時間を確保することができる。
月次のパフォーマンスレポートには、該当月の前年比と、年初からの累計値を含めるべきだ。
データ計測の間隔は意味のあるものとし、一貫性を持たせよう。より長い期間を見ることで、小さなサンプルサイズでは把握できないトレンドを発見することができるだろう。
パフォーマンスデータのダッシュボードやレポートから、目標から外れたときの要因、目標を超えることができた勝因、計画の変更が必要となる可能性のある指標などを把握し、優先度をつけることが重要である。
これは、計画に対する前月の戦術や実行の評価を行う機会である。
過去を振り返ることは、未来を形作ることに役立つ。
アクションや戦術をパフォーマンスデータと組み合わせることで、SEOのパフォーマンスを継続しているものがなにか、その現実の全体像を把握することができるのだ。
月次報告は、タスクの完了における説明責任を確認する絶好の機会である。
年次計画を立てたとしてもSEOは変化しうるものであり、初めて実行する施策が期待通りの成果を生み出さないこともある。
月次の計画をたてることで、特定の施策を強化したり、全体的な戦略を修正するなど、計画に調整を加えることが可能となる。
パフォーマンスと戦術を月次で評価することができれば、物事を深く考えすぎたり、対応を急ぎすぎることを避けるだけでなく、時間が経過しすぎたあまり、目標への道筋を失ってしまうことも避けることができる。
計画された戦術やアクションと、必要に応じて対応できる機敏性のバランスを取ることが、最新の状態を保ち、積極的な姿勢を維持するための最適なアプローチとなるのだ。
SEOを開始した段階で技術的な課題をカバーし、注意が必要な項目を日次や週次でモニタリングをしていたとしても、四半期ごとに全体的な確認を行うことは重要である。
この監査では、Google Search ConsoleやBing Webmaster Toolsでレポートされた課題も対象となる。
また、サイトスピード、モバイルのユーザービリティ、構造化データの検証や、頻繁には確認しないその他の項目を、基準値と比較することも重要である。
頻繁にモニタリングを行ったとしても、監査を行わければ、Webサイトでは様々なことが発生してしまうだろう。
コードの更新、データベースの更新、プラグインやエクステンションの更新、コンテンツの公開などにより、重複タグ、重複コンテンツ、オンページの要素の欠落などが発生するかもしれない。
オンページの課題を四半期ごとに監査することが重要であるが、これは、サードパーティ製のツールを使うことで、行うこともできる。
メタディスクリプションが削除されてしまった、などの変化が起こった場合、アラートを送信してくれるツールもあり、それを日次のプロセスに組み込むことも可能だ。
いずれにせよ、四半期ごとの評価と前回の監査との比較を行うために必要なツールとプロセスを用意することが重要である。監査の結果と必要な修正を記録し、それらを戦術的な計画に組み込もう。
SEOの計画には、何らかの形で、リンクビルディングが含まれているだろう。
魅力的なコンテンツによってリンクを集めることにせよ、リサーチとアウトリーチに焦点をあてた計画にせよ、継続的な取り組みの一部となっているはずである(そうでなければ、こうした施策の実行を検討すべきだろう)。
時間と労力を割くため、全体的なリンクプロフィールと進捗を把握し、可視化することが重要となる。
これは、月次で報告される指標にもなりうるが、四半期ごとの報告では、より詳細な監査をすべきである。
リンクの質、リンクの数、リンク元の多様性、リンク元のコンテンツの関連性、競合他社との比較、ベンチマークとの比較、期間ごとの比較、などを評価することは、被リンク獲得の計画が意図したとおりに機能しているかを確認する上で、非常に重要である。
また、日次や月次のモニタリングでは把握することができない、スパムリンクや
ネガティブSEOの痕跡などは、ここで発見することができ、否認プロセスによって対処することができる。
ローカルリスティングの管理が、メンテナンスの段階に入れば、NAP(名前、住所、電話番号)データの大きな変更やリスティングデータの一貫性を保つための作業は、ほとんど発生しないだろう。
しかし、「それらが全く発生しない」、ことではなく、「設定をしたまま忘れてしまう」ことになりかねない。
サードパーティ製のツールを使用し、データの正確性と一貫性を四半期ごとに確認することを、強く勧める。
この監査を行うことで、単発で対応できる課題の特定だけでなく、パフォーマンスや、コンテンツ、レビュー、基本的なNAPデータ以外のその他のリスティングの要素についてのガイダンスを提供することも可能となる。
サードパーティのデータソースやリスティングを見逃していた場合、Googleビジネスプロフィールのデータは、不正確なリスティングの情報で上書きされてしまうかもしれない。
リスティングの管理に何も変化がなくとも、データは変化する可能性があるため、最低限、モニタリングを行うことは必要と言える。
SEOの年次計画を立てている場合(もちろん、年次の契約や評価がない場合でも)、年間を通じての全体的なデータを取り、評価を行うことは、戦略の策定や測定可能なROIを発見することに役立つはずだ。
SEOは、検索結果で競争の激しいポジションを獲得するための、長期的なプロセスである。そのため、12ヶ月のパフォーマンスデータを取得し、前年と比較し、ベンチマークを確認し、成功を祝福することは、時間を割くに値する行為だ。
年次の予算や、外部のパートナーやプロバイダーとの契約がない場合でも、年次の振り返りを行い、パフォーマンスや労力を、コストとしてではなく、投資としてみることは、非常に重要である。
年次のパフォーマンスデータをレビューするだけでなく、次年度の目標、戦略、戦術を立案すべきだ。
立てた計画が1週間後に変更を余儀なくされたとしても、計画を立て、目標を設定することは、進捗を測定するための重要な要素である。
計画を立て、過去の経験から学び、次年度に投資すべき現実的なリソースを把握することなどをしなければ、予測する未来と現実の結果との間に大きな差が生まれてしまうだろう。
ダラダラと先延ばしをしてしまう前に、これらをきちんと整理しておくことが重要である。
SEOへの投資と労力によって得ることができる目標や具体的な成果を、我々は皆、欲している。
大きな声に振り回されるのではなく、構造と組織を仕事に与えることで、時間と投資を集中させることが可能となる。
技術的な要因であれ、オンページの要素であれ、被リンクであれ、あなたが採るアプローチに一定の周期と構造を付与することで、計画した施策と、そのタイミングで必要とされる機敏性とのバランスを保つことができるだろう。
そして、SEOの各施策のバランスが崩れることなく、それらを取り組むことができるはずだ。
Webサイト自体の規模が大きかったり、また、Webサイトに関わるチームの数が多い場合は特にですが、SEOの施策を計画的に実行することが重要です。もちろん、突発的な依頼にも対応できる柔軟性を持つことも必要となります。こうした施策をきちんと整理できるマネジメント能力も、SEO担当者にとって求められる能力と言えそうです。改めて自身が行っている施策の整理を行いたいと思える記事でした。
この記事は、Search Engine Journalに掲載された「SEO Maintenance: A Checklist For Essential Year-Round Tasks」を翻訳した内容です。
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