2012年を一言で表現する上で、興味深いと言う表現はおとなしすぎる気がするが、いずれにせよ、退屈することはない1年であった。
今回は、SEOBookの数名のモデレータと私の計6名が、2013年に注目を集める(または廃れる)と感じるトピックを挙げていく。広範なトピック、意見、そして、現実的なマーケティングの戦略を提供していくので、参考してもらいたい。まずは、恐れを知らないリーダー、アーロン・ウォールが2013年を占う。
目次
グーグルのバーティカルが(間もなく)さらに増えると私は睨んでいる。バーティカルは自然の検索結果のリスティングにさらに追加されていくだろう。またグーグルが本気で教育 & 保険の分野に参入するような気もする(現在はグーグルアドバイザーの広告ユニットはアドワーズの下に表示されている)。また、2013年には自動車のカテゴリーも大幅に拡大される気がする。
検索エコシステムでの変化のペース & 不安定な状態に嫌気がさした多くのSEO業者が、来年は踏ん切りをつける1年になるだろう。買収によって数が減り、また、さらに多くの業者が単純に見切りをつけて、SEO業界を立ち去ると私は見ている。
SEO業者として長い間有名だったSEO業界の会社が、SEOと言う用語から距離を置き、ブランド再生に乗り出すだろう。その後、世論がさらに極端になり(効果があり、収益力のあるものは全てスパムの烙印を押される)、#2を加速させるだろう。
アドワーズに関しては、低い品質スコアが原因で放置されていたものの、削除されていないキーワードに対して、グーグルは積極的に品質スコアを適用していくだろう。グーグルは、品質スコアを今年の第4四半期で増加させて、「休止状態」のキーワードがアカウントにいまだに存在すること自体を認識していなかった広告スポンサー達に、想定外のトラフィックおよびコストの増加をもたらしていた。グーグルにとっては、四半期の収益が芳しくない際に、ほぼオンデマンドで収益を上げることが出来る心強い味方だと言えるだろう。
例えば、サイトを支える人達、ストーリー、歴史等、ブランドの構築がクローズアップされるだろう。
エンゲージメントのレベルを高くして、カスタマーロイヤリティを引き上げることが目標である。既に得ているトラフィックを有効活用するべきだ。
SEO業界は対立が深まるだろう。この業界を去る人もいれば、さらに地下に潜る人も現れるだろう。引き続き必要以上に情報を明かしている業者は、今後も自分達の利益を確保するために新しい言葉を作り続ける一方で、必死で差別化を訴えるため、同調しない人達をスパマー呼ばわりし、業界の恥だと罵るだろう。ブランドや消費者構造の下の方の人達(自分の考えを持たない人達)に引き続き製品を売りつけるためである。
一部のSEO業者は今後も利益を上げ続けるものの、純粋なSEO業者から脱却を図った、包括的な[新しい用語]広告タイプのエージェンシーは、クライアントに実質的な価値を提供することに苦戦するだろう。このタイプの業者は、自分達が“他の業者とは異なり”、“クリーンである”とアピールしつつ、暴露戦略、または、公のスパムレポートに訴える取り組みに追われるはずだ。その結果、有能なSEOのプロ、または、SEO業者(ただし、提案して、リンクを張って、ランキングをレポートするだけの業者は除く)がエンタープライズレベルのSEOサービスを復活させるきっかけを与えると私は読んでいる。後者は2013年の早い時期に滅亡するのではないだろうか。特に私の予想が当たり、エンタープライズレベルのSEOが復活する場合、SEOの技術はさらに価値が上がるだろう。
現在の解体が進んだ検索の状況では、データを獲得するのが難しく(not provided、ランクをチェックする際の問題、モバイルの進歩)、その上、アルゴリズムの変更が頻繁に行われている。さらに、ローカルのランキングにおいて混乱が生じており、低コストのSEOにおいては、特にローカルの分野において、正当性を証明するのも、そして、計測するのも困難になっていくだろう。この問題は、オンラインビジネスの運営費の増加と絡み、低予算から適度な予算(1ヶ月の予算が4桁前半から3桁後半)のSEO業者は、持続的に有効性および採算性を提供するのが難しくなると思われる。
SEO業界に残り、利鞘を少し削れる余裕のある業者は生き残れるだろう。業界全体(セルフSEOサービスとても言っておこう)で比較的大規模な流出が起きるためである。
ここ数年、毎年のようにモバイルの躍進を予測する声が上がっている気がする。私も少し異なる角度からこのトピックを取り上げたいと思う。
アプリが役に立つ製品を提供しているなら、たとえベーシックなプログラムであっても、あるいは第三者と提携しなくてはならなくても、すぐにアプリの開発に取り掛かるべきである。最新のスタッツによって、世界で10億人がスマートフォンを利用し、50億人が携帯電話を利用していることが判明しており、モバイルデバイスでの閲覧は珍しくなくなった。それでは、どうすればコンテンツをモバイルデバイスのユーザーに見てもらえるのだろうか?
アンドロイドに関しては、AppsGeyser等のツールを使って、最高のコンテンツをアンドロイドアプリに変えることが可能だ。このツールを使うと、既に作成したコンテンツを使って、あるいは利用中のウィジェットを表示させて、シンプルな3つのステップでアプリを作成することが出来る。新鮮さを失わないコンテンツや大勢のユーザーがダウンロードする人気の高いウィジェットを持っているなら、アプリを作って、1回のクリックでアクセス可能な環境を維持し、最新のコンテンツを受け取ってもらおう。
数多くのアプリが既に出回っている分野なら、あるいは、アプリを作ることが出来ないなら、既存のアプリと連動するユニークなコンテンツを作る取り組みを検討してもらいたい。例えば、小説家のロビン・スローン氏は、「タップ可能」なコンテンツのiPhoneアプリを作成した。このアプリを使うと、ストーリーを読み進めていく際にスクリーンをタップして次のスクリーンに移動することが出来る。このシンプルなコンセプトは、インターネット上で爆発的に広がっている(タップ可能なアプリの例)。このタイプのコンテンツを作成することで、競合者との差別化が促進され、メディアにピッチを投げかける上で新たな観点が生まれる。
アプリを実際に作るなら、iTunes等、人気の高いダウンロードサイトに加える必要があるが、まずは自分のウェブサイトで独占配信するべきである。
(ヒント: タブレット向けの独自のコンテンツを作成する上で参考になるアイデアは、「content for iPad」で検索をかけ、先程紹介した提案を使って宣伝するとよいだろう)
まずはさらに衝撃的なスタッツを見てもらう:
「現在、世界で8億人が毎月ユーチューブを利用している。すぐに10億人を突破するはずだ。また、アドエイジの広告スポンサーの上位100社のほとんど(98社)がユーチューブとグーグルのディスプレイネットワークで広告キャンペーンを行っている。」
再び「10億」と言う数字がでてきた。しかし、これで終わりではなく、先程取り上げたモバイルアプリについて、次のように指摘している:
… モバイルアクセスは6億ビュー/日に達し、2011年には3倍に増加している。」
ここではユーチューブへのアクセスに触れている。実に驚異的なスタッツである。さらに、動画の成果として、次のような効果が挙げられている:
これは2013年に動画を作り、売り込む取り組みに力を入れるべき理由である。動画はスマートフォンでも十分に機能するため、私は動画および記事の作成、最適化、そして、宣伝に同程度のリソースを振り分けていくつもりだ。一流のブランドによるユーチューブでの取り組み(そして、先程説明したように動画を視聴するためのアプリ)を参考にしよう。
リンクやトラフィックを集める上で、「コンテンツ」を利用する戦略が流行していることは周知の事実である。このトレンドは続くと私は見ている。また、ウェブマスターが優れたコンテンツを掲載することを熱望するように、オンラインのニュースメディア、マガジン、そして、時事的な話題を取り上げるブログは、優れたコンテンツを利用したいと望んでいる。 そのため、良質なメディアを探すことが鍵を握る。その際は、複数のサイトと「コンテンツパートナーシップ」を提携し、記事以外のコンテンツの掲載についても交渉することを勧める。
コンテンツパートナーシップとは、かいつまんで言うと、特定のサイトにコンテンツを提供する独占契約である。コンテンツを提供する権威のあるサイトを幾つか探し、投稿するコンテンツの量とタイプを交渉しよう。サイト側は優れた作品を獲得し、強力な編集チームを構築する。お互いにとってメリットのある戦略だと言えるだろう。
1つのトピックにつき記事を1本のみ作成するのが理想だ。しかし、書きたい分野に照準を合わせ、トピックの範囲が狭いメディアにアプローチするのが現実的に妥当な戦略である。例えば、「離乳食の記事なら何でも書きます」と宣言する代わりに「自然の有機栽培の離乳食に関する記事、ポッドキャスト、そして、動画を提供します」とアピールしてもらいたい。 広範または一般的なトピックではなく、特定のトピックでコンテンツを作成することで同意を得られるのなら、望むものが得られる可能性は高い。
本格的なネットワーキングの重要性は、今後、高まっていくだろう。ソースを早い段階で抑え、人気の高さによってもたらされる後押しを活用することで、当該の分野において、著名なサイトとして認知されるようになるだろう。様々なコンテンツのメソッドを利用してもらいたい。ビジターは記事以外のコンテンツも楽しむはずである。動画、ニュース、イメージはユニバーサルな検索結果の大部分を占めている。そのため、このタイプのコンテンツを作成することで、とりわけブランドが当該の分野を独占しているなら(とても厄介な状況)、見てもらえる確率を高めることが出来る。
グーグルが意図的に作られたリンクを無視するのではなく、ペナルティーを与えるようになったため、意図的に作られたようには見えないリンクの価値は今後も高まっていくだろう。その結果、有料リンクの価格は上がり、このタイプのリンクのROIは高まると思われる。また、とりわけ3方向において、リンク交換が再び流行する可能性がある。
私達は今まで以上にリンクに資金を投じるようになるだろう(あるいは、さらに料金を課すようになるだろう)。大半のリンクは無視、またはペナルティーの対象となり、上位にランクインするために必要なリンクの本数は減る — しかし、そのために支払う金額は上がるはずである。
ピンタレストのようにデザインされ、レイアウトされたブログやウェブサイトが増え続けている。コンテンツは、ビジュアル主体となり、テキストの量は制限される。その結果、無限スクロールが増加している – ページが永遠に続いていく。 マッシャブルの新しいデザインが典型的な例である。これが一時の流行なのか、長期的なトレンドなのかは分からないが – 無限スクロールを採用する場合、フッターが不要になり、フッターのリンクの多くが姿を消すことになるかもしれない。
ソーシャルメディアのアグリゲータが次々に登場している。レベルマウス、Scoop.it、Paper.li等、多くのツールがフェイスブックの投稿、ツイート、リツイート、ブログの投稿を手に入れ、魅力的なレイアウトで混ぜ合わせる取り組みを行っている。混ぜ合わされたコンテンツは、自分のドメインにエンベッドすることが可能である。しかし、一部のツールはSEOの要素が薄い(すべてのコンテンツがjavascriptやiframeで表示されている)、またはページを重複させるため、検索エージェンシーは、整理を行い、「アグリゲーションを望む」クライアントに長所と短所を説明するスキルを磨かなければならなくなる。
バナー広告のCPM率は引き続き下がり、標準的なバナー広告のサイズはアドワーズを除き、魅力があるとは言えなくなる。現在、流行している広告のタイプを挙げていく:
スポンサー付きのコンテンツに関しては様々な見解があるが、パブリッシャーおよびエージェンシーは違いを理解し、活用するサイトを特定する必要がある。多くのSEOのエキスパートは、スポンサー付きのコンテンツを純粋にリンク構築と見据える傾向がある。しかし、私の経験上、スポンサーは様々な目標を持っており、リンク構築が目標に含まれていないこともある。大半のスポンサーは、目標として、ブランディング、発売する製品のアピール、引用、新しい考えを生み出すこと、セールスリードの生成、一般的なPR、ソーシャルメディアで支持を受けることを挙げている。
スポンサーの目標に応じて、スポンサーコンテンツは、ソートリーダーシップを確立するため、新たなオーディエンスに接触するため、そして、特定のトピックでスポンサーの名前を思い浮かべてもらうらため、平凡なリンクの売買から各種のゲスト投稿(「使いまわし」のジャンクもあれば、十分にリサーチが行われた質の高い記事もある)、そして、記事、eブック、さらにはスポンサー付きと明記されたオンラインセミナーに至るまで、広範なコンテンツが含まれる可能性がある。
マーケティングエージェンシーは、クライアントの目標を整理し、そして、スポンサー付きのコンテンツから得られる様々なメリットをクライアントに伝えるべきである。
以上が、SEO Bookによる2013年の予測である。皆さんの予測を聞かせてもらいたい。
皆さんが素敵な年末を送り、素晴らしい新年を迎えられるようにSEO Book一同、心より願っている。
デブラ・マスタラーは、リンク構築 & パブリシティの経験を豊富に持ち、アライアンスリンクで10年以上に渡ってクライアントを成功に導いてきた。また、SEO Bookでは、SEO コミュニティでリンク構築のモデレータを務めている。ツイッターで@DebraMastalerをフォローしよう。
この記事は、SEO Bookに掲載された「Our Looking into Crystal Ball of 2013 Predictions Post 」を翻訳した内容です。
そんなSEO的思想に囚われすぎてはいけない、もっと包括的にウェブマーケを理解し実践しなければいけない、という意見もあると思いますが、SEOにとってコンテンツもソーシャルも基本リンクを獲得し検索上位を得、検索エンジン経由でより多くのトラフィックを得る為の手段と割り切って考えることもまた1つの考え方と思います。もちろんそこで大半のユーザーが速攻去ってしまうようなコンテンツや炎上しかねないチープなソーシャル戦略を行っていれば別ですが、もちろん一定以上のSEOエキスパートであれば、そんな思考レベルは越えているでしょうし(そもそもそれらは中長期的にSEOにも効かないでしょうし)、コンテンツやソーシャルもあくまでSEOの為、使えるものは取り込み、活かしつつ、SEO最優先でウェブマーケに取り組む、という姿勢もサーチマーケッターとしてはまたありなのではないでしょうか。中途半端になんでもやろうとして中途半端な結果に終わるよりはよっぽど良いと思います。
なんでこんなことを書いてしまったのか自分でも分かりませんが 汗 自らのアイデンティティを再確認したくなるのもまた新年。皆さんはもちろんご自由に自分の道を選択してどうぞ! — SEO Japan [G+]
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