SEO施策を進めるにあたっては各種目標を設定しますが、「特定のキーワードの順位」を注視してしまう傾向はあると思います。
しかし、最終的には「Webサイトへのトラフィックがどれだけ発生したか」が重要となるため、順位のみを注視してしまうと重要な指標を見落としてしまうでしょう。そして、トラフィックの増加を狙うのであれば、クリック率というデータは欠かすことのできない情報です。
クリック率はなかなか正当なデータを算出することは難しいですが、ブライアン・ディーン氏でお馴染みのBacklinkoが500万のデータを駆使した調査を行いました。クリック率の改善案も提案されており、非常に有益な情報となっています。
Googleの自然検索におけるクリック率をより深く理解するため、我々は500万の検索結果を分析した。
分析対象のクリック率のデータは、874,929ページと5,079,491キーワードである。
その後、タイトルタグ、ユーザーの感情、メタディスクリプションなどの要素がクリック率にどのように影響するかを分析した。
ClickFlowのデータのおかげで、複数のGoogle Search Consoleアカウントからのクリック率のデータを取得できた。
前置きはこのくらいにして、早速結果を見てみよう。
目次
それぞれの分析結果の詳細を見ていこう。
今回の調査の最初の目的は、クリック率の基準を見極めることである。
500万の全データを使用したところ、1位に表示されているページのクリック率が圧倒的に高いことがわかった。
また、2ページ目から極端にクリック率が下がることもわかった。
Googleで検索したユーザーのうち、0.78%しか2ページ目以降に表示されているページをクリックしていないのだ。
この傾向は、Advanced Web Rankingの調査のように、他のクリック率の調査結果と同様の傾向となっている。
クリック率は2ページ目以降から極端に下がるため、我々は1ページ目の調査に注力することにした。
そのため、2ページ目以降のデータを除外した後、再度分析を行っている。また、極端に高いクリック率のデータ(例:ブランド名での検索)など、分析結果を歪めてしまうデータも除外している。
こうして、1ページ目のデータのみで分析を行った結果、1位に表示されているページのクリック率は31.7%であるという結果を得た。
1ページ目に表示されている各順位のクリック率のデータは下記の通りである。
上記の通り、1位に表示されているページのクリック率は、10位に表示されているページと比べ、10倍高い。
長い間SEO業界で働いている者にとっては、驚くべき数字ではないはずだ。1位に表示されることは、他のどの順位に表示されることに比べ、非常に大きな価値があるのだ。
Mozの調査にもあるように、Google検索を使用するユーザーは、本能的に1位の結果をクリックしてしまう。1位のページの数ピクセル下に表示されているだけにもかかわらず、2位に表示されているページのクリック率が大きく下がるのはこのためである。
重要なポイント:1位に表示されているページは、全クリックの31.7%を獲得する。
上記で説明したとおり、1位に表示される場合、クリック率は圧倒的に高くなる。
しかし、1位以外に表示されているページもクリックはされている。
特に、6-10位までのクリック率は比較的同じであるが、5位以上からは大きく上昇しているのだ。
この結果から、2つのことが言えるだろう。
さらに、3位からもクリック率は大きく上昇する。
広告やGoogle作成のモジュールがない場合、3位まではファーストビューに表示されるケースが多いことが理由となっているのだろう。
実際、上位3位までのクリック率を合算すると、75.1%という数字になる。
タイトル:Google検索で3位までに表示されているページのクリック数の合計は全体の75.1%
重要なポイント:我々のデータは、「1位に表示させること」がSEOの目標ではないことを示唆している。1ページ目の上位(特に3ページ目以内)に表示されることが重要なのだ。3位以内に表示されているページのクリック数は、合計で75%にものぼる。
今回の調査から、他の状況が同一であれば、順位が1位上昇するとクリック数は相対的に30.8%上昇することがわかった。
しかし、このクリック率の上昇は、すべての状況で同一ではない。
順位上昇とクリック率の上昇の関係は、もともとの順位に強く依存するのだ。
例えば、順位が9位から8位に上昇したとしても、5%しかクリック数は増えない。それほど大きな違いではないだろう。
しかし、順位が6位から5位に上昇すれば、クリック数は53.2%も上昇する。
重要なポイント:順位が1位上昇すると、クリック率は相対的に30.8%上昇する。しかし、この上昇率はもともとの順位に強く依存する。最もクリック数が上昇するのは、6位から5位への上昇であり、クリック数は53.2%も上昇した。
我々は、Google Search Consoleのレポート内のキーワードについても着目した。各キーワードはどれくらいのクリック数を獲得しているのだろうか。
まず、Googleの検索結果に表示されているほとんどのキーワードのインプレッション数が少ないことに気がついた。
このことから、検索結果に表示されているほとんどのキーワードが、検索ボリュームの少ないロングテールキーワードであることがわかる。もちろん、そのサイトが上位に表示されていないケースも考えられる。
そして、インプレッション数が少ないことが理由で、ほとんどのキーワードのクリック数はとても少ない(1キーワードにつき8.1クリック)。
重要なポイント:「〇〇個のキーワードで表示された」という指標は、SEOにおいて重要な指標ではないと言える。表示されている多くのキーワードの検索ボリュームはとても少ないからだ。インプレッション数とクリック数の大部分は、比較的少ない数のキーワードによって占められている傾向があるのだ。
我々は、質問を含むタイトルと質問を含まないタイトルのクリック率を比較した。
我々は、「質問」を「How(どのようにして)、Why(なぜ)、What(なんの)、Who(誰)という単語が含まれている、もしくは、クエスチョンマークがついているタイトル」と定義している。
調査の結果、質問が含まれているタイトルは、質問が含まれていないタイトルと比べ、クリック率は14.1%高いことがわかった。
下記は、各順位におけるクリック率を表したグラフだ。
この調査結果は、Social Influenceが行った調査結果とも一致している。
質問を含むタイトルはCTRを向上させる可能性がある。なぜなら、ユーザーがGoogleで何かを検索する場合、彼らは質問に対する答えを探しているからだ(Googleは検索キーワードを「クエリ(質問)」と呼んでいる。)。
そして、タイトルに質問を含めることで、「そのページにはあなたの質問に対する答えが記載されている」ということをユーザーが確証することにつながるのだ。
例えば、私は「nofollow link」について最適化した下記の記事のタイトルに質問を含めている。
Search Consoleのデータを確認すると、このページのクリック率は29.2%だった。
「nofollow link」と大まかに検索するユーザーの多くが、「nofollow link」とは一体何かを知りたがっている。そして、私が作成した記事のタイトルは、「彼らが知りたがっている答えがここにある」ということを伝えているのだ。
重要なポイント:質問を含めたタイトルは、質問を含めていないタイトルに比べ、クリック率が14.1%高かった。
理想的なタイトルタグの長さはどれくらいだろうか。短く、魅力的なタイトルにすべきか。それとも、そのコンテンツについての多くの情報を含めるため、長いタイトルにすべきだろうか。
我々のデータによると、その中間を狙うべきという結果がでている。
特に、「15-40文字数のタイトルが最もクリック率が高い」という結果が出ている。
タイトルが長い場合、SEOにおけるメリット(長いタイトル=より多くのキーワード)もある。しかし、このメリットは、クリック率の低さと相殺されてしまうだろう。
Ersyは、広範囲なSEOの実験の1つとして、様々なタイトルタグの検証を行っている。この実験から、「長いタイトルよりも短いタイトルの方がパフォーマンスが良い」という結論を得ている。
この記事の著者は、短いタイトルの方がパフォーマンスが良い理由について、キーワードとのマッチングによるものだと仮説立てている。
しかし、我々の分析結果からは、短い(または中くらいの)タイトルはクリック率の向上にも一役買っていることもわかった。
重要なポイント:15-40文字数のタイトルが最もクリック率が高い。この文字数に収めたタイトルは、この文字数以外のタイトルと比べ、クリック率が平均で8.6%高かった。
我々は、キーワードを含むURLがクリック率に影響があるかどうかを調査した。
例えば、「weekend trips」と検索する場合、「travel.com/weekend-trips」のようなURLのほうが、「travel.com/travel-page」のようなURLよりもクリック率が高いのかどうかを調査したのだ。
この分析を行うため、我々は検索キーワードとURLを比較し、類似性を0%から100%まで設定した。
0%は検索キーワードとURLが全く合致していないことを意味している。100%は完全に合致することを意味している。句読点や記号は無視している。また、一部の言葉を実質同一と扱う場合もある(「book」と「books」や「cake」と「cakes」の場合など)。
調査の結果、キーワードを含むURLとクリック率には強い相関があることがわかった(p値=0.01)。
完全に一致したキーワードを含むURLのクリック率が最も高かったが、部分的に一致しているURLもクリック率が高いことがわかっている。
Googleの検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイドにも、URLは検索結果に表示されることを記載している。そして、「サイトのコンテンツや構造に関連する単語を含む URL」を使用することを勧めている。
また、2012年に公開されたMicrosoftの論文には、「信頼性のあるドメインは、ユーザーに馴染みのないドメインと比較し、検索結果におけるクリック率は高くなる」と記載されている。
この理論の背景には、「検索エンジンを使用するユーザーは、検索キーワードに最も適した答えを探すためにページのURLを確認している」といった行動が浮かび上がる。
重要なポイント:我々の調査によると、完全にキーワードと合致したURL(検索キーワードのすべてが含まれているURL)は、合致していないURL(URL内に検索キーワードが1つも含まれていないURL)と比べ、クリック率は45%高かった。
「パワーワード」とは、記事の見出しを目立たせることを目的とした特別な言葉やフレーズである。こうしたワードを使用することでクリック数が上がるという考えのもと、使用されている。
具体的な「パワーワード」の例は下記の通りである。
我々の調査では、パワーワードを使用するとクリック数が13.9%下がる、という結果が得られた。
私の考えはこうだ。パワーワードは情報が反乱しているプラットフォーム(Facebookなど)では注意を引きつけるのに有効であるが、Googleの検索結果では「釣りタイトル」として認識されてしまうのだ。
例えば、「見出しの書き方」という検索結果の上位3サイトを見てみよう。
こうしたキーワードの場合、「圧倒的で驚くべき見出しの書き方」というような、度を超えたタイトルを想像するのではないだろうか?
しかし、上位3サイトのタイトルは非常に落ち着いたものだ。
重要なポイント:パワーワードはソーシャルメディアでは有効かもしれないが、自然検索ではクリック率を下げる恐れがある。実際、パワーワードを含めたタイトルのクリック率は、パワーワードを含めないタイトルのクリック率と比べ、13.9%低い。
我々の調査では、感情的なタイトル(ポジティブでもネガティブでも)は、感情的には中立なタイトルと比べ、クリック率は高いという結果を得られた。
特に、感情的なタイトルは、感情的には中立なタイトルと比べ、クリック率が7.3%高かった。
また、ポジティブな感情もネガティブな感情も、ほぼ同じ影響を与える傾向にあることがわかっている。(順位のような)他の変数を調整すると、ポジティブな感情の場合クリック率は7.4%高く、ネガティブな感情の場合クリック率は7.2%高かった。
この分析を行うため、我々はタイトル内の「極性分析」を行っている。また、ネガティブとポジティブの感情に基づいて、タイトルにスコアを付与している。
例えば、下記のようなタイトルは、感情的には中立なタイトルと考えられる。
下記のようなタイトルは、ポジティブな感情としてスコアが付与される。
例えば、BuzuSumoなどが行った調査によると、感情的な見出しとエンゲージメントには相関関係があることがわかっている。
しかし、感情的なタイトルとGoogleの自然検索におけるクリック率の関係についての調査は発見できなかった。
ただし、少なくとも我々の調査からは、感情的なタイトルは自然検索におけるクリック率が高いという結果を得られている。
パワーワードを含むタイトルはクリック率を下げる傾向があるが、感情的なタイトルはクリック率を上げる傾向があるという調査結果は非常に興味深い。
これは、パワーワードの有無よりも、感情的なタイトルは微妙なニュアンスの指標となっているからだと考えている。言い換えれば、パワーワードを使用しなくても、感情的なタイトルの作成は可能だということだ。
釣りタイトルに見られることなく、ユーザーの感情的なスイッチをいれることができるタイトルは検索結果でも目立ち、より多くのクリックを獲得できるはずだ。
重要なポイント:ネガティブにしろポジティブにしろ、感情的なタイトルは、感情的には中立なタイトルと比べ、クリック率は高い。
ディスクリプションは検索結果の順位に直接な影響を与えないが、Googleはすべてのページに固有のメタディスクリプションを記載することを推奨している。
また、よく書かれたディスクリプションは、Google検索のクリック数を改善すると提言している。
こうした背景もあり、メタディスクリプションの有無によるクリック率の変化を調査することにした。
我々の調査では、「ディスクリプションが記載されているページは、ディスクリプションが記載されていないページと比べ、クリック率が5.8%高い」という結果を得た。
SEOの経験がある者にとって、この結果は驚くべきものではないだろう。Googleは常にディスクリプションを検索結果に表示しているわけではないが、表示される機会の方が多いはずだ。
ディスクリプションが記載されていなければ、検索結果のスニペットに表示させるため、Googleはページ内のコンテンツを引用しなければならない。
Googleがディスクリプションを生成した場合において、よく作られたディスクリプション以上に魅力的なスニペットとはならないだろう。
重要なポイント:すべてのページに記載された固有のメタディスクリプションは、自然検索におけるクリック率を上昇させる。我々の調査では、「ディスクリプションが記載されているページは、ディスクリプションが記載されていないページと比べ、クリック率は5.8%高い」という結果を得られた。
繰り返しとなるが、今回の調査を可能とさせた、ClickFlowのエリック・スー氏に感謝の意を述べたい。
今回の調査で得られた詳細な分析データに興味があれば、こちらのPDFをご確認いただきたい。
そして、この記事を読んでくれた読者の意見も伺いたいと思っている。
あなたにとって、今回の調査から得られたもっとも有益な結果はどれであっただろうか。
もしくは、今回の調査についての質問でもいい。
いずれにせよ、下記のコメント欄に意見を書いていただきたいと思う。
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「1位のクリック率が圧倒的に多い」、「ページ下部に表示される場合はクリック率は横ばい」など、感覚的には理解していたことも詳細な分析結果としての数字に基づいており、非常に納得感がありました。
パワーワードやURL内のキーワードなど、英語と日本語で相違のありそうなデータもありましたが、着目すべき点としては理にかなっていると感じています。
基本的なことではありますが、順位のみに左右されるのではなく、しっかりとした指標に基づいて施策を進めていくべきだと、改めて感じました。
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